2006/06/17

日記「WC2006: 4年間待ち続けた結果が」

「うれしすぎる誕生日」「なぜあれほどまでに日本のデキが悪かったのか」「早くお天道様の下を歩きたい」ほか。
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■06/06/02(金) □ うれしすぎる誕生日
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昨夜のカンシャク炸裂で心配した萌の喉の痛みなどはなく、無事誕生日を迎える。元気にジムナスティックスへ。皆にハッピーバースデイを歌ってもらってます。

 学校でもそのあとも、萌はもう会う人すべてに「今日は私の誕生日なの」と言いまくっていた。もう明日のパーティが待ちきれないよという萌を、バースデイディナーでインド料理屋に連れていく。本格的に辛いものはまだ食えないが、この店のバターチキンが萌は大好きなのだ。ここでも店主のおじさんに誕生日であることを告げ、アイスクリームをおごってもらう。

 そして明日のパーティで出すケーキやスティッカーなどを買いに行って一日がおしまい。ケーキに名前を入れてもらうと、もう信じられないくらいうれしいと萌は震え、レジのおばさんにもよかったわねえと喜ばれていた。

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■06/06/03(土) □ パーティは大成功
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 朝からLちゃんを呼んで遊び、パーティを待つ。ただ待っていては萌が待ちきれないので、お客があって助かった。

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【2枚並べ】【横】s400 【縦】s320 height="300"

そしてパーティは大成功であった。最初のうちは物怖じしていたRB・IS・HNらも、キッズパーティのプロであるコミュニティセンターに蓄積された盛り上がるパーティ黄金律ともいうべきクラフト→フード→プレゼントオープン→ジムで大騒ぎ→ケーキという流れに乗って途中からご機嫌になってくれ、全員が最高に楽しんでくれたと思う。萌もこれまでで最高のバースデイパーティだったと大満足。よかったよかった。



 朝から夕方の6時近くまでバースデイ行事にかかりっきりで、俺とMはヘロヘロ。萌はパーティの余韻で興奮して眠れないだろうなと思ったが、意外にも夜は静かに一人で本を読んで寝てくれた。このパーティという大イベントに向かって彼女は突っ走ってきたわけで、無事に済んでやれやれである。

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■06/06/04(日) □ クーリングダウンの日曜日
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 昨日もらったプレゼントのクラフトをしたり本を読んだりして過ごす、クーリングダウンの日曜日。萌はこの頃英語の本を自力で読めるようになってしまった。知ってる語彙であれば 100%読める。英語は正しいスペルで書くのは難しいが、読むのはさすがに漢字がないので簡単なのである。日英読み書き難度がここから逆転していくかもしれない。漢字をどうやって教えたらいいのかなあと考えてしまう。

 午後からはゲームなどで盛り上がり穏やかでよい日だったのだが(「ポケットムームー」最高)、萌は「今日私は一度も叱られて泣いたりしなかったよ」などと夜になって言っていた(笑)。最近気持ちが上ずって物事に不注意になり叱られることが非常に多く、今日はそれがなかったと自覚しているらしい。

 ハリソン行き前後には、この興奮が誕生パーティでピークを迎えたら、カンシャクを起こすわ眠れないわ夜泣きが出るわでえらいことになるのではないかと思っていたが、昨日今日といい感じに興奮し、いい感じに落ち着いてくれた。何度も限度を越え泣いて、感情コントロールを学んでいくのでしょう。

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■06/06/07(水) □ 自転車に乗れました
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萌が家の前でスクーターではなく珍しく自転車に乗っているので、最近自転車の調子はどうなのだろうと見てみると、補助輪はもうほとんど接地せずぐるーりと走っている。これは多分もうすでに乗れているなと、補助輪をはずしてサドルの後ろを俺がサポートし、走り出してから手を離すとおーそれみよ。萌はもうまったく問題なく、そのまますいーっと走り続けるのであった。

 「ホラ萌、もうお父さんはホールドしてないよ」と両手を見せると、うれしくてうれしくて「うわー」といいつつ俺の顔を見ながら萌は走る。うわー前を見ろーと笑いながら追いかける。萌は大喜びしながらぐるーりときれいにリーンして回って帰ってきた。パーフェクト。

