2010/12/29

日記「叱られクリスマスコンサート」

「LD家カルカソンヌ大盛り上がり」「クリスマス欝」「『原始の営み』感想」ほか。

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■10/12/14(火) □ クリスマスプレゼントいろいろ
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 クリスマスプレゼントで小型掃除機を買ってもらった。絨毯をやるときは今あるビルトイン(壁埋込み式)掃除機を使うのにやぶさかではないが、長大ホースの出し入れと扱いが大変で、もっと小回りの効く普通の掃除機が長年ほしかったのである。

 アメリカ・カナダの工業製品はなんでもそうだが、思いつきはいいがアプリケーションが悪い。ビルトイン掃除機なんてのも排気を屋外に出すというアイデアは素晴らしく文句ないが、ホースがあれほど長いと実に使いづらいし、そしてあれだけ長くても家の中にはホースが届かない場所がたくさんあるのだ。うちは上下階1つずつしか排気コネクタがないのだが、2部屋に1つくらいつけておいてもらいたい。


ロボット掃除機。赤外線センサーやら
オートチャージャーやらを動員して、
1部屋1時間もかけてノロノロお掃除
義母BRが1階で使ってるロボット掃除機も、オートでマッピングして床中くまなく掃除するというアイデアを思いつくのはいいが、実現されたロボットが1部屋の掃除に1時間もかかるのだからバカげている。人間がやれば3分で終わる仕事を、ギーコギーコというノイズを轟かせ1時間やってるのだから、作った人も使う人もアホかとしか言いようがない。BRは超耳が遠いので気にならないらしいが、あんなものが周りにあったらあまりの無駄とうるささに俺は気が狂うだろう。いくらロボットでも 10 分かそこらで終わるようにしとけよな。米加の技術者というのはかようにことごとく、作ってテストし改良するというマインドがないのではないかと疑うのである。

 ともあれデパート Sears の新掃除機だが、日本製に比べると大きさとノイズが 1.5 倍、吸引力とヘッドのデキは 50% といったところ。しかしカナダで手に入るものとしてはこんなもんだろう。今日はクリスマスツリーを入れたので、落ち葉吸い込みに大活躍であった。

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 夜、今度はLDに頼まれてプレゼント用のアコースティックギターを一緒に買いに行く。こないだ楽器屋で試し弾きした FG-200 はまったく昔の FG-200 と同じしょぼい音だったのだが、この店には FG-350 が百ドル台、FG-700 が2百ドル台である。ヤマハの価格構成は数字x万円と明確だったのだが、ポリシーが変わったのだろうか。

 聞けば中国製だそうでそれが安い理由なわけだが、ともあれこの FG-700S がなかなかいい音で、ぱらんと弾いただけでLDと俺の表情がぱっと輝く。低音のディープさに欠けるので俺みたいな乱暴な弾き方には合わないが、プレゼントするLDの兄貴はニール・ヤングやサイモン & ガーファンクルみたいのが好きだそうだから、こういうコードバランスがよく高音が繊細なギターは喜ばれるだろう。こないだの FG-200 とは2万円分くらい音が違う。LDは想定予算を超えていたので悩んでいたが、他の兄弟からもカンパを募って買うわと決定して購入を決定。きっと喜ばれるよ、これはいいギターだ。

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■10/12/15(水) □ 叱られクリスマスコンサート1
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 萌は今日クリスマスコンサートの第一部だったのだが、友達と後方でふざけていて観衆の面前で教師に痛罵されたのだとえらい動揺して帰ってきた。萌たちの態度がどれだけ目障りだったのかわからんからなんとも言えんが、「すぐにグレード5は下の子の模範なんだからっていうけど、そんなパーフェクトになんてなれないわ!」などと言う。

 「いや見てないからわからんけど、コンサート中に静かにしてろなんてパーフェクトというほど大げさなものでもないだろう、普通にちゃんとしてろってことだけでしょ」
「でも怖い顔で怒鳴りつけたんだよ!」
「いやたしかに教師っつーのはヒステリックな人が多いと思うけど(笑)、まあ子供がふざけて大人を怒らせるのは事実でさ、それはしょうがないんじゃないの? お父さんだって毎朝ちゃんと支度しろって萌に怒ってるじゃん、同じことだよ」

 萌はそれでも納得できないようだが、最近萌はつまらぬ口答えをするようになってきたし、やや反抗期に入ってきたのだろうな。ま、ふざけていたら叱られてくれ。そして反省してくれ。

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■10/12/16(木) □ 叱られクリスマスコンサート2
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 萌の学校のクリスマスコンサート2日目。「世界のクリスマス」という寸劇を曲間にはさんだ凝ったもので、その寸劇が長くて説明臭くて全然面白くなかったのが残念だが、とにかく力の入れようは前の学校とは大違いであった。音楽に熱心な先生が全クラスを指導したらしい。だからどのクラスの出し物も演出は似たり寄ったりではあったが、まあともあれどこもデキはよかった。

 しかしまた萌がどやしつけられて泣く。歌が終わった後バックステージで友達と談笑していたら昨日と同じ教師に萌だけが叱られたのだそうで、そりゃ昨日の件で萌はそのヒステリー教師に目をつけられているのだろう。「どの先生なんだ、昨日の件はちゃんと家で話し合って反省してるんだ理解してくれって話すよ」と萌に聞くも、萌は対立が怖いのかその教師のところに連れていってくれない。

 結局そのまま迎えに来たMの車に乗ったのだが、Mは「教師なんてそれくらいの誤解はいつでもするわよ、たいしたことじゃないわよ」と笑い飛ばしている。そうかなあ。俺はその教師のところに行って、「なるほど、友達と話して笑うことすら許されないのがあの、校長がコンサートでさかんに言っていた『クリスマスのラブと思いやりスピリット』ってやつですか」と言ってやりたかったぜ。まったく教師のいう思いやりなんて上辺だけだな、世界中どこでも。

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■10/12/18(土) □ LD家カルカソンヌ大盛り上がり
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 LD家のファミリーパーティへギターとカルカソンヌを持っていき盛り上がった。DVとその彼氏CKが熟練カルカソンヌ・プレイヤーで、初めてオフラインで大聖堂フルルールを使った本気カルカソンヌとなる。

 5人だと取れるタイル枚数に限りがあるので、大きな町を開いてしまうとクローズできない。だから俺は小ぶりの都市を作り、後半MKが作っていた大聖堂シティにマージしてシェアに成功する。しかしメインの大草原に俺だけが入っていけなかったので負けたと思ったが、うまくつないだロングレイクロードが効いてCKと1点差で俺の勝ちとなった。楽し :-)。

 俺はそれで疲れたMとBRのためにカルカソンヌを置いて帰ったのだが、その後はDVとKNも混じって大盛り上がりだったらしい。MKがメールで写真と実況を送ってきた。ああ俺も残っていられたらなあ。残念。

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 ちなみにこないだ頼まれてLDの兄貴KNのために買った YAMAHA FG700S は、ショップで指で弾いたときはバランスがよく粒が揃ったいい音だったのだが、ピックで弾くと音が想像したよりもかなり堅かった(店ではピックを使えなかった)。まあKNが弾き込んでくれたら馴染んでもっとよくなるだろうと思うが。ギターというのは自分の家とか、エレキならばバンドで使ってみないと本当の音はわからないものだ。楽器屋の試し弾きで選ぶのは難しい。

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■10/12/23(木) □ ハードボイルドな破壊者
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 BrettspielWelt オンライン・カルカソンヌで Tom.** という戦績やや格上の人と会い、開始数手でこいつは自分で町や道を作らない他人の町破壊専門業者だと判明。そこでトラップされないよう慎重に打ちながら、おもむろに話しかける。

「君は典型的なタイプだな」
「何が?」
「町を作ることに興味がない。ただ相手のコマをトラップしたいだけだ」
「そうかもね(笑)」


 このようなハードボイルドな会話で皮肉られても彼は全然めげずに破壊活動を続け、ついに俺の大都市の出口真ん前に障害物を置かれてしまう。くー。

 しかししばらくして、この障害物はこれはこれで町として完成できるなと気がついた。そこでさささとタイルを寄せてその町の外郭を閉じ、あとはこのシティを俺の大都市に切断か接続か、どちらかのタイルを引けば大得点という状態を見事に作り上げる。我ながら惚れ惚れする腕だ。

 そしてこんなダーティな奴とフェアに戦っている俺にカルカソンヌの神も微笑んだのか、たった1枚残った分割タイルが俺に出た。この1枚で 24 点+38 点の2都市が見事完成、大逆転勝ちとなった。この手の破壊業者に勝ったのは初めてである。うれしー\(^o^)/。

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■10/12/24(金) □ クリスマス欝
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 今年もクリスマスプレゼントを巡り欝になる。Mが俺に必要ないものを買おうとしたのでいらんと言いケンカになったのだ。クリスマスだからといって必要がないものを「買ってもらう」というのが俺は苦痛なのであって、人に買ってあげることは苦ではない。必要ないものを持ちたくないという俺のこの精神は偏屈なのだろうか。

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グリコのおまけみたいなコマがついてます
MKたちがクリスマスディナーに来て、「フォービドンアイランド(禁断の島)」という新しいカードゲームを持ってきた。「洪水を遅らせ宝を取って逃げる」というもので、これがまたこないだ彼が持ってきた「フォーミュラD」と同じで、「クレバーなシステム(複雑ながら論理的整合性がきれいに取れているルール)」だけがあり、ゲーム性がない。

 ゲームが進むほど洪水が早くなるルールシステムになっており、それで危機感を煽るのがこのゲームの「クレバー」さなわけだが、全プレイヤーがやることはまるでバケツリレーのように浸水扱いのカードを元に戻していく地道な作業ばかりで、教室で危機回避の図上シミュレーションをやってるような感じである(実際「パンデミック」という人気危機回避ゲームの簡易版らしい)。

 ルールもまったく直感的ではなく、ルールブックを読むMKの指示通りに皆が粛々と動くだけ、俺と萌が知恵を絞る要素はからきしない。思考と決断とその結果の報酬や失敗の味わいがゲーム性なのであり、リーダーの指示(―――というかルールの論理から導き出される最善手―――)に従うだけでは単なるドリルなのだ。どこへでも飛べる万能ヘリコプターカードなどが登場するいかにもアメリカっぽい格調の低さも合わせ、うーんという感じ。

 MKが盛りあげようとしてるので俺と萌も相槌を打つが、結局静かにゲームは終わった。こういう水が迫ってくる、逃げろというゲームはアクションゲームにはどうやったってかなわんだろう。MKってなんかゲームの面白さというものに対するセンスが俺とはえらい異なっているなと思う。「クレバー」ならばなんでも評価するようだが、クレバーで面白くなければ意味ないではないか。やっぱ Linux なんちうクレバーな傍流を本業にする奴は変わっとる(笑)。

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■10/12/25(土) □ 「原始の営み」感想
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イソップ童話をもらいました
クリスマスの朝。萌ももうほとんどティーンエージャーなのでおもちゃをもらうということもなく、例年通りたくさんの本と服と、友達とのディナー券(子供だけでレストランに行くというアイデア)などスペシャルイベントのチケットをもらった程度で、プレゼント的には静かなクリスマスだった。


カルカソンヌ2・城と道が森と川に
俺たちと同様にカルカソンヌにはまっているMK夫妻には、俺が「カルカソンヌ 2 - Hunters & Gatherers (原始の営み)」を贈呈した。さっそくやってみるとやはりオリジナルと絵柄があまりにも違いすぎて、どこがつながり終わっているのかよくわからずみな戸惑う。森というファジーな特徴が境界線を曖昧にしていてよくないのだろう。どういうタイルがあるのか全くわからないので、あまり野心的な建設はできないという感じで恐る恐る森を作る。1にはないので期待したボーナスタイルも別に盛り上がるイベントはなく、初回はルールを確認しながら淡々と終わった。全員「ふむ、なるほどね」という反応。やっぱオリジナル・カルカソンヌがあったらいらんかなあというのが正直な感想である。

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 しかし1回じゃよくわからんのでMKとサシでもう一度やってみる。するとこれはやはりカルカソンヌで、地形が見えてきていつも通りの思考が働き始め、MKも俺も盛り上がってきた。やっぱりカルカソンヌには、絵柄やルールが変わっても変わることはないほど強靭な面白さのメカニズムがある。

 そしてこの2は川(オリジナルの道に相当)が最高で、川の両端が池になっており、その両方の池の魚の数だけポイントが加算される。だから魚4匹とかの肥沃なレイクを引くと非常に盛り上がるし、得点した後も池は次の川につながるのでつないでいけば同じ池の魚からどんどん点が取れる。このおかげで双方に手頃な得点機がこつこつと途切れず、1よりも非常に生産的なゲームになる。水系に置く魚取り小屋ポイントも含め川が楽しく思考が進むのだ。

 草原も動物の多いタイルを自分の草原に集めていくという、オリジナルとは違った方向での開拓が面白い。ボーナスタイルもゲームを左右する強力なイベントは2つだけだと分かってしまえば当初の期待はずれ感もなくなり、出たタイルを「建築士」ルールのエクストラタイルと同じ感覚で自分の町や草原の得点アップにサクサクと使える。

 2回目をやって、これは大丈夫だ面白いと確信した。絵が好き好きとはいえベース・カルカソンヌより間違いなく面白い。俺は拡張セットを持ってるのでこれを欲しいとまでは思わないが、家族パーティにMKが持ってきたら俺はどんどんやりたいと思う。

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 【追記】(Jan 2011) その後MKと何度もやったのだが、やや弱点も感じられる。まず、誰が勝ってるか盤面から全然わからない。おそらく絵柄的にどこにどのサイズの町ができているか見えづらいことに加え、池に池をつなげばタイル2枚で8点とか取れたりするので、プレイしたタイル数や戦術的積み重ねと得点にかなりのズレがあるのだろう。考えてみると川は最短2枚で点が取れてしまうのだから、運だけで点が取れすぎるような気もする。もうちとレイクロードのように自分の工夫戦術努力によって点を取ったほうが面白い。

 その戦況の曖昧さに加えタイル5~6枚以上のでかい町があまりできないのが、このバージョンが楽しいけどやや盛りあがりに欠ける原因だろうな。タイル構成を見てみると3面タイルがオリジナルよりはるかに少ない。だから町が拡散せず3~4タイルですぐ閉じてしまうのだ。これは川同様サクサク点が取れクローズ不能が起きにくいというメリットはあるが、森を完成したときの達成感はなくあっさりしすぎているし、閉じるのが早いのでマージや乗っ取りの機会自体が少なく丁々発止のやりとりが全然発生しない。

 川の点は上記の理由でランダムだし森の争奪もないとなると、どこで知恵を絞り相手と競っているのかが微妙で、だから全体に平和的で楽しいけど個々が黙々と点を積み重ねる静かなゲームとなってしまう。

 こうして見るとやはりオリジナル・カルカソンヌの、でかい町と豊穣なファームが一目瞭然に育っていき、それを巡る攻防が自然と発生し明暗がクッキリつくというシステムは、シンプルで本当に偉大だなと実感するカル2感想であった。

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【追々記】(Nov 2012)その後オンライン戦で熟練者と戦い、考え直しました。これは名作です。これは森ではなく川の魚と草原の動物を育てるゲームなのだと。追記事「カルカソンヌ2は名作だった」

2010/12/14

日記「カルカソンヌ:デーモンとつばぜり合い」

「新学校最初の通知表」「『呪いのミイラ』発注」ほか。

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■10/12/01(水) □ もっと競技カルカソンヌを
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 萌と盛り上がる花札カルカソンヌ(手札3枚持ちルール)に初めてMを誘ってみると、計画乗っ取りの面白さに目覚めた萌がMにどんどん乗っ取りをかけてしまう。最初はみな笑ってたのだが、Mはスポーツや競技でのがつがつしたコンペティション自体が嫌いで平和的にやりたいのに萌がやたら突っかかってくるので、途中からやや機嫌を損ねてしまった。萌はMの機嫌が心配なのと興奮とで感情が入り乱れる。これはゲームで胸踊る 10 歳に競技性を抑制せよというほうが無理なのであって、萌には俺にだけアタックしろと言っておくべきだった。

 後半萌は俺が2コマ置いて守っている大聖堂シティにきれいに2コマ送り込んできた。素晴らしいテクニックである。こういうクリエイティブなプレイに興奮するのがゲームというものだ。攻防なしに各自町を築くだけならばカルカソンヌの面白さは半分も出てこない。Mや親戚とやると楽しいねで終わってしまい盛りあがりに欠けるのは、みなプレイ回数が少なく乗っ取り/マージという競技方向での創造性が発揮できないからだ。カルカソンヌは競技になったとき、ドイツ(=実質世界)ゲーム大賞に輝いたその面白さのすべてが出まくるのである。

 だから人と競合せず大きく美しい街を作りたいというMの方針は分かるが、美しい町を敵から守り完成させて勝つという方向に進んでもらいたいものである。町の防御にも創造性は生かせるのだ。

 しかしハンデありとはいえ 10 歳の娘とやってもこうして白熱するくらいの腕前なんだから、俺がBSWでなかなか勝てないのも当たり前だな(笑)。オンライン勝率は 40~42% あたりからまったく上がらない。勝率 50% あたりの一般プレイヤーとならばいつでもいい勝負になるが、60~70% の達人がごろごろいる世界だからなー。

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■10/12/02(木) □ 新学校最初の通知表
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 萌の1学期通知表がきた。なんと ABCCBC という感じ。これまで萌は言われたことだけ普通にやっていればAをもらっていたわけだが、そういうシステムをよしとする教師の下での数年の学業のせいで知的レイジーさが身についており、物事を強く深く考えようとしない態度が顕著になってしまっている。だからMが担任に「萌が言われたことだけやったならばCにしてくれ」と依頼し、その通りになったのである。

