2005/04/14

日記「カナダに不可欠な50曲の謎」

「おもひでぽろぽろ」「マルセイユの中田」ほか。

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■ 05/03/26(土) 10:28:09 □ 突発的フルー
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寝ている間にひどく体調を崩す。なんだこれは? 何かヘンなものを昨日食べたわけでもないのに。風邪かなあ。ふいー。

いっぺん寝なおしてもダメ。フルーか。お茶漬け以外飯を食えない。ふいー。ともかく体を休め、たまっていた3本のTVテープをただただ消化する。

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TVを見ながらうたた寝し、体調がより悪くなったので4時から8時までもう一度ちゃんと寝直した。俺が寝ている間に萌がそっと入ってきて、枕元に子供風邪シロップとスプーンを置いていったらしい。

「萌、さっき薬持ってきてくれた?」
「そうだよ。飲んだの?」
「うん飲んだ、ありがとう」
「いいよ」

やさしい子である。無論シロップは飲まなかったけど。

とにかく頭痛と悪寒を大人の風邪薬で抑える。ふう。胃が働かず、なにも食えない。一家の主夫がこうして倒れてしまうと、病人が食えるようなものが家になにもないなあと昼間つくづく思った。

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■ 05/03/27(日) 10:27:26 □「おもひでぽろぽろ」
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よく寝て起きたがまだダメ。体調は昨日よりはよいが。萌がイースターエッグハントをするのを遠目で見つつハーブティーを飲む。ふー。

とにかくなにもできず、夕方一人でジブリ「おもひでぽろぽろ」を見た。あんまり面白い映画ではないが、日本の田舎の風景が美しい。山形だそうだが、長野にもほぼ同じ田舎光景は当然あった。

TV Japan の樋口一葉ドラマに出てきた多摩の風景もよかった。あれは昔バイトでビラを配りに行ったことのある玉川学園あたりだなと見当が付き、あとから調べると隣の町田にある桜美林大学が舞台になっていた。あのあたりの多摩里山も懐かしい。あー、帰りたいなあと思う。日本の山が見える場所なら、俺はどこでもいいのかもしれない。ああいう場所から離れて暮らしていることに、ときおりものすごい喪失感を覚える。

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■ 05/03/30(水) 08:42:20 □ まる4日でついに復活
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空腹を感じて目を覚ます。よしよしと満を持して起き上がり、トーストを食べながらニュース。バーレーン戦は勝ってはいたが、ニュースで見る限り中田も中村も高原もチーム全体もいいところなく、ひどい内容であった。オウンゴールで点が取れて助かったとしかいいようがない。これで残りのアウェイ2戦に勝てるのだろうか....。もうポイント的にイランは捕まえられないにしても、アウェイでバーレーンに確実に勝てるのか。バーレーンはすでにアウェイで北朝鮮に勝ってしまっており、日本がバーレーンに負けたらひっくり返されてしまうのである。ジーコ日本はほんとダメなり。

さあともあれ掃除をしよう。寝ながら気になっていた布団のホコリも叩こう。

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■ 05/04/01(金) 09:33:22 □「カナダに不可欠な50曲の謎」
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体調はやっと完全に戻った。病気で寝込んでいたので、萌と1日遊んだのは1週間ぶりであった。そしてつくづくしみじみと、この子と一緒にいると気分がいいと思う。楽しくて、気持ちが明るくなる。Mにそういうと、「あたしも先週ずっと主婦をやっていて、萌の世話を楽しんだわ」と言っていた。

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CBCラジオで「カナダに不可欠な50曲」という企画があり、こないだの「カナダを代表する偉人ベスト100」に次いでMが盛り上がっていて、Web を見てみたら 1/3 くらいしか俺の知ってる曲はなかった。というかジョニとニールヤングは以外は、日本にまったく輸入されていないのだった。

カナダに不可欠な50曲
1. 'Four Strong Winds' - Ian and Sylvia (1963)
2. 'If I had $1000000' - the Barenaked Ladies (1992)
3. 'Heart of Gold' - Neil Young (1971)
4. 'Northwest Passage' - Stan Rogers (1981)
5. 'American Woman' - The Guess Who (1970)
6. 'Canadian Railroad Trilogy' - Gordon Lightfoot (1967)
7. 'Both Sides Now' - Joni Mitchell (1969)
8. 'Suzanne' - Leonard Cohen (1967)
9. 'Big Yellow Taxi' - Joni Mitchell (1970)
10. 'Early Morning Rain' - Gordon Lightfoot (1966)

(太字は日本でも有名な曲)

ラジオでそれら俺の知らないカナダの名曲がかかると、輸入しなかった日本のレコードディレクターの判断は妥当だったと思う。レナードコーエンとかブルースコバーンとかは、その文化的重要度は分かるが音楽的にツライ。音楽性よりも文学性が高い。



そして輝く1位が「Four Strong Winds」という、全然名前も聞いたこともない曲であることに驚いた。ニール・ヤングがカバーしてるのを聴いてみると、すごく淡々としたフォークで、歌詞を読んでみても何の歌かよく分からない。

「Four Strong Winds」
Think I'll go out to Alberta,
Weather's good there in the fall.
I got some friends that I can go to working for,
Still I wish you'd change your mind
If I asked you one more time,
But we've been through that a hundred times or more.