 これはスクーターで2輪のバランス感覚が身についたのだろうなあ。すばらしい。おーい見せたいことがあるよとMを呼び、萌がまたするーと走る。お母さんもきゃーと感動しています。走り出しと止まるとき(足ブレーキング)の技術がまだ未熟だが、それはもう練習で簡単に身につくことである。いやーめでたいめでたい。俺は小学1年で乗れるようになったので、萌は1年早いのであった。

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■06/06/09(金) □ ワールドカップが始まってしまった
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 ワールドカップが始まってしまった。ついに始まった。

 国歌斉唱には毎度ながらジーンとするが、12分でたちまち1-1となり、またすぐに2-1となる。エキサイティングといえば言えるが、なるほどドイツは大味だと思う。日本がこのドイツから2点先取したのも道理という感じ。そして、豪州は強いだろうがドイツ以上ということはなかろうから、失点を1点に抑えればいけるだろうと想像しながら見る。

 対豪州戦は、2001 年コンフェデ時の豪雨の中日本苦戦の末 1-0 という結果が一番今回のシチュエーションに近いと思うが、あのときと比較すると、

◎日本は中村が入る 豪はビドゥカとキーウェルが加わる
○好天で日本はパスが生きる 大物監督が(短期)就任
▲ホームではない 暑くなりそう

 というわけで共にトータルでプラス1という感じ。所属チームを見れば豪州のほうが格上だというのは 2001 年と変わらず、データ的にはこちらが不利だが、中村の魔法と円熟味を増した中田の戦術眼、そしてジーコの放任下で育った勝負強さがある....はずなのだ。チームにはトルシエ時代の遺産が確かに受け継がれているわけで、中田と宮本がジーコに委任されてそれを磨き上げているのだと思いたい。

 オーストラリアの強さは、おそらく4年前のトルコと同レベルにあるだろう。あのとき破れそうでついに破れなかった壁を破れば、4年間皆が抱き続けた悔いを、初戦で払拭できるのだ。

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■06/06/10(土) □ 夢のコートジボワール
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 朝録画しておいたイングランド-パラグアイを見る。パラグアイのオウンゴール&GK負傷というえらい気の毒から試合は始まったが、ベッカム・ランパード・ジェラードの大駒3枚が絶頂にあるイングランド(こうして序盤を着実に戦っているうちにルーニーも復活してくるだろう)に対するパラグアイの抵抗もさすがに頑強で、こういう試合を見ているとウヒウヒとWCの喜びを感じる。あさってにはここに日本が立つのだ。8年前はお客さんで力が足りず、4年前はドローに恵まれすぎて対戦相手以外世界の誰も日本を見ていなかったと思うが、今回はこういう強国と堂々と戦い世界に見せ付けられるのだ。日本にとって、ついに本当のワールドカップがきたという気がする。

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 その後に見たアルゼンチン・コートジボワールがすごかった。信じられないほどの美技と素晴らしいセンスで、コートジボワールがアルゼンチンを圧倒してるのである。DFが鋭いインターセプトからアルゼンチン攻撃陣の包囲網をドリブル突破し \(^o^)/、びしっと飛んだパスを絶品のタッチでコントロールしたドログバがシュートに持っていく。すんばらしー \(^o^)/。手ごわいという噂は聞いていたがそんなレべルの話ではなく、全員がもう素晴らしすぎる。

 結果としてはセットプレー崩れとオフサイドトラップ崩れで2-1で負けたのだが、こういう超絶チームがどこからともなく湧いて出てくるから、WCはやっぱり面白い。完全にイタリーでのカメルーンの再来だ。画期的なものを見た喜びに胸が震えた。このグループはオランダもいるわけで、面白すぎる。

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 今日は萌は久々に一日KT家へ。MSさんとサッカーの話をしがてら様子を見に行ってみると、実に幸せそうであった。よかったよかった。萌は初めてKT家へ自転車で自走し、帰りは一度も足をつかず走り通した。自転車に乗れると楽しいよなあ。

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■06/06/12(月) □ 4年間待ち続けた結果が
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 寝付けず、そして必要以上に早く目が覚めてしまった。仕方がない、このときを4年間待っていたのである。

 5:30 ピッチが出た。快晴だ。よし。TSN 解説陣はいつものように日本(とアジア)を軽視しているが、解説者の予想は「4年前のベルギー戦と同じ、ドローと見る」とのこと。05:53 入場。よおおし。