 これは萌には気の毒かなと思うと、彼女もお母さんにミニマムだけやってたら駄目とつねづね言われているから分かっているようで、「これが現実的な評価よね、もっと努力して上げないと」と悔しさを隠している。まあそうしてくれ。物事を考え抜くのだ。

 やはり普通の小学校に通い(フレンチだと教師の水準が英語よりも低い)キッズチャンネルを見ながら暮らしていると、子供のセンスが鈍麻していくのは当然である。俺とMがそうはならないようにと猛烈に働きかけてはいても、学校とTVの影響はものすごく強いのだ。

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■10/12/10(金) □ 「呪いのミイラ」発注
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 今夜うちにスリープオーバーするCHを送ってG夫妻がやってきて、お茶を飲み歓談となった。話をすればするほどハイソサエティでアーティスティックな夫妻である。俺たち夫婦など下世話な俗物に思える(汗)。


友達が完全に役になりきってるのに
照れる娘
 CHはうちに来る回を重ねるごとにハメの外し方が強烈になってきており、ものすごくエナジーとパッションが詰まった子なんだなと思う。萌と組んで芝居をするときの表情の変化なんか、すごい演技的才気に溢れているなあと感じる。萌はキュートだが、照れてしまうし芝居のセンスはあまりないようだ。


盤の向こう側から磁石でミイラが
ズイズイと追いかけてくる仕掛け
 プレゼント用に探していた「呪いのミイラ」が京都のゲーム屋で見つかり、これを日本の甥姪に送れることになった。ピラミッドの中で探検者が宝を盗んで逃げ、ミイラがヒントを頼りにそれを追いかけ捕まえるというゲーム。子どもがひゃ~と逃げ大人がウガオオオと追いかけたら、こりゃ盛り上がらないはずがない。うちでもほしいのだが、なぜか北米じゃ通販でも手に入らないのだ。残念。

 これを小さな子供たちに、中学生の甥っ子たちには当然ながらカルカソンヌを送る。年末年始ゲームで盛り上がってくれますように :-)。

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■10/12/11(土) □ デーモンとつばぜり合い
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  ┃ 久々のデーモン戦 ┃
┗━━━━━━━━━━┛
 オンライン・カルカソンヌ BrettspielWelt で、初回対戦時俺のコマ8個全部をトラップした悪魔的名手デーモン Her**ma に2週間ぶりに会う。俺もあれからやはり成長しておりそう易々とトラップされることはないし、乗っ取りも許さない。そしてこちらからも逆襲し奴のコマをトラップしてやる。攻撃されるとこの人は逆上するようで、タン! タン! タン! と打つのが異常に早くなる。こわー (^-^;。

 かくして中盤まで五分の試合を展開していたが、しかし人の大聖堂シティをクローズ不能にする彼の悪魔的手腕はやはりすさまじい。自分が引いた町タイルをどんどん俺の都市の開口部近辺に置いてくる。こちらは彼が都市にマージ(接続して点を強制シェアすること)できないようにタイルを配してるわけだが、Her**ma のような拡張破壊者は点が目的ではなく都市のオーナーが困ればそれでいいわけで、どんなタイルでも障害物として置けるのだ。

 置かれた町タイルをシティに接続してしまうと、その分開口部が広がる上に完成できるタイルの選択肢が狭まり、完成が難しくなってしまう。俺もそこは学習しているので、その妨害町タイルをシティから切断するタイル(大聖堂セットで5枚)が出るまで待つしかない。

 辛抱強く他の場所で小さな得点作業をし、切断タイルが出ると置かれた分を切り離してクローズ作業を再開する。するとまた拡げられる。あと2手でクローズというところまでは行ったのだが、また拡げられ、さらにダメ押しで完全に完成不可能になるタイルも置かれてこの町は破壊された。結局彼はこのシティを潰すためにタイルを6枚くらい使っていた。相変わらず徹底しておる。

 しかしまあこれで勝ち目は消えたが、前のように手も足も出ないという状態ではまったくないので知恵比べは楽しい。さらにもう1個 Her**ma のコマをトラップし、攻守とも互角のままゲームは進むが、俺が新たに町を作り直すほどタイル枚数は残っておらず今回も大差負け。【×85 / Her**ma 132】(16 分 54 秒)

 しかし相手はどう思ってるか知らないが、あのデーモンに十分に対抗できたのだからゲームとしては楽しかった。点差はついているがこれは得点リソースを大聖堂建築に使い破壊されたからで、何事も作るより壊すほうが簡単なのである。知恵くらべではまったく負けた気はしない。だんだんオンライン・カルカソンヌで自信がついてきた。引き運が悪かったりバカな悪手を打ってはボコボコ負けてるが、しかし運がよく悪手を打たなければ俺は誰とでもいい勝負ができるぜ :-)。

2010/12/04

日記「花札カルカソンヌ」

「ダルマ落としサイコー」「娘もカルカソンヌに目覚める」

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■10/11/24(水) □ ダルマ落としサイコー
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 週末萌が軽い風邪を引き、学校からの帰路夕方の日本語学校(1時間半)は休もうかと言ったのだが、どうしても来たいという。萌は学校で友達と会うのがなによりも楽しいんだろうな。


打たれた胴コマが宙に浮いてます
 で行った甲斐あって、こないだ萌が勝った気持ち悪いお化けコンテストのお絵かきコンテストの賞品として、ケン玉とダルマ落としをもらってきた。これは素晴らしいと大盛り上がり。ケン玉はよほど才能に恵まれないと楽しめないが、ダルマ落としは誰でも楽しいのである。

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■10/11/25(木) □ スクール芝居「キャッツ」鑑賞
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 起きると 5cm ほどの初雪となっていた。オールシーズンタイヤなのでずるずるのスラッシーに苦労して萌の送迎。今日はスクール芝居の「キャッツ」がある。


全員黒猫装束の「キャッツ」
 この「キャッツ」は萌が定員オーバーで入れなかった子供ミュージカルレッスンなのだが、緊張した面持ちのCHら総勢25名ほどの子供たちが頑張って歌い、なかなかよかった。ソロを取った5人くらいの子も、声が震えたり上ずったりすることもほとんどなく持てる力を出しきっており感動的だった。あれが萌だったらちゃんと歌いきれただろうかと想像しながら俺たちは眺めていた。

 萌はダルマ落としを学校に持っていったのだが、特にボーイズに大受けだったそうである。迎えに行くと一緒に遊んだらしいボーイが俺に駆け寄ってきて、「あの日本のオモチャで前も遊んだことがあるよ、サイコーだよ!」と俺に興奮して喋りかけてきた。そ、そうか、そんなに面白かったか、よかったよかった。

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■10/11/27(土) □ 花札カルカソンヌ
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 夕方萌が花札をやろうという。うちには世界最上級のタイルゲーム・カルカソンヌがあるのに花札かよとがっくりきつつ一度だけ付き合う。どうして萌はカルカソンヌに熱を上げてくれないのだろう。

 しかし久々にやってみると花合わせはお手軽で、やはりけっこう楽しい。こういう手札を持つゲームにはいい札を隠し持ちフフフと策略を巡らせ、ここぞというところでバシっとそれを打つ愉しみがあるなと気づく。カルカソンヌはタイルを1枚めくってその場で置くゲームなので、手札がないのだ。―――む? もしやこれか? 萌が花札を好きなのはこのフィーリングか?

 そこで萌に「花札みたいにカルカソンヌをやってみよう」と説明し、ドイツでオプションルールとして一番人気があるという【手持ち札3枚ルール】(※)でやってみた。するとやはり萌は自分のカードを眺め目を輝かせ、都市をプランニングしサクサクときれいに作り上げていく。そして「私の番だよね、じゃココ!」とすました顔でバシッと俺の都市に乗っ取りをかけてきたりする(俺はデカコマ(大ゴマ)を使わないハンデ戦なので、乗っ取りはデカコマを使う萌が絶対的に有利)。これまでとはエライ違いの積極性だ。やはりなにごともプランするのが好きな萌には、この手札を隠し「自分だけが秘密を知っており計画を立てられる」フィーリングがすごく合うのだ。間違いない。

 逆にいえばノーマルルールで萌があまり盛り上がらないのは、計画があまり立たず出たタイルを点につながる建設に使えず、ただ置くという状況が頻発するからだろう。慣れた人が草原ルールありでやればどんなタイルでも草原をつなぐ手段や相手を妨害する用途で配置できるわけだが、うちは草原ルールなしだからな。

 そして非常にフェアで生産的なゲームの結果、萌の快勝で終了。こりゃいいぞ。このオプションルールによって萌が一時の花札ほど熱を上げてくれれば、俺はデカコマなしのハンデでちゃんと力を入れて戦えるようになるかもしれない。そうなったら最高だ。
(※)サカタ家「花札カルカソンヌ」ルール(「大聖堂と宿屋」拡張セット使用)
◆各自手札3枚を持ってスタート、置いたら1枚補充
草原ルールは省略(草原取り合いは子供とビギナーには複雑すぎる)(その後しばらくして草原もアリに変更、10 歳ムスメも完璧にマスターし草原争奪をやってます)
大聖堂は普通のタイルとして扱う(大聖堂3点ルールは完成しないとゼロ点になるため、未完成大聖堂都市へのシリアスな妨害を招き険悪になるので排除)(その後しばらくして大聖堂3点ノーマルルールに変更、10 歳ムスメも完璧にルールを駆使してます)
◆修道院は4枚中プレイヤー数分だけ使用(偏りを低減するため)
◆俺はハンデでデカコマなし

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■10/11/28(日) □ 娘もカルカソンヌに目覚める
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 Mたちが外出し、俺はのんびりと映画を見る。映画は「二十世紀少年」映画三部作の1で、映画単体として見ると粗が多いが、天才絵師浦沢さんの思い描くイメージを実写映像化したのだと思えば楽しめる。後半のロボットSFXはかなりすごかった。

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 夜「怪物くん」を見つつまた萌と手札3枚持ちカルカソンヌ(萌は花札カルカソンヌと呼んでいる)をやると、やはり手札でプランニングできるので双方都市建設がサクサクと順調に進む。萌が狭いところに都市タイルを置いたので俺が「そこはクローズするのが難しいよ」というと、「だって...」と困った顔をする。おーそうか、なるほど、クローズするタイルを持ってるのね。段取りを決め計画的にやっているのだ。えらい。

 萌にはこのほうが絶対面白いだろうし、俺もこっちのほうがお手軽で楽しい。計画が立つのできれいに大きな町が作れ、運による不公平感(相手にばかり使えるタイルが行く的な)が激減するし。それにやはり俺だけデカコマなしというのは絶妙なハンデで、俺にとっては攻撃も防御もほどよく難しい。


1、2、3ときれいにマージされ
赤シティを奪われる
 竸ったいい試合となって、最後は俺が 20 点ほどの街を完成しギリギリ逆転かなと思ったところで、空き地を挟んだ対岸から萌がデカコマでマージ(相乗り)してきた。―――あーっ! 俺にはその手がまったく見えていなかった。素晴らしい。敵ながらその手の見事さに快感を覚える。まるでBSWオンラインのドイツの達人のような華麗な打ち手だ。萌も Yahoo! と雄叫びを上げる。

 これで俺の頼みの綱が消え、萌がまたもや快勝となった。これは当家のカルカソンヌ史上、間違いなく一番面白かったな。サイコーだ。ついに萌10歳もカルカソンヌに目覚めたのであります。

2010/11/26

日記「着物で゙マルチカルチャーナイト」

「カルカソンヌ悪魔的名手との出会い」「デーモンに教えられる日々」ほか。

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■10/11/15(月) □ カルカソンヌ悪魔的名手との出会い
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 オンラインカルカソンヌ今日初戦で、とんでもない奴に当たってしまった。最初にコマ3個 をタイル1枚で瞬殺されたのはまあ俺の大凡ミスだが、4個目を2枚のタイルを巧妙に使い殺されたところで、こいつは自分の点は取らず俺のコマだけを狙ってるのだと分かった。全員を閉じ込めて封殺するというのか。なんという奴だ。


青の1~8が俺のコマ、
黄が相手の置いたタイル
 5・6個目はそれぞれ3枚ものタイルを使いつぶされ、7個目はたかだか数点の道なのに乗っ取られた上につぶされ、最後の8個目も乗っ取られ未完成都市に幽閉されて(つまり無理心中状態)、ついに全滅となった。このゲームはコマがなくなるともう点が取れないので、残り数十枚はしらけつつ淡々とタイルを周辺にただ積み上げていくしかない。奴はここでは俺が置いたタイル(図の右上)を使って点を一切取らないのである。純粋に相手のコマを殺すことだけが目的なのだ。なんたる徹底ぶり。

 そして 128-40 という味気ない勝負の結果、彼はダンケと一言を残し去っていく。こんなにも無慈悲な勝負をする奴がいるとは、ドイツ人恐るべし。悪魔的名手である。デーモン Her**ma と彼を呼ぼう。

 あまりのことに info を見てみたら、こいつはカルカソンヌをオンラインで5千回やっている(汗)。物の怪レベルである。しかしこの生き馬の目を抜く腕前を持ってしても勝率は73%と極端に高くはなく、俺以上の腕があればあの執着しらみ潰しスタイルにも対抗できるらしい。なるほどねー(それに3プレイヤーならこんな戦法では勝てないなとあとで気がついた。1対1だから敵の殲滅に全力を使えるのだ)。

 しかし8個全滅させられてその完成図を眺め考えてみると、自分がやってしまった悪手がよくわかる。一般則として、「コの字」のポケットに自分のコマがあるときはもう完全にアウトなわけであり(図の3)、それを避けることがまず上達への道なのだ。

 驚いたのは図の5のなど半分閉じただけで安全そうな地形でもDを置けば「コの字」にできるので、E、Fと多量のタイルを使えば殺せることだ。これはちょっと考えたこともなかったが、なるほどである。いや面白い。嫌な奴だが勉強になった。

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 この画面キャプチャと紙のカルカソンヌ(つまり本物)上でいろいろと妨害への対策を研究して、またオンラインへ。まったく妨害しない非常にジェントルなお方と戦い、これは勝つな、あまりガツガツするとみっともないなと思ったのだが、最後に大聖堂で妨害されて負けてしまった。俺は弱い(泣)。せめて1勝したいのでもう一丁。

 次は3人戦となり、最後に下手を打って最下位。悔しー(泣)。しかしもう俺は見えている。この2戦乗っ取りは許さなかったし、逆に乗っ取りに成功している。あと1手悪手をなくしさえすれば勝てるという状態が続いている。

 夜皿洗い後最後の1戦で戦績の悪い人と当たり、161/158 で薄氷の勝利。ふー。やっと勝てた。しかしもうほんとに俺には見えている。朝のデーモン Her**ma みたいな奴にはどうやっても勝てないだろうが、普通の相手ならもう簡単に負けたりはしないぜ。

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■10/11/19(金) □ 着物でマルチカルチャーナイト
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 今日は学校の【マルチカルチャーナイト】というもので、出自文化の服を着て民族料理を持ってこいというのだが、外は小雪まじりの寒い日で俺はとても手持ちの浴衣など着ていく気がしない。北米の行事はなんでもそうだが新学期が9月に始まるので、気候が悪くなってからどんどん行事が入ってくる。スポーツ大会、ハロウィーン、こうした各種ペアレンツ参加の催し物と。気候のいい春から初夏に行事が入る日本式学校スケジュールのほうがずっとハッピーだと思う。高1の春のスポーツ大会なんか、授業がなく一日スポーツで遊べるという多幸感を今でも思い出すよ。


着物できりりと立ち姿(中央)

アラブの王族がブラジルブースを訪れる
 Anyway、萌はしっかりと着物を着こみ出かける。俺は餃子を大量につくって持っていく(冷凍ギョーザですが)。

 着付けに時間がかかり遅れてしまったのだが、入って行くなりあちこちから「ワオ」と声がかかり、例の気が利く校長がさっそく飛んできて大声で誉めそやし、写真を撮っていく。うれしそうな萌。実際萌の着物と、イラク移民の子が着た「アラブの王族」衣装が一番引き立っていたな。着物のよさは姿勢がしゃんとよくなることで、その立ち姿の全体が美しい。「アラブの王族」衣装もそう。チマチョゴリや中国その他の衣装はカラフルだが、単に子供がきれいな布をかぶっているだけとも言える。


「コロンビアコーヒーは世界一よ!」的笑顔
 しかし単に食べ物を持ち寄ってのポットラックパーティかと思ったら、南米アジアヨーロッパと十数カ国の人々がジム一面にブースを作って、民芸品や旗や国紹介のパネルなどを飾っている。自分の家族の文化を示す子供らの、この誇らしげな笑顔を見てもらいたい。キッズはパスポートをもらって各ブースを巡り、スタンプや各国のお菓子をもらうという趣向になっている。食事の後はハンガリアンダンスや中国演舞などの演し物もある。プチ文化祭と言えるほどの充実ぶりなのである。なんて素晴らしいパーティなのだ。

 この学校の PAC(PTA)は本当に強力だ。前の田舎の学校は人口構成がほとんど白人だからこういう催し物自体が成立しないというのもあるが、郊外白人父兄のスポーツ競争好きが PAC のやる行事にも表れて、「提携書籍販売会社から本を1冊買うごとに何%が PAC への寄付金になり、一番たくさん買った子が優勝」みたいなバカ的イベントばかりだったからな。

 いやほんと恐れ入りました、これほどの行事とはと PAC のメンバーによくよくお礼を申し上げて、俺たちはすごかったねえと言いながら帰ったのであった。

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■10/11/21(日) □ デーモンに教えられる日々
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 カルカソンヌ研究成果が実り、最近は勝率5割近辺をキープしていたのだが、昨日今日とまったく勝てずスランプに陥っている。勝率 40% 近くに落ちてきた。うー。

