2010/11/26

日記「着物で゙マルチカルチャーナイト」

「カルカソンヌ悪魔的名手との出会い」「デーモンに教えられる日々」ほか。

=======================
■10/11/15(月) □ カルカソンヌ悪魔的名手との出会い
=======================

 オンラインカルカソンヌ今日初戦で、とんでもない奴に当たってしまった。最初にコマ3個 をタイル1枚で瞬殺されたのはまあ俺の大凡ミスだが、4個目を2枚のタイルを巧妙に使い殺されたところで、こいつは自分の点は取らず俺のコマだけを狙ってるのだと分かった。全員を閉じ込めて封殺するというのか。なんという奴だ。


青の1~8が俺のコマ、
黄が相手の置いたタイル
 5・6個目はそれぞれ3枚ものタイルを使いつぶされ、7個目はたかだか数点の道なのに乗っ取られた上につぶされ、最後の8個目も乗っ取られ未完成都市に幽閉されて(つまり無理心中状態)、ついに全滅となった。このゲームはコマがなくなるともう点が取れないので、残り数十枚はしらけつつ淡々とタイルを周辺にただ積み上げていくしかない。奴はここでは俺が置いたタイル(図の右上)を使って点を一切取らないのである。純粋に相手のコマを殺すことだけが目的なのだ。なんたる徹底ぶり。

 そして 128-40 という味気ない勝負の結果、彼はダンケと一言を残し去っていく。こんなにも無慈悲な勝負をする奴がいるとは、ドイツ人恐るべし。悪魔的名手である。デーモン Her**ma と彼を呼ぼう。

 あまりのことに info を見てみたら、こいつはカルカソンヌをオンラインで5千回やっている(汗)。物の怪レベルである。しかしこの生き馬の目を抜く腕前を持ってしても勝率は73%と極端に高くはなく、俺以上の腕があればあの執着しらみ潰しスタイルにも対抗できるらしい。なるほどねー(それに3プレイヤーならこんな戦法では勝てないなとあとで気がついた。1対1だから敵の殲滅に全力を使えるのだ)。

 しかし8個全滅させられてその完成図を眺め考えてみると、自分がやってしまった悪手がよくわかる。一般則として、「コの字」のポケットに自分のコマがあるときはもう完全にアウトなわけであり(図の3)、それを避けることがまず上達への道なのだ。

 驚いたのは図の5のなど半分閉じただけで安全そうな地形でもDを置けば「コの字」にできるので、E、Fと多量のタイルを使えば殺せることだ。これはちょっと考えたこともなかったが、なるほどである。いや面白い。嫌な奴だが勉強になった。

----------------------
 この画面キャプチャと紙のカルカソンヌ(つまり本物)上でいろいろと妨害への対策を研究して、またオンラインへ。まったく妨害しない非常にジェントルなお方と戦い、これは勝つな、あまりガツガツするとみっともないなと思ったのだが、最後に大聖堂で妨害されて負けてしまった。俺は弱い(泣)。せめて1勝したいのでもう一丁。

 次は3人戦となり、最後に下手を打って最下位。悔しー(泣)。しかしもう俺は見えている。この2戦乗っ取りは許さなかったし、逆に乗っ取りに成功している。あと1手悪手をなくしさえすれば勝てるという状態が続いている。

 夜皿洗い後最後の1戦で戦績の悪い人と当たり、161/158 で薄氷の勝利。ふー。やっと勝てた。しかしもうほんとに俺には見えている。朝のデーモン Her**ma みたいな奴にはどうやっても勝てないだろうが、普通の相手ならもう簡単に負けたりはしないぜ。

=======================
■10/11/19(金) □ 着物でマルチカルチャーナイト
=======================

 今日は学校の【マルチカルチャーナイト】というもので、出自文化の服を着て民族料理を持ってこいというのだが、外は小雪まじりの寒い日で俺はとても手持ちの浴衣など着ていく気がしない。北米の行事はなんでもそうだが新学期が9月に始まるので、気候が悪くなってからどんどん行事が入ってくる。スポーツ大会、ハロウィーン、こうした各種ペアレンツ参加の催し物と。気候のいい春から初夏に行事が入る日本式学校スケジュールのほうがずっとハッピーだと思う。高1の春のスポーツ大会なんか、授業がなく一日スポーツで遊べるという多幸感を今でも思い出すよ。


着物できりりと立ち姿(中央)

