2006/09/26

日記「ピアノレッスン開始」

「初めてのピアノレッスン」「作曲「China Japan」」ほか。
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■06/09/19(火) □ 初めてのピアノレッスン
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 萌は風邪で学校を休んだのだが、鼻水以外は超元気。俺と同じ夜型ゆえに、体調が上がる午後には学校で使わなかったエネルギーが大幅に余ってしまい、ひゃーひゃーと興奮して大変であった。

 夕方初めてのピアノレッスンへ。これには非常に期待しているのである。萌が望む「千と千尋」などが弾けるようになるようにと、日本人の先生を紹介してもらったのだ。

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 先生はやさしく明るい感じの方で、初日は自己紹介と進め方の説明のみであったが、自分のバンドでビートルズをやることがあるというので、リクエストして「オブラディ・オブラダ」をやってもらう。うぉー素晴らしい。クラシック(?)の方の弾くビートルズミュージックというのは、ギターで弾くロックンロールとはかなり違う。ピアノ用に簡略化されたアレンジなのだと思われるが、レコードを聴いてそのコードとノリだけを大雑把に掴もうとするギター弾きとは、まったく別のアプローチをしておられた。

 それでは来週から本当にレッスンです、お願いします。先生によれば、萌がやりたい音楽がポップスでもクラシックでもスタートに変わりはないとのことだが、望みのジブリ音楽にたどり着くためには、それらの音楽が分かるこうした日本人先生につく道が一番合理的で近道なはずだ。

 しかし近道といっても配布された教材を見るとえらい気の長い道のりで、1年で両手を使って曲を弾くところまではいかない様子である。萌はすでにメロディをかなり弾けるので、ドンブリ勘定ギター野郎的センスでは正しい指使いを覚えつついきなり課題曲習得へとジャンプするのだが、規律正しいピアノ世界ではそうはいかないだろうなあ。

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■06/09/21(木) □ スポーツデイ
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 今日は萌は学校でスポーツデイ。雨が上がって助かった。迎えに行きどうだったと聞くと、お父さん、今日は悪いことばかりだったよと、トクトクと説明し始めた。グラウンドで何度も転んで痛かったし、2人3脚って知ってる? あれでボーイズが私の足を強く縛りすぎて、痛くてブルーズ(あざ)ができちゃったのホラ。それにマス(算数)クイズもあって、当たるとプライズがもらえるんだけど、私はどうしても当たらなかったの。あーあ。

 んなことを言いつつも全然悲しそうじゃなくて、なんか充実した小学生ライフでよいなあと思った。

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■06/09/22(金) □ DI来訪
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 NCがはずせない所用でDIを預かる。DIは両親の離婚その他気の毒な事情でお母さんへの依存が強く、今日もお母さんからなかなか離れがたいという様子であった。しかし友達がきて超うれしい萌が早く早く、なにして遊ぶ? とうまい具合に盛り上げてくれて、二人は元気にトレインで遊び始める。よしよし。

 NCが心配したとおり、DIは偏食でライスと野菜以外何も食べてくれん。「とにかく食べられるものを増やしたいので日本のものを勧めてみてくれ」といわれていたのだが、ダシや海草の入ったフリカケとかおにぎりとかは当然だめであった。ライスにしょうゆをかけて食べたのみ。MKやKVが小さいときや今のSFと同じである。まあ仕方がない。とにかく量だけはたくさん食べたのでよし。カナダ人(英国人もそうだった)は大人でもたまにこういう人がいて、普段食べてない東洋の食べ物に対して恐怖心に近いものを抱いている感じがする。

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■06/09/23(土) □ 作曲「China Japan」
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 天気がいいので萌を連れて久々に公園。うまい具合に5歳くらいの子と一緒になり遊ぶ。昨日DIたちと遊んでいるときにも思ったが、萌は学校生活を通じて子供同士のコミュニケーションが非常にこなれており、誰とでもすぐに仲好くなることができる。よかったよかった。