 昨夜から連敗が続き、2戦目次こそは勝つぞと気合を入れると、なんと相手はあのデーモン Her**ma であった。うわ。しかし先週とは俺も違うぞと必死に戦う。だがしかしやはり序盤でデカコマをトラップされ、後はほぼ全部の町を乗っ取られて大敗した。トラップされた個数は前回より減ったが、デカコマを取られると乗っ取りにはまったく対抗できないのだと思い知った。自分が小コマで都市を作り始めると、向こうは大コマ(小コマ2個分にカウントされる)で毎回乗っ取りにくるので対抗しようがないのである。トラップの危険があるときにはデカコマは使わないほうがいいというわけだ。いやほんとこの人は嫌な人だが、対戦するたびに勉強になる(笑)。


1,2と置かれたらもう
クローズ不可能なので、
脱出可能になるタイルを
1、2と持ってくる
 デーモン戦の反省を生かしてトラップ脱出法(というより予防法だな)を研究し、さっそく活用して勝利。名付けるならば、「敵より先にトラップ位置に脱出用タイルを置く」作戦だ。

 つまり一番豊富にある道タイルを持ってこられたらクローズできない部分ができてしまいそうなときは、敵が道を持ってくる前に自分でクローズ可能なタイルを持ってきておくわけだ。これで敵がブロックしてクローズ不能にする可能性はゼロにできるので、あとは合うタイルが出るのを待つのみ(図の3ならば5枚以上あるので高確率で出る)。よし。デーモンに教えられる日々である。

2010/11/19

日記「カルカソンヌ・オンライン修行」

「秋景色のフレイジャーバレー」「怠惰なハリソン湯治」「複雑なリメンバランスデイ」ほか。

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■10/11/06(土) □ 秋景色のフレイジャーバレー
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 ◆15:19 秋恒例のハリソン・ホットスプリングスへ。すんばらしい秋景色の中を1時間半で着。ハリソンは近くて助かる。フレイジャーバレーはBCで最も美しいとここへ来るたびに思うが、今年はパーフェクトな時期に来たようで、まことに目の覚めるような紅葉だった。


Nicomen Slough (c) iano50
 BCの人里はなれた山奥や島々はどこも一様にのっぺりと美しく、植生も単調で俺はそういう風景にはあまり心が動かないのだが、静水と橋と人の暮らしがワンフレームに収まるようなこうした抑揚のあるフレイジャーバレーの風景はビリビリくる。日本でも農村風景はすごく美しいと感じるもんな。


初心者にゲームを教える娘
 萌と野外プールに入りレストランで食事の後、夜は持参したカルカソンヌを皆に披露する。期待通りSHとADにバカ受けだったのだが、ルールを説明しながらの5人プレイなので倍時間がかかり、1回しかできなかった。普段は超親切なのに意外と人を助けず黙々と点を重ねたSHが1人勝ち、残りは全員団子レースであった。SFとADが都市を奪い合って盛り上がり、SFが初めて負けたと憮然とする。

 これは最高だとADはルールブックを読みだし(「フォーミュラD」でもルールの緻密さに喜んでいたが、カナダ・ドイツのインテリピープルは概念の整合性にしびれて喜ぶところがすごくある)、どうやってこんなパーフェクトな家族ゲームを見つけたのかとSHは不思議がる。家族旅行に来ると俺はいつも退屈するのだが、今年はカルカソンヌをやりたいので時間が足りなく感じるほどだ。

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■10/11/07(日) □ 怠惰なハリソン湯治
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 この旅では boardgamegeek.com という英語圏最大のボードゲームサイトのフォーラム記事を大量に Axim に入れ持ってきたのだが、参加する全員がことごとく知的で文章がうまい。もともと英語圏で 2ch みたいにキテレツに奇形化したフォーラムは見たことがないが、これほどうまい文がずらずらと並ぶフォーラムというのも珍しい。目と頭に実に心地よい。日本でも同じ傾向があるが、いろいろな面倒をいとわずボードゲームを入手し学び遊ぶ人々はやはりいい人たちなのだろう。

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 ハリソン2日目はみな風呂に入り自分の部屋で本を読み、いつも通りの怠惰なハリソン湯治となっている。俺はもっとカルカソンヌをやりたかったのだが、結局数戦しかやれなかった。やれば盛り上がるのにどうして連チャンにならないのだろう。やっぱ対戦ゲームでスキルと運の違う全員をうまく楽しませるのは難しいのかな。フレンドリーマッチでは攻防が十分に発生しないので、タイルの引き運で割合アッサリと盛り上がらずゲームが終わってしまうことがある。もっと回数を重ねみんなにうまくなってもらうしかないのだが、そんなにしょっちゅう会うわけでもないしなあ。

 萌が興奮と疲労の限度を超え、夕方頭痛を訴える。3年前とまったく同じだ。今年も同じ日本食レストランから寿司をテイクアウトとなった。寿司はこんな山の中でと驚くほどネタがうまく、板さんの握る姿が真摯できれいで皆に絶賛されていたのだが、カナダ人向けなのか酢と塩がかなり多すぎるという味。惜しい。

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■10/11/08(月) □ 大人と子供を分けるなよ
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 ハリソン名物の朝食バッフェをパスして朝風呂。あそこのバッフェは文句なくうまいが、2日続けて肉卵イモ系の朝食を食べたいとは思わなかった。

 萌がバッフェにいる間大人専用の静かなプールにいくが、やはりハリソンでほんとにいい湯なのはここだけだなあと思う。子供プールは寒いしジャグジーは塩素臭い。ここもややぬるく足元を見ればコンクリートなのが興醒めだが、山の景色もそれなりに見え、湯気だけ眺めていれば立派な露天風呂だ。30 分1人で入っていても飽きないくらい気持ちいい。


ハリソンしっぽり大人風呂
 腹が立つのはこの一番気持ちのいい露天風呂に 18 歳以下の子供は入れないことで、大人同伴であれば入れてやればいいではないかと思う。カナダでは大人と子供を妙に分け隔て、子供は外で遊ばせておいて親はロマンチックにワインをみたいなノリがある。この露天風呂もそのノリで、大人というよりしっぽりカップル専用プールとなっている。

 子供用プールは湯温がまったく低すぎて、こういう冬場はとても長く入ってはいられない。冷えてしまった子供らは、温泉ホテルに滞在していながら屋内の小さなプールで泳いでるのだから馬鹿ばかしい。あんなインドアプールはどこの町内にもあるコミュニティプールに劣るのである。大人と子供を分けるなよ。というか、分けたければ親が自分で分ければいいではないか。規則で決めないでほしい。

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 家に帰り夜は「怪物くん」を萌と一緒に見る。1回目は駄目駄目だと思ったが、怪物くんが「労働とお金(お金は悪くない! お金に謝れ!)」「友情と悪口(悪口サイコー!)」といったファンダメンタルな道徳則を徐々に、大きく勘違いしながら会得していくという展開が萌のツボに入り、久しぶりに「これ面白いね!」と爆笑している。やっぱりこういう間抜けな展開になると、ボケとツッコミで鍛えられた日本のコメディは面白いよな。日本の笑いの愉しさは間抜けを愛でるところにある。

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■10/11/10(水) □ 複雑なリメンバランスデイ
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 萌が栄えある司会をすることになったので、学校のリメンバランスデイ(戦没将兵記念日)集会へ。俺は元敵国出身なのでこういう集まりは肩身が狭いのだが、第二次大戦を直接指してるのではなく、第一次大戦以降のすべての国の戦没兵士を記念する行事なのだから気にするなと妻に言われる。とはいってもスライドには、「彼ら兵士のおかげで自由は守られたと忘れてはなりません」とか出るので、当然ながら連合国側の行事なんだよな。日独伊出身者はやはり肩身が狭い。

 リメンバランスデイは日本の戦没者慰霊祭よりもはるかに津々浦々で行われる大々的なものであり、ここの校長はやや右な軍隊式規律大好きな人なので、ことにリキを入れた厳粛な集会となっている。厳粛さゆえに拍手も写真もビデオも禁止と言われた。無視してこっそりビデオは撮ったけれど。

 戦没兵士を称える言葉が子供の口から盛んに重ねられる。日本でも戦没者を慰霊しようという気持ちは同じにあるが、「兵士」とピンポイントで指定し言葉や行事で積極的に称えることはしないので、毎年のことながら気持ちの持って行きどころがよくわからない。

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 ―――ともあれ萌の司会だが、緊張から内容を完全にど忘れしてディズアスターだった2年前の日本語暗記スピーチでのトラウマもさすがに乗り越えたようで、落ち着いて堂に入り穏やかな表情を絶やさず、かつはしゃいで厳粛さを失うということもなく、英語フランス語とも完璧だった。

 途中子供らがガヤガヤと騒ぎ立てると、萌が「静かにしてください」とぴしゃりといい、場内が静まる。これはもう超快感だったそうだ(笑)。これで過去の屈辱も忘れられるだろう。よかったよかった。

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■10/11/13(土) □ カルカソンヌ・オンライン修行
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 最近1人2役ソリテアで極まってきたカルカソンヌ腕試しをしたくて、オンラインゲームのメッカといわれるドイツのBSW (BrettspielWelt)にログインしてみる(カルカソンヌの出版元が出資してるらしい)。ドイツ語なので使い方がわからず苦労するが(ヘルプを独日訳してくださった BlueBear 氏のページがあって助かった)、ちょうど日本人プレイヤーが見つかったので挑戦し、問題なく勝利。本物をソリテアでやるよりも早く20分くらいで終わったと思うが(自分が打つべきエリアをお互い絞れるからだろう)、やってる間他のことをできないオンラインゲームというのはやはりちょっと緊張するな。あとで強そうな人にも挑戦してみたい。

 【2戦目】はやや手ごわいドイツ人で、好勝負だったがビッグミープルを置くコマンドがわからないせいでレイクロードを2本、草原を1箇所取りそこね、メインの草原がシェアされてるのも見落として負けた。しかしこれらの不利は慣れればなくなる。だんだん面白くなってきた。

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 【3戦目】は5人という多人数戦となった。すると待ち時間がえらい長い。みな長考するのでときには2~3分待ちがあり、とても集中してやってられん。これは3人戦くらいまでにしておきたいなあ。

 しかしちゃんとプレイできる人4人を相手にするというのはまったく初めてのことなので、どういう勝負になるのかそれだけでも興味深いか....と思ってると、簡単に不可能タイルを置かれて序盤で2コマ失い万事休した。ぐわ。うまい。さすがだドイツ人。これでもう勝ち目はまるでないが、5人戦なので最下位だけは避けようと努力し、最終的に草原でうまく点を取り4位で終わる。

 そして【4戦目】はなんと序盤にして2箇所で閉じ込められ、後半をミープル0(得点不能状態)で延々とプレイすることになった。屈辱。俺は弱いのだ。カルカソの里ドイツ人はやはり強いのだ。こりゃもっと修行してから行かないと、弱すぎて相手プレイヤーにも迷惑だな。

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 その後も負け続け、なんと1回目に初心者に1勝しただけであとは全敗という想像以下の結果となった。今日は萌にも負けたので1勝7敗である ^_^;。

 この1ヶ月、ほぼソリテアだけとはいえ百回はプレイしているはずの俺がこれほどに弱いとは。俺より明らかに強いと思ったのは2人ほどで、あとは俺が間抜けで下手すぎたゆえの結果だ。カルカソンヌはソリテアでは強くなれないらしい。しかしこれほど対戦に苦戦するほど奥が深いゲームなのだということでもあるな。修行しよう。

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■10/11/14(日) □ 真剣勝負のドキドキ
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 朝イチで気を入れ直して BSW に再挑戦、運も来ず完敗。それを見ていた萌がやりたがり完敗、もう2勝10敗くらいだろう。しかしようやくオンライン対戦に慣れて勝てる手応えが出てきた。

 3戦目、??Lady という女の子と戦う。この子がすごくクレバーにバシバシ乗っ取りをかけてくる子で、途中からもう笑ってしまい「君はうまいね」「サンクス ^^」という会話がどんどん入る楽しいゲームとなる。で残り3枚まで俺がギリギリ勝っていたのだが(もう一手一手で胸ドキドキ状態)、最後に57点長大都市を完成させる大聖堂タイルを見事に引き当てられ大逆転された。ファームで30点近く取り返したものの 170-130 の負け。しかし面白かった。彼女にとってもこれはよほど会心の勝負だったようで再戦を持ちかけられたが、2戦続けてこのテンションは保てないので辞退。

 ふー、カルカソンヌ真剣勝負は面白い。これを運が勝負を大きく左右する戦術的深みのない「運ゲー」と呼ぶ人が多いが、ここでプレイしてみれば考えを改めるだろう。運ゲームで普通のプレイヤーがかくも連続で負け続けるわけがない。うまい人はうまいのである。少なくともソリテア&初心者同士でひと月やりこんだ俺くらいの力量では読めない程度の先から達人はワナを張ることができる。そして素晴らしいことに普通のプレイヤーでもいい手をひらめき運が少しあれば (With a Little Luck)、そんな達人とも楽しく競り合える。そこが運が見事に組み込まれたシステムの美点なのだ。

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 稀勢の里、白鵬を破る。白鵬は伝説の力士を超える程の相撲をこれまでしてきたわけじゃないので、こうして力のある力士が朝青龍並みに心の底から立ち向かえば、やはり倒せるんだよなと思った。白鵬にとっても悪い結果ではないだろう。朝青龍より強くなればよい。

2010/11/05

日記「名作カルカソンヌ」

「大聖堂と宿屋セット」「ハロウィーン準備」ほか。

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■10/10/26(火) □ 名作カルカソンヌ
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 家族親戚を巻き込みはまっているボードゲーム・カルカソンヌだが、これはほんとに面白い。フレンドリールールでやっていた当初はなるほど楽しいねというライトな感想だったが(今も萌はその状態)、乗っ取りと草原ルールを駆使し始めるとこれはさすがにボードゲーム界に名だたる名作である。タイルの引きの悪さを都市連結やこまめな草原確保でカバーしたり、道や都市の一部を使って敵の大草原連結を阻止したりすると、1人2役のソリテアでやってるときですらその《手》の美しさに感動するものがある。

 将棋チェス麻雀などのトラディショナルな遊びはやれば面白いが、コントロール=思考せねばならないことが多々ありすぎまことにめんどくさい。また多くのボードゲームは面白さを加えバランスを取るために規則や例外がやたら多くなり、規則を覚えるのも適用するのも面倒でやる気を削ぐ。その点カルカソンヌは単純なことだけを深く考え込んでいけるところが素晴らしい。面倒のなさはあらゆるゲーム中でチャンピオン級だろう。プレイヤーがやることは、

 ①絵を合わせタイルを置く
 ②そこにコマを置き都市/草原/道を所有する

の2つしかないのだから、ボンバーマン並みのシンプルさだ。この2つの単純な行動に、相乗り乗っ取りや草原取得などの滋味深い戦術がつながっている。どのように地形が発達していくかは毎回完全にランダムなので地勢を読むこと自体が楽しいし、深く読み考えタイルを置いても、それが最善手かどうかはカルカソンヌの神次第という偶然性の面白さもある。

 ほんとよくできているのだ。このゲームでデザイナーが発明したことは「すでに(自分を含め誰かに)所有されているところにはコマを置けない」「地形が完成し点を取るまでコマがそこに拘束される」というコマ置き規則だけなような気がする。この2つの規則が実に見事にカルカソンヌにジレンマと戦術的深みを与えているのだが、このコマ置き規則を決めたらあとは自然の摂理でなんの規則も例外もつくる必要なく、すべてがポンポンとうまくいったんじゃないかという、ゲーム理論上の奇跡のようなバランスを感じる。

 TVを見ながらやれるくらい簡単で、1人ソリテアでも面白いボードゲームというのもそれほどないと思うので、これを買ったのはホント正解だった。あちこちで推奨されている「拡張セット1・大聖堂、宿屋」というのも買いたい。ぜひ。

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■10/10/28(木) □ 大聖堂と宿屋セット
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 カルカソンヌの拡張セット1「大聖堂と宿屋」をついにゲット。タイルは18枚増え、新地形タイルが8枚、乗っ取り阻止タイルが3枚、得点増タイルが8枚という感じの内訳。得点増大よりも乗っ取り阻止を増やしてほしかったな。付属の大ゴマで乗っ取り行動がより盛んになるわけで。それに道が2点になる湖畔の宿タイルは彩りもきれいですごくいいと思うが、大聖堂3点はでかすぎるような気がする。

 とりあえず晩飯後1人でテストプレイしてみると、新しいタイルが出るたびに興奮するがそれをどう使ったらベストなのかよくわからない。考え込んでしまうのでプレイ時間がえらい伸び、初心者に戻った感じ。そして終わりにはなんと55対110とダブルスコア以上の差がついてしまった。ソリテアでこんな大差は初めてである。うーん。こりゃ拡張が入ったほうが大量点機会が増えるので、差がつきやすいかな。

 気に入らないのはやはり大聖堂で、これは1タイルにつき3点という大量点を招くので、これまで作った最大都市の記録をより少ないタイルで簡単に塗り替えてしまう。これまでタイル15枚ほどの巨大都市を完成させ30点+に興奮していたのが、10枚そこそこの小ぶりな大聖堂都市がその点数を超えてしまっては、ゲームとしては単なるインフレであり興醒めではないか(完成しなければゼロ点ではあるが、うちはお互いの妨害をあまりしないので、簡単に完成してしまう)。

 そこで大聖堂は単に全辺都市(基本セットに1枚ある)と同格として扱うことにする。これでさっそく大聖堂が入った13枚+4クレストの巨大都市ができた。もし大聖堂ルールを適用すればこれで51点である。つまりこの都市1つで得点板を1周し、他の全員が周回遅れになる。それじゃゲームにならんよ。旧ルール=34点で決定だな。というわけで、