アラブの王族がブラジルブースを訪れる
 Anyway、萌はしっかりと着物を着こみ出かける。俺は餃子を大量につくって持っていく(冷凍ギョーザですが)。

 着付けに時間がかかり遅れてしまったのだが、入って行くなりあちこちから「ワオ」と声がかかり、例の気が利く校長がさっそく飛んできて大声で誉めそやし、写真を撮っていく。うれしそうな萌。実際萌の着物と、イラク移民の子が着た「アラブの王族」衣装が一番引き立っていたな。着物のよさは姿勢がしゃんとよくなることで、その立ち姿の全体が美しい。「アラブの王族」衣装もそう。チマチョゴリや中国その他の衣装はカラフルだが、単に子供がきれいな布をかぶっているだけとも言える。


「コロンビアコーヒーは世界一よ!」的笑顔
 しかし単に食べ物を持ち寄ってのポットラックパーティかと思ったら、南米アジアヨーロッパと十数カ国の人々がジム一面にブースを作って、民芸品や旗や国紹介のパネルなどを飾っている。自分の家族の文化を示す子供らの、この誇らしげな笑顔を見てもらいたい。キッズはパスポートをもらって各ブースを巡り、スタンプや各国のお菓子をもらうという趣向になっている。食事の後はハンガリアンダンスや中国演舞などの演し物もある。プチ文化祭と言えるほどの充実ぶりなのである。なんて素晴らしいパーティなのだ。

 この学校の PAC(PTA)は本当に強力だ。前の田舎の学校は人口構成がほとんど白人だからこういう催し物自体が成立しないというのもあるが、郊外白人父兄のスポーツ競争好きが PAC のやる行事にも表れて、「提携書籍販売会社から本を1冊買うごとに何%が PAC への寄付金になり、一番たくさん買った子が優勝」みたいなバカ的イベントばかりだったからな。

 いやほんと恐れ入りました、これほどの行事とはと PAC のメンバーによくよくお礼を申し上げて、俺たちはすごかったねえと言いながら帰ったのであった。

=======================
■10/11/21(日) □ デーモンに教えられる日々
=======================

 カルカソンヌ研究成果が実り、最近は勝率5割近辺をキープしていたのだが、昨日今日とまったく勝てずスランプに陥っている。勝率 40% 近くに落ちてきた。うー。

 昨夜から連敗が続き、2戦目次こそは勝つぞと気合を入れると、なんと相手はあのデーモン Her**ma であった。うわ。しかし先週とは俺も違うぞと必死に戦う。だがしかしやはり序盤でデカコマをトラップされ、後はほぼ全部の町を乗っ取られて大敗した。トラップされた個数は前回より減ったが、デカコマを取られると乗っ取りにはまったく対抗できないのだと思い知った。自分が小コマで都市を作り始めると、向こうは大コマ(小コマ2個分にカウントされる)で毎回乗っ取りにくるので対抗しようがないのである。トラップの危険があるときにはデカコマは使わないほうがいいというわけだ。いやほんとこの人は嫌な人だが、対戦するたびに勉強になる(笑)。


1,2と置かれたらもう
クローズ不可能なので、
脱出可能になるタイルを
1、2と持ってくる
 デーモン戦の反省を生かしてトラップ脱出法(というより予防法だな)を研究し、さっそく活用して勝利。名付けるならば、「敵より先にトラップ位置に脱出用タイルを置く」作戦だ。

 つまり一番豊富にある道タイルを持ってこられたらクローズできない部分ができてしまいそうなときは、敵が道を持ってくる前に自分でクローズ可能なタイルを持ってきておくわけだ。これで敵がブロックしてクローズ不能にする可能性はゼロにできるので、あとは合うタイルが出るのを待つのみ(図の3ならば5枚以上あるので高確率で出る)。よし。デーモンに教えられる日々である。

2010/11/19

日記「カルカソンヌ・オンライン修行」

「秋景色のフレイジャーバレー」「怠惰なハリソン湯治」「複雑なリメンバランスデイ」ほか。

=======================
■10/11/06(土) □ 秋景色のフレイジャーバレー
=======================

 ◆15:19 秋恒例のハリソン・ホットスプリングスへ。すんばらしい秋景色の中を1時間半で着。ハリソンは近くて助かる。フレイジャーバレーはBCで最も美しいとここへ来るたびに思うが、今年はパーフェクトな時期に来たようで、まことに目の覚めるような紅葉だった。


Nicomen Slough (c) iano50
 BCの人里はなれた山奥や島々はどこも一様にのっぺりと美しく、植生も単調で俺はそういう風景にはあまり心が動かないのだが、静水と橋と人の暮らしがワンフレームに収まるようなこうした抑揚のあるフレイジャーバレーの風景はビリビリくる。日本でも農村風景はすごく美しいと感じるもんな。