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 夕方萌がキーボードから音を拾って東洋風のメロディを完成し、自分で曲を作ったといって興奮している。たしかにジャパンの「カントン」に似たなかなかいいメロディだ。チャイナか日本の歌みたいだねというと、「China Japan」というタイトルがつけられ、俺が床を踏んでスティーヴ・ジャンセン風のドラムを入れて録音し完成した。

china_japan.mp3

 最初は黒鍵だけを弾いてるとなんか日本っぽくていい感じのメロディになると作り始めたのだが、弾きたいメロディにするには白鍵も必要になるのでそれをちゃんと入れており、キーからはずれた音は排除している。音に長短があるし、自分で拍子を取って間をきちんと取ってるところなど、曲も演奏もしっかりしている。えらい。ピアノの先生に聞かせてあげようといって盛り上がる。

 俺は小学校から歌は好きだったし、中学でギターを始めてからはメトロノームなんかも導入したが完璧なリズム感はついぞ身につかなかったので、独学(字や絵と同じく俺は萌が詰まったらヘルプするくらいしかしていない)でここまでしっかりした音感とリズム感を持っている萌には驚いてしまう。楽器と歌は間違いなくうまくなるだろうと思う。

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■06/09/26(火) □ ピアノレッスン開始
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 ピアノレッスン:ついに本当のレッスンが始まる。萌は先週と同様無茶苦茶照れているが、レッスンの冒頭に例のオリジナル曲「China Japan」を披露してみせた。上がっているので普段よりリズムが走っているが、きちんと弾けた。先生の反応もよくて、すかさず低音部で伴奏をつけてくれる。そういうところはバンド経験者らしい反応のよさ。よしよし楽しいではないかと、隣の部屋から壁に耳をつけてこっそり聞いてました。

 それが終わると指の名前や音の高低といったピアノの基本の説明、知ってる歌を使っての歌唱、ピアノに合わせてメロディをなぞる声楽的ドリルと、盛り沢山な内容だった。のっけからトトロの歌なんかも歌っている。理想的な展開だわ。この先生を紹介してもらってよかった。30分じゃ短い。もっとやらせてやりたいぜ。

 帰ると萌は、作曲をほめられたことが火をつけたらしくて「China Japan」の続き、つまりサビ部分の作曲に着手する。先生が伴奏をつけたのを意識しているのか、左手で和音のようなものを入れたりしていた。途中で行き詰まってやめたが、サビまで完成したらすごいな。子供の独創性には限りがない。すばらしい。

2006/09/18

日記「放浪者の悲哀」

「ついに萌が終日スクールの日々」「萌の英仏力」ほか。
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■06/09/06(水) □ ついに萌が終日スクールの日々
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 ついに萌が週5日フルタイムでスクールの日々がやってきた。初日はなんか、俺が夏休みになったみたいな気分。とりあえず掃除をし、仕事関連であちらこちらに連絡を取る。PCも絶好調だし頑張ろう。

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 午後萌を迎えに行くと、仲のよかった子の多くと離ればなれらしく、あんまり望み通りとはなっていなかった。だがまあ熱心そうなおばあちゃん先生が担任となり(Mの大学院でのクラスメイトだとのこと!)、それがなによりである。

 帰りに校庭でNCに会い、萌とDIのクラスが離れてしまった残念だという話をし、放課後に遊べるよう話をつける。NCは離婚に伴う引っ越しで、夏休み中は大変だったらしい。いい人なのにほんと気の毒。

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■06/09/07(木) □ 精神の波長
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 萌は学校が始まった前後から英語での物言いがぞんざいになってきていて、特に俺に対してきついことをいう。「萌、おもちゃを片付けな」「No, YOU do it!」という感じ。

 それをとがめて、今のは日本語で言えば『いやだ、お前がやれ!』ということだろうと直訳してやり、「日本語ではそんなイジワルな言い方を絶対にしないじゃん。なんで英語だとイジワルになるのよ」とたしなめる。「ごめん。わかってるんだけど、スクールがあるとエキサイトしちゃって、コントロールできなくなっちゃうんだよ」だそうだ。まあ英語キッズ同士のものの言い方が乱暴なのはそういう文化で仕方がないのだが、萌の精神の波長は新しいことの始まりに、ガタガタゆれているようである。

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■06/09/09(土) □ レガシィ・ラン
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 萌は金曜で毎日学校のペースに心身が慣れたらしく、無駄な高揚が収まりちょうどよくなった。よしよし。去年の今頃は終日学校の水曜は放課後疲れ気味だったのだが、今はさすがに体力的にも問題ないようだ。