 【大聖堂】単に全辺都市扱い、2点
 【草原】リップ都市(タイル2枚)を草原得点から除外(※)
 【修道院】プレイ人数分のみ使う(2人プレイで4枚は多すぎるので)
(※)初期から草原を取りその周りにリップ都市をたくさん作るというアグリイで安易な戦術が実は強力なので、草原点の膨張を抑え、壮麗な大都市構築を奨励した建設的カルカソンヌとするためにこのルールを策定

 これがうちのハウスルールと決定。カルカソンヌのゲームとしての弱点はタイルの引き運に大きく左右されるところなので、1つの手で大きく差がつくことをできるだけ避けようと調整したルールなわけだ。

 このルールで何度かテストプレイをやってみると、このセットはこれまでのカルカソンヌの楽しさに道の奪い合いと大ゴマの戦略性の2点を足した見事なアップグレードとなる。大ゴマの用法は意外にシンプルで、素晴らしく使い良い。タイル引き運が悪く負けてるプレイヤーが勝負を仕掛ける道具として、これまで以上に威力のある武器となり、挽回要素を大きく高めてくれる。誰かが大ゴマで敵の土地を奪いに行っても、防御側も大ゴマで取り返すことができるのでアンフェアなことにはならないし。

 というわけで買って大正解とまでは言えないが(―――新種の都市タイル群は実はあまりゲーム性向上に寄与していない―――)、まあやれやれだ。16ドルだと言ったらMに高いわねと呆れられたので、これでまるで面白くなかったら面目丸つぶれであった。

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■10/10/30(土) □ ハロウィーン準備
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 午前中にハロウィーンの準備。前庭を掃除し、飾り付けをして十字架を立てた。MKと萌が作ったカボチャには LED ライトを仕込み、今年はランタンの芯も新調したのでいい感じに夜を照らしてくれるだろう。


名前は誰だったかな、
ハリポタの赤毛のキャラだそうです
 萌は今年はハリーポッターの扮装で、初めてカツラをかぶっている(誰か特定キャラらしいのだが、まあハリーポッターの学校の一般女子としか見えない)。赤毛のカツラが似合いなかなかラブリイで、学校に着ていったらお母さんがたにワオと称賛されてました。

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 夜MK夫妻が来たのでカルカソンヌ。拡張セットの2点ロードはやはり楽しい。これが出ると「お!」と盛り上がるし、みんながそこに接続(相乗り)しようとする動きも自然と起きた。タイル枚数的にも4人でダレず短すぎずちょうどいいプレイ時間だった。しかしMKはゲームをやると「萌、そのタイルを交換してくれよ! 頼むよ! 頼むってば!」と、自分が首位だという空気も読めず大騒ぎだ。うるさいよ、お前も30なんだから少し落ち着きなさいよ。

 結局MK、萌、俺、Wの順となったのだが、もっと萌が真剣にプレイする方向にガイドしてやらねばいかんなと思う。萌はぜんぜん勝負に執着しない性格なので、人にスコアをあげたり、自分が置くすべてのタイルのあらゆる道にコマを置くという、なにも先を考えていない馬鹿げたゲーム運びをする。草原なし乗っ取りなしのフレンドリールールではそれでも引きがよければ2位くらいになれるのだが、「このゲームは普通ビギナーが勝つよね」と彼女自身が言うように勝っても負けても張り合いがないだろうし、周りも面白くない。そんな態度だからこのゲームにあまり熱中できないのである。今度やるときは勝つための思考と努力を求めていこう。

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■10/10/31(日) □ 留守番ハロウィーン
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 ハロウィーン。は俺は今年も萌に同行せず留守番&玄関に常駐してのトリック or トリート受け答え役。寒くてつまらん仕事であリます。でも大雨の予報だったのに降らなくてよかった。なぜか今年はティーンエィジャーが多い。君たちその年ですでにタプタプなのに、キャンディなんか食べていいのかね。

 いかん、今年は去年よりだいぶキッズが多い。キャンディが底をついてきた。品切れって経験したことがないのだがいったいどうしたらいいのかと焦り、2階に走り萌がパーティその他でもらったキャンディ類を足してみた。あと15分、大きな団体さんが来ませんように。

 最後に何年も会ってなかったなつかしいLさんシスターズとKT・HNたちが来て、お店終了。キャンディはギリギリ足りました。そしてうちで配ったのとほぼ等量かと思えるほどのキャンディをもらって萌も帰宅。よくできた互助システムであります。

2010/11/03

日記「ロンウッドにシャイン・ア・ライト」

「あんなにいい川だったのに」「ロン・ウッドにシャイン・ア・ライト」ほか。

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■10/10/22(金) □ ダメキャラ愛好国ニッポン
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 「ヤスコとケンジ」が終わって以来、萌が見たくなるような子供向け番組が2年間まるっきりなかった TV Japan で実写版「怪物くん」が始まり、これはと思い萌に見せたのだが空振りであった。こんな話を人間が演じることに無理があるというか、アニメよりもよくなるわけがない。萌もなんかくだらないなあと困った顔をしており、つまんなかったら無理に見なくていいよと言うとごめんねと中座してしまった。

 萌の目線で日本の子供番組を見ると、内容はえらい幼稚なのに語彙が難しいんだよな。むろんカナダで暮らす日本語キッズは語彙が足りないわけだが、あまり子供の理解度など配慮していない大人が脚本を書いているという感を受ける。たとえば40年前のアニメ版を見ていない現代の子供には、ドラキュラのざあますキャラなんて理解してもらえないだろう。

 それに日本のドラマはやはり、子役小中高生役があまりにも下手すぎるのがつらい。あの子たちは演技というものに向いてもいなければ、さほどの訓練も受けてないのだろう。米加の子供番組に出てる8歳~くらいの子役は、どう見ても「自分は才能がありハリウッドで食っていく」と思っている子供で、喋り演じることに人並み以上の天分が備わっているうえに、高い訓練を受けているのがありありとわかる。ゆえにすべてのキャラが「頭の回転が早くシニカルなジョークがうまい」という子供に人気のある定型に陥っており鼻持ちならないのだが、やはり素人の子供らよりこちらのほうが鑑賞に耐えうるのは当たり前の話。

 今季NHK朝ドラ「てっぱん」のヒロインもたまらないほど素人で、1回目を見ただけで「ああ今年も朝ドラは見るに値せんのか」とあきらめた。なんでああいう《才能がなく素人》であるという二段構えでダメなヒロインをわざわざ募集して採用するのだろうか。日本ではダメなものが愛されるのだろうか。


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■10/10/23(土) □ あんなにいい川だったのに
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小魚を捕まえていたこの川(8年前)
午後Mとサーモンを見にコキットラムリバーに行くと、ここ1~2年橋から見てあれ? と思っていた通り、水位が1mほど上がり、川原がなくなっていた。萌が小さい時夏はいつもここでピクニックしていたのに、もうシートを広げられる場所などどこにも残っていない。がっくし。PoCo は山中がとてつもない勢いで宅地開発されているので(たまに通るたびに造成地が増えている)、あそこの地下水雨水がまったく保水されずこの川に落ちてきてるらしい。

 昔はこの季節うじゃうじゃいたサーモンも、今年は百年に一度の大発生だというのに1匹もいない。PoCo の川には現時点でどこにもいないわけだが、ひょっとするとこれほど水位が変わると、故郷の川の匂いがしないのかもしれない。小魚と子供の遊び場にあふれた素晴らしい川が、上流から一気に水を流すだけの水路となってしまい、もう散歩する人もいない。残念である。

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■10/10/24(日) □ ロン・ウッドにシャイン・ア・ライト
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 夜、BRおばあちゃんに初めてカルカソンヌを教える。皆がヘルプしたので彼女が勝利。BRと俺とMの3人が共同で1つの大きな町を作るという初めての事態に至り、このせいで前半1人取り残され大きく遅れた萌が、道でこつこつしのぎ後半小ぶりな町をポンポンと取りスパートし2位となったのが面白かった。カルカソンヌ・フレンドリーマッチ(草原なし、乗っ取り禁止)は、誰でも勝てて楽しいよな。このルールではタイルの引き運がやはり一番でかいわけだが、自分の読みと予測によって招く運だから、勝っても負けてもすっきり納得がいくし。

 それに大人数だと自然とチーム戦の雰囲気が出てくるのが面白い。単独で大きな町を完成させるのが難しいので、協力してトップを追おうという話になるのだ。これは非常に楽しい。

 萌はこのゲームが割合に強く(どう置けば確率的に敵が起きにくくなるかという計算ができる)、今日の展開など興奮ものの逆転2位ゲットだったのだが、しかしなんでなのか夢中になってくれない。子供はやはり深く考え込むボードゲームよりも、サイコロゲームのほうが楽しいのだろうか。

 俺はもうカルカソンヌでボードゲーム欲は満たされてるから、うちでいずれ買うボードゲーム2台目は萌のために人生ゲームみたいなスゴロクでいいかなと思う。ただし新品で買うほどのものでもないので、中古で見つかったらでいいか。モノポリーは中古がありまくるが、同じくらい売れてるだろう人生ゲームは中古が出てこないので、それだけ面白いということだろう。

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 ストーンズの「シャイン・ア・ライト」のTV放送があった。最近ピアノで「You can't always get what you want」を弾いてる萌に、あれがこのバンドだよ、ミックなんかもう65歳くらいなのにこれほど元気なんだよと見せると、ええっと驚いている。まったくミラクルだよ。

 これは公開時に飛行機の中で見て、
20年前の日本初公演の頃―――というか血液全交換とかで死の淵から舞い戻って以降はずっとそうなのだが、キースってもはやギタリストというより、キース風味をバンドにつけるための薬味としてステージに存在してるのだと思う。イントロをギョギョギョとつっかえながら弾いたらお役御免で、あとは手くせでオカズを入れているだけであり、曲のコードをちゃんと覚えてるようにも見えない。「ブラウンシュガー」みたいな奇跡のコーラスはとうにできなくなっているし、キースの音にはもう興味を感じないのが正直なところである。海賊映画に出ていたが、もうそういう役柄で愛されてるだけなんだよな。

 と書いたのだが、キースは実際もう「今でも元気にギターを弾くおじいさん」というレベルの腕前だ。

 ちゃんとした音で改めて見ると、ロン・ウッドがもう完全にストーンズのメインギタリストなんだなと思う。「Start Me Up」でよくわかるのだが、例によってキースがイントロだけ弾いてお役御免になると、後はバッキングもソロもロニーが全編ギターを弾きまくっている。彼のギターの音量ミックスも昔より大きい。ロニーがこれだけ密に音を埋められるから、キースがほとんど弾かなくてもスカスカにならずバンドがドライブしてるのだ。

 ロニーからすれば「ギターは(ほぼ)俺1人なんだから遠慮はいらないぜ」と、腕のふるいどころを得て昔よりもやり甲斐があるのかもしれないな。ロン・ウッドにシャイン・ア・ライトである。

2010/10/17

日記「カルカソンヌ中毒」

「ボードゲーム探し」「シャキーンの猛烈な高品質」「草原ルールの悩み」ほか。

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■10/10/04(月) □ ボードゲーム探し
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 一般の店には売っていない希少なドイツゲームを探しにMKが言っていたコキットラムのゲームストアに行ってみると、ほしかった「チケットトゥライド」が店頭ウィンドウにずばり置いてある。興奮してプライスを尋ねるとしかし $59.99。ネット価格の倍近い。うーん、無理か。他にもカタン、プエルトリコなどすべての有名なドイツゲームがあったが、どれも値段は同じであった。がっくし。

 しかしこういう店はカナダで初めて見たな。数百のボードゲームやジグソーに加え、ボードRPG用のフィギュアや戦車、塗料が売っている。強烈な懐かしいフィーリングに包まれ、「お父さんが小さい頃に入ってたプラモデル屋みたいだよこれは」と萌にいう。カナダにはプラモデルがほぼ存在しないのだが、「小さく精緻なものを作りたい」という僅少なボーイ需要はこういうところで満たされているのだろう。日本のプラモデルとはバラエティも価格も比較にならないけれど。逆にでかく頑強なものを作りたいというオトコ需要はカナダじゃ膨大なので、ハードウェアストアが巨大になり廉価なわけである。

 あとでネットで調べると、「カルカソンヌ」というゲームが安くて人気が高い。これを探してみよう。

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■10/10/05(火) □ カルカソンヌを入手
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 BRのドクアポついでに、これもMKがいつも行くというポートムーディのゲームストアへ。そこでお目当ての「カルカソンヌ」が一発で手に入ってしまった。なんていい町なんだポートムーディ。海と街並みが美しいだけじゃなくて、田舎町なのにゲーム文化まであるのか。

 飯を作りながら1人で2回テストプレイして、絵柄が合うように置き土地を所有する基本ルールがわかったところで萌とやってみる。ここに置けるよと何度かベーシックを教えると、あとは萌の方が手を見つけるのが早く(これはカルタなどと同じで視力の差だろう)、お互いに教え合いながら進むのが楽しい。大きな都市が完成するパネルを引いたときは、「出た!」と2人とも興奮する。

 結局22ポイントという最大の都市を作れた俺が4手差で勝ち、初回にして十分に楽しい勝負となった。プレイ時間も期待通りに短い。30分かからないし、スゴロク系と違い人数が増えてもシステム上プレイ時間は変わらない。萌も「楽しいねこれ!」と続けてやりたがり、2戦目は大都市を完成させた萌が取る。

 あちこち細かく点を取りつつメインの大きな都市づくりを目指すというのは非常に自然で心地のいい遊び方で、大人同士がよりコンペティティブになれば乗っ取りその他でこんなに牧歌的にはやってられないと思うが、協力と攻撃の両方ができるところがこのゲームの美点だな。クルーなんか協力も邪魔もできないし運の要素もほとんどないので、萌ら子供が勝てるわけがなく気の毒なのだ。スゴロクはフォーミュラDのように、どれほど複雑化しても逆に運だけすぎるし。

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 夜、1人で3色を動かしカルカソンヌ戦術研究をしていると(――俺が勝ちたくて研究してるのではなく、ベストな定石を見つけて伝え誰もがコンペティティブにプレイできるようにしたい――)、萌が横から加わり一番負けていた黄色を勝たせようと一緒に考えてくれた。こういうふうにひとり遊びでソリテアとしてやっても面白いし、隠す札などがないゆえ横から口を出せるところもカルカソンヌのよさである。やはりこれは大人になってからやったボードゲームで最高だな。

 俺はバンド時代ツアーに持っていき、移動の車内や宿でやっていたバックギャモンにノスタルジックな愛着を持っているのだが、あれはダブリングキューブと掛け金がないとゲーム性ががたっと落ちてしまう。たとえばMとやると彼女はダブリングキューブを使わず、常に効率のいい数学的最善手を打ち、俺が仕掛ける罠をさっさと飛び越えていく。そして俺のことを単にバックギャモンの下手な人だと思っている(+_+)。こうされるとバックギャモンというのは味気なく単調な遊びで、何度もやれるようなものではない。カルカソンヌには1人2役をやっても延々と思考の愉しみが得られるだけの面白さがある。

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■10/10/09(土) □ シャキーンの猛烈な高品質
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私がアップロードした「知るや君」は、1年で2万回もプレイされていた。
国民の愛唱歌として教科書に載せてください。
「シャキーン!ザ・ライブ」第2弾? を見る。声が低くオトナっぽいアメリカンアイドルに憧れる萌は、「あやめちゃん」のキンキンした声に代表される日本的子供番組にはもう興味をなくしており、シャキーンバンドの素晴らしい演奏がばんばん続くのに向こうから一緒に口ずさむだけで画面を見もしない。おいおい。しかし名曲「知るや君」ライブバージョンあたりからはさすがにこっちにやってきて、その後は釘付けであった。音楽の力なり。

 カナダで暮らす10歳ガールが TV Japan 番組の幼稚さを笑い無視するのは自然なことで、俺自身カナダに住んでるおかげでそういうものにあまり触れずに済むのはありがたいと思っているが(大人が子供風にたどたどしく喋る「ポチタマ」Tarako さんその他のナレーションからして、日本的幼稚TVは気色が悪い)、シャキーンに込められたイノセンスは幼稚さとは別物であり、混同してほしくないものである。

 しかし一度見て2度目はダビングするために好きな曲だけ見たのだが、前回見た時よりもさらにすごいコンサートである。ベースが女性で歌が無茶苦茶うまい。検索してみると外人部隊というバンドの人らしい。声を聞いただけでタダ者ではないと思うレベルのボーカルが、樹木となって顔も名前も見せずに歌ってるのだからこのバンドは意外性だらけだ。後半にはムッシュかまやつまで出てきて俺は意外性にひっくり返った。サイケなストリングスおやじもかっこいい。実にまったく猛烈な高品質のシャキーンコンサートでした。素晴らしい。

 こんなにすごい子供音楽はほんとに、カナダにもUSAにもないんだよ(※)。それが見れることの幸せを俺は萌に説き、ほらここにビートルズのコードが入ってて美しいと思わんかと解説してやるのだが、理詰めで好みは変えられんからなあ。
(※)ついでに「どれみふぁワンダーランド」も世界無二のすごい音楽番組である。毎週(隔週?)ほんとに楽しみなのだ。

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【追記】シャキーン・ザ・ライブ2010を Youtube にアーカイブしました。
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①ザ・シャキーンズのテーマ

メインボーカルの気弱さが歌詞のテーマにどんぴしゃ。そしてサビに入ってくるセカンドボーカルの声にぶっ飛びます。誰だこのベースはと調べてみると、外人部隊というユニットの ACKO という人らしい。なんてかっこいいんだ。


②かんじてごらん
楽 器の音色、コード、コーラスとすべてがビートルズで、歌詞は全部小1の学習漢字でできているというもう、傑作工芸品といえる曲であります。メインボーカル のテツロー、サイドのサキタの両者とも声量と技巧がないのが実にロック。エンディングのこの圧倒的なサイケ音を現場で浴びた親子は幸せものだ。