初心者にゲームを教える娘
 萌と野外プールに入りレストランで食事の後、夜は持参したカルカソンヌを皆に披露する。期待通りSHとADにバカ受けだったのだが、ルールを説明しながらの5人プレイなので倍時間がかかり、1回しかできなかった。普段は超親切なのに意外と人を助けず黙々と点を重ねたSHが1人勝ち、残りは全員団子レースであった。SFとADが都市を奪い合って盛り上がり、SFが初めて負けたと憮然とする。

 これは最高だとADはルールブックを読みだし(「フォーミュラD」でもルールの緻密さに喜んでいたが、カナダ・ドイツのインテリピープルは概念の整合性にしびれて喜ぶところがすごくある)、どうやってこんなパーフェクトな家族ゲームを見つけたのかとSHは不思議がる。家族旅行に来ると俺はいつも退屈するのだが、今年はカルカソンヌをやりたいので時間が足りなく感じるほどだ。

=======================
■10/11/07(日) □ 怠惰なハリソン湯治
=======================

 この旅では boardgamegeek.com という英語圏最大のボードゲームサイトのフォーラム記事を大量に Axim に入れ持ってきたのだが、参加する全員がことごとく知的で文章がうまい。もともと英語圏で 2ch みたいにキテレツに奇形化したフォーラムは見たことがないが、これほどうまい文がずらずらと並ぶフォーラムというのも珍しい。目と頭に実に心地よい。日本でも同じ傾向があるが、いろいろな面倒をいとわずボードゲームを入手し学び遊ぶ人々はやはりいい人たちなのだろう。

----------------------
 ハリソン2日目はみな風呂に入り自分の部屋で本を読み、いつも通りの怠惰なハリソン湯治となっている。俺はもっとカルカソンヌをやりたかったのだが、結局数戦しかやれなかった。やれば盛り上がるのにどうして連チャンにならないのだろう。やっぱ対戦ゲームでスキルと運の違う全員をうまく楽しませるのは難しいのかな。フレンドリーマッチでは攻防が十分に発生しないので、タイルの引き運で割合アッサリと盛り上がらずゲームが終わってしまうことがある。もっと回数を重ねみんなにうまくなってもらうしかないのだが、そんなにしょっちゅう会うわけでもないしなあ。

 萌が興奮と疲労の限度を超え、夕方頭痛を訴える。3年前とまったく同じだ。今年も同じ日本食レストランから寿司をテイクアウトとなった。寿司はこんな山の中でと驚くほどネタがうまく、板さんの握る姿が真摯できれいで皆に絶賛されていたのだが、カナダ人向けなのか酢と塩がかなり多すぎるという味。惜しい。

=======================
■10/11/08(月) □ 大人と子供を分けるなよ
=======================

 ハリソン名物の朝食バッフェをパスして朝風呂。あそこのバッフェは文句なくうまいが、2日続けて肉卵イモ系の朝食を食べたいとは思わなかった。

 萌がバッフェにいる間大人専用の静かなプールにいくが、やはりハリソンでほんとにいい湯なのはここだけだなあと思う。子供プールは寒いしジャグジーは塩素臭い。ここもややぬるく足元を見ればコンクリートなのが興醒めだが、山の景色もそれなりに見え、湯気だけ眺めていれば立派な露天風呂だ。30 分1人で入っていても飽きないくらい気持ちいい。


ハリソンしっぽり大人風呂
 腹が立つのはこの一番気持ちのいい露天風呂に 18 歳以下の子供は入れないことで、大人同伴であれば入れてやればいいではないかと思う。カナダでは大人と子供を妙に分け隔て、子供は外で遊ばせておいて親はロマンチックにワインをみたいなノリがある。この露天風呂もそのノリで、大人というよりしっぽりカップル専用プールとなっている。

 子供用プールは湯温がまったく低すぎて、こういう冬場はとても長く入ってはいられない。冷えてしまった子供らは、温泉ホテルに滞在していながら屋内の小さなプールで泳いでるのだから馬鹿ばかしい。あんなインドアプールはどこの町内にもあるコミュニティプールに劣るのである。大人と子供を分けるなよ。というか、分けたければ親が自分で分ければいいではないか。規則で決めないでほしい。