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 試合開始1分でのっけからFKのチャンス。これは俊輔が壁にひっかけたが、双方慎重にゲームを運び、オーストラリアもいきなりのロングボール放り込みはやってきていない。意外に静かな感じの序盤で、日本はスロースターターなのでこれは悪くない。

 うわわビドゥカのシュート2発。川口が反応で止めたが危なかった。徐々に豪が身体能力でポーゼッションを高めている。日本はインターセプトから速攻で勝負をしている。

 13 分:豪がボックスに詰めてクロスとシュートの雨を降らせる。スキル的に大したことはないので決定的なことにならず助かっているが、日本は体格差で押されセカンドボールを拾えない。もっとつないでボールポゼッションを高めないと苦しい。

 19 分:うーん、つなげない。それほど危ないシュートにはつながっていないが、ボール保持率で負けるとは意外な展開で、どうしたのだ。久々の攻撃から高原のミドル、これは初めてのまともな攻撃であった。これで一息つくとともにリズムを立て直せそうな気配。

 ビドゥカの見事なポストから決定的シュート! 川口が左手1本で止める。ビドゥカにはやはり苦しんでいる日本DF。

 うわ。中村のクロスがそのまま入ってしまった。GKがクリアにきて触れなかったという凡ミス。ボールの位置にGKの体が入っていれば高原と接触してもボールには触ったはずだが、触れなかったのでミスといえる。しかし点が入ったことはありがたいが、まだ日本が全然まともに機能してないので、ここからの相手の猛襲が恐ろしい。

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 そこからの豪の怒りの逆襲をうまく抜いて交わしたことで、日本に余裕が出てきてボールがつながり始めた。豪の圧力も序盤より落ちてきている。32 分:柳の個人技によるシュート、弱し。中村がかなり蹴られているのが嫌である。

 35 分:柳が傷んでブレイクを取り、両者水を摂る。かなり暑そうだ。豪も暑い国であるはずだが、スタミナではやはりアジアであろう。ビドゥカがオフサイドに引っかかり始める。宮本がラインを上げてきたようだ。フィールドをコンパクトにすればもっとボールも拾えパスもつなげるはず。俺はここに至りやっとリラックスできてきた。失点はするかもしれないが、ラインをコントロールし日本の実力さえ出れば問題なく取り返せるわけで。

 ハーフタイム:ふー。後半はこのままラインを上げていくしかない。慎重に下がり気味でゲームに入ったゆえに、ゴール間際の浮き球勝負が多すぎたのだ。そこでビドゥカにかなうわけがない。ここまで日本は耐えてカウンター&ミスでシュートに至らずの繰り返しで退屈なゲームをやっていて期待はずれではあるが、初戦だからとにかく勝つしかない。ボールをキープせねば勝てない。

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 後半開始:豪の勢いはブレイク後も蘇っておらず、日本のラインも下がってない。よし。宮本がビドゥカをオフサイドにかけてきっちり殺している。よし。ここから中村の魔法を繰り出して追加点を奪うべし。

 パルマのブレシアーノが下がった。これは吉兆か。ここまでヒディングの魔法は、試合前のメディアコントロール以外には特に感じられない。う、坪井の脚が吊っている? こんな時間に? やはり暑いのか。あ、自分からサブを頼んでいる。茂庭か。頼むぞ。現時点ではラインコントロールで1対1は避けているので、ゲームになじむ時間はあろう。

 58 分:相手GKのフィードエラーから攻め込む。シュート力が弱い欠点は改まっていないが(柳澤は強いシュートを打つ力がないんだなと改めて思う。シュート以外は一流なのだが、ばしっとシュートを蹴るとJリーグレベルになってしまう)、時間を削り取るにはよい展開。豪DFを下げてFWを投入。これで4トップか。韓国が4年前にイタリーとスペイン相手にやったパターンである。日本はボールを奪えば数的有利で攻められるので、落ち着いて息の根を止めればよし。中村などはゲームのペースを落としていこうというのか、ゆったりとドリブルしている。実に退屈だが、中村を含め攻撃陣がこれほど低調では、時間をつぶす以外に方策はないかもしれない。

 しかし相手の動きが落ちて、日本は攻撃になればこうして時間もスペースもあるのに、ほとんどまともなシュートにつなげられない。パスが売りのチームなのに勝負パスやクロスの精度がひどいのである。大きな大会の初戦という難しさはあるにしても、ゲームを通して一向にいいプレイが出ないまま終わるというのはどういうことなんだろう。ラックで1点はもらえたとはいえ、これで勝てても凡戦としか言いようがない状態である。直前のドイツ戦で素晴らしかったんじゃないのか。どういうことなんだろう。