③知るや君
古典の教養がない私たちにも島崎藤村の美しさが分かる名曲、「知るや君」。この曲が音楽教科書に載り、作曲のサキタハヂメが毎月のお米代を終生もらってもいいくらいの曲だと思う。ノエ(熊本野映)さんの歌も素晴らしい。


④いっしょにいるから
弱 い心と体を持ち才能はあるがなかなか日の当たらない(ように見える)テツローを、お日様のようにつよく照らし、その温かさを知るノエ。JPOP は「あなたを信じてるそばにいる待っている」てな、いわば無条件サポートを謳う保証書みたいな歌ばっかりですが、この歌にはそれらとは違う、人という字は 支え合ってるのだという普遍的な善美があります。メンバー間でボーカルを回していくというクラシックなことをしてくれる二番にもほんとに泣ける。ここでも ベース ACKO 氏の声が突き抜けている。



⑤うた時計
御大ムッシュかまやつもくるみ割りソルジャーとなり登場。このコードとメロディの豊かさよ。この曲のアニメ版は3分で地球の歴史が学べておおおと勉強になるんだよね。どこかに残っていないものか。というわけで、後世になんとか伝えたいすばらしいコンサートでした。

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■10/10/10(日) □ カルカソンヌ中毒
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 俺は完全にカルカソンヌ中毒となり、毎夜TVを眺めつつソリテアとして1人でカルカソンヌをやっている。昨夜ついに奥さんもカルカソンヌに引き込んだ。彼女の好きなトランプのソリテアを対戦型にしたようなゲームなので、当然ながら即座にルールを理解しはまり、なんと5戦も連続でサシ対戦となった。このゲームのクイックさと面白さが十分に伝わったのは間違いない。奥さんもカルカソンヌ中毒。

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 午後久々にきたMKとゲームの話をすると、ポートムーディのあのボードゲームストアはやはりゲーマーであるMKの友達がやっており、「最近背の高い日本人が来なかったか」と店主に聞いたら「おお来た来た、カルカソンヌを買っていった」となり、「彼は僕の叔父さんだよ!」という会話で盛り上がったのだそうだ。

 あの若い店主は今なんと、日本の忍者スクールに行ってるとのこと。なんでカナダ人には忍者スクールがそんなに人気があるんだ(笑)。格闘技の一種と捉えられているのかな。

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■10/10/16(土) □ 草原ルールの悩み
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昨夜からイトコのSFがスリープオーバー。今日は萌とSFがクローゼットのドアに美しいリンゴの木を描いた。これは素晴らしい。話をしてみるとSFはアート全般に興味があるらしい。来年にはハイスクールを終えるわけだが、アートカレッジ等に進むのかな。

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 晩飯:MK家でバーベキュー。当然カルカソンヌを持ってきたのだが、ゲーマーMKは昔やったことがあるとのことでルールをほぼ把握していて、いきなり萌の都市に相乗り(強制的に自分の都市を相手の都市に連結し同スコアを得ること)してきた。これまでこのゲームでアタックされたことのない萌はルールを分かっておらず防御しなかったので、なんときれいに乗っ取られてしまう。なんてことをするんだお前はオニかと大盛り上がり。

 しかし幸いにもこの都市がでかくなりすぎたためにMKは完成できず、萌は別に中規模の都市を完成させて着実に点を取り2位。教会をきれいに2つ完成させたSFが1位、俺は特に何もできなかったが3位。そして最大タウンに固執しすぎて他の都市を開発しなかったMKが結局最下位で皆満足となる。グレイト :-)。4人ゲームはやはり使えるタイル数が2人時の半分になるのであっけなく終わるという感はあるが、その分大人数でにぎやかな楽しい勝負になる。

 草原ルールはポイントが大きすぎると感じるから1都市2点にしている(※)とMKに説明すると、その大きなポイントを熾烈に奪い合うのが面白いのではないかと奴がゲーマーらしいことを言う。まあ熱いゲーマー同士ならそうだろうが、萌もいるわけだし、1つの手が過剰に結果を左右するエレメントは俺の好みではないのである。しかしこうしてその家にあったローカルルールを考えて実施できるところが、ボードゲームの面白さだ。
(※)《都市に連なる草原を取ると接する1都市につき3点》の「草原ルール」というものがあって、これは下手するとコマ1手で8都市24点とかの巨大都市並みのスコアがぽんと取れてしまう。それまでの楽しい都市開発の趨勢とは見た目上まるで関係なく草原プレイヤーにどでかい点が入るので、Mも憮然としていたし俺もバランスが悪いと思っている。

 このあたりのルール調整はこれからも検討していきたいが、とりあえず初所有のボードゲームとしてカルカソンヌは非常に満足感が高い。「カタン」など傑作と評判の別ドイツゲームもやってみたいが、これよりも複雑で時間のかかるゲームをボードでやるのは面倒だという気がする。PCやDSで複雑なゲームをやるのは苦にならないが、それは自分のペースで断続的にやれるからで、人とやるゲームは次元の違う集中が必要だからなー。カルカソンヌに拡張セットを足しハウスルールを整備して、よりゲーム性を高めていこう。

2010/10/10

日記「Stars On ビートルズメドレー」

「『クールな子』とは」「Axim X51v に移行」「不思議なカナダのファストフード」ほか。

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■10/09/20(月) □ 「クールな子」とは
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 午後、新しい学校で最初にできた友達CHがやってきた。萌はボーイズやALと一緒だとバカをやって騒ぐだけなのだが、JDやCHのようなおしゃれな子と話すときは、かっこいいことを言おうと高揚してベラベラと喋りすぎる。まあそれがノーマルな10歳なんだろうけど。キュートではなくクールでありたいのだろう。

 学校でも「クールな子」とそうでない子は明確に分かれているらしく、萌が「そのときクールな子たちが言ったの―――」と学校での出来事を俺たちに報告することがよくある。萌は「クールじゃない子たち」に属すわけである。これは要は気が強く攻撃的な子が「クール」だということなんだよな。

 ちなみに萌に前の学校での「クールな子たち」とは誰かと聞いてみると、なるほどと思い当たるガールズの名前が並ぶ。それらクールキッズのお母さんもみな、見るからに癇癖の強さが漂ってくる人々だ。俺や萌と校庭ですれ違っても目を合わすこともなく、萌が自分の娘のクラスメートだと気づいてすらいないらしいお母さんがたである。

 萌の友達のお母さんは例外なく、知り合いになる前から物腰が柔らかく挨拶を交わしていた人たちなわけで、クール(意地悪)とノン・クール(普通)は血統できっちり決まっているように思われる。

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■10/09/21(火) □ Axim X51v に移行
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 「クロスロードで iPhone に魂を売り渡した」というP氏が使わなくなった Pocket PC、DELL Axim X51v をついに譲り受けた。ありがとうございます。ハード的には予想以上にいい。これほどネット速度が速いとは思わなかった。そして手書き漢字認識の精度がすごい。現在校庭でお試し入力中。これは Pocket PC 史上最強の認識精度だろう。

 しかしある程度予想はしていたが、Pocket PC 2002 までのソフトウェアが1つも動作しない。そしてそれらのフリーウェアの Windows Mobile (Pocket PC 2005 相当のOS) 対応バージョンが全然ない。Windows Mobile 時代ともなると iPod その他に押され、Pocket PC の利用人口自体が減ったのだろうな。

 さらにこれは知らなかったのだが、Windows Mobile 5.0 というOS自体が不安定だ。明らかに Pocket PC 2002 よりもフリーズが多発している。アプリのフリーズから復帰できないのである。これも今時の OS としてなんなのかとため息が出る。

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■10/09/22(水) □ 文句ない担任
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 萌の新しい学校の先生紹介で、担任の先生と初めて会った。快活ですごくいい人で、「ペアレンツはフランス語がわからな(くて手伝えな)いんだから、宿題はできるだけ出さないよう心がけている。連絡もペアレンツにわかるよう英語でやる」と、若い人なのによくものが分かって気遣いがある。カナダの教師は物腰はフレンドリーだけどやることは我が道を行くという人が割合多いので、こういう気遣いをされると感心してしまう。生徒に自発性を持たせるようどうしているかといった説明も理にかなっており、文句ないな。ありがたい。

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 学校の施設は新しい割にあまりよくないのだが、冷水と温水が出る(つまり子供がカップラーメンが作れる)給水器、電子レンジなど田舎の学校にはなかったアメニティがあるところがなんとなく都会的だ。

 しかし都会だからなのかなんなのか、年上の男子に向かって「ルーザー(負け犬野郎)」と罵る2年生(7歳)なんてのがいるらしい。萌がそれを校庭で目撃し、「そこまで言うことないんじゃないの」と口をはさむと、「あんたは私のボスじゃないわよ!」とその2年生は反論したのだそうだ。

 この「you're not my boss」というのはうちの近所の子供も皆言う捨てゼリフなのだが、その親はいったいどういう躾をしてるのかと呆れるものがある。SMの父親は実際「俺がボスだ、俺のいうことを聞け」と娘を叱るのを見たことがあるので、まあそういう躾が相当に一般的なんだろうな。物ごとの正否と関係の上下なんて1つも関係ないではないか。馬鹿である。やれやれ。

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■10/09/24(金) □ 不思議なカナダのファストフード
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 3日間設定に苦闘していた Axim X51v は、フリーズの原因と対策がネットのユーザーフォーラムでわかり一山超えた。やはり Windows Mobile OS のせいだった。さまざまなバグつぶしとソフトウェアの構成に苦労しやっと実用ベースに乗ってきたけれど、ユーザーにここまでやらせる Pocket PC/Smartphone はもう、一般人が苦労もせずに使える(のだろう)iPhone とかの家電型端末にはかなわないなとつくづく思う。

 俺は要はキーボードを使わずに手のひらでラップトップと同じことをしたいわけで、Windows 的に自由度が高い Pocket PC はその用途では今でも最強だとは思うのだが、しかしそれも基本的にトラブルフリーで動いてくれたらの話である。先端的な Linux じゃないんだから苦労は望んでいないのだ。

 ともあれ Windows Mobile には問題が多々あるが、Axim X51v のハード性能は素晴らしい。美麗な画面、高速なアプリ動作、クリアなボイスレコーディング。管理に苦労はしても、もうカシオ E-2000 には戻れない。

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 ビアード・パパのシュークリームをお土産でもらう。数年前リッチモンドに開店したときに行列ができて話題になったが、もう10店舗もあるのだそうだ。文句なくうまいがこのレベルの菓子を作るのがさほど難しいとも思えず、なんでカナダのベーカリーでシュークリームがいまだに作られないのかワケがわからない。うちの近所で普通に買って食いたいのに。

 バンクーバーのダウンタウンでは「ジャパドッグ」というホットドッグスタンドがこれまた行列ものの人気で、これもやがて店舗を広げるのだろう。単に「ジャパン」が高級ファストフードのブランドになってきているっぽいが、これまたうまいホットドッグを作るのが日本の匠の技なはずがなく、普通にうまいものを作れば爆発的に売れるくらいまずいものばかり売っているということだろう。なんでカナダ人は塩化カリウムが多すぎるKFCやバサバサにドライなマクドナルドを文句も言わずに食っているんだ。ファストフードとはいえこんなものは食ってられんと無視していればもっとレベルは上がるはずだろう。ほんとカナダ人の食ビジネス感覚は不思議である。

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■10/09/28(火) □ 日本の秋のような日々
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 BRの指圧アポイントメントでポートムーディへ。秋にしては珍しく暖かく晴れている。週末は雨が降りながら20度もあって、まるで日本の秋のみたいで気持ちがいいなと思った。学校で会った日本のお母さんもほんと日本みたいよねと同じ感想をもらしており、そうだよな、日本の秋って幸せだよなと思う。

 放課後、萌を遊ばせに前の学校へ連れてくる。やっぱいつになってもこっちのほうが友達も多く楽しいよなー。しかし萌が「新しい学校にこれこれがある」と話したせいで、WLとALが「そうかよ、うちなんかこうだぜ」と口論になっていたので割って入る。くだらんことでケンカをせんでくれ(笑)。

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■10/10/01(金) □ 「最近のJ-POPの歌詞」
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> koji_hiyama 「最近のJ-POPの歌詞」
>
> 翼広げ過ぎ
> 瞳閉じすぎ
> 君の名を呼び過ぎ
> 会いたくて会えなさ過ぎ
> 前髪切りすぎ
> 私弱すぎ
> 桜舞いすぎ
> 親感謝されすぎ
> 季節めぐりすぎ
> 君のこと考えすぎ
> もう一人じゃなさすぎ
> 大切な人居なくなくなりすぎ
> あの頃に戻りた過ぎ
> 一歩づつ歩いて行き過ぎ
>
> TeseBochum9がリツイート

 芝刈りをしつつ Axim でネットを読んでいると、チョンテセがこんなに素晴らしいつぶやきをリツイートしてくれていた。久々に何かを読んで爆笑したなー。外で仕事をしつつチョンテセのメッセージを読み、こんなすごいものを教えてもらえるという、幸福な Axim モバイル体験である。とにかく安定してほしい。1週間経ったがまだ安定性が完全ではない。

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■10/10/02(土) □ 日系ファーマーズマーケット
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小さな巨木!
 日系ファーマーズマーケットがあるのことでニッケイセンターに来る。ナスやカブなど日本の野菜があるだけで別にお祭り的なイベントではなく、各種習い事道場を見学し、まんじゅうとおはぎ(懐かしい!)を食べ野菜を買い、盆栽を見て帰る。この盆栽がすごかった。松の木などは見てもなんとも思わないが、この小さな巨木は本当に風格がある。これならほしいが、おそらく百万円とかするんだろうなあ。

 伝統あるここの日本語学校は優秀との定評があり、実際今日クラスにLSがいたが、週末半日潰してここに通うというのは難儀なことである。クラスから出てきたLSがわしらを見て「あれ?」と目を丸くしてるので、「今日はLSがちゃんと日本語を勉強してるのかチェックしにきたのだよ。ちゃんと勉強してくれよ。頼むよ」と言っておいた。

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■10/10/03(日) □ Stars On ビートルズメドレー
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 ST家のホームパーティ。ディナー後、みんなが欧州旅行写真を1時間以上も見ているのに待ちくたびれ、俺と萌は階下のミュージックルームで遊ぶ。萌にドラムを叩かせ No Reply から Stars On ビートルズメドレーにトライ。この Stars On メドレーは実に驚くべきデキのよさなのだが、自分でやってみると各曲歌い出しで音程が全部はずれる。それがおかしくて1曲ごとに爆笑のメドレーとなった。Stars On はあれは実はつなげて歌えるよう、全曲のキーを変えていたのだ。すごい職人技だ。

 今 Google して今はじめて知ったが、「Stars On 45 - The Beatles」はオランダのスタジオミュージシャンが作ったのだそうだ。意外なところに意外なビートルマニアの才人がいたというわけだ。

 久しぶりに大声でビートルズを歌うと気持ちがいい。萌の音程も素晴らしく、「Please Please Me」は2人が完璧にハモった上に俺のギターとパシパシという萌のドラムでビートにうねりが出て、素晴らしいグルーブが生まれ最高だった。萌、これがバンドだよ。すごいよね。萌もいつまでもビートルズを歌い育ってほしいものである。そのためにこの Stars On Beatles が役立ってくれるだろう。

2010/10/03

日記「萌の勉強部屋が完成」

「イモリの病気」「前の学校で遊ぶ」「ボードゲーム考」ほか。

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■10/09/10(金) □ イモリの病気
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 バンクーバーの秋らしい、今にも降り出しそうな空が毎日続く。BCの秋が悲しいのは爽やかな夏が終わると同時に雨季になり、あとは春まで延々と寒くジメジメなところにある。春、夏、雨季、冬しか季節がない。本格的な雨季が始まる前に、排水ポンプの非常用バックアップシステムを構築しなければ。

 イモリのパスタに皮膚の疾患ができてしまった。こいつはうちに来てから自力で餌を食べたことがなく、1年余ずっと俺が強制給餌を続けてきたほど弱いやつなのだが、本格的に病気になったのは初めてのことである。調べると特に薬などなく感染の可能性があるので、とにかく小さなプラ水槽を買ってきて隔離することにした。長期戦となりそうだ。

 はあ。元気な日本のアカハライモリ飼いがうらやましい。Youtube や飼い主ネットカメラで見るとアカハラの活発さは実際驚異的である。水面に浮いた金魚の餌を泳ぎながら食べたり、水面を流れる浮島にひょいっとよじ登るなんて映像を見ると、これはほんとにうちのシナイモリと同種の生き物なのかと思う。小亀並みの動きの速さと生命力だ。うちのシナに比べ体型的に頭が大きいので、脳神経系の発達具合がまったく違うんだろうな。

 ペットショップの兄ちゃんは日本イモリの発注も可能だと言ってるのだが、しかしカナダというのは店員の言ってることがものすごくいい加減なところなので、生き物の発注はこわいのである。何が届くかわからないのである(苦笑)。

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■10/09/15(水) □ パスタ死亡
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 隔離水槽のパスタの様子は今朝も変わりなく、それなりに元気で餌も食べられそうに見えるので、反応を見るために赤ミミズとドライフードを底に少量置く。で1時間半ほどしてから水槽に目をやると、なんと彼が水中に沈んでいた。えーっ!

