2010/06/28

日記「日本が手に入れたもの(デンマーク戦)」

「北朝鮮の不思議」「カナダの教組」「あとは俺たちに任せておけ」ほか。

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■10/06/21(月) □ 北朝鮮の不思議
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 【ポルトガル・北朝鮮】北朝鮮はブラジル戦よりもさらによく戦っている。月給数百円という選手がポルトガルとフェアに戦い、ドタバタとフェイントを繰り返す不調ロナウドからきれいにボールを奪うのを見ると感動してしまう。今はアフリカのチームも高給スター揃いになり、「食べるものもロクロクないだろうにサッカーはこんなにうまいのか」みたいなWC素朴感動はなくなっているわけだが、北朝鮮だけはまだその状況が続いてるわけだからな。プロリーグもお金も有名コーチももちろん海外経験もなくても、こんなにいいサッカーができるという北朝鮮の不思議。

 チョンテセのポストのうまさは驚異的で、ポルトガル相手だと体格が同等なのでスポスポ止めて散らすことができる。ほんと奴が日本人だったらと思うが、しかしそうだったら北朝鮮のこの小気味よく感動的なサッカーはここで見れなかったのだよな。だから彼は正しい選択をしたのだ。彼は海外移籍を目指し英語・ポルトガル語を習っているらしいが、北朝鮮籍の選手が欧州でプレイすることはできるのだろうか。ストライカーとしての能力的には高原全盛期に並び、それを海外でいかんなく発揮できそうな精神的タフさを強く感じる。

 テセだけではなく北朝鮮全体が世界の驚きである。こんなにいいチームだったとは、アジア予選西ブロックの国々以外誰も知らなかっただろう(日本のネットも報道はゼロだったし)。雨で滑りやすそうなのにボディバランスがよく、チーム全体がボールカットがうまく(読みと寄せと勇敢さ)、奪ったあとのつなぎが的確で早く、連携がシンプルで共通意識が高いので攻撃がきちんとシュートまで行く。岡田監督が目指していて崩壊したショートパスサッカーは、こんな感じだったんじゃないのかな。

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 後半北朝鮮の脚が止まり、立て続けにDFが裏を取られ大量失点。このチームはそのスプリント能力ほど持久力はないのだろう。前半にすべての力を注ぎすぎたのか。日本もオランダに前半から五分の戦いに持ち込めば、こうして後半崩壊したのかもしれない。岡田監督が敵の倍走るというプランを捨て、ブロックで守り余力を攻撃に使うという合理的な戦術に落ち着いてくれて助かったと思いながら、悲しき北朝鮮の後半を俺は見ていた。

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■10/06/25(水) □ カナダの教組
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 明日は萌の学校今年最後の全校集会で、萌のクラスは何かクラス発表をやるのかと尋ねると、こないだの集会でやったよと言われた。―――だったらやるって知らせてくれよ、担任はそういうことを絶対に連絡してくれないんだからさと言うと、「私だってその日まで知らなかったもん!」と萌も声を荒げる。そうだったのか。

 この担任はだいたい、週に1度以上は欠勤している。この連絡の悪さ、生徒への周知の悪さも欠勤がらみかもしれない。今年は3回ほどあったクラス発表をついに一度も見ることなく終わってしまった。これじゃ親として悲しすぎる。

 この教育も勤務も連絡すらもまともにできない担任が来年も学校に残るのか、萌の受け持ちとなる可能性はあるのかとMが校長に尋ねに行くと、校長はこの担任の不出来を「認識している、来年はより深く目を配る」というフラットな態度しか見せなかったという。つまり来年も彼は残るのだ。

 Mによれば、日本でもそうなのだろうがカナダも教員ユニオンが強く、教師の雇用は絶対的にプロテクトされているのだとのこと。駄目な教師は次々とたらい回しにされるが、なにか過失でもなければクビはないらしい。子供たちやペアレンツの充実したスクールライフよりも、教師の雇用のほうが大事なわけである。生徒よりも自分の私生活の方が大事だとバレバレな教師も多いしな。この校長も明らかに知性と教育とヒューマンリレーション能力は低いが、そういうユニオンシステムの中でタフさと鉄面皮でのし上がってきたんだろう。

 Mは転校の可能性を真剣に探っている。馬鹿な教師のせいで子供が悲しい思いをさせられるというのは、耐えがたいことだ。

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■10/06/24(木) □ 日本が手に入れたもの
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 【日本・デンマーク】スタメン発表、完全に同じ。テストできないまま本番に突入している以上、力尽き敗退するまで岡田監督は何も変えられないんだろうな。オランダ戦に続きその部分に興醒めの気持ちはあるが、試合がプラン通りに進み、サブが多く見られることを期待しよう。