----------------------
 家に帰り夜は「怪物くん」を萌と一緒に見る。1回目は駄目駄目だと思ったが、怪物くんが「労働とお金(お金は悪くない! お金に謝れ!)」「友情と悪口(悪口サイコー!)」といったファンダメンタルな道徳則を徐々に、大きく勘違いしながら会得していくという展開が萌のツボに入り、久しぶりに「これ面白いね!」と爆笑している。やっぱりこういう間抜けな展開になると、ボケとツッコミで鍛えられた日本のコメディは面白いよな。日本の笑いの愉しさは間抜けを愛でるところにある。

=======================
■10/11/10(水) □ 複雑なリメンバランスデイ
=======================

 萌が栄えある司会をすることになったので、学校のリメンバランスデイ(戦没将兵記念日)集会へ。俺は元敵国出身なのでこういう集まりは肩身が狭いのだが、第二次大戦を直接指してるのではなく、第一次大戦以降のすべての国の戦没兵士を記念する行事なのだから気にするなと妻に言われる。とはいってもスライドには、「彼ら兵士のおかげで自由は守られたと忘れてはなりません」とか出るので、当然ながら連合国側の行事なんだよな。日独伊出身者はやはり肩身が狭い。

 リメンバランスデイは日本の戦没者慰霊祭よりもはるかに津々浦々で行われる大々的なものであり、ここの校長はやや右な軍隊式規律大好きな人なので、ことにリキを入れた厳粛な集会となっている。厳粛さゆえに拍手も写真もビデオも禁止と言われた。無視してこっそりビデオは撮ったけれど。

 戦没兵士を称える言葉が子供の口から盛んに重ねられる。日本でも戦没者を慰霊しようという気持ちは同じにあるが、「兵士」とピンポイントで指定し言葉や行事で積極的に称えることはしないので、毎年のことながら気持ちの持って行きどころがよくわからない。

----------------------
 ―――ともあれ萌の司会だが、緊張から内容を完全にど忘れしてディズアスターだった2年前の日本語暗記スピーチでのトラウマもさすがに乗り越えたようで、落ち着いて堂に入り穏やかな表情を絶やさず、かつはしゃいで厳粛さを失うということもなく、英語フランス語とも完璧だった。

 途中子供らがガヤガヤと騒ぎ立てると、萌が「静かにしてください」とぴしゃりといい、場内が静まる。これはもう超快感だったそうだ(笑)。これで過去の屈辱も忘れられるだろう。よかったよかった。

=======================
■10/11/13(土) □ カルカソンヌ・オンライン修行
=======================

 最近1人2役ソリテアで極まってきたカルカソンヌ腕試しをしたくて、オンラインゲームのメッカといわれるドイツのBSW (BrettspielWelt)にログインしてみる(カルカソンヌの出版元が出資してるらしい)。ドイツ語なので使い方がわからず苦労するが(ヘルプを独日訳してくださった BlueBear 氏のページがあって助かった)、ちょうど日本人プレイヤーが見つかったので挑戦し、問題なく勝利。本物をソリテアでやるよりも早く20分くらいで終わったと思うが(自分が打つべきエリアをお互い絞れるからだろう)、やってる間他のことをできないオンラインゲームというのはやはりちょっと緊張するな。あとで強そうな人にも挑戦してみたい。

 【2戦目】はやや手ごわいドイツ人で、好勝負だったがビッグミープルを置くコマンドがわからないせいでレイクロードを2本、草原を1箇所取りそこね、メインの草原がシェアされてるのも見落として負けた。しかしこれらの不利は慣れればなくなる。だんだん面白くなってきた。

----------------------
 【3戦目】は5人という多人数戦となった。すると待ち時間がえらい長い。みな長考するのでときには2~3分待ちがあり、とても集中してやってられん。これは3人戦くらいまでにしておきたいなあ。

 しかしちゃんとプレイできる人4人を相手にするというのはまったく初めてのことなので、どういう勝負になるのかそれだけでも興味深いか....と思ってると、簡単に不可能タイルを置かれて序盤で2コマ失い万事休した。ぐわ。うまい。さすがだドイツ人。これでもう勝ち目はまるでないが、5人戦なので最下位だけは避けようと努力し、最終的に草原でうまく点を取り4位で終わる。

 そして【4戦目】はなんと序盤にして2箇所で閉じ込められ、後半をミープル0(得点不能状態)で延々とプレイすることになった。屈辱。俺は弱いのだ。カルカソの里ドイツ人はやはり強いのだ。こりゃもっと修行してから行かないと、弱すぎて相手プレイヤーにも迷惑だな。

----------------------
 その後も負け続け、なんと1回目に初心者に1勝しただけであとは全敗という想像以下の結果となった。今日は萌にも負けたので1勝7敗である ^_^;。

