2009/07/26

日記「崖の上のポニョ」

「河童のクゥと夏休み」「水温26度でイモリぐったり」「アクアテラリウムという盆栽趣味」ほか。

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■09/07/16(木) □「崖の上のポニョ」
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先日送っていただいたDVD『崖の上のポニョ』を見終わった。宮崎監督は「もののけ姫」以降「千と千尋」「ハウル」と、話が進むにつれ謎というかツジツマの合わない部分が増大し答えなく終わる映画を毎回作っており、『いつも後半はワケわかんないけど全体としてすごく好き』というのが俺たちファンの気持ちなわけだが、今回もまことにそうでした。

この映画は後半だけでなく冒頭からリアリティがないことを強く感じる。宗助がポニョをビンから力任せに引っ張り出そうとしたり、ガラス瓶をその場で割ったり、魚を水道水のバケツに入れたり、お母さんもパンを食べながら子供を乗せた車でカッ飛ばすなど、「それをやっちゃ駄目だろ」という突っ込みどころが延々と続く。

宮崎監督が独裁者的ポジションにあり誰もこういう矛盾点を諌められないのかなと最初は思っていたのだが、洪水シーンあたりからはこれは確信的にツジツマを無視してるんだろうなと気にならなくなってきた。危険を侵し通行止めを突破して高潮の中かっ飛ばし、洪水になり町が水に沈んでも平静で、知らない女の子が水の中から現れても身元も聞かず受け入れるお母さん。すべてが失われても朗らかで明るい町の人々。なぜか眠くなってしまうポニョ。水中で息をしているおばあさんたち。説明のつかないシーンが延々と続くのだが、もう「ポニョは疲れると魔法が解けて魚に戻っちゃうんだろうね」といった解釈は萌のために軽くするだけでとにかく映像を楽しんでいると、物語は唐突に終わった。

「宮崎監督が何を伝えたいのか」的な解釈をしようとすると今回も???となってしまうわけだが、これはあの荒れ狂う壮絶な海、水に沈んだ静かで豊かな世界という2つの圧倒的なイメージを描いて、それをさまざまにラブリイなディテールでつないでいったイメージ映像集なのだろう。あの波は北斎だよねと萌に言うと、萌は「あー!」と感動していた。水に沈んだ嵐の後の世界は「パンダコパンダ」の洪水世界の完全版だ(あのゆるゆる泳ぐ古代魚たちはイモリとあまりにも似ている・笑)。その両方に、俺の心はふるふると震え気持ちいい。萌は俺が寝てる間にもう一度最初から全部見直すほど楽しんでいた。

もう「ナウシカ」みたいな整合性の高い圧倒的な「物語」は実際、宮崎監督には頭脳体力的に書けないのかもしれない。そういう体力は俺も、自分でこうして日記を書いていて落ちているのを感じる。しかし宮崎アニメを見る喜びは、彼の唯一無二のイマジネーションを、ヒトの目で鑑賞できる形にしていただけるところにあるんだよな。それは今回も存分に満たされたのである。宮崎監督の大御所アンタッチャブル性と「もののけ姫」以降の作家的独善性を晩年の黒澤明っぽいという話があるが、この映画は黒澤の「夢」に似ている。物語は破綻しているが、美しく心に残る。メルは「もののけ姫」と「千と千尋」を見た後ストーリーの矛盾点(つまり破綻)に強くフラストレートしてたので「ハウル」はもう見せてないのだが、この映画ならどうかな。

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■09/07/17(金) □ お腹プリプリのイモリたち
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友達のバースデイパーティへ行く萌をドロップオフし、久しぶりに1人の用足し日。イモリ水槽の換水とレイアウト変更をする。こないだ日本製ハンドポンプ$4が手に入り、そのおかげで換水自体の時間は中国製ポンプ使用時の 1/5 になった。日本工業製品サイコー。というか中国/カナダ製造業はこんな単純なものさえまともに作れないのだから呆れる。

イモリたちがうちに来て10日。移動のためノボリをつまんでみたら、当初からよく食べているのでもう食べすぎでお腹プリプリだった。捕まえるのに苦労するくらいの迅速さも出てきている。これがイモリ本来のパワーなのか。前とは別種の生き物のようだ。ノボリのこの体の切れを見ていると、ペットショップではみなあまり食べてなかったのだろうなと思う。