 66 分:双方動きが落ちて、豪がFWの大きな反転など身体能力一発でシュートに持ち込もうという展開が続く。日本DFにはかろうじてボールをブロックするという程度の能力しかないので、これを何度もやられるとつらい。DFライン前のプレッシャーを上げてFWへ入るボール自体を止めたいのだが、全体的に双方ともボールホルダーへのアタックは非常に緩慢で、WCとは思えぬ遅いゲームだ。気候のせいもあるのかもしれないが。

 69 分:PKボックス前で豪にFK、うーんまずい。川口止めた! これは失点を覚悟したが川口さすが(※)。しかし日本はいい加減追加点を取らないとまずい。残り 20 分、サブをお願いします監督。今日は魔法が出そうにない中村に替えて走れる選手を。いっそ玉田を入れてほしい。ここで点を取るにはドリブル勝負しかない。頼みます。

(※)あとでビデオを見たら福西が攻撃から戻っていなかったがゆえのピンチだった、もう走れず歩いていたのである。MFはいくらでもいるのに....。中村は前半蹴られすぎて怪我をしていたらしいし....。

 残り 12 分:やっとサブが入る。柳に替わって小野? ということは1トップ? 神のみぞ意図を知る交替といえよう。走れる選手がほしいのに、中田中村より足の遅いパッサーを入れても何かが起きる気がしない。

 川口またFKを止める! 見事。入れられていても文句は言えないほどの....と思っているとその混戦からのスローインをパンチしにいって触れず、ついに失点! これはあれだけ攻撃機会があったのにシュートを打てなかった攻撃陣の精度の低さを嘆くしかない。ここまで得点機会よりもはるかに多かった失点機会を守備陣が頑張って抑えていたわけで。

そして 90 分、豪の見事なミドルが決まり逆転。これはもう追加点を取ってゲームにケリをつけておかないと相手に勢いが乗ってこうなるという見本のような展開で、勝負弱かった昔の日本代表を見ているようだ。さらにロスタイムに茂庭を下げ大黒を入れ4バックしたところをドカンと追加点。1対1になると欧州クラブの選手には勝てないなと痛感する(同時に高原と柳沢が欧州で成功しない理由も、この試合で残酷なほど明白に)。最終的に完敗となり、ジーコの姿が画面に映った。はあ。

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 全体的な感想としては、守備がいくら頑張っても攻撃が稚拙でシュートまでつながらず、最終的に押し切られたところが8年前のようであった。キーワードは「8年前と4年前のリベンジ」のつもりが「8年前とおんなじ(で4年前よりダメ)」になってしまった。

 すべて監督の責任だと思えれば気がラクになるが、最後に壊滅したのはいつもの通り交替を使わなかったジーコの無策としか言いようがないとはいえ、攻撃陣全体のこの低調さはジーコにも予想できなかっただろうと思う。フレンドリーで十分にいい結果を得てきたチームがこれほど不発というのは、これがWCだからなのだろうか。

 試合後コメントによればヒディンクは、「中村、中田、ストライカーをチェックしたいと思い、中盤からストライカーへの部分を崩すこと、それを後半のプランの 1 つとした」とのことである。しかし中村は確かに削られていたし中田と柳沢も倒されながらファウルをもらえない場面はあったが、豪がエグくくるのは分かっていたことで、メキシコのようにそれを交わしてショートパスをつないで崩していくのが日本のプランであったはずだ。前半はそれがほとんど一度もできなかったことがショックである。そして後半はせっかくDFが安定し相手の圧力が落ちて点を取るためのスペースと時間があったのに、無残なほどアイデアと技術に欠けた攻撃しかできなかった。全員が足に来ていたとはいえ、ショックである。

 4年間待ち続けた結果がこれか。コンフェデとドイツ戦がこの日本黄金世代の成果でおしまいなのか。誰もが危惧したとおり、俺たちは4年かけてプロの監督でなければWCは無理だと実証しただけなのか―――とがっくりするばかりだが、まあとにかく去年のコンフェデと同じく次に勝ってブラジルにドローを取れば、クロアチアが豪を破ってくれるという条件で次に進める。計算してみるとクロアチアに4点差をつけて勝ち次にクロアチアが豪を破ってくれれば、うちは1勝でも次に進めます! キーワードは「8年前とおんなじ」ではなく『去年のコンフェデと同じ』なり、ここからまだ勝負はできるのだ。