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 ディナーに呼ばれSH家へ。着くとま新しい BMW 325 ステーションワゴンが。聞けば3年落ちの中古だが、ディーラーに行って試乗もせずに「これください」と買い、今日納車されたのだそうだ。お金がある家はうらやましい。BMW など欲しくはないが(中身は最高なのだろうがスタイルはうちのレガシィのクラシカルさが勝つ)、俺も燃費のいい車を「これください」と買いたいぜ。

 しかし今日は久々にレガシィの走りを楽しめた。最近乗り心地に不満があるのだが(※)、タイヤが堅くなった分、アウトサイドに必要なだけの荷重をベストなタイミングでかけて曲がるといったコントロールが効く。運転手が下手なのでいつでもできるわけではないのだが、うまくいい姿勢を作ってコーナーに入ると、ボディにピーンとテンションがかかって4輪がビシっとつながり均一に路面を掴む、絶妙の気持ちよさがある。この完全バランス状態が作れると速くコーナーを回っても乗員がラクだし、バイクのコーナリングに近い気持ちよさがある。今後の人生レガシィよりも速い(2.5L よりも大きなエンジンの)車に乗るとは思えないので、今はこの味を楽しみたい。

(※)最近はエア圧を上げていないのにゴツゴツと乗り心地も悪いし、Kumho ECSTA HP4 716 タイヤが2シーズン目にしてすでに劣化が始まり、あの絶品の乗り味が失われてるのだとしか考えられない。初期性能はよくても2年弱で素人にわかるくらい経年劣化があるのでは、歴史のない韓国製の弱さとしか言いようがない。もう1つの美点である対雨雪性能だけは落ちないことを祈るぜ。

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 今日はなぜかSTが俺や萌と話をしたがって、自分が興味のあることや学校のことをペラペラペラと話しまくっていた。俺も適当に相槌を打つのだが、ティーンエイジャーというのはたいてい喋り方がモゴモゴして早口であり、何を言ってるのか半分くらいしかわからない。たまに相槌のタイミングがずれたりして呆れられた。すまんすまん。俺にはティーンエイジガールの扱い方なんてまだわからんのだよ。

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■06/09/11(月) □ 単独大買い物行
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 久々に単独大買い物行を挙行したのだが、いろんな探し物が見つからなかった。カナダには雑貨屋がないので、大手スーパーにないものはどこを探せばいいのかすらわからない。きっと都会に行かないと見つからないのだろうなあ。田舎の買い物は難しい。

 とりあえず買えたのは萌と遊ぶ Silly Putty という粘土と車洗い用のホースをつなげるブラシで、このブラシを試してみると5分で汚れがほとんど取れ、とりあえずワックスがけはもう1月先でいいやという感じのクリーンさになってしまった。しゃがまずに洗えるので膝がラクだし、これは典型的なもっと前に買っておけばよかったシリーズの1つである。

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■06/09/13(水) □ 萌の英仏力
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 学校が始まりグレイド1でついに本格フレンチの書き方を開始した萌が、先生に作ってもらった「今日私はALの家に行きます」という宿題の例文を書き読み上げている。俺にはフレンチはちんぷんかんぷんだが、あの喉にひっかかる音がきれいに出ているのだけは分かる。あれは英語のLと同様ネイティブの人にしか出ない音なので、すごいなあと感嘆する。

 また、フレンチで書けない単語は英語で書いてるのだが、もうスペルを俺に聞いたりせずに「Heart」なんていうややこしい単語をすらすらっと、しかも文頭をちゃんと大文字にして書いてるし。日本語力もすごいが、英仏力もうーんと唸るしかなくなってきた。

 しかし毎日萌は弁当を残しており、聞けば先生に「早く食べ終えて遊びなさい」と急かされるのだそうだ。急かすなよ、体に悪いではないか。プリントにも「15分で食べ終え残りの休み時間を遊びに使う」と明記されており、萌は元々食べるのが遅いので間に合わないのだ。だいたい俺は毎晩手間隙かけて、15分で食べ終わるような弁当など作ってるわけじゃないのである。子供が15分で確実に食い終わるものなんて、ピーナツバターサンドイッチとかの軽食しかないだろう。よそのお母さんはそうしているのかなあ。どういうことなのか先生に聞かねばならぬ。