 この1ヶ月、ほぼソリテアだけとはいえ百回はプレイしているはずの俺がこれほどに弱いとは。俺より明らかに強いと思ったのは2人ほどで、あとは俺が間抜けで下手すぎたゆえの結果だ。カルカソンヌはソリテアでは強くなれないらしい。しかしこれほど対戦に苦戦するほど奥が深いゲームなのだということでもあるな。修行しよう。

=======================
■10/11/14(日) □ 真剣勝負のドキドキ
=======================

 朝イチで気を入れ直して BSW に再挑戦、運も来ず完敗。それを見ていた萌がやりたがり完敗、もう2勝10敗くらいだろう。しかしようやくオンライン対戦に慣れて勝てる手応えが出てきた。

 3戦目、??Lady という女の子と戦う。この子がすごくクレバーにバシバシ乗っ取りをかけてくる子で、途中からもう笑ってしまい「君はうまいね」「サンクス ^^」という会話がどんどん入る楽しいゲームとなる。で残り3枚まで俺がギリギリ勝っていたのだが(もう一手一手で胸ドキドキ状態)、最後に57点長大都市を完成させる大聖堂タイルを見事に引き当てられ大逆転された。ファームで30点近く取り返したものの 170-130 の負け。しかし面白かった。彼女にとってもこれはよほど会心の勝負だったようで再戦を持ちかけられたが、2戦続けてこのテンションは保てないので辞退。

 ふー、カルカソンヌ真剣勝負は面白い。これを運が勝負を大きく左右する戦術的深みのない「運ゲー」と呼ぶ人が多いが、ここでプレイしてみれば考えを改めるだろう。運ゲームで普通のプレイヤーがかくも連続で負け続けるわけがない。うまい人はうまいのである。少なくともソリテア&初心者同士でひと月やりこんだ俺くらいの力量では読めない程度の先から達人はワナを張ることができる。そして素晴らしいことに普通のプレイヤーでもいい手をひらめき運が少しあれば (With a Little Luck)、そんな達人とも楽しく競り合える。そこが運が見事に組み込まれたシステムの美点なのだ。

----------------------
 稀勢の里、白鵬を破る。白鵬は伝説の力士を超える程の相撲をこれまでしてきたわけじゃないので、こうして力のある力士が朝青龍並みに心の底から立ち向かえば、やはり倒せるんだよなと思った。白鵬にとっても悪い結果ではないだろう。朝青龍より強くなればよい。

2010/11/05

日記「名作カルカソンヌ」

「大聖堂と宿屋セット」「ハロウィーン準備」ほか。

=======================
■10/10/26(火) □ 名作カルカソンヌ
=======================

 家族親戚を巻き込みはまっているボードゲーム・カルカソンヌだが、これはほんとに面白い。フレンドリールールでやっていた当初はなるほど楽しいねというライトな感想だったが(今も萌はその状態)、乗っ取りと草原ルールを駆使し始めるとこれはさすがにボードゲーム界に名だたる名作である。タイルの引きの悪さを都市連結やこまめな草原確保でカバーしたり、道や都市の一部を使って敵の大草原連結を阻止したりすると、1人2役のソリテアでやってるときですらその《手》の美しさに感動するものがある。

 将棋チェス麻雀などのトラディショナルな遊びはやれば面白いが、コントロール=思考せねばならないことが多々ありすぎまことにめんどくさい。また多くのボードゲームは面白さを加えバランスを取るために規則や例外がやたら多くなり、規則を覚えるのも適用するのも面倒でやる気を削ぐ。その点カルカソンヌは単純なことだけを深く考え込んでいけるところが素晴らしい。面倒のなさはあらゆるゲーム中でチャンピオン級だろう。プレイヤーがやることは、

 ①絵を合わせタイルを置く
 ②そこにコマを置き都市/草原/道を所有する

の2つしかないのだから、ボンバーマン並みのシンプルさだ。この2つの単純な行動に、相乗り乗っ取りや草原取得などの滋味深い戦術がつながっている。どのように地形が発達していくかは毎回完全にランダムなので地勢を読むこと自体が楽しいし、深く読み考えタイルを置いても、それが最善手かどうかはカルカソンヌの神次第という偶然性の面白さもある。

 ほんとよくできているのだ。このゲームでデザイナーが発明したことは「すでに(自分を含め誰かに)所有されているところにはコマを置けない」「地形が完成し点を取るまでコマがそこに拘束される」というコマ置き規則だけなような気がする。この2つの規則が実に見事にカルカソンヌにジレンマと戦術的深みを与えているのだが、このコマ置き規則を決めたらあとは自然の摂理でなんの規則も例外もつくる必要なく、すべてがポンポンとうまくいったんじゃないかという、ゲーム理論上の奇跡のようなバランスを感じる。