 今後ことによるとここで一生過ごすかもとサブ水槽を快適に整備していたのだが、隔離1週間で死んでしまうとは完全に予想外だった。金魚たちが死んだときのような予兆は全くなかった。むしろ隔離当初より水がきれいな今の方が体調はいいと思っていたのだが。まあもともと極端に弱い奴だったので、寿命だと考えるしかないだろう。はあ(合掌)。死人が出たので予定を変え全換水しよう。

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■10/09/16(木) □ 萌の勉強部屋が完成
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まさに夢の子供部屋。
 PCを組みデスクライトを設置して、萌の勉強部屋が完成。こっれは夢の子供部屋だなあ。萌は一人っ子で気の毒だが、兄弟がいる子はこれほどのスペースを1人では使えないだろうから、その点だけは恵まれている(ベッドとPCは親戚からのお下がりだし)。俺は大人になってからだってこんなにいい部屋に住んだことはないぞ。

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■10/09/17(金) □ 前の学校で遊ぶ
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石とプラ植木鉢で浅瀬と深場を仕切り、
悪食の魚をブロック
 水槽のレイアウト変えをした。最近ミノウ(金魚っぽい小魚)がイモリたちの餌を盗みに来て止められないので、魚が入れずイモリだけが石をよじ登り入れる浅瀬を作ったのだが、バカなのでイモリたちも深場から浅瀬に登れない ^_^;。どんなに頑張っても登れずパニックになりかけており、手を入れてガイドしてやるしかなかった。アカハラだったら簡単に登るだろうが、シナイモリの運動能力じゃ「泳いでグリップしてよじ登る」というアクションは無理なのかな。まあ明日から慣れてくれ。イモリだって少しは学習するだろう。

 広くなり快適そうな浅瀬でくつろぐノボリたちを見ていると、死んでしまったパスタにもこの浅瀬を味あわせてやりたかったなと思う。

 パスタが死んだことをイモリに興味のないMには特に報告しなかったのだが、「そんな大事なことを話さないなんて」と怒られてしまった。夫婦というものは実に難しい。

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 今日は放課後、萌を前の学校の校庭に連れて行った。「萌が来た、萌が来たよ!」とAL姉弟の熱狂ぶりがすごい。悪友WLは木登り中で、萌が登って行くと「お前かよ! 来るんじゃねえよ!」みたいに盛り上がっていた。

 しかし事情を知らない人にどうして学校を変わったのかと聞かれると答えにくい。しかも萌はALに誘われ前の担任に会いに行こうとする。ちょ、ちょっとそれは、転校の理由を原因本人に訊かれたらヤバいではないかと止めておいた。やっぱ前の担任の教育指導がごく低調だったとはいえ、萌は特に嫌いじゃなかったんだよなと申し訳なく思う。教師以外はこちらのほうが環境がいいし友達も全部いるわけで、週に一度くらいはこっちの校庭で遊ばせてやろう。

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■10/09/18(土) □ ボードゲーム考
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 うちでは最近ボードゲームが流行ってるのだが、MKが「フォーミュラD」という新しいやつを仕入れてきた。サイコロでサーキットを回るスゴロクなのだが、車の5段のギアによって振るサイコロが変わり、《高いギアは大きく進むがコーナーを曲がりきれずペナルティがつく》という法則がなかなか面白い。

 しかし要はそれだけのスゴロクなので、バックストレッチに入る頃にはもう勝負は決しており、皆の関心はサイの目が悪く大きく遅れた気の毒な萌をどうやって追いつかせるかだけとなった。最後にペナルティなどもう構わんから5速サイコロを振れといい、それで萌が2台ごぼう抜きしたときだけが盛り上がった。つまらなくはないが、雑誌の付録で数回やって終わりくらいのレベルのゲームだなあと思う。

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 家族でやるボードゲームはとても楽しいのだが、この前にやっていた「クルー(これは英語圏の家族は誰もやる古典らしい)」が典型的であるように、こっちのボードゲームはやたらに時間がかかる。「クルー」なんか面白いけれど下手すると1ゲームに1時間かかる。それに「クルー」もこの「フォーミュラD」もルールに工夫がなくて、逆転の可能性や子供(萌)が勝つチャンスがほとんどないのがいかがなものか。どちらも初回の途中ですでにこりゃルールが片手落ちだろうと思い、ゲームを楽しむより改善案を考えてしまう。

「フォーミュラD」は要はコーナーオーバーランのペナルティがボディへのダメージだからいかんのである。ダメージなどあっても1周のレースでは余裕で完走できてしまうから、どうやってもサイコロの目がいい奴が勝つに決まっている。欲をかいてオーバーランしたらコーナーの手前に戻してしまえばもっと僅差の勝負になるだろう。スゴロクなんだから一番痛いペナルティは戻されることなのだ。

 「クルー」は俺がサイコロを1個から2個にして移動時間だけは短縮できたのだが、証拠集めの効率の悪さはいかんともしがたい。15分くらいで1ゲームが終わり、どんどん次のターンに行けるゲームに改造したくなるし、萌とグランマにはハンデもあげたい。勝ってるやつの足を引っ張ったり、負けてる人を支援したりするという日本的なおせっかい&親切心が、「マリオカート」を筆頭とする任天堂ゲームに込められているんだろうな。

 俺が子供の頃やった「バンカーズ」や「騎兵隊ゲーム」はもっとずっと楽しかったと思うのだが、あれは単に子供だからだったのかな。バックギャモンやリバーシ並みに簡単なルールと戦略でぱっぱと1ゲームが終わるボードゲームがないものか、探してみよう。萌の友達が来たときにやれるくらい単純なものがいいよな。

2010/09/15

日記「都会の学校へ」

「楽器を探せ」「スティーブストンの紅鮭」「PNEの夫婦漫才」「フレンドシップフォーエバー」ほか。

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■10/08/30(月) □ 転校が決まる
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 夏前から問い合わせていた隣町の小学校の校長から連絡が入り、萌の転校が決まった。萌のフレンチクラスは若く意欲的な教師だそうである。決まってしまったかー。先生はそちらのほうが絶対いいだろうが、キンダーから5年間付き合った今の学校の友達とは会えなくなるわけで、よく萌が承知したものだと思う。新しい学校での体験と出会いの方に彼女の胸は今ときめいているとはいえ、気の毒で仕方がない。

 6月の終業時、問題ありまくりだった今年の担任が来年も残るのであれば、もうこのI小学校にはいられないとMが校長と話したのだが、結局何も変わらなかった。あの校長は生徒のために学校を運営してるわけじゃないのは、この2年明白だったしな。本当に最低限の義務しか果たさない校長と教師たちだけになってしまった。

 BCの短い夏の終わりを告げるかのごとき長雨。今年は30度を超える日が、全部合わせてもたぶん7日くらいだったよなあ。あとはどんどん冷え、長い長い雨季に向かっていく。寂しいものであります。

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■10/08/31(火) □ 楽器を探せ
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 長年世話になっているLDに最近いろいろと不運が続き、落ち込んでるからもてなしたいとMが企画し、超サプライズプレゼントとして彼女がほしがってるエレピを買って来いと言われ久々に楽器屋に行く。

 予算2百ドルならロクなエレピは買えんだろう、どうせ買っても忙しいLDがレッスンを取るとも思えず、だったらアコースティックギターのほうが置くだけになっても場所も取らずインテリアとして見た目麗しいのでいいのではないかと俺は思い、エレピはさておきその価格帯のギターを片っ端から弾いてみる。

 するとこれがまあ俺が子供の頃の2万円ギターとまるっきり同じ音がする。つまり全然よくないのである。電子楽器の値段は近年信じられないくらい下がっているが、ギターとかアンプとかのフィジカルな木製ブツの値段はまるで下がってないというか、安ものは音も安いままで水平推移しているようだ。俺が中学の時に最初に買ったヤマハ FG-200 もあったのだが、これが 30 年後もまったく同じ音とネックの握り具合で笑った。まあ安いのをいい音にしちゃったらいいギターを誰も買わないか。

 で結局 YAMAHA エレピの下位機種が予算内であり、これが十分にいい音で決定。ちなみに連れていった萌は、自分が弾ける数少ない曲を店のいろんなキーボードで弾いて悦に入っておりました。楽器屋で自分の腕前を披露したい気持ちは誰もが同じだ :-)。

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■10/09/01(水) □ スティーブストンの紅鮭
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 Mが港町スティーブストンへ1時間強かけてサーモンを買いに行く。今年は百年に一度のとんでもない大豊漁だそうだが、それが市場には出てこず、こうして個々人が車にクーラーを積んで買いに行かねばならないというところがカナダのよくわからんところである。

 野菜もそうで、スーパーマーケットの野菜はカリフォルニア産ばかりで、旬の地域産のものなど年間を通じ一度も出てこない。そういうものが食べたければファーマーズマーケットを探して消費者が車で買いに行くしかない。サステイナブルフードだの100マイルダイエットだのと理念はかまびすしいが、それを手に入れるには客が長駆車で買いに行かねばならない(使われる総体エナジーは増す)のは矛盾してるだろうといつも思う。カナダの流通は消費者の望むように働いてないのではないか。町内のスーパーでリーズナブルな価格と新鮮さで手に入るなら、誰だって地元のものを食べたいに決まっているのに。

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魚の捌きは全員ど素人
 午後到着したスティーブストンのサーモンを一家総出で捌き食す。うまい。当然うまいけれど、やっぱり素人捌きでやや身を崩し味を落としたかもしれない。3枚おろしはMがやり相当に頑張っていたけれど、身の半分以上は骨に残りスープ行きだし。実に難しい。釣り師の兄貴か弟に俺が習っておくべきであった。ぶつ切りで落とした頭の部分の身が一番うまかった。

 サーモンを捌く前に久々に砥石で包丁をきっちり研いでおいたのだが、これが全然切れず、義母BRが出してきた油紙に包まれた「特別にシャープなナイフ」に完敗してしまったのがショックであった。俺のもたいした包丁ではないとはいえ直前に砥石で研いだものが、まな板すら持っていない(木のカウンター上でなんでも切っている)英国老婆のナイフごときに負けるとは。ショック。

 何が違うのか比較してみると、俺の包丁は薄身で生肉や野菜をシャープにスライスするにはきれいに切れるのだが、BRのは厚みがあり、それがサーモンの骨や硬い皮をギコギコと断つような切り方に向いているようである。それに材質が昔俺が持っていたオピネルのキャンプナイフのような炭素鋼で(だから普通に扱うと簡単に錆びるので油紙に包んであるのだ)、それが吸いつくように切れるもうひとつの理由である。俺もああいう骨を断つようなナイフが1つほしい。オピネルのでかいのを買えばいいのかな。

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■10/09/02(木) □ PNEの夫婦漫才
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暗くなるまで遊びつくすPNE
 この夏最後のイベント、PNE(遊園地&農業祭的な夏の大イベント)。パーキングは去年からさらに5ドル上がり$25! 食べ物も去年から$1ずつ上がるというすさまじいインフレだが、Mに言われそれはもう考えないことにして気を取り直し、暗くなるまで存分にPNEを楽しんだ。

 しかし今年で百年だそうだが、こんなインフレ商売でこの後百年続くのかなと思う。数年前まで数百人数百メートルの大規模なものだったパレードは、今年はついに1団体による音楽ショーに変わってしまった。ドラムをフィーチャーしたこのショーは非常によかったが、「こ、これだけ?」という声があちこちから挙がってしまうのは否めない。

 演し物で一番印象に残ったのは Equilibrium Circus という男女2人組の大道芸人だった。芸は旦那?の肩の上で奥さんが倒立するといったごくシンプルなものだったが、トークと表情になんとも楽しい味があり素晴らしい。

 こういう人たちを見ると、英語人は喋るのが本当にうまいなと快感を禁じ得ず唸ってしまう。TVで見る米国カナダのコメディアンはラチもないピン芸人ばかりで実につまらないのだが―――親切な米加人はそれを実によく笑うのだが―――、英語スピーカーは掛け合いの会話が面白いんだから漫才をやればいいのにと思う。なんで「俺のマザーがそのときなんて言ったと思う!? ○○って言ったんだよ!!」みたいな超絶ぬるジョークで喜んでいるのか理解しがたい。

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■10/09/07(火) □ 新学期
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 新しいG小学校に行ったM萌が、第一印象は最高だと帰ってきた。前のI小学校の前校長だったP校長はもちろん、I小学校にいた司書もいて萌の名前を覚えており、複数の日本人お母さんも「あら萌ちゃん!」と駆け寄ってくるという大歓迎ムードだったそうだ。考えてみればコキットラムだから日本語学校で顔見知りの人々がたくさんいるのである。そうかそうか。これは楽しくなりそうである。うちのお母さんはいつも正しい。不発アイデアばかりでブラッターみたいだなんて言ってすいませんでした。

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■10/09/08(水) □ 都会の学校へ
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やや殺風景な校舎と背景
 萌の新しい学校に初めて行ってみた。コキットラムの背の高いアパート群に囲まれた、外見は味気のない兵舎風カマボコビルディングだが、中は明るく機能性にあふれた近代的な図書館といった趣き。P校長が今日もチアフルに萌の世話をしてくれる。

 彼は自ら萌をクラスまで連れて行き、「萌は自分が2年前までいた前任校の生徒だったんだ、彼女は最高だよ」と紹介してくれたのだそうだ。昔は誰にでもウルトラ愛想がいいところが政治家っぽくてちょっとと感じていたのだが、親がいないところでこういうことがすっとできるところがたいしたものである。Mも言うとおり彼は「生まれながらの政治家だが、いい政治家」なんだな。彼がいなくなったI小学校がすべてにわたり味気なくなった分、こっちの学校が快活になっているのだろう。

 入り口が吹き抜けを抜ける空中渡り廊下になっている。おおかっこいいと俺と萌は興奮。今までは田舎の丘の中腹にある自然豊かな学校だったので、たかだか隣町なのだがえらい都会の学校に来たなと気圧される。こういう必要性を超えたかっこいい作りが象徴するように、必要最低限だった前の学校よりやる気のある教育が受けられるはずというのが転校の理由なのである。

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■10/09/09(木) □ フレンドシップフォーエバー
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 【萌新学校3日目】やはり明るく楽しい先生がいいようで、クラスは楽しいの一語らしい。すでにクラスで友達もできたという。しかし放課後校庭で遊ばせていると、遊具がごく小さい子向けに揃えられており、5年生の萌ほど大きな子供はまったく遊んでいないとわかる。この辺は木々と芝生とスペースだらけの前の田舎の学校のほうがよかった。

 萌も遊んでいてあまり盛り上がらず、「そうだ、この後前の学校の友達と遊んでいい?」と聞く。そうだな、どうせ帰り道だからALんとこに寄ってみようかと寄り道すると、ちょうど彼女も帰ったところで、路上で俺たちを発見し、「萌! 萌よ!」と姉弟がきゃーっと奇声を挙げ萌に駆け寄ってきた。失われたと思ったフレンドシップがなくなってなんかいなくてALはうれしかったのだとお母さんがいう。そうだよねえ。前の学校の子たちとはこうして放課後できるだけ遊ばせてやろう。

2010/09/01

日記「島縦貫ワインディングロード」

「Twitter への無理解」「ブレインキャンディ」「アニメ監督のご苦労」ほか。

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■10/08/20(金) □ Twitter への無理解
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 午後から晴れたが気温は20度ちょうどくらいで、秋の気配。昨日に続き庭の枝落としとフェンスの修繕をする。昨日買ってきた釘でフェンスを直していると、前居候MKの手を借りぬ完全自前修理なのでうれしくなる。今まではハンマーも釘も全部奴のツールボックスから借りてやってたからな。彼も俺も同時に自立したみたいで悪くない。この釘から始めて、自前ツールを揃えていくべし。

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 俺が Twitter を使ってると今日知ったMに、「えーっ!『スターバックスなう』とか書いてるわけ!?」と猛烈な拒否反応を示された。いや俺はそんなことはさすがに書いてないんだが、でもたいしたことは書いてないので、「リアルタイムでつぶやくことになんの価値があるの」と詰問されるとうーむと詰まってしまう。でも今感じていることをつぶやきたくなっちゃうんだよ、こんな風に。

 Mのブログや Twitter へのこの無理解無関心は、彼女が私小説、純文学、小津的な日本映画などを苦手とするところにも通じているんだろうな。彼女は実生活でもつぶやきという行為自体が苦手で、対話を最も愛しているわけだし。

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■10/08/21(土) □ ブレインキャンディ
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まあこういう感じです
 泊まりに行ったJD家から疲れて帰った萌が、すぐさまディズニー子供チャンネルをつけぼーっと延々見ている。ディズニーといってもアニメはなく、ティーン役者のコメディ芝居が終日延々やっているというもの。俺はこの夏休みこんなものばかり見るなと毎日ガミガミ言っていて我ながら嫌になっているのだが、Mも言う通りこういうのは「ブレインキャンディ」であり、栄養は何もないのだ。そして虫歯になるのだ。

 俺も子供の頃は夏休みに「サンダーバード」「フリッパーズ」といった英米製子供番組を見ていたけれど、カナダで人気のこれら米製子供番組はどれもストーリーがない、つまり30分ゲラゲラと笑って終わる「シットコム」だ。まったくもって学芸会である。

 ああいう「誰がスクールクイーンなのかの争い」みたいな幼稚な定形スクリプトを売文家が職業的技術で莫大な量生産し、ペアレンツのイライラと子供の豊かな情操を犠牲にハリウッド大金持ちが太っていくシステムから、なんとか抜け出したいものである。

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■10/08/24(火) □ アニメ監督のご苦労
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 俺が唯一新品DVDを買ったアニメ「千年女優」の監督、今敏が亡くなった。こないだジブリの若手監督のドキュメンタリーをやっていたが、あんなストレスと仕事量を与えられたら、アニメ監督はみな早死して当然かもしれぬ。宮崎駿はその点でも鉄人だ。タバコ吸ってるのに元気そうだしなー。俺も宮崎監督みたいにあの歳になってもあんなに元気だったら、またタバコを吸いたい。

 その「ジブリ 創作のヒミツ 宮崎駿と新人監督」という番組を見て思ったのだが、ジブリという会社にはこの新人監督を支援する体制は本当にあるのかねと疑わしい。宮崎監督が年でもう大量に描けないから、その仕事を若い才能に丸投げしたというふうにしか見えない。唯一無二の才能である宮崎駿と同じ仕事を普通の才人ができるわけないではないか。「それが宮崎とジブリの《流儀》なのだ」みたいなトーンなわけだが、非効率的すぎて、近年の宮崎アニメの後半同様破綻しているなと思う。宮崎アニメは破綻していても見たいけど、宮崎亡き後のジブリアニメはどうなのだろうか。