アルバータへ行くことにしたよ。秋は気候がいいし
仕事を世話してくれる友だちもいる
もう一度俺が尋ねたら
君が気を変えてくれはしまいかとまだ思っているけれど
もう百回以上その話はしたしね

Four strong winds that blow lonely
Seven seas that run high
All those things that don’t change come what may
But our good times are all gone
And I’m bound for moving on
I look for you if Im ever back this way

四つの風は交わることなく吹き
七つの海は波高く
何があろうと変わることはない
いい時はもう過ぎてしまった
俺はもう次へ行くべきなのさ
もしこっちに戻ることがあったなら、君を探すよ


それで俺が「なぜにこれがかくも重要なの??」と聞くと、「分かってないわね、この歌詞がイイんじゃない」と解説してくれた。つまり仕事のない東から西へと男が旅立つ、愛する女を連れて行きたいが彼女の心を変えることはできなかった....という歌なのだった。

そこまで解説してもらってあーなるほどとやっと歌詞の背景が分かる。つまりこれはあれだ、日本人が「上野発の夜行列車」と聞いただけで破れた心と旅情とがズビーンと胸に迫るように、大西洋側の東の州が貧しいカナダでは、「西に行く」というだけでそうした哀感が胸を打つわけである。最後のラインは「俺にはお前が最後の女~」とまったく等価なのである。

「なんかさ、日本の歌を訳してやると、『日本の流行歌は悲しい恋の歌ばっかりだ、なぜだ』とLDや君は糾弾するが、カナダ人だってやっぱりこういう哀愁ものが好きなんではないか」と指摘すると、まあこれは例外よとかなんとか言っていた。まあたしかに、2位が超ホンワカの「百万ドルがあったなら」だしな。あの歌は日本で言うならなんだ、「しあわせだなあ、ぼくは君といるときが....」級のおまぬけちゃんである。

まあいずれにせよ俺は「日本に不可欠な50曲」なんて1曲も投票できないなと思った。たとえば今日皿を洗いながら聴いてたARBだけでも、名曲を10曲やそこらは挙げられる。そういう曲たちは俺には不可欠なわけだが、「日本に不可欠」なんてのに投票する民衆にはまったく未知の宝物なのだ。んで実際に投票が行われると(何年か前にTVでやったらしい)、懐メロ+サザンオールスターズみたいな無意味なチャートが出来上がってしまうわけである。でも音楽リスナーと一般大衆との間の乖離が日本ほどないカナダでは、Mが心を動かし「Four Strong Winds」を聴きたがったように、こうしたチャートにもそれなりの意味がこもるのだろう。

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■ 05/04/03(日) 10:56:26 □ マルセイユの中田
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マルセイユ・パリSGの放送をやってるのだが中田コは今度は左DFで、笑ってしまうほど懐かしい完璧なトルシエのフラット3をやっている。チームにはもうフィットしているのが見て取れる。代表時代よりも目立とうという気持ちがあるのか攻撃にも上がっているし、得意の長いレンジのフィードは効いている。こないだも思ったがフレンチリーグはフィジカルでレベルが高いので、このゲームに溶け込んでるところが改めて能力が高いなと感じさせる。やはりトルシエが呼ぶだけのことはあり、また振り返れば代表で不動のレギュラーだった理由もこういうスマートな能力の高さにあったのだろう。なにしろ際立つタックルをしたりする選手ではないので、当時は何がそこまで不動なのか分からん(別に不満もないが)という感じだったのだが、相手の攻撃選手にドリブル勝負を挑まれるところまで持ってこさせないポジションニングも含めて力量が高いのだろう。

しかしこのフラット3が懐かしいなあ、ホント。クラブだと代表よりもトルシエの戦術がきれいに決まるのかもしれないが、パリSGのスピードのある攻撃陣に対してハーフライン近くまでオフサイドラインを上げて守っており、そこからすーっとディレイをかけて戻り、危険なエリアに来る頃には中盤選手も戻ってるので相手が仕事をするスペースがなくなるというのがよく分かる。あー日本もまたこれをやれたらなあ。

Pさんに借りて見た去年のジーコ3試合(東アジア韓国・ア杯中国・WC予選シンガポール)を見てると、その場その場の選手の判断と力量だけで戦っており、チームとしては何もやってないのが明らかなのだった。アジアのベスト4くらいはそれで足りても、個の力が同等以上の(―――このフレンチリーグなんか見れば、欧州じゃ無名選手でもしっかりうまいのだとつくづく思う―――)チームに勝てるかどうかは、イラン戦でも明らかになったように「相手のチャンスが決まる確率÷中村のビッグプレーが出る確率」という感じなのだ。せっかく 1998 年よりも選手の質が上がり 2002 年からは選手の海外(苦闘?)経験が上がっているのに、組織力がないゆえそれを生かせていない。ジーコを雇い続ける協会に対する怒りがふつふつと湧いてくる

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ぐえ 2nd ハーフの最初のプレーで中田コがオウンゴール! これがフランスで最初に脚光を浴びるプレーかもしれない (^-^;。。―――おーしかしマルセイユ追いついた。オーシ! と意外にも盛り上がってしまった。オウンゴールもあって高い評価は受けにくいだろうが、今まで彼を見た中で一番よかったのである。

フレンチリーグは面白い。ダッチよりレベルが高くて、ドイツより華があって、英国ほどバチバチにフィジカルではなく、イタリーよりも守備が弱い分攻め合いが楽しめる。有名人は少ないがよい。中田コはいいところに仕事を得たなあと思う。

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さっき母さんから電話があり、萌ちゃんが何を食べられるのか考えちゃって眠れないのよなどと言う。楽しみにしてくれてるようである。萌の体調も上昇中であり、今度はいい旅行になりそう。日本への出発まであと7日。