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■06/06/13(火) □ なぜあれほどまでに日本のデキが悪かったのか
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 録画しといたコリア対トーゴを観戦、コリアはいい感じでやっている。自信を持ってビシッと力を発揮している感じ。いったい日本はなんであんなにも普段の力が出なかったのか。謎だ。

 あれ、安貞桓とソル・ギヒョンがサブだ。システムが違うのだろうか。あ、アフリカン瞬発力一発で点を取られてしまった。あちゃー。全体的に押しているのだが、やはりWCは怖い。8年前はコリアも、メキシコに先制しながら今回の日本並みに惨敗したしなあ。メキシコ1-3、オランダ0-4だったと思う。あのチャブンクンコリアは予選を楽勝して大会前えらい自信を持っていたし、なんか今回の日本の運命はそれをたどっているような気がしないでもない(^_^;;)。

 前半終了。しかし4年前日本敗退後にコリアを見てた気持ちとほぼまったく同じで、コリアいいわやっぱ、日本よりうまくて速い。4年前とほぼ同等にいい。まあ疑惑の判定は出ないだろうから、あんなに上位まではいけないだろうが。

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 うわ後半早々にFKで追いついた。すばらしいイチョンス@髪型4年経っても違和感あり。コリアはお国柄か、大久保や松井のようなドリブラーを重視してる感じである。そうした選手がボールを持って走り、周りが連動している。日本はやっぱ国民&ジーコの趣味でパッサーばかり育て集めすぎているため、昨日のように中田中村でどうにも点が取れないときにはオルタネイティブな打開策がない。「日本はアジリティで豪を破る」なんてマスコミはあおり結局一度も豪DFの裏を取れなかったわけだが、この韓国のキビキビさはまるでなかったのである。こぼれ球にこれだけ早く反応できるのは中田だけだし、瞬間的なドリブルの速さで勝負にいける選手は玉田しかいない。

 あああああアンジョンファン! 早送りしながら見ていたらいつの間にか出ていて、トレードマークの強シュートを決めてしまった! 素晴らしい。くー。愚痴を言うわけではないが、日本のFWにはやっぱこの強シュートを打つ筋力がないよなー。昨日などはフィニッシュにつながるパスなどまるでなかったとはいえGKへのショートパスみたいのばっかで、実にJリーグの下位チームを見ているかのようであった。自力でシュートコースをこじ開けこのシュートを打てる日本人FWは、かつて横浜でアンと2トップを張った、久保だけだったのである。

 アンジョンファンかっこいい笑顔で試合終了。見事。この直球勝負のトーゴになら日本も勝ったとは思うが(日本は初戦にあんなトリッキーな監督がいる国と当たったのは不運だった)、コリアはブラックアフリカにスピードで負けてないのがえらい。

 岡野前日本サッカー協会会長の言うとおり、「日本は韓国にはスピード・スキル・スタミナ・スピリッツの全ての面で負けている」「しかし、戦術理解や判断で互角に持ち込んでいる」のだなあと感じる。トルシエ時代は実際そうであった。で昨日は日本の戦術理解と判断のよさが、監督勝負で消されてしまったというところだろう。

 残り2戦、玉田を使ってほしい。やはりドリブル勝負に行くことがどれほどチャンスを広げることか、韓国を見て感じるのである。

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 ブラジル-クロアチアはもう次元が違うサッカーをやっていて、もう日本サポーター俺のモラル(志気)は地に落ちてるので、見ていて「こんな国に張り合おうなんて本気で思っていたのだろうか」といった具合の自嘲心が湧いてしまう。ブラジルは状態がフィジカル7分チームの練度5分という感じでまだまだなのだが、クロアチアが本気で勝ちにいっていた。日本と豪から勝ち点を取ればいいという感じでいくのかと思ってたが、とんでもないのであった。しかしブラジルは何もないところから個人の力で脈絡なく点を取ってしまうので―――4年前もまったくそういうチームであった―――、カカーのミドル一発で勝つ。

 しかしクロアチアもすごいわ。決定機の数ではブラジルを上回っていただろう。そういえば2年前のユーロでもクロアチアはフランスよりずっといいサッカーをしてたのであった。この国と今度はやるのだ。やれやれ。