 序盤意外なほどデンマークにボールを回される。何も起こらないのでスタジアムに小さなブーイングが起きる。これはオランダ戦と同じ展開ではあるが、相対的な力量差の小ささからもっと日本が持てるだろうと思っていたが。サイドのチェックが甘くクロスも簡単に入れられてしまうし、あまりいい感じではない出だしだ。遠藤に遅延で無駄カード。

 大久保のフィードに松井が飛び込みタッチ、惜しい。よしよし、こうしてスイッチを入れていこうぜ。―――松井のスルーに長谷部がシュート。惜しい! 長谷部が飛び出すというのは初めてで、チームの連動性の高まりを感じる。よしよし。しかしまたもサイドを破られノーマークでシュートを打たれる。駒野はなにをやってるんだ? 位置がおかしいだろう。この守備がおかしいのだけが気がかりである。マークがはずれすぎる。なにが問題なのか素人にはリアルタイムではわからない(※)。
(※)あとの会見で、日デ双方がフォーメーションを変えたことによるマークずれが序盤解消できず、フォーメーションを戻しさらに選手たちが話し合い修正したのだと判明。間に合ってよかった。

 ホンダ決めたFKゴラッソ! キーパーの指先1cm、完璧。2戦目はあまり感心しなかったホンダだったが、奴にはこれがあった。これで日本の動きがさらに良くなる。どんどん行こう。

 遠藤がFK。FKはいいけど、すぐ蹴らないとまた遅延イエローが怖い。―――えんどお! 完璧。俊輔は必要ありませんの2発目。ドイツで出番が来なかった憂さを晴らしたようないい笑顔だ。

 ボールを持てばほぼ確実にフィニッシュまで持ち込めるという流れで、守備の不安定さ以外は想像した通りの試合となり前半終了。イージーなゲームではあるので、カードとつまらん失点にだけ注意してもらいたい。それと疲れた選手を休ませてくれ。もう同じメンバーを引っ張る必要はない。岡崎か、あるいはみんなが見たい憲剛か。

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 しかしメンバー交代はしないコンサバ岡田。PKエリアにベントナーとトマソンが常駐し、ロングボールが放り込まれるパワープレイが続く。やはりこう来るか。これはなかなか苦しく、ボールをキープする以外対処法はない。前が頑張れ。カウンターから本田がヒールで大久保に流すなど、攻撃は華麗なものが続くが、こういう速攻では守備陣の負荷は減らないので、前でていねいにつなぎできるだけ長時間キープしてもらいたいところ。

 65分、本田からPA角絶好の位置でもらい大久保のシュート、弱い。大久保はなぜあそこから加速しDFを交わし、強いシュートを打たないのだろう。助走を取らず中途半端に打つのでまったく威力がなく、この3試合で何度も好機を無駄にしている。大久保はパスを出さず自分で打つエゴイストだと批判する人がオシムはじめ多いが、アタッカーなのに強いシュートを打てないことの方がよほど問題である。デンマークのDFを振りきり数m前方にボールを持ち出し打つことが彼にできないはずがないのに、その動きが瞬時に閃かないのだろうか。このマインド的な違いが、欧州に定着するパクチュヨンら韓国FWと、行っては試合に出れず帰ってくる大久保の違いなのかもしれないと思えてくる。

 70分、日本がポゼッション態勢に入りかけるもロングパスで失う。相手は前がかりのラッシュで脚も止まってスペースはたっぷりあり、ここはキープして時間を削ることだけが肝心なのに。直後にまた猛攻を食らう。相手がシュートを空振りしたりしてくれて助かっているが、これではこの先パラグアイには勝てんぞ。3点もマージンがあるのにフレッシュな脚を出さない岡田監督にも全くイライラする。

 75分、あ、やっと岡崎か。遅い。交代をここまで引っ張る理由がわからない。サブを出して悪くなる要素などこの試合は1つもないではないか。誰を出しても負荷が軽減できるのに。

 80分、ペナルティ。これはサブを入れ前でのキープを命じない岡田監督の過失だろう。守備陣にただ我慢を願うだけの45分に起きた、つまらん事故失点である。クリーンな完封勝ちをスマートに取る力がチームにはあるのに。本田なんかへろへろではないか。ベンチの選手は悔しいことだろう。試合後のコメントで監督がいくらサブ選手の真摯なサポートを褒めたたえても、そんなものは偽善だポーズだと、俺がサブ選手なら思うだろう。

 最後は岡崎、よし。ホンダのきれいなトリックから岡崎が決める。本田はあんなファンタジスタなことができるのか。ヘロヘロでも。この試合で本田はWCのスターとなったな。もう2点くらい取れそうなシーンがあって、試合終了。よし。