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■06/09/14(木) □ 日本語学校2年生
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 昨日の夜から雨になり、寒い。ついに電気ストーブを導入し小仕事。

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 午後、日本語学校2年生クラスが始まる。萌のクラスの先生は前に見たことのない女の方であった。KTとYJがいて、萌は興奮しすぎている。別室で Pocket PC で仕事をしながらときおり窓から覗くと、教室の前に出て一人ずつ朗読かなにかをしているようで、なかなか盛り上がっている。よしよし。

 HNも久しぶりに会ったが、意外に問題なくキンダーに行ってるのだそうだ。プリスクールのときは泣いて泣いて大変だったのに、成長しているのであろう。えらい。

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■06/09/17(日) □ 放浪者の悲哀
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 俺の週末の風邪は本格化せず過ぎたのだが、萌が風邪をひいた。夏の始め以来2ヶ月以上ぶり。やっぱり夏の間は風邪をひかないが、寒くなるとてきめんだ。たいしたことはない鼻風邪だが、一日静かに過ごす。最近萌は絵をあまり描かないが、クラフト力が上がっており、まったくの単独で美しいものを作ったりしている。



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 父さん母さんが今日金婚式だというので、久々に電話して、いろいろと近況を聞いた。カナダサカタ家は超平穏無事というか変化がない日々だが、日本の親戚にはいろいろとあるらしい。うーん。うちの親戚はドラマチックだからなあ。

 母さんは、2階に積まれた俺の荷物を整理したいという。とにかく次に帰るとき俺がいらないものを大々的に捨てるから待ってくださいと懇願する。子供の頃から母さんの手にかかると、大事な雑誌などが捨てられて泣いたものなのだ。

 しかし「あたしらが死んだら置いておけないよ」という話になって、そうすねえショボンという感じ。あそこが俺の「実家」なわけで、それがいずれなくなると思うと、心寒い。衣類家財はもうあきらめるとして、本や楽器やテープやレコードやキャンプ道具、日本に残したままのそれら愛したものたちを、将来どうしていいのか実際分からない。これは放浪者の悲哀である。

2006/09/04

日記「PNE乗りまくり」

「Athlon 2000+ マシンに移行」「PoCo 市サマーミュージック連敗続き」「ウォーターパークで歌とハーモニカ」ほか。
 
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■06/08/17(木) □ なんとXPがクラッシュ
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 朝起きるとXPが夜中の Windows Update に失敗しており、なんとシステムがクラッシュしていた。起動不能。こんなことがあるのか。

 とりあえずMのマシンでメールをチェックし仕事がきてないのでほっとしたが、今日は何年かぶりの修復の一日となる。

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 ほかにいろいろ家事があったりディスクが見つからなかったりで夕方まで時間がかかったのだが、結局インストールディスクから修復コンソールに出て CHKDSK をするだけで Windows が正常に起動してしまった。なんだったんだホントに(泣)。

 なにはともあれこうしたときにもっとラクに修復できるよう、レスキューCDを速攻で開始する。Win ドライブそのもののコピーを作るのは相当に難しく時間もかかるゆえこれまで3年放置してあったのだが(XP自体が頑丈なのでこれまで必要もなかったし)、XPディスクよりも手軽に起動できる復旧用CDを作るという PE Builder が推奨されていたのでトライ。

 するとほんとにCDからブートした。これは自分の環境を保存するのではなく臨時の簡易XPを新規に立ち上げるというもので、日本語も使えるしネットもつながる。CDだから起動や動作は遅いが、今後はどんなトラブルが起きてもこの状態をまず立ち上げ、自分のファイルやプログラムを使いネットで情報を調べつつじっくりと修復を行えるのだから、これは実にありがたい。よし。

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■06/08/19(土) □ Athlon 2000+ マシンに移行
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 MKがSHのオフィスから不要となった古PCをもらってきて、これが 1.6Ghz だというので俺がもらうことにした。今週はなぜか偶然PCいじりウィークとなってしまった。1600/1242=1.28 倍なので大幅な向上ではないが、無料なのだからありがたい。