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■10/08/26(木) □ ソルトスプリングアイランド
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 今日からこの夏最後にして唯一の旅行だが、そぼそぼ雨です。予報を見て覚悟はしていたのだが、雲ひとつない昨日の夕焼け空が一夜でこうなるんだから、BCの天気は激変しすぎて、夕焼け小焼けの天候観測的な情緒が欠落している。気温があまり下がりませんように。目指すソルトスプリングアイランドの予報は20度ときどき雨といったところ。

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 道がどこもかしこも工事で遅れ、できるだけ飛ばして10分遅れでフェリーターミナルに着。乗ったのは思いもよらず小さなボートで(だから途中停泊なしで済むのだろう、去年のでかいボートは途中2港に止まった)、定時よりもやや早く 14:25 出発。順調である。

 そしてわずか1時間半で島に着き、ゆるやかな気持ちいい峠を越えコテージ着。島の天気はメインランドよりもはるかにいい。道の曲がりくねりとアップダウンがいかにも島にいるという風情を感じさせてくれ、そこがとてもナイスです。

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 そのままレストランで夕食。これに2時間近くかかった。うち1時間強は料理とデザートの出待ちである。座って10分以内に出てきて文句なくうまいものが食える日本のラーメン屋、どんぶり飯屋、定食屋が恋しい。

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■10/08/27(金) □ レイクスイム
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 Mが朝からバリバリ活動したがり、他に誰も行きたがらないので、俺とMだけで登山ドライブに出かける。しかしこれがえらい急坂砂利道で、途中まで頑張ったが、一度止まったらホイールが空転して発進できなくなりそうなほどの急坂が目の前に立ちはだかり、これは無理なりと車を止めて、あたりを散歩するにとどめておいた。鹿がたくさんいる。

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 昼寝をし気がつけば気温もそこそこ上がっているので、ラップトップとお茶を持って湖畔に出る。あー快適。

 レイクスイムにも少しだけトライした。こないだの海水浴よりこのレイクの水の方が少しだけ温かいのは事実だが、やっぱ気温が20度そこそこでは水になど入っていられない。10分ほどで退散する。やはり夏の海の方がいいよ。この気温水温でヘーキなみなさんは、やっぱさすがはカナダ人である。

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■10/08/28(土) □ 土曜のマーケット
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 土曜のマーケットへ。車を停めて歩くと後ろから懐かしい音がする。YAMAHA RZ250 だ。生産が終わってもう 30 年も経っているだろうに、こんなはるかな島に生き残っているとは。本当に軽く澄んだいい音だ。


 萌はイトコSFと一緒にマーケットを巡る。親から離れ自分の財布を持ちうれしそうである。萌が蜂に刺されるというアクシデントはあったがすぐに痛みは消え、皆を待ちながら俺とMは公園の日陰でのんびりと横たわる。最高のバケーション日和。

 不動産屋でMがこの島の家の値段をチェックする。「今の家を売ってローンを組めば買えないことはないわ。地元の学校に仕事があったらここに住みたいわ」。出かける先々でMはこう言うのであまり相手にしないのだが、こののどかな島に住めばそりゃ気持ちいいかもなあと俺も思わないでもない。天気は最高で気温もごく快適な20度のこの島を眺めているとパラダイスである。冬はどうなのかわからないが。

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■10/08/29(日) □ 島縦貫ワインディングロード
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 宿をあとにし、島の突端の Beaver Point Park へ向かう(地図上 G-I-A-B のルート)。この狭いワインディングロードが最高だった。スズキ・エリオは高速だとヨレヨレになるが低速コーナーはくるりと決まる。道幅をきっちり使いアウトぎりぎりからコーナーに進入し、最小限の舵角を与え外輪に荷重を乗せコーナーを切っていく。曲がり終わるとすぐさまS字があったりして、もーサイコー、ウホホと声をあげながらクイクイと曲がっていく。速度は 50km くらいだし無理なロールもさせてないのでパッセンジャーへの横Gやショックはまったくない。この低速でもスポーツ走行が楽しめるのが小さい車の利点である。


Beaver Point
 Beaver Point Park はノバスコシアのペギーズコーブにも似た岩場と眺望が開けた気持ちのいい場所。しかし島の 2/3 を一気に縦貫して 30 分なんだからほんとうに小さい島だ。メルはこの島をもう絶賛しているが、きれいな島ではあるけれどこの狭さでは実際に住んだら退屈するだろうと思う。まあ外出しない俺はこの島で暮らしても生活にたいして変わりはないけれど、買い物その他にはさぞや不自由するだろうし、家族友人に会えなくなるMはもっとつらいんじゃないかな。と思いつつ、俺は帰り道も嬉々としてワインディングを攻め込んでいたのだった。この道だけメインランドに持ち帰りたい。

2010/08/20

日記「真夏の Barnet Marine Park」

「ネットブックで仕事」「イモリ水槽の冷却」ほか。

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■10/08/10(火) X 萌はサマーキャンプ
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 昨日から萌はS大学でのキッズサマーデイキャンプ。俺は朝からコツコツ仕事。萌のキャンプは一度見に行きたいので、ネットブックに簡易仕事環境を構築して持ち出せるようにしよう。今日明日中に訳を終わらせて大学でプルーフリーディング(校正)だけやれればベストだが。

 仕事で詰まると水槽が慰めになるのだが、イモリたちはシェルターが減ってもやはり浅瀬から動かない。前のようにイモリたちが泳ぐところもたまにはみたいなあと思うし、仕事が終わったらレイアウトを変えてみよう。

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■10/08/12(木) X イモリ水槽模様替え
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 09:29 我慢できず仕事前にイモリ水槽の全換水&レイアウト変え、42 日ぶり。イモリたちを深場に招き寄せ運動させるために、フロントが大きく開いた植木鉢システムを復活させた。この槽模様替えは成功で、最近出不精だったノボリがパスタと並んでフロントに顔をのぞかせている。ノボリがこんなに愛想がいいのは久々で、彼にとってはフロントに深場があり、浅瀬が背後にある状態がなにか落ち着くのかもしれない。

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 夕方パスタやノボリがフロント葉っぱ登り&こっちへ何事かをアピールを繰り返すのを見て、イモリは動いてるとほんとかわいいなと久々ににやけてしまった。ジムシーはなぜだか後方の枝のえらい高いところに登ってるし、去年のイモリの楽しさが戻った感じである。

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■10/08/13(金) X ネットブックで仕事
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 S大学構内にラップトップを持ち込み、萌のサマーキャンププールサイドで仕事をする。しかしキーボードがあまりにも悪すぎ、しかも膝の上で打っているのでなかなか入力が進まない。こういう机のない不安定な状況では Pocket PC のほうがやっぱり役に立つなあと思う。

 このサマーキャンプには萌のスイムだけではなくバスケットボールとかラクロスとかいろんなコースがあり、ボランティアの高校生大学生らしき女の子たちが多くいるのだが、アジア人の女の子がみな背が高く足が長いので驚いた。萌の隣のプールを見てる子なんか童顔で小顔で細くて足が長く、まるでアニメのようである。あんな子は日本じゃ見たこともないので、やっぱりカナダに住んでると食生活的に背と脚が伸びる傾向があるのかしら。アジア系ボーイズは胸板厚くなりすぎやや暑苦しい奴が多いが (^-^;。


スキューバダイビングは沈むのが
難しいとのこと
これはカヌーやらスキューバダイビングやらと普段体験できないイベントがいくつも入り、町主催のサマーキャンプの3倍もの料金を取るスーパーキャンプなのだが、しかしイベント時以外は子供らがプールで遊ぶのをボランティアが見ているだけなようだ。教職課程の学生が子供の指導法を学ぶためにやるとかそういうことかと思ったが、全然違う。大学でやってるからイメージ的にかっこいいだけで(お揃いの大学ロゴ入りTシャツをもらって子供らは喜んでいる)、内実は高校生が小遣い稼ぎにやってる地元のサマーキャンプと変わりはないな。体験イベントはまあ楽しいだろうけど。
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 見ていてもさほど面白くないので、半時間ほどしてMの事務所に行き、そこで机を借りて本格的に仕事を開始する。今時のこの「ネットブック」って、その名の通りネット専用端末みたいな設計なんだろうな。Home/End/PgUp/PgDn というカーソル移動の超重要キーがなく、ストロークが短いせいで誤入力出まくりのこんなぺらぺらキーボードでものを書いたり編集するのは、果てしなきイライラとの戦いである。出先でネットが繋がり今最注目の Twitter も含めなんでも使えるという夢に見たような環境が手に入っているのに、このキーボードが悪すぎるせいでうれしさも中くらいなのである。

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 夜仕事を終わらせてから、「猫まねき」というユーティリティを見つけネットブックのキー配列を設定し直した。Win キーなどを殺して Home/End/PgUp/PgDn に割り振るわけである。

 さらにタイプ中タッチパッドに親指が触れカーソルが飛び実に邪魔だったので(カーソル移動系キーを省くのと共々、こんな常時指が触れる位置にタッチパッドを置く馬鹿デザインがなんで定着したのかワケがわからない)一時停止できないかと調べてみると、ドライバが対応してないと出来ないと判明。仕方がないので厚紙を貼って対処した。これで完成。ポインティングは小さなマウスを持って行き使えばよし。これで次にこのネットブックを使うときにはもっと快適に使えるだろう。

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■10/08/14(土) X イモリ水槽の冷却
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 仕事とサマーキャンプが終わり一家そろってリラックスする日、外は32度で紫外線が強く暴力的な暑さになっている。Mが先日誕生日だった母BRをどこかへ連れていきたいというが、日中は年寄りは移動自体やめておいたほうが賢明だろう。

 うちはベースメントが常時冷えているので、その空気を扇風機でガンガン2階に送り、今のところ余裕で耐えられる程度の温度を保っている。去年は2階にはいられないくらい暑かったけど、今年はそれほどでもないな。

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定格の12Vでは風が強すぎるので
AC6Vを使用、これで十分効果あり
循環リサイクルしていた階下の冷気も夕方ついにぬるみ切って、現在室温は29度。暑いのが苦手なうちのシナイモリはぐったりしているが、PCファンを改造し風を当てているイモリ水槽の水温は23度をキープしている。気化熱放熱効果は意外なほど高い。一旦上がった水温を下げるのは難しいが、朝から回していれば1日で水位が1cm下がるほど気化してひんやりを維持できる。イモリたちが植木鉢上にいるのもあれは、素焼きの植木鉢が水を吸い上げては気化させ、他の場所よりも涼しいのだと思われる。

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■10/08/16(月) X 真夏の Barnet Marine Park
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(見よこの黄金の砂浜を)

週末せっかく真夏が戻ったのに、友達と一緒でないと萌がどこにも行きたがらないせいで家にいたのだが、今日はようやく隣町ポートムーディの木陰満載の海浜公園 (Barnet Marine Park) に連れ出した。萌はツレが父親だけだとまるでやる気を出さないのだが、バーネットの砂浜を見て4~5年前に来たことを突然思い出したようで、「あーここだったのね! 来たくないなんていってごめーん!」と興奮する。当たり前だよ。木陰のサンドビーチだぞ。暑い日にこれ以上の場所が他にあるわけないだろう。


しかしいやー最高だった。やっぱ砂浜の海は気持ちいい。水は冷たく一瞬しか泳げないのだが、水で冷えた体を熱い砂に寝転がし暖めるという黄金パターンがほんとに最高である。萌はこれまで本格サンドビーチで遊んだことがないので、至福の砂盛り体験だった。「来たくないなんて言っててごめんねえ」と大喜び。

 遠浅だが海藻だらけのホワイトロックやバンクーバーアイランドの海よりも、俺や萌にはこっちのほうが楽しい。そういえばバンクーバーがなんとナショナルジオグラフィックの「世界のビーチシティベスト10」というものに選ばれていたが、あのキッツアラノは子供が遊ぶビーチではなく、景色として見て眺め、若者が肌を焼くだけのビーチだからな。まあ北米の人々にとってビーチの主用途はその2点なのかもしれない。このビーチでも水で遊び日陰で休むのは子供連れだけで、若者たちはイヤというほど全身を焼いている。ああいう日焼けした白人は中年以降肌が痛々しくなるのに、それでヘーキなんだろうかと不思議だ。

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■10/08/17(火) X 2日続けて砂浜ビーチ
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昨日は最高だった、夏も終わりだから今日も行こうと、友達のALをピックアップして2日続けて Barnet Marine Park へ。昨日父親と行くときは出発前全然盛り上がってなかったくせに、今日は朝8時半から水着を着てバックパックを整え万全の準備をしておる。出かけるのは11時なのに。

 2日連続なのだが、昨日と今日はだいぶ違う。海流というものは日によって大きく変わるものらしく、昨日より多めの海藻類がビーチに漂着しており、昨日は数えるほどしか見かけなかったクラゲも数倍いる。5cmほどのこのクラゲを子供らが素手で捕まえていた。「おいおい刺さないのか」と聞いても平気だよとのこと。ほんとかな。刺さないクラゲなんているのか(あとで調べたらいるのでした)?

今日は町場で28度と昨日より気温が下がり、このビーチでは日向でも23度くらいにしかならない。前面が海背後が森という素晴らしいロケーションなので、やはり気温が絶対的に上がらないんだなと実感した。気持ちはいいのだがこの気温では寒がりの俺は泳げない。萌とALも泳ぐより砂遊びやカニ探しで大いに盛り上がった。

ここはバンクーバーの入り江の奥の奥にある海水浴場なので波はほとんどないのだが、沖をボートが通り過ぎるたびに波ができ、これがやはりなかなか面白い。大型トラックほどの巨大なクルーザーが通った時が最大の波で、1mに達し子供らは大興奮だった。やっぱ波はある程度あったほうがいいよね。

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 この夏おそらく最後の海をたっぷりと堪能し、ALを送っていく。ALの家のドアの前で、萌は一瞬躊躇しながら彼をハグした。そして車の中で、「いまハグしたのよ、これが2回目だと思う。へんな感じじゃなくてナチュラルなフレンドシップな感じで! すごい!」と感動していた。へへ。今日あいつを誘ってよかったよな。

2010/08/10

日記「クリーンな線と声を取り戻せ」

「スポーツコーチ的ジレンマ」「衝撃の Wii フィジックス」「昔 Twitter があったなら」ほか。

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■10/07/29(木) □ スポーツコーチ的ジレンマ
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 BCは8月を前にはや涼しくなってしまった。きれいに晴れているのに25度の爽やかさ。もう外で水に入ったら寒そうだ。昨日のウォーターパークがこの冷夏最後の真夏日だったかもしれない。

 涼しいので久々に萌にローラーブレードをやらせる。手頃な木の枝をスキーのストックよろしく使うと非常に安定し、安全で転びようがないのだと俺がスピンターンまでやってみせたのだが、「もし転んだら...」という萌の恐怖が克服できない。15分ほどトライしても補助なしでは滑ってくれず、今日も終了。

 萌の運動神経のにぶさは問題で、こないだはクライミングジムでマット上に落下し、腕を変に着いて怪我をしてしまった。瞬間的な反応と力の出し入れがなってないのだ。その反射をローラーブレードで鍛えていきたいと俺は思っているのだが、どうしても恐怖で体が動かない。

 俺と柔道ごっこをするときは力強さと勇気がバリバリに出ているが、「あれはベッドの上で転んでも痛くないから」だという。だから転んだら大変だから転ばないよう慎重に慎重に上手になろうとしているわけだが、体がこわばっていてはうまくなれないのだよ。うーむ、スポーツコーチのジレンマだ。

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■10/08/01(日) □ 衝撃の Wii フィジックス
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このぬいぐるみに自分のキャラ顔が
入るのがまたオツ
 夕方萌MKのところで Wii Fit Plus 体重計を初体験。体重とその分散バランスだけでフラフープ、ヘディングなどいろんなゲームを作るアイデアが任天堂はすごいわけだが、中でも空飛ぶチキンゲーム(「パタパタ飛行」)は衝撃的だった。鳥のぬいぐるみを着て、体のバランスと腕の振りだけでほんとに空を飛べるのである。

 絶対安全パラグライダーというか、なかなか思い通りにいかないところも含め自分に翼がついた感覚が味わえる。ひとは空を飛ぶ夢を見ると非常な幸福感を感じるが、あれをいつでもインスタントにやれるのである。羽ばたく姿が恥ずかしいのと気持ちよすぎてヤバいので1回しかできなかったが、ほんとにセンセーショナルな体験だった。

 任天堂は3D映像の細密化レースを早々に脱し、DS、Wii とそこそこな絵で新たなフィジックス(物理)体験を掘り起こしている。えらい会社である。周辺機器でお金がかかる Wii はうちでは買えないけども、MK家では張り切って周辺機器をどんどん導入していただきたい :-)。

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 夜今野雄二が亡くなったと聞いてブライアン・フェリーの「Tokyo Joe」を思い出し、Youtube でロキシーミュージックはしごをしてしまった。あの頃のテープやレコードはもう見つからないけれど、聞きたい曲はなんでも Youtube にあるみたいだ。

 さらにその流れで Japan、土屋昌巳などを見て昨夜夜更かししてしまったのだが、「Visions of China」に「こういうのを聞くと、現代の音楽はどうなっちまったんだと絶望する」みたいな英語コメントがあって笑ってしまった。同感。ロキシーやジャパンが80年代を代表する音楽ではないが、ああしたいい音は現代カナダにいるとほんとに聞こえてこない。

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■10/08/04(水) □ 昔 Twitter があったなら
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 今日は真夏の日差しと暑さが戻ったけれど、空気が霞んでいる。今夏も徹底してドライなBCは、今年計400回の山火事(カミナリ由来)が起きてるとのことで、その煙でこんなにヘイジーになっているらしい。