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 なぜあれほどまでに日本のデキが悪かったのかという分析は一昼夜経っても誰もしてくれなかったが、TV Japan での井原解説(※)つき再放送を見ながら自分なりに考えると、前半は豪の圧力をしのぐのに精一杯で、ボールを奪っても相手の詰めがいいので展開をするスペースがなかった。また中盤とFWは最初から最後まで速攻を狙いすぎていて、結果ボールが足につかずにチャンスをつぶしたり、シュートレンジに至る頃には脚力を使い果たしシュートを打つ力が残っていなかったシーンが多すぎた。この辺はジーコが、急がずマイボールを大事にするよう指示すべきだった。

(※)井原はのっけからラインが低すぎるから苦しいのだと、リアルタイムで的確な分析をしてくれて面白かった。実体験と勉強がほどよくミックスされた将来の代表監督という感じがする。

 ゴールのおかげで一息ついたあたりからは豪の圧力が落ちてパスがつながり始めたが、中村がすでに削られすぎて力を半減させており、中村の切れがないとやはりこのチームには点を取るオプションが非常に少ないということなのだろう。

 中田は4年前と攻撃で同等、守備面ではあれ以上の仕事をしていたが、ペルージャ・ローマ時代の高速ドリブルで中盤を切り裂きスルーをスパーンという夢のようなプレイは、4年前と同じく今回も見れなかった。中田のよさは何よりも、FWがトラップ一発でシュートまたは次のプレーに持っていける連続性を生み出すグラウンダーの高速パスにあったのだが、今回イングランドのジェラードが見せているあの美しいグラウンダーパスは、もう中田からは出なくなってしまった。ドリブルで相手=ゴールから離れつつ、可能性の低いロブをDFの頭越しにFWに送るシーンばかり(この試合は特に、ボールを持って何かを仕掛けたら中村同様たちまち削られることが明らかだったのでそうせざるを得なかったのかもしれないが)。30 億の値がついたあのスーパーな能力は、00/01シーズンにどういうわけなのかパルマで失われてしまったのだ。

 今の中田はボルトンで今シーズン見た通り、普通の一流MFでしかない。好選手だが、クラブでも代表でもゴールやアシストをするような選手ではないのである(※)。悲しいことだがそれはもう分かっていたので中村のミラクルに俺たちは頼ったのだが、ついに一度も出なかった。物理的な圧力と蹴りによるヒディンクの中村つぶしが効いたわけである。日本のマスコミは「川淵会長が豪のラフさを懸念し、FIFA も豪をマークしている」と報じていたが、カナダと英字メディアは逆に、「日本の会長が豪のフィジカルな持ち味を消すためにそういう発言をしている、アンフェアだ」というヒディンクの抗議のほうを大きく取り上げていた。実際に豪は中村がらみのイエロー1枚で彼を無力化できたのだから、政治ゲームはヒディンクの勝ちだったわけである。そういうゲームで勝ってもうれしくはないが。

(※)ボルトンで一度だけドリブルで敵を引き付けスルーを決めて俺を狂喜させてくれたが、続かなかった。やはり高速ドリブルができなくなってしまったのがビッグプレイをできなくなった原因だろうか、自分が動いてパスコースを広げることができないのだ。

 高原と柳沢の実力は実際あの程度であって、アジア相手以外の真剣勝負で彼らが点を取ったこともないので、「8年前の城」状態でシュートを打たなかったりGKに取りやすいショートパスを出したりしていても、さほど腹は立たなかった。久保がリタイヤした時点で、得点はMFの組み立てにFWが合わせるというオプションしかなくなったわけで、それ以上の仕事はもし出たらうれしいボーナスに過ぎなかったのである。

 昨日は前半は柳沢のランによる展開以外組み立てはまったくなく(MFへのマンツーマンマークで消されていた)、後半は双方疲れから中盤が空洞になっていて、FWが自力で1対1に勝ち打つしかなかった。豪のFWは走らなくてもボールを足元にキープしDFを手で抑えて反転一発でシュートに持っていけるのだが、日本のFWはドリブルで抜かねばならない。高原にはスピードはないし、柳沢は抜いてもシュートを打つ力がないのは分かっていたことであり、しかも2人とも疲れていたのである。早い時間に玉田・巻・大黒を見たかったが、そこはもう監督がジーコである以上どうしようもない。負け試合での交替の無策さはトルシエにもあったことで、ヒディンクみたいにベタなFW投入をするほうが珍しいのだろう。