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 XPインストール自体はすぐに終わったのだが、予想以上に元の環境に復帰するのは大変そうだ。各種ドライバはまあ仕方がないとして、重ね書きインストールなのになぜかレジストリの設定が消えているのが散見される。やれやれ、週末でよかった。スピードは Athlon XP 2000+ (1.675 Ghz)。やはりパワーは間違いなくある。ベンチを走らせると計算能力は 1.65 倍見当となっていた。クロック差以上の力が出ている。やっぱり世代の新しいチップはいいわねえ。

 夜になって完成。いままでカクカクしていたビデオがらくらくと見れる。ありがたやと今まで見てなかった寅さん Mpeg 映画を見て涙した。こういうチップがオールインワンのマザーは性能的には低いはずなのだが、やはり製造年度が10年も違うと比較にならない。ビデオもオーディオも USB 2.0 も全部オンボードになって、ケース内に挿すカードはゼロなのである。ガラガラですっきりしてよい。もし新しいマザーを買うことがあったら、絶対こういうのにすることだろう。

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 俺の旧 1.2Ghz は当然Mマシンとなる。Mはこれまで俺の日本/バーナビー時代のパーツで組んだPCを Win 95 で使っていたので、パーツは8~10年も働いたことになる。最後まできっちり役立ち音を上げずえらい奴らであった。Win 95 もこれがおそらく最後の生き残りだったろうなあ。

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■06/08/20(日) □ PoCo 市サマーミュージック連敗続き
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 PCいじりでたまっていた掃除を終わらせ、残り時間萌と公園にまた音楽でも聴きに行こうかという感じ。今日は「ブラジリアンミュージック」ということで、おそらくボサノバだろう。しかし友達と一緒じゃなきゃつまんない、音楽がまた boring(退屈)なんじゃないのと萌は言う。

 そりゃそうなんだが、今日はほかに案もないからさと無理やり連れ出すと、おじいさん6人組のギターとマンドリンとボンゴのセットだった。ヨイヨイなのか単に下手なのか、メインギターのじいさんがチューニングがボロボロに狂ったギターでペンペンと拙くメロディを弾く。下手だがまあこないだみたいに上手くてつまらんよりはいいかと思うも、萌はやはり2曲で飽きた。歌が入らないと確かに飽きるよなあ。なんでこの PoCo 市芸人はみんなインストルメンタルなんだろう。喋りを聞けば明らかにブラジル移民なのだから、ポルトガル語でほいのほいのさ~と歌えば楽しいのに。歌は下手でも楽しいが、楽器は相当うまくても見所がない。

 仕方がなくプレイグラウンドで遊び始めたのだが、ラッキーなことにフレンドリーな兄妹が現れて萌とずっと遊んでくれた。時間が来てさて帰ろうかというとその父親が、「君たちG通りに住んでるだろう」というので驚く。へ? なぜそれを。「うちもG通りなんだよ。君のことを見たことあるよ。君の家から8軒くらい隣の家かな」というのであった。するともしかしたらこの子らと萌は、いつか一緒に遊べる友達になれるかもねとときめくのであった。

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■06/08/21(月) □ 水泳とサッカーでお疲れ様
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 今日は萌の水泳とサッカーが両方ある日。子供にはちとハードかもしれん。午後のサッカーは暑く、そして明らかに現役のサッカー選手によるえらい技術志向な内容で、去年みたいにスポーツ好きなお母さんが盛り上げながらサッカーで遊んでくれるキッズサッカーとは全然違う。今年も一緒のKT少年はいつも通りに一心不乱にやっていたが、萌は終始シラケ気味であった。前の週から連続して取っている大きな子が多くてレベルにも大きな差があり、そのうちの1人が萌の脚を蹴ってボールを奪ったとかで、萌はよりいっそうやる気をなくしていた。まあ仕方がない。

 6歳になってからはどの習い事もこのように、ファンタイムが激減してしまったなあ。学校もそうだが、5歳と6歳クラスの間にはえらい隔絶がある。子供らは変わってないのに、どうしてこう大違いにするのだろうとカナダの学童観への違和感を感じる。

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夜MKの親友LOが、こないだ買ったというスズキのVツイン650というモーターサイクルを見せに来た。おー今はスズキもVツインなんて作ってるのかい。しかしフィンがない自動車みたいなエンジンに仮面ライダーのサイクロンみたいなカウル類がついており、なんというかあまり面白そうなバイクではない。音も聞かせてもらったが、昔のSRXシングルとあまり変わらない、ドローンとしたエンジンらしい。