 午後、久しぶりにHNを誘い、初めて Shaughnessy 沿いのアウトドアプールに行ってみる。25mプールに小さな滑り台とジャンピングボードが備え付けてあるだけでどうということはないのだが、真夏にアウトドアプールはやっぱり気持ちがいい。

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 Twitter を本家から Seesmic に切り替えてから検索ワードのセットが楽しいと気づき、日本のイモリ飼い主衆のつぶやきを眺めている。イモリが脱走したとかエサを争い戦うとかいう話を読んでいると、もともとうちのシナイモリは日本のアカハライモリよりずっとおとなしいのは確かだが(大きさも 2/3 程度だし、肌もすべすべで日本産よりか弱い感じ)、やっぱうちのはあまりにも活性が低すぎるよなあと思う。そこでイモリ水槽のレイアウトを変えてみた。浅瀬にシェルターを多く作りすぎてイモリたちがそこに落ち着き、最近全然活動してくれなかったのである。

 隠れ家を浅瀬と深場に分散し様子を見ていると、夕方3匹が一斉に散歩を開始した。やった :-)。萌も久しぶりにイモリを観察して喜ぶ。イモリは活動してさえくれればそのスローさと不器用さが本当にかわいい生き物で、今でも俺たちはきゃあきゃあ言って喜んでしまう。よしよし。イモリ飼育のキモは、シェルターの分散だ。

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 高橋源一郎のアカウントが見つかり追ってみると、夜中にゴソゴソ起きだしマンガを読んだりしている。イメージ通りの生活だ(笑)。こんな昔から知ってる作家のつぶやきがリアルタイムで見られるというのは不思議な感覚だ。

 吉祥寺のアパートで夜中にゴソゴソ高橋源一郎を読んでいた頃、中山のスタンドを見上げ彼の姿を探していた頃にこんなメディアがあったなら、彼にガンガン直接メッセージを送っていただろうなー。フロッピーディスクのワープロ+モデムで Nifty Serve まではすでにあったんですけどね。

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■10/08/06(金) □ クリーンな線と声を取り戻せ
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 22 度とめっちゃ涼しくなった気持ちのいい日、SFが久々に今夜泊まりに来ることになり萌は張り切って家中を片付けている。昨日は久しぶりに何もイベントがなく家にいる日で、遊び相手が見つからぬ萌に俺が終日バグ(まとわりつく)されて大変だったので、SFが来てくれるのは超ありがたい。

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 ディズニーチャンネルでかかるポップソングを毎日歌いまくり俺をゲンナリさせている萌は、いつかTVの子供オーディションショーに出たいと言い出した。超シャイでスピーチもできないくらいなんだから無理だろうと思うが、もしどうしても出たい、そのためにボイストレーニングをやりたいだのなんだの言い出したらロック的には難儀なことである。

 ああいうオーディションをやってる人々の価値観ではビヨンセ等が頂点にくるわけで、オーディションで合格する子供もボイストレーニングでのコントロール習得ぶりが評価される。それは演歌民謡のちりめんビブラート同様「体技・芸」でしかない。表現ではないのである。

 萌10歳はいま歌も絵も技巧に傾きすぎており、イノセントなよさがかき消えてしまっている。5歳の時に描いた天才的な絵がちょうど見つかったので、ほらと萌にこれを見せ俺の思うところを説いた。慎重に、傷つけぬように。


Tomo the Rock Star(萌5歳)
 「―――この頃の萌は、お父さんが『かっこつけてるロック親父』だというのをこのシンプルな線一発で描けたわけ。これがすごかったんだけど、今はディテイルを描きすぎてるからクリーンな線がなくなってしまっているのよ。歌も同じで、今は喉を絞ってスキルをやりすぎて、それは萌の声というよりもTVのコピーなんだよね。まあ今はやりたいんだからそれでいいけど、大人になったらわかるよ」。

 大人とは言わずあと3年のティーンエイジャーくらいで、自分のクリーンな線と声を取り戻してもらいたいものである。

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■10/08/07(土) □ この夏初めての雨
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 今日はこの夏初めての雨。前に降ったのは7月1日のカナダデイだと思う。36日ぶりか、やれやれ。明け方は音に驚き目が覚めるほどのどしゃ降りだったので、これでBCの山火事が少しは収まるのではないだろうか。

 泊まりに来ているSFと萌が子供?映画を見たいというので連れていき、俺とMは久しぶりに2人きりで IKEA に行く。子供を置いてデートで IKEA なんてほんとオジサンオバサンよねとMは笑う。ふむ。「日本にいた頃(30 歳くらい)も、よくホームセンターD2に行ってたわよね」。こういうつましい買い物で夢が膨らむ場所へ来ることが、俺たちは昔から好きなのだということだ。

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 俺はここんとこずっと Twitter 環境構築にはまっているわけだが、どうしても決定版の Web クライアントが見つからない。俺がほしいのは、

◆1)1画面に2列以上のリストを選択表示
◆2) PgDn/PgUp でスクロール(マウスでスクロール式は疲れる)
◆3) どこまで読んだかわかる(未読管理)


 の3点なのだが、10種近く試してこの全部を満たすものは皆無だった。結局 2) 3) をあきらめて、メッセージ表示部がやや狭いが2列の見やすさその他の便利機能から Seesmic を使っている。

 検索タブはいま「イモリ、須坂、カナダ」の3つをセットしてるのだが、イモリ話はやはり興味があり楽しいし、故郷「須坂」には意外にも多くの観光客が訪れ Twit してるという驚きがあり(我が宗石亭で焼肉中というありがたい人もいた)、真夏の須坂の光景が目に浮かび気分がいい。

 カナダはやはり旅行者やワーホリ希望者に人気があり、日本の夜中でもガンガン検索ヒットしてくる。俺は周りにそういう人々がいないので、カナダがかくも人気のある国だということがなかなか実感としてわからないのだが、この発言量やそこに込められた人々の思いを眺めていると、なるほどとうなづかされる。面白い。

2010/07/30

日記「カナダの小学メンタリティ」

「ペットショップで寂しい思い」「サプライズ結婚パーティ」「キッズのしつけ」ほか。

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■10/07/14(水) □ ペットショップで寂しい思い
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 BRを送ったあと買い物に行こうとすると、萌がスーパーの横にあるペットショップに行きたいという。ティガーを失った悲しみをペットで補いたいが、ほとんど動かぬうちのイモリじゃなあと俺もぼんやり思っていたので行ってみる。

 しかしショップに入ると、猫を見るだけでもうどうにも悲しくなってしまう。仕方がないので俺は猫エリアから目を背け、ハムスターや鳥だけを見ていた。萌はドワーフハムスターが欲しいーとうめき声を上げる。しかしうちは皆ダストアレルギー性で、羽根や毛のある屋内ペットは難しい。珍しい野外猫だったティガーは、だからこそ理想的だったのだ。

 魚を見に行くと、前にはいなかった「エサ用ミノウ(小魚)$0.18」というのがいる。アカヒレとは違う薄赤がなかなかよい。金魚は2度トライして全滅したが、ミノウならばアカヒレの近親なので元気に暮らしてくれるだろうと、安い取引で申し訳ないと店員に謝りつつ5匹ゲット。$1.01。

 水合わせをし合流させてみると、アカヒレとは色だけではなく体型もぜんぜん違う。泳ぎも下手だしボディバランスも悪く、底砂や石のコケを延々と突っついて食べてるし、フンは長く垂れ下がっている。こりゃ金魚だな。アカヒレ近親というよりも金魚の近親だろう。まあ餌への反応はアカヒレにさほど劣らないので、金魚ほど弱くはないだろうと期待できるけど。


上方2匹が1cmの稚魚。
手前が赤メダカ的不詳魚4cm。
 そしてすでに十分大きく育っていた稚魚1cmx2匹(推定年齢6ヶ月)も隔離ネットからメイン水槽に合流させる。しばらく成魚4cmに追いかけられまずいかなと心配するも、親魚のほうがチェック後興味をなくすと無事なじみました。アカヒレは成魚同士ですごい喧嘩をすることがあるので心配してたのだが、大きいものが小さいものをいじめるといった性向はないようだ。

 小さくてもきれいな魚の形をした稚魚、ミノウの赤、まるまる太ったアカヒレの黒と、水槽を覗き込む楽しみが増している。

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 オグリキャップが亡くなったのか。あれほど感動させてくれた馬は他にいなかった。あの最後の有馬記念ほどの感動は、他のどんなスポーツでも味わったことがないかもしれない。

 高橋源一郎の Twit が見つかった。『オグリキャップが亡くなったそうです。ラストランの有馬記念からもう 20 年。日本競馬史上もっとも人気のあった馬でした。有馬記念での奇跡的な激走の後の競馬場の異様な雰囲気はよく覚えています。馬が勝つところを見て、あんなに人間が泣くのを見たのは最初で最後です。さようなら、オグリキャップ。』

 引退後北海道の牧場にオグリキャップを訪ね、お前には本当に世話になったよと柵越しに蹄に触ったのであった。お前のレースが見れるなら明日を楽しみに生きていけると思ったときもあった。さようなら、オグリキャップ。

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■10/07/18(日) □ サプライズ結婚パーティ
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 うちから先月引っ越したMK青年が、ハウスウォーミングパーティをやるから一族みんな来てくれとなにか妙にはしゃいでるのでさてはと思っていると、やはりパーティ中に公式立会人が来て突然の結婚発表&その場で手続きという段取りになっていた。こういう発表の仕方をして、サプラーイズとかいってるところが全くいつまで経ってもガキであると大人は全員どよーんとしていたが(※)、萌たちキッズは大喜びであった。まあともかく本人たちは幸せの絶頂であります。
(※)MKの父と弟は、「お前なんだよこの発表は、言ってくれれば俺はもっと立派なお祝いをしてやりたかったのによォ」とかなり怒っていた(汗)。


中央、私の横がうれしげな新郎。
ご成婚おめでとう
 お相手は中国深セン出身の温和な娘さんで、雑誌「ノンノ」を愛読するという日本の女子大生みたいなお方だ。俺は日本でも「ノンノ」を読むお嬢さんなど、80年代の大学のクラスでしか見たことがない。なにかと愚かな甥ですが、楽しくやってくだされ。俺がカナダに来たときマイクはまだひょろひょろした中学生だったが、恰幅がよくなっちゃったし、えらい年月が経ったものである。

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■10/07/19(月) □ カナダ人の夏の旅とは
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 うちの前で隣家のMTと久しぶりに顔を合わせたので、「ティガーの件を萌に伝え、しばらくみんなで泣いたよ」と話すと、「実際君らのほうがうちよりずっとティガーと仲よかったからなあ、わかるよ」と同情してくれた。まあほんと、その通りなんです。

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 清水国明のバイクツーリング番組東北編があった。いいなあ、日本の夏とバイク。山は麗しく、里は優しい。細くくねった道を移りゆく景色を楽しみつつとろとろと移動し、いいカーブがあったら全速に加速してその曲がり具合をおいしく味わい、どこにでも人が住み商店があるから疲れたら適当に止まってイカ焼きなどを買い、道端で食べる。最高だ。

 うちの近所3軒がこの夏こぞって、こないだうちも行きどうということもなく帰ってきたオカナガン湖に長期滞在していることを知り、あんなところがそこまで定番の旅先なのかと驚いたのだが、ああした殺風景な中をがーっと高速長距離移動し目的地で長期滞在するという旅は、ツーリングというよりエンデューロ、つまり耐久レースである。

 ああいう耐久レース的な旅はつまらんとMに話すと、カナダ人は日常・家・仕事・雑踏・ひと気から完全に切り離される旅を好むのだとのこと。そりゃなるほどねとは思うが、あそこまで延々と距離を稼がなくても日常なんて切り離せるだろう。やっぱりよくわからないのです。

 だいたい夏なのにみんな暑さを求めて内陸オカナガンに行くというのも妙な感覚なのだが、まあBCは涼を求めて旅するには高原気候すぎるんだよな。快適すぎて、避暑に行く必要がないのだ。

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■10/07/24(木) □ 昔夢に見たようなライト
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夢のキャンピングランタン
Energizer Weather Ready
 ハードウェアストアを久々にぶらついて、素晴らしいLEDライトを見つけてしまった。単3x4本で100時間! しかもランタンにもなり(45時間)、小さな豆球の常夜灯まで備わっている。夜になって試してみるとライト部は昔の単1x4本の防災ライトレベルの明るさがあり、ランタンにすればテント内で十分に本が読める照度がある。単3でこれはほんとに驚異的な明るさだ。

 停電の夜があっても、これが2つほどあれば家族全員ラクラクと読書やボードゲームで過ごせる。明るく電池が超長持ちというこれは、キャンプをしていたまさに昔に夢見たライトである。ついに技術はここまで来たかと感慨深い。

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■10/07/23(金) □ カナダの小学メンタリティ
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 スリープオーバー(お泊り)のAL家から帰りまだ興奮が残る萌が、日本語をまったく喋らず、俺への態度もぞんざいなのでカチンときて、「萌はもうまったくカナダの幼稚な小学生だな」と俺が言ってしまい、これで萌がアップセットしてしまった。萌にしてみれば友達と同じように振舞うと父親が嫌がるのだからかなわんことだろうと反省し、すまん私が悪かったとあとで謝った。

 萌のこの態度の何が嫌なのかと考えてみれば、結局「ハナモンタナ(ディズニーのティーン向け愚劣コメディ)」等のコピーになってるからなんだよな。「OH YEAH!!?? HOW ABOUT.....(そうかよ、じゃあこれはどうだ)!!」と早口で切り返し相手を言い負かすことがクールだという、このノースアメリカン幼稚性にどっぷりはまっているわけである。まことに不愉快ではあるがしかし、繰り返しになるが萌は友達と同じようにしてるだけなわけで、いちいち俺がトゲトゲしていてはやっていけない。

 萌には生まれ育った日本の子っぽい優しさは完全に備わっており、俺やMの指示に「はい」と答えるときの素直さには俺は軽い感動すら覚える。「Yeah」と「はい」とではやはり何かが違うのだ。「Yeah」は能動的で、OKわかったという気持ちと嫌だなあという反抗が両方含まれている。「はい」はよりフラットな、物事の道理にただ従うというナチュラルな美しさがある。言われたからやるのではなく、やるのが当たり前だからやるのだというナチュラルさ。まあこれが「はーい」だと、「Yeah」と同じになるけれど。

 萌からこれが失われることはないだろうから、俺としてはカンに触るところは注意する程度で適当に受け流していくしかないだろう。

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■10/07/24(土) □ ホワイトロック訪問
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 昨日の俺と萌のケンカを心配したMが、共同読書&日本メンタリティ養成用に萌がハマっている「ハリーポッター」日本語版をリッチモンドの日本書店で買い、ついでに日本食を買い込んでホワイトロックに行きBV家で誘って食べると突如宣言する。ハリーポッター本なぞいらんしBVのところに日本食など持って行っても喜ばれるわけもなし、豊富にアイデアが湧いてくるがハズレが多い FIFA のブラッター会長みたいなうちのお母さんである。

 ハリーポッター本なんかほんと必要ないので、日本書店にあった本の中から俺が子供のときに好きだった「ファーブル昆虫記(ルビ付き)」を購入しておく。萌は全然興味なさそうだが、あれは面白い本なので読めば楽しめるだろう。ファーブル(フランス人だった)はカナダじゃ誰も知らないとMがいうので驚いた。こういうものを全国民が知るほどに取り込んだ昔の日本人の知識欲はすごいよな、ほんと。

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 ホワイトロックは、BV家近辺は何の特徴もない金持ちハウスが立ち並ぶエリアなのだが(どの家も巨大で新しく、New Westminster のように見て美しい家などはない)、水辺は建っている家の作りからして平屋のリゾート風になっており、水着の人々がそぞろ歩き、ハワイとか湘南みたいで気持ちが浮き立ってくる。しかし水辺に出てみるとBCはどこも同じく遠浅の海藻ビーチで、泳げるような海ではない。みんな水着を着て肌を焼いてるだけなのかな。


カニを踏まぬよう気をつけて歩こう
 それでもお湯のように暖かな水の中を歩けば、カニがわらわらと逃げ惑い、潮がスーっと驚くほどの速さで流れていて気持ちがいい。15分ほど海中散歩を楽しんでいると、あれ岸が遠くなってないかと気づく。―――あ、潮が満ちているんだと大慌てで浅瀬を探り岸へ戻る。けっこう焦った。まあ最悪でもおしりが水に浸かるくらいのことではあるが、やっぱ海は気をつけないと怖いな。

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■10/07/28(水) □ キッズのしつけ
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BCの盛夏はこの日までだったかも
 ウォーターパークへ萌とAL姉弟を連れて行く。覚悟はしていたが姉弟が俺の言うことを聞いてくれず疲れる。MCなんかピクニックシートで休みつつ写真を撮っている俺に向かってガンガン水鉄砲を撃ってくる。荷物があるしカメラも持ってるんだやめろと大声で言ってもわからない。悪気はないのだが、興奮していると人に言われていることの意味が分からないようである。彼はもう7歳なのだが、まだ言語中枢と行動中枢が密接につながってないという感じなのかな。

 で帰って夕方萌が下のプレイルームでSPと遊んでいると、隣家の孫たちも加わってきた。みなまだ小さいので念のため俺も降りていって萌と共にケアをする。世の中はMC同様モノがわかってない子が多く、その扱いはまったく大変である。「人の話を聞け、人の顔を叩くな」レベルのことを大声で言わないとすぐケンカが始まり、泣く子が続出する。これがカナダ中産階級のスタンダードなのかもしれないが、こういう子らの親はちゃんと言葉を尽くして子供らに働きかけているんだろうかと疑問だ。ふー。

 今はダブルカルチャー問題でやや悩んでいるが、萌には小さい時からこんなベーシックなしつけで苦労したことがないので、やっぱ俺たちは恵まれた親なのだと痛感します。