ジムシーもドライフードを細かく砕いてやればちゃんと食べており、栄養は完璧に足りている。彼女(だと思う)はあまりシェルターの外で活動してくれないのだが、ノボリも1週間食べ続けてやっと力が出てきたわけで、ジムシーももう少ししたらもうちと活発になってくれるかもしれない。依然拒食が続くパスタはガリガリで哀れなのだが、何を食べさせようとしても顔を背けてしまう。どうしたものか....。

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萌は疲れ果てグッタリとなって帰宅。強力60のサンスクリーンはよく肌を守ってくれたが、真夏の遊園地の暑熱は対処しようもないからな。お疲れ様でした。

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■09/07/18(土) □ ゴールドカップ・ホンジュラス戦
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朝ノボリが水槽越しに俺を見つけ、エサをくれという瞳でこっちをじっと見る。かわいい。―――あ、いや、これはジムシーじゃないか。どっちも太ったのでほとんど見分けがつかぬ (^-^;。ともあれジムシーが水底で長時間遊んでいるのは久しぶりだ。ノボリに続いて彼も探検するだけの体力がついてきたらしい。よかった。

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【ゴールドカップ・ホンジュラス戦】前半は互角。暑そうで双方動きが鈍いが、今のカナダは運動量だけだった昔と違い中盤のキープ力で勝負できるチームに変貌しているので、この展開で特に問題はない。今日は前の試合まででよかったピーターズがおらず、スペイン・デポルティーボ(一流!)に所属するグズマンというMFが下がり目のプレイメーカーとなっている。こいつがうまいがなんとも古典的なラテンのリズムでゆるゆるとボールを愛でるタイプで、それもゲームのスローさを生んでいる。

わ、誤審でPK。オーバーヘッドをやろうとジャンプした相手FWから(ファウルを取られないために)腕を引きさっと上げたスタルテリが、その腕でシュートに触ったという主審の判定。スタルテリ激怒。スローで見てもボールに触ってるか不明だし、もし触っていたとしても腕を上げた理由がシュートと関係ないのは明白ではないか。ホンジュラス選手だってPKなど主張してないし、勝負に水を差すだけで何の意味もない。ここまで格上のホンジュラス相手に自信を持ってゲームをコントロールしていたのだが、これで流れが相手に行ってしまい悪いプレイが続出する。まだまだ時間は十分にある、落ち着け。前半終了。PK以外はカナダのゲームである。早い時間に追いつきたい。

後半も6-4でカナダが攻め、ホンジュラスがカウンターを狙う。高いポゼッションからグズマンが散らしフィニッシュを狙うという、やってることに間違いはなく押してはいるが、決定機に欠ける。グズマンがあと1タイミング早く前に出してくれたらもっと崩せると思うのだが。ピーターズはベンチで準備できていると解説がいう。だったらなんで彼を出してないんだ、グズマンはうまいがホンジュラス選手が守りを固めるPKエリアに突っ込んでいき仕事をできるタイプではないのだから(デポルでもDMFとのこと)、併用すればいいではないか。

あと20分、ようやくピーターズが入る。しかし3トップの右に入ったようで、前の試合ほどボールに触れずリズムを作れない。最後はひたすら放り込み、DFもGKも皆上がって放り込み、ヘッドが枠をヒットするところまで追い込んだものの時間切れ。はーあ。このチームはこれまでとは違うと期待したのだが、運がないところ、格下扱いで簡単にPKを取られるところは昔から変わらない。そしてそこは自力ではコントロールできないからなあ。日本だってそうである。悔しい。

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■09/07/19(日) □「河童のクゥと夏休み」
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ノボリに加えジムシーも体力がつき活動的になってきて、水槽を見ててとても楽しい。イモリというのは個性豊かで、当初から元気で最も食べまくるノボリは人に対しては意外に臆病で、人影が見えるとびくっと体をすくませる。こないだまでシェルターにずっと引っ込んでいたジムシーが、意外や人をまるで怖がらない。上から覗き込むと顔を上げて「なーにー」といった感じでこちらを見上げ、ときに立ち上がることすらあるのが実にかわいい。