 TVを見ながらやれるくらい簡単で、1人ソリテアでも面白いボードゲームというのもそれほどないと思うので、これを買ったのはホント正解だった。あちこちで推奨されている「拡張セット1・大聖堂、宿屋」というのも買いたい。ぜひ。

=======================
■10/10/28(木) □ 大聖堂と宿屋セット
=======================

 カルカソンヌの拡張セット1「大聖堂と宿屋」をついにゲット。タイルは18枚増え、新地形タイルが8枚、乗っ取り阻止タイルが3枚、得点増タイルが8枚という感じの内訳。得点増大よりも乗っ取り阻止を増やしてほしかったな。付属の大ゴマで乗っ取り行動がより盛んになるわけで。それに道が2点になる湖畔の宿タイルは彩りもきれいですごくいいと思うが、大聖堂3点はでかすぎるような気がする。

 とりあえず晩飯後1人でテストプレイしてみると、新しいタイルが出るたびに興奮するがそれをどう使ったらベストなのかよくわからない。考え込んでしまうのでプレイ時間がえらい伸び、初心者に戻った感じ。そして終わりにはなんと55対110とダブルスコア以上の差がついてしまった。ソリテアでこんな大差は初めてである。うーん。こりゃ拡張が入ったほうが大量点機会が増えるので、差がつきやすいかな。

 気に入らないのはやはり大聖堂で、これは1タイルにつき3点という大量点を招くので、これまで作った最大都市の記録をより少ないタイルで簡単に塗り替えてしまう。これまでタイル15枚ほどの巨大都市を完成させ30点+に興奮していたのが、10枚そこそこの小ぶりな大聖堂都市がその点数を超えてしまっては、ゲームとしては単なるインフレであり興醒めではないか(完成しなければゼロ点ではあるが、うちはお互いの妨害をあまりしないので、簡単に完成してしまう)。

 そこで大聖堂は単に全辺都市(基本セットに1枚ある)と同格として扱うことにする。これでさっそく大聖堂が入った13枚+4クレストの巨大都市ができた。もし大聖堂ルールを適用すればこれで51点である。つまりこの都市1つで得点板を1周し、他の全員が周回遅れになる。それじゃゲームにならんよ。旧ルール=34点で決定だな。というわけで、

 【大聖堂】単に全辺都市扱い、2点
 【草原】リップ都市(タイル2枚)を草原得点から除外(※)
 【修道院】プレイ人数分のみ使う(2人プレイで4枚は多すぎるので)
(※)初期から草原を取りその周りにリップ都市をたくさん作るというアグリイで安易な戦術が実は強力なので、草原点の膨張を抑え、壮麗な大都市構築を奨励した建設的カルカソンヌとするためにこのルールを策定

 これがうちのハウスルールと決定。カルカソンヌのゲームとしての弱点はタイルの引き運に大きく左右されるところなので、1つの手で大きく差がつくことをできるだけ避けようと調整したルールなわけだ。

 このルールで何度かテストプレイをやってみると、このセットはこれまでのカルカソンヌの楽しさに道の奪い合いと大ゴマの戦略性の2点を足した見事なアップグレードとなる。大ゴマの用法は意外にシンプルで、素晴らしく使い良い。タイル引き運が悪く負けてるプレイヤーが勝負を仕掛ける道具として、これまで以上に威力のある武器となり、挽回要素を大きく高めてくれる。誰かが大ゴマで敵の土地を奪いに行っても、防御側も大ゴマで取り返すことができるのでアンフェアなことにはならないし。

 というわけで買って大正解とまでは言えないが(―――新種の都市タイル群は実はあまりゲーム性向上に寄与していない―――)、まあやれやれだ。16ドルだと言ったらMに高いわねと呆れられたので、これでまるで面白くなかったら面目丸つぶれであった。

=======================
■10/10/30(土) □ ハロウィーン準備
=======================

 午前中にハロウィーンの準備。前庭を掃除し、飾り付けをして十字架を立てた。MKと萌が作ったカボチャには LED ライトを仕込み、今年はランタンの芯も新調したのでいい感じに夜を照らしてくれるだろう。


名前は誰だったかな、
ハリポタの赤毛のキャラだそうです
 萌は今年はハリーポッターの扮装で、初めてカツラをかぶっている(誰か特定キャラらしいのだが、まあハリーポッターの学校の一般女子としか見えない)。赤毛のカツラが似合いなかなかラブリイで、学校に着ていったらお母さんがたにワオと称賛されてました。