 しかしこれを眺めていても、全然乗りたい気持ちがわいてこないなあと考えていた。俺にとってバイクは、絶滅した2ストロークエンジンのカナキリ声とともに完結してしまったことなんだなと思う。こうした4ストロークマシンにどれだけ馬力があろうと、2ストロークエンジンがパワーバンドに入る瞬間のめくるめく思いは味わえないだろう。レスポールでテレキャスの音は出ないように。

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■06/08/22(火) □ 親切なアシスタントコーチ
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 サッカー2日目:今日はスイミングがないうえに気温が低く、体力万全で萌の気分が乗っており、さらにアシスタントコーチの女の子が付きっ切りで小さな子にコーチしてくれて、非常にいい感じでレッスンを受けられた。正しいインステップキックの蹴り方レッスンだったのだが、萌はきちんと踏み込みバックスイングを取ってばしっと蹴れるようになり、きれいにキックするたびに俺のほうを見てニカっと笑う。スポーツの楽しみを味わっている。よしよし。

 しかしメインの男性コーチは華麗にリフティングを見せる凄腕プレイヤーだ。きっと市内じゃ名のある選手なのだろうが、両足でボールをドリブルして外足でボールを横に出しつつうまくターンし(DFの足が届かないところにボールを寄せる動き)、インステップでパスを出すなんていう高度なドリルを子供にやらせている。どう考えてもこのレベルの子供たちにはレベルが高すぎ、これはクラブで真剣に上達を目指す子供らにするような指導なのだろうと思う。彼はほんとはこんなキッズサッカーはやりたくないんだろうな。まあアシスタントコーチが今日のように、初心者の手引きをしてくれればよし。

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■06/08/23(水) □ プールで火災警報
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 スイミングレッスンの最終日、達成度チェックをしたあと滑り台で遊ぶというのが恒例のパターンなのだが、チェックの最中にファイアアラームが鳴り響いた。全員建物内から退去となる。どうせカナダでよくある誤警報なのだろうが、チェックが終わるまでは中に戻ることはできない。今日は曇りで気温が低い。俺はタオルと着替えを持っていたので萌をカバーして待ったのだが、半分くらいの子供らはタオルなしに気温18度の中立ち尽くすという気の毒なことになってしまった。まあカナダの子供はそれでも平気なのだが。

 職員は異常を発見できなかったのだが15分ほどして消防車が到着し、そこでレッスンの時間はオーバー。仕方がないのでそのまま帰宅、萌に熱いシャワーをゆっくりと浴びさせた。やれやれ。まあこれは天災みたいなもので仕方なし。

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 サッカーの方も今日はえらい退屈な内容で、ドリブルでコーンを回る練習を2人ずつ延々と30分以上やらされ、個々の子の待ち時間がえらい長くなってしまう。アシスタントコーチも昨日の熱意と親切さはどこへやら消えてしまった。

 後半試合になればボールに触れるのは体が大きくフィジカルコンタクトを恐れない3~4人だけなので、60分でいったい萌たち初心者は何度ボールを蹴れただろうという空しいレッスンであった。昨日とは大違いである。なんだこりゃ。

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■06/08/24(木) □ 萌の怪我4針縫合
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 7時すぎにやっと帰宅。サッカーの帰りに石ころだらけの駐車場で、萌が転んで額に怪我をしてしまったのである。落ちていたボールを習ったばかりの正確なインステップキックで蹴ろうとして脚を振り上げたとたん、軸足がずばっと滑って前のめりに転んでしまったのだ。たいした転び方には見えなかったのだがなんとも悪いことに額が地面についてしまい、右眉のすぐ上がスッパリと1cm切れてしまった。


 傷はかなり深くて縫ってもらう必要があり、病院へ。ER(緊急病棟)はいつものことだがひたすら待つ。急患や見るからに苦しそうな病人がどんどんと運ばれてくるので、怪我はしていても血も止まり元気にしている萌は次々に後回しになる。これはどうしようもなく、ただ待つ待つ待つ。