 というわけで考えてみると、前半中盤の圧力をとことん高めて日本の組み立てをつぶし、後半は攻撃陣を投入してDFに圧力をかけたヒディンクの作戦が全部当たったということなのだろう。日本がそれに対抗するには後半サブの投入により相手ゴールを脅かすかDFラインの前で敵をつぶすしかなかったのだが、ジーコはどっちもやってくれなかったのである。加えて、攻めるならオガサか玉田を入れ(小野は脚が遅いからサブで相手DFをかき回す効果は薄い)、守るなら中田コを入れるべきだと誰もが思っても、ジーコはそういう実戦テストもしてなかったわけである。トホホ.....。

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 ここまで考え抜いて俺自身はけっこうすっきりしたが、問題はクロアチアと戦えるのかということだ。自身もパスワークを重んじるクロアチアが、自力の中盤組み立てよりも中田中村のマークを重視することはないだろうが、今日の試合を見ても 190cm 級の大男が猛然とイーブンボールに飛び込んでくるあの迫力は、豪を上回るものがある。そこをかいくぐって中田中村が今回は攻撃を組み立てられるのか。分からぬ。分からないが、日本が生んだこの最高の2人のMFが通用しなかったら、それはもう仕方がないことである。中村が豪州戦レベルのことしかできないなら、ジーコが他のMFに賭けてくれることを祈る。

 これまでこのチームで見せたいい試合のすべてがマグレであったはずはない。ボルトンで今期中田が一度だけ見せたスルーパスも、もしかしたらやればまだ出せるのかもしれない。それが出て日本がゴールをしたら、俺はきっとそれがこのワールドカップで一番うれしいだろう。ひどい負け方だったが誰を責める気もない。頼みます、日本代表。

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■06/06/14(水) □ 早くお天道様の下を歩きたい
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 今日はカード的に興味のある試合がないので、久々のサッカー休み。出かけてあれこれと用を足す。

 萌をピックアップに学校に行くと、カナダには珍しく「ジャーマニーがもうシュート打ちまくりでさあ....」と、WCのことを話しているお父さん2名を発見。これがたとえば日本が出ていないユーロの話なら俺も混じっていきたいのだが、現時点では日本人であることをひた隠してコソコソと通り過ぎるのみであった(汗)。

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 日本の4バックがクロアチア・ブラジルに通用するのか、というか4バックで日本の真の力が出るかどうか、そればかりが頭をグルグルめぐる。去年のブラジル戦のテープをつい見てしまう (^_^;;)。これを見ると、どんな強豪とやろうと同じ11人のサッカー選手だよなと気持ちが落ち着いてくる。最初から最後まで90分間で振り回されるわけではないのだ。そしてカジが戻ってくる。大丈夫だ。

 そしてものすごく悔しくなる。こんなにいいサッカーをするポテンシャルを持ったチームが、初戦で完全に持ち味を消されてしまったことに。無論コンフェデとWCじゃ本気度が違うから、こんなにクリーンなサッカーをやらせてくれる国などどこにもないだろうが、月曜みたいな甚だしいヘボサッカーにまで陥るのはちょっとその差が極端すぎる。ヒディンクのMFつぶしもあったが、それだけではなく―――あるいはその術中にはまったがゆえの―――日本の自滅という部分もあるんだろうな。圧力に押されてラインが下がり、前へ前へと急ぎすぎてボールが繋げず消耗し、悪いサイクルに突入.....という具合に。

 ヒディンクはジーコとは比較にならないほどプロフェッショナルな監督だが、相手の長所を消す手法を誇る人に日本のサッカーを託したいとは思わない。ブラジル戦は捨てて(メンバーを落として)クロアチアに全力で行くらしいが、もし必要ならば俊輔にしたように、ロナウジーニョの爪が割れるほど削らせるのかねと問いたい気持ちである。

 4年前はどれほど格上を相手にしても韓国選手に100%勝負をさせる手腕にすごいなとただ驚いたのだが、自分が彼の手管にやられてみると、イタリーとスペインもこうしてフィジカルなゲームに持ち味を消され、悔しく負けたのだろうなあと思うのであった。

 ともあれクロアチア戦だ。クロアチアと立派に戦い、早くお天道様の下を歩きたい。

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