----------------------
 夜MK夫妻が来たのでカルカソンヌ。拡張セットの2点ロードはやはり楽しい。これが出ると「お!」と盛り上がるし、みんながそこに接続(相乗り)しようとする動きも自然と起きた。タイル枚数的にも4人でダレず短すぎずちょうどいいプレイ時間だった。しかしMKはゲームをやると「萌、そのタイルを交換してくれよ! 頼むよ! 頼むってば!」と、自分が首位だという空気も読めず大騒ぎだ。うるさいよ、お前も30なんだから少し落ち着きなさいよ。

 結局MK、萌、俺、Wの順となったのだが、もっと萌が真剣にプレイする方向にガイドしてやらねばいかんなと思う。萌はぜんぜん勝負に執着しない性格なので、人にスコアをあげたり、自分が置くすべてのタイルのあらゆる道にコマを置くという、なにも先を考えていない馬鹿げたゲーム運びをする。草原なし乗っ取りなしのフレンドリールールではそれでも引きがよければ2位くらいになれるのだが、「このゲームは普通ビギナーが勝つよね」と彼女自身が言うように勝っても負けても張り合いがないだろうし、周りも面白くない。そんな態度だからこのゲームにあまり熱中できないのである。今度やるときは勝つための思考と努力を求めていこう。

=======================
■10/10/31(日) □ 留守番ハロウィーン
=======================

 ハロウィーン。は俺は今年も萌に同行せず留守番&玄関に常駐してのトリック or トリート受け答え役。寒くてつまらん仕事であリます。でも大雨の予報だったのに降らなくてよかった。なぜか今年はティーンエィジャーが多い。君たちその年ですでにタプタプなのに、キャンディなんか食べていいのかね。

 いかん、今年は去年よりだいぶキッズが多い。キャンディが底をついてきた。品切れって経験したことがないのだがいったいどうしたらいいのかと焦り、2階に走り萌がパーティその他でもらったキャンディ類を足してみた。あと15分、大きな団体さんが来ませんように。

 最後に何年も会ってなかったなつかしいLさんシスターズとKT・HNたちが来て、お店終了。キャンディはギリギリ足りました。そしてうちで配ったのとほぼ等量かと思えるほどのキャンディをもらって萌も帰宅。よくできた互助システムであります。

2010/11/03

日記「ロンウッドにシャイン・ア・ライト」

「あんなにいい川だったのに」「ロン・ウッドにシャイン・ア・ライト」ほか。

=======================
■10/10/22(金) □ ダメキャラ愛好国ニッポン
=======================

 「ヤスコとケンジ」が終わって以来、萌が見たくなるような子供向け番組が2年間まるっきりなかった TV Japan で実写版「怪物くん」が始まり、これはと思い萌に見せたのだが空振りであった。こんな話を人間が演じることに無理があるというか、アニメよりもよくなるわけがない。萌もなんかくだらないなあと困った顔をしており、つまんなかったら無理に見なくていいよと言うとごめんねと中座してしまった。

 萌の目線で日本の子供番組を見ると、内容はえらい幼稚なのに語彙が難しいんだよな。むろんカナダで暮らす日本語キッズは語彙が足りないわけだが、あまり子供の理解度など配慮していない大人が脚本を書いているという感を受ける。たとえば40年前のアニメ版を見ていない現代の子供には、ドラキュラのざあますキャラなんて理解してもらえないだろう。

 それに日本のドラマはやはり、子役小中高生役があまりにも下手すぎるのがつらい。あの子たちは演技というものに向いてもいなければ、さほどの訓練も受けてないのだろう。米加の子供番組に出てる8歳~くらいの子役は、どう見ても「自分は才能がありハリウッドで食っていく」と思っている子供で、喋り演じることに人並み以上の天分が備わっているうえに、高い訓練を受けているのがありありとわかる。ゆえにすべてのキャラが「頭の回転が早くシニカルなジョークがうまい」という子供に人気のある定型に陥っており鼻持ちならないのだが、やはり素人の子供らよりこちらのほうが鑑賞に耐えうるのは当たり前の話。

 今季NHK朝ドラ「てっぱん」のヒロインもたまらないほど素人で、1回目を見ただけで「ああ今年も朝ドラは見るに値せんのか」とあきらめた。なんでああいう《才能がなく素人》であるという二段構えでダメなヒロインをわざわざ募集して採用するのだろうか。日本ではダメなものが愛されるのだろうか。