 結局2時間少々待ってやっと診察室に入り麻酔クリームを塗ってもらい、そこからさらに45分ほども待って縫ってもらえたのであった。痛みに完全に慣れてしまった萌が終始明るくしており、縫っている最中もドクターと話ができるくらいしっかりしていてくれたのが救いであった。4針も縫う怪我であったのだが、えらい。夜麻酔が切れた頃に痛まねばいいが。

 はあ、疲れた。萌は注意深く怪我の少ない子だが、今日のは完全に不可抗力だったし、どれだけ注意してもこれからも怪我はあるのだろう。サッカーなどをしているのも身のこなしの良化を助け怪我を防ぐことに役立つわけで、気をつけつつ暮らしていくしかありません。

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 ちなみに今日のサッカーレッスンは、昨日よりさらに内容が悪くなってしまった。体の大きさも技術レベルも、さらには気の強さもまるで違う集団に、1対1のボール奪取練習なんかやらせてもうまくいくわけがないではないか。昨日のドリブル練習もそうだが、コーチは子供らに何をさせるか思いつかず、クラブサッカーと同じメニューをただやらせているのである。萌やKTはサッカーにおいて相手からボールを奪ってもいいのだということ自体わかっておらず、ボールを持つたびに蹴り飛ばされ、なんてひどいことをするのだという顔でショックを受け唖然としていた。

 途中で萌は興味を失い花を摘んで遊んでいたのだが(レッスン内容が馬鹿ばかしいのでそれでよかった)、KTはアグレッシブで手加減できない子に競り合いで服を掴まれ倒されボールを奪われて、最後は泣いてしまう。今日はMも初めて見に来たのだがなんだこれは単なるシゴキではないかと憤り、こんなものはやめてしまえというのだった。たしかになあ。子供らの熱意は日々変わっているわけではないのに、コーチたちの指導力は加速度的に下がっている。明日は萌の傷が痛むかもしれんし、もうどうでもいいわ。

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■06/08/25(金) □ サッカー最終日
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 萌の傷は全然痛まないそうで、行きたいというので元気にサッカー最終日に向かう。子供の体は不思議だ。あれだけの傷を頭部に負えば、俺だったら今日なんかうんうんうなってるだろうと思う。

最終日の今日は、コーチがもう教えることを完全に投げ出してすぐに試合にしてしまった。KTは「絶対に泣かない」とお父さんと誓ったとかで最後までボールを追って頑張っていたが、萌はただただボールを追うだけの「試合」に飽きて俺のところに来、別グループでやろうと言う。OKといってしばらく一緒にボールを蹴る。こうして遊びにしてやると、萌は楽しげに俺からボールを奪ったりもするのだった。

 こうしてファン組とアグレッシブ組との2つに分けてやるとか、コーチが試合に入って下手な子をアシストするとか、いくらでもやりようがあるのにどうしてトライしないのだろう。それがバイトユースの熱意の限界なのだろうなあ。彼は根っからレイジーだった体操のナマケモノ先生と違って引け目は感じるらしく、ボールに触れない萌たちに時折PKを蹴らせてゴールだすごいぞなんてはやし立てていたが、子供たちもバカではないのでそんなことで喜んだりはせず、全員シラケて無反応なのであった。やれやれ、このサッカーは失敗でありました。

 帰り道、KTは最後まで頑張ったねと声をかけると、「そうさ、俺はもう絶対泣かないって決めたんだフンフンっ!」と、少年はえらい鼻息であった(笑)。

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■06/08/26(土) □ 晩夏のブラスミュージック
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 萌とBRおばあちゃんを図書館に置いて、俺は買い物を済ませてから合流して、この夏最後のシティホールミュージックを聴きに行った。今の夏のコンサートはみんなはずれだったが(踊れるような音楽が皆無だった)、今日のは静かめなブラスのクオルテットで、BRら集まったお年寄りにとってはちょうどなつかしい年代のミュージックだったそうで、晩夏の涼風に合いなかなか快適であった。

 萌の傷は初めて絆創膏を取ったのだが、すでに治癒し始めている。子供の体はすごいなあ。病院で縫う前からMが「スティッチ(縫い目)がついたらみんなに自慢できるわよー」と萌をはやし立てていて、何を言ってるんだこいつは思っていたのだが、萌はそれが効いたのかほんとに鏡で傷を見てうふふと喜んでいる。これがカナダ式精神ケアなのらしい。