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久々にKT・HN来訪。KTは手の上にイモリを取り水中にぼとっと落としまた捕まえヘヘと喜び、それで興味を失う。やっぱイモリは子供にアピールするペットではないようである (^-^;。ジムシーたちが活動しているときに呼んで見せてやれば萌のようにかわいさがわかると思うが、まあ哺乳類のような愛玩性や虫のような造形的かっこよさはないよな。ノボリとジムシーは強いストレスを感じたようで、久々に穴にもぐりこんでしまった。

夜、『河童のクゥと夏休み』を萌と見る。人間のバカさと生き物のやさしさが伝わるいい映画でした。河童を追いかけマスコミが殺到し、人々が携帯電話のカメラを向けまくるシーンで、萌は「こっ、このバカ!」と泣きながら小さく叫んだ。その声に俺は感動してしまった

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■09/07/21(火) □ 水温26度でイモリぐったり
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今日は気温が高く室内で29度、水温も26度ほどになり全員ぐったりしている。ノボリとジムシーはまあ大丈夫だとは思うが、拒食で弱っているパスタが心配である。

シナイモリはアカハライモリよりも低水温を好むという説もあり、やっぱ水温を下げる方法をまじめに考えないとまずいのかもしれない。人間も28度だと耐えられるが29度はぐあーという感じなので、イモリたちと人間はだいたい体感温度が同じであるようだ。

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■09/07/22(水) □ 水槽ファンを製作
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朝、水温は22度まで下がっているのにイモリたちの元気が戻っていない。昨日程度の暑さで翌日までダメージが残るとはショックである。水温30度にも耐えるというアカハライモリに比べ、シナイモリは相当暑さに弱いようだ。うーん。シナイモリのほうが見た目はかわいいのだが。

今日も昨日同様の暑さだろう。一応ボトル氷は用意してあるがそれはいかにも一時的なものだし、水槽用ファンというものを買ってきてもいいが水位が低いイモリ水槽で効果があるものか....。

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あ、「水槽冷却用ファン」というのは実はPCファンと同一のモノだと判明。うちにはごろごろあるのでやってみよう。

ジャンクPCの電源からファンを取り出し規定の12Vアダプタを探してつなぎ、しばらく回してみる。20分ほどで水温が1度下がった。しかも気化熱で涼風が吹き出てくる。調べてみると室温27度で水槽内気温が24度まで下げられる。この涼風はイモリたちにも心地いいだろう。

しかし12Vではあまりに烈風で、これじゃイモリたちの生活にとって大きなストレスになるのは間違いないので、6Vのアダプタを見つけつなぎ直してみる。これがうまい具合に風量半分とはいかず 1/5 くらいになってしまった。そよ風が吹いているという程度で、これじゃ効果がないかなと試してみると水槽内の気温は意外や烈風と変わらないくらい下がる。今室温が28度ほどだが水温は22度。水温が室温と6度差というのはすばらしく(ファンなしでは2~3度差)、ノボリは快調に水中活動している。これはどうやら水槽内の空気が動いてさえいれば、風量はなくとも気化は促進されるものらしい。ノイズはゼロで消費電力はわずか7W、これで夏は乗り切れる。よかった。

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尻尾で浮いてます
今日は一日水温22にキープできたので、ジムシーも晩飯後元気に水中活動開始。ジムシーはノボリよりも体力がないので調子がよくないと水にあまり入らないが、いったん水に入ると人を怖がらない....というか明らかにこちらにアピールするためにガラス際でいろいろ芸をしてくれ、実に楽しい。水中草の茎から葉っぱへと手足を使い器用に移動し、ときには水中をぴゅーとぶざまに墜落する(イモリはかなり比重が重いようだ)。俺が見てるのに気づくと後ろ足で立ち石に片手をつきじっとこちらを見つめたり、尻尾だけで体を支え長時間浮揚してみたり。いつもエサの後にこうなるのでもっとくれというアピールなのかと思うが、見ていれば延々と楽しませてくれるのである。