=======================
■10/10/23(土) □ あんなにいい川だったのに
=======================


小魚を捕まえていたこの川(8年前)
午後Mとサーモンを見にコキットラムリバーに行くと、ここ1~2年橋から見てあれ? と思っていた通り、水位が1mほど上がり、川原がなくなっていた。萌が小さい時夏はいつもここでピクニックしていたのに、もうシートを広げられる場所などどこにも残っていない。がっくし。PoCo は山中がとてつもない勢いで宅地開発されているので(たまに通るたびに造成地が増えている)、あそこの地下水雨水がまったく保水されずこの川に落ちてきてるらしい。

 昔はこの季節うじゃうじゃいたサーモンも、今年は百年に一度の大発生だというのに1匹もいない。PoCo の川には現時点でどこにもいないわけだが、ひょっとするとこれほど水位が変わると、故郷の川の匂いがしないのかもしれない。小魚と子供の遊び場にあふれた素晴らしい川が、上流から一気に水を流すだけの水路となってしまい、もう散歩する人もいない。残念である。

=======================
■10/10/24(日) □ ロン・ウッドにシャイン・ア・ライト
=======================

 夜、BRおばあちゃんに初めてカルカソンヌを教える。皆がヘルプしたので彼女が勝利。BRと俺とMの3人が共同で1つの大きな町を作るという初めての事態に至り、このせいで前半1人取り残され大きく遅れた萌が、道でこつこつしのぎ後半小ぶりな町をポンポンと取りスパートし2位となったのが面白かった。カルカソンヌ・フレンドリーマッチ(草原なし、乗っ取り禁止)は、誰でも勝てて楽しいよな。このルールではタイルの引き運がやはり一番でかいわけだが、自分の読みと予測によって招く運だから、勝っても負けてもすっきり納得がいくし。

 それに大人数だと自然とチーム戦の雰囲気が出てくるのが面白い。単独で大きな町を完成させるのが難しいので、協力してトップを追おうという話になるのだ。これは非常に楽しい。

 萌はこのゲームが割合に強く(どう置けば確率的に敵が起きにくくなるかという計算ができる)、今日の展開など興奮ものの逆転2位ゲットだったのだが、しかしなんでなのか夢中になってくれない。子供はやはり深く考え込むボードゲームよりも、サイコロゲームのほうが楽しいのだろうか。

 俺はもうカルカソンヌでボードゲーム欲は満たされてるから、うちでいずれ買うボードゲーム2台目は萌のために人生ゲームみたいなスゴロクでいいかなと思う。ただし新品で買うほどのものでもないので、中古で見つかったらでいいか。モノポリーは中古がありまくるが、同じくらい売れてるだろう人生ゲームは中古が出てこないので、それだけ面白いということだろう。

----------------------
 ストーンズの「シャイン・ア・ライト」のTV放送があった。最近ピアノで「You can't always get what you want」を弾いてる萌に、あれがこのバンドだよ、ミックなんかもう65歳くらいなのにこれほど元気なんだよと見せると、ええっと驚いている。まったくミラクルだよ。

 これは公開時に飛行機の中で見て、
20年前の日本初公演の頃―――というか血液全交換とかで死の淵から舞い戻って以降はずっとそうなのだが、キースってもはやギタリストというより、キース風味をバンドにつけるための薬味としてステージに存在してるのだと思う。イントロをギョギョギョとつっかえながら弾いたらお役御免で、あとは手くせでオカズを入れているだけであり、曲のコードをちゃんと覚えてるようにも見えない。「ブラウンシュガー」みたいな奇跡のコーラスはとうにできなくなっているし、キースの音にはもう興味を感じないのが正直なところである。海賊映画に出ていたが、もうそういう役柄で愛されてるだけなんだよな。

 と書いたのだが、キースは実際もう「今でも元気にギターを弾くおじいさん」というレベルの腕前だ。

 ちゃんとした音で改めて見ると、ロン・ウッドがもう完全にストーンズのメインギタリストなんだなと思う。「Start Me Up」でよくわかるのだが、例によってキースがイントロだけ弾いてお役御免になると、後はバッキングもソロもロニーが全編ギターを弾きまくっている。彼のギターの音量ミックスも昔より大きい。ロニーがこれだけ密に音を埋められるから、キースがほとんど弾かなくてもスカスカにならずバンドがドライブしてるのだ。

 ロニーからすれば「ギターは(ほぼ)俺1人なんだから遠慮はいらないぜ」と、腕のふるいどころを得て昔よりもやり甲斐があるのかもしれないな。ロン・ウッドにシャイン・ア・ライトである。