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■06/08/27(日) □ PNE行きを楽しみに
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日曜日、萌は自分でDVDをかけたりして静かに過ごしている。明日PNE(遊園地)行きと決まったので、それを楽しみに心静かにいられるらしい。

 工作をしたいというので、久々に一緒にクレイ人形を作った。最近再び家庭内でブームを巻き起こしているムスカ! かなり上手にできたのだが、しかし萌はこのムスカをえらい気に入ったとかで、かわいいかわいいと大切にして、ベッドに寝かせ布団などかけて世話を焼いている。あれれ。




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■06/08/28(月) □ PNE乗りまくり
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 萌が1歳のときから毎年来ているPNE。今年はもう萌がライドにたくさん乗りたいであろうと、乗り放題チケットを買った(最低額のチケットと5ドルくらいしか違わない)。それで萌は回転ブランコ、モーターサイクル、メリーゴーラウンド、縄梯子タワー、ボート、超大型滑り台、トリックハウス、ゴーカート、迷路、象ゴーラウンド、ヘリコプターと、計15回もライドに乗る。去年までは迷路などの見るからにつまらんのはパスしていたのだが、フリーパスがあればもったいなくないのでなんでも乗れ、気に入れば何度でも乗れるわけで、これで正解だった。



 毛布に乗って滑る超大型滑り台が一番楽しかったとのこと。1度目は見ていて怖かったが(上の係員が全然手助けしておらず、毛布からお尻が半分出たまま滑ってしまい、バランスを崩しそうになり顔面がこわばっていた)、2度目はウイーッと声を上げて滑っていた。




 着いて早々のライド乗りまくりで興奮しすぎたせいか、昼飯後しばらく綿あめを買ってくれといって萌がワイニーになり、ベソをかき言うことを聞かなくなり、みなげんなりする。が、ダンスを見たりマーケットをのんびり見て回ったり車にいたずらペイントをしたりといったPNEらしい午後を楽しんでいるうちに機嫌は直り、マジックショーを見て晩飯を食べホースショーに喝采し、最後にもう一度ライドに乗って終了。暗くなり肌寒い中PNEを後にした。お疲れ様でした。PNEはお金がかかるが、やはり欠くべからざる夏の風物詩なり。

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■06/09/01(金) □「フォークの達人」
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 夜、NHK国際で「フォークの達人」という番組があり、なんと遠藤賢司を1時間半もやった。こんなに趣味的な濃い音楽番組を1時間半もやってくれるとは、NHKえらい。カナダにいて鈴木茂のギターが聞けるとは、耳福である。遠藤賢司が好きか嫌いかはともかく(「ワッショイ」と「不滅の男」しか知らない)、非常に面白い番組だった。

 しかしこないだ陽水の特番で同世代のフォーク歌手たちを見たときにもつくづく思ったが、あの頃のミュージシャンはどえらい変人が多い。いまどきの日本のミュージシャンは―――Jポップなんかはまあ音も言葉も凡としかいいようがないがロックミュージシャンでさえも―――、こんなにゴツゴツと変な音を出し、本人にしかわからない心持ちを長々と歌っている人はいないのではないだろうか。

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■06/09/03(日) □ ウォーターパークで歌とハーモニカ
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 向かいのRB一家と午後ウォーターパークへ行く。RBはピュアでシャイなスマイルを持ったいい子なのだが、両親の離婚でバンクーバー住まいになってしまい、父親と過ごす週末しか PoCo に帰ってこないのが非常に残念だ。

 父親RKにいわれてギターを持っていき、子供らを見ながらビートルズセッションをする。彼はがっしりした体躯と低い声に見合った肺活量によってハーモニカがうまいのである。そしてすごいビートルズ好きらしく、リクエストする歌う曲も「レイン」とか「You Gotta Hide Your Love Away」とか、えらいシブイ。

 「レイン」は歌もハモりもバリっと決まり衆目を浴びる。ビートルズネタ切れした後半はサイモン&ガーファンクルをやってくれ、ビリージョエルをやってくれと、まるで俺はカラオケギター屋さんとなってしまったが(「ピアノマン」なんて、流行った25年前にラジオで聞いたことあるという程度でしかないのにそれなりに伴奏できてしまった)、楽しかった。ギターの弦を換えてやらんと。完全に死んでいて張りがゼロです。