こういう風に活動しているイモリを見ていると魚では味わえない楽しみがある。手足の自由が効いて尻尾まであるというのが見てて楽しいところだよなー。俺たちが当初ほしかったカメは水中でこんな活動なんてしてくれないだろう。「カメは甲羅があるからこんな風に(手足を自在に使い狭い水中をフレキシブルに)は動けないはずだ」と一緒にジムシーの動きを楽しんでる萌に話すと、「ニュート買ってよかったねえ!」と強く同意してくれた。ほんとだよ。イモリがこれほど楽しいペットだとは、飼ってみるまでは知らなかった。

まあそれはジムシーのように活動的な個体が手に入ればという但し書きはつくけれども。ノボリはあれだけ食いながら人には慣れてくれず、こうした芸はさほどしてくれないのが期待はずれだし、拒食のパスタみたいのが3匹だったらまったく気が重いだけだったろうがね。

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■09/07/23(木) □ 強制給餌を開始
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朝の様子見で拒食のパスタがもう石から足を降ろすにもよろけるほどになっているので、意を決してついに強制給餌にトライする。濡れたペーパータオルで体をくるみ、薄くやわらかいレトルトのパッケージでそっと口を割らせ、水に溶いたドライフード2粒分をきっちり口に押し込んだ。これを嚥下するのを確かめ、もう半粒。これでおよそ3粒分の栄養が入った。これくらいならば毎日やれる。給餌自体によるダメージが見られなければ朝晩やれる。頑張ろう。自分で食えるところまで回復してくれ、頼みます。ほんとに、生きてほしいのだよ。

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■09/07/24(金) □ アクアテラリウムという盆栽趣味
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今日も朝早く目が覚める。イモリが来て2週間以上だが、俺は飽きるどころかどんどんはまっていってる感じ。萌も起き出して2人で水槽を除くと、エサ場の向こうで寝てたらしいジムシーがぐっと首を突き出しこっちを見、ばばーっとフロントに走ってくる。かわいいなあお前。強制給餌を開始したパスタの調子も悪くなさそう。下に平たい石を置いて居住性を上げたシェルターで快適そうにしている。


初期レイアウト。 右奥に石とヤシ
ガラのシェルターを置いた浅瀬、手
前と左が深いところ。 中央にエサ
皿を置くも、自力では入ってくれま
せん。最大水深7cmほど。

4ヵ月後、定番となった水槽レイア
ウト。中央に植木鉢を置いて水深2cm
のイモリ浅瀬と15cmのアカヒレエリ
アを分割。エサ皿は浅いヨーグルト
カップ (砂利が多すぎると水が循環
しにくいため、浅瀬下には空き瓶を
埋め込んでカサを上げてます)。
アクアテラリウム作りというのは盆栽に似ていて、細部に凝るとキリがない。凝るといっても美よりは居住性、移動のしやすさ、隠れやすさといったイモリにとっての快適さと、こちらからの見やすさ(隠れさせてはやりたいが完全に見えないとつまらない)、エサの与えやすさ、安全性、水の循環清掃性といった実用面の折衷最適化を延々とやってるわけなのだ。特に今はパスタが弱っているので、彼が常駐するシェルターの快適さには気を使う。彼が自力で体温調整できるよう、小さなヤシガラ内に濡れたところと乾いたところを作ってやりたいのだがなかなか難しい。住んでいるイモリたちにしてみればなによりも放っておいてほしいのだとはわかっているが、アイデアが浮かぶたびに改善したくなってしまうのです。

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夜、今日初めてのパスタ強制給餌。持った感じの体の張りが昨日とは違う。包まれたペーパータオルから逃れようとする力も戻っている。強制給餌が完全に効いた。パスタ自身もさすがにこの苦行に慣れたのか今日は1口目はほとんど即座に口を開けてくれた。2口目には苦しんだが、全3粒分きっちりと食べた。非常にいい感じなので水槽に戻すときに久々に水に入れてみると、しゅぱしゅぱーっと元気に泳ぐ。こうして強制給餌を続けていけば体力は戻る。そのうちに味にも慣れ自力で食べてくれることを祈ろう。

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