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 3点の巨大な安全マージンがあってもサブメンバーを活用しない監督の采配には本当にイライラさせられる。会見によればあのパワープレイ放置は、「バランスを崩したくない」という最も単純でくだらん理由であった。点を取られたんだからバランスは崩れたではないか。1点もやれない状況だったら命取りだったのだ。チームはどんどん自信をつけ成長している。監督も自信を持った采配をふるってほしい。

 そのフラストレーションはさておきしかし、この試合は日本ができるはずなのにできなかったことが全部できたという初めてのWC試合であった。フリーキックも、技巧も組織的なパスワークも根性の守備も、すべてが素晴らしかった。韓国が02年に手にした自信を、日本もこの試合でようやく手に入れたと思う。ものすごくうれしい。

 次はパラグアイ。プレスをかけてくる南米のチームは日本は苦手であり、デンマーク戦より相当に苦戦するだろうが、チームの強さとしてはおそらく02年のトルコあたりと同等だろう。あの虚しさを晴らす戦いをもう一丁望みたい。日本代表はアフリカに、過去のWCで掴みそこねたものを取りに行っているのだ。その意味で監督が日本人であることはいいことだった。

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 スポナビで宇都宮さんが、「日本国内で多くの人々と喜びを分かち合えるみなさんがうらやましい」と書いていた。まったくだ。よほどのサッカー好きでなければこの試合を誰も見ていなかっただろうカナダで、日本の偉業を知らない静かな町を萌を迎えに走る。4年前ブラジル戦後に俺をコケにした、サッカー好きのジャマイカお母さんが転校でいなくなったのが惜しいぜ(笑)。

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■10/06/26(土) □ あとは俺たちに任せておけ
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 【韓国・ウルグアイ】パクチュヨンのFKがポスト。日本が南米チームを苦手としているので、韓国がウルグアイ相手にどこまで戦えるかが目安になると注目しているのだが、今のところごく普通の中堅同士の戦いで、特に戦いにくいということもない―――うわ、敵FWをフリーにして失点。何をやっているんだ。ちょっと考えられないようなマークミス。ここまで来てこんな馬鹿失点を韓国がするとは思わなかった。

 気を取り直し攻守に走る韓国。日本のよさが出まくったデンマーク戦を見たあとでは、韓国の攻撃は速攻に傾き過ぎで日本よりもやや単調だなと思う。もともと守備的なウルグアイは要所を締めれば問題なく試合を進められる。敵のプレスが強いわけじゃないので、遅攻からパクチュヨンのファンタジーを活かせばいいのに。パクチソンが完全に速攻型の選手なので、狭いところの技巧を生かしたいチュヨンとの組み合わせは実はあまりよくないのかもしれない。

 55:45 くらいで韓国が攻めては跳ね返される展開が続き前半終了。ウルグアイに関しては、やっぱ南米3番手以降はおそるるに足らずという印象。むろん日本がこのレベルの南米チームに勝つのは簡単ではないだろうが、このチーム相手に守るのは難しくはない。

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 【後半】クロスをチュヨンが股の下をスルーし味方に通すも打てず。彼はほんとにファンタジスタだ。速くて走れ敵と競り合える俊輔という感じ。韓国が圧力を上げ完全に押し上げて、運動量で上回りセカンドボールを拾い、スピードと技巧を生かし攻める。いいサッカーである。ウルグアイはフォルラン1人を残し防戦一方となる。これほどワンサイドな時間を作れるとは、韓国恐るべし。あ、イドングクが入る。懐かしい顔である。高原らと同世代ではないか。

 67分、セットプレイから押し込み同点。これは勝つな。これで上がらざるを得なくなったウルグアイと、壮絶なカウンター合戦が始まる。パクチソンのカウンターのうまさは素晴らしい。猛烈なスピードで走りながら、前を走る味方の前方に角度もスピードも完璧なパスを出せる。全盛期の中田のようだ。あれがあるから韓国はカウンターができるのだ(あとで戦評を読むと、マンUではあれほどいいプレイはしていないとのこと)。

 攻め勝つのだと気合を入れ直したウルグアイが6:4で押す展開、コーナーのこぼれ球からスアレスが見事なカールを叩き込み試合終了。うーむ。あれがアヤックスのエースか。しかしDFの凡ミスとスアレスの美技以外は、完全に互角だったなあ。

 ―――ま、あとは俺たちに任せておけ韓国(ニヤリ)。武藤さんも Twitter で、「(韓国は)試合中はついつい応援してしまうが、結果負けるとザマア見ろとなる」と俺と同じ感想だった。ウルグアイがこの程度なら、パラグアイもこの程度だろう。そう根拠のない自信が湧いてくる試合だった。

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