2011/02/28

日記「ドミニオンの結論」

「プエルトリコ最後の開眼」「ニッポン売れてる音楽問題」ほか。

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■11/02/18(金) □ 子供のカルカソンヌ
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坂道が気に入ってくれたノボリ君
最近イモリたちが元気で、盛んに散歩したり運動してくれる。いろんな地形ができるよう浅瀬を減らし坂道を作るなどレイアウトを変更したのがうまく行ったのもあるし、先月入れた活発な新イモリが刺激になってるせいもあるだろう。活動してくれるとイモリってほんと見飽きない。動きのユーモラスさとアナーキーさは、サル山の猿を見てるような楽しさがある。

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学校が休みで天気がいいのでHN兄弟を呼ぶ。萌とHNが速攻でガールズ盛り上がりに入ったので、俺はKTが退屈せぬようカルカソンヌに誘う。テレビゲーム小僧のKTはやはりゲームだったらなんでも面白さがすぐに分かるようで、町と道と修道院というメカニズムがわかるとさっそく修道院をぐるりと取り囲むレイクロードという美しく高得点の町を作り始め、これがクローズしたらすごいよと盛り上がる。実にカンがいい。俺が乗っ取り方法を指導して2つ乗っ取りにも成功して、彼が勝ち初回から非常に盛り上がった。

カルカソンヌはまこと偉大で、萌の友達の子供らにもこうして広めていきたいものだが、問題は萌がすでに強すぎて、子供同士でやらせたら1人勝ちになってしまうことだよな。手加減したらそれはそれで喧嘩になってしまうだろうし (^-^;。子供たちだけでボードゲームをやらせるなら、勝ち負けがないパーティゲームを探したほうがいいのかもしれない。


バルバロッサ
粘土を使った形当てゲーム「バルバロッサ」がどう見ても面白く、これは粘土さえあればできる遊びだというのでこないだ萌と簡易版をやってみるとまこと盛り上がったので、使いやすい多色粘土を見つけて子供らとやりたいものである。

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■11/02/19(土) □ プエルトリコ最後の開眼
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プエルトリコ(Tropic Euro)は COM (強) の港出荷を1人では止められないと結論が出たので、このPC版はもうお蔵入りかなと思いつつ、最後に COM (強) 同士で4P戦をやらせてみた。すると驚いたことに、俺がまったく勝てない港出荷野郎が最下位となった。えー!?

1) ギルホ (タバコ4枚集中取り→10 点建物2軒(ギルホ&砦))
2) 港2番手 (コーヒー農場→港・造船所)
3) 初手宿屋 (建設現場→砕石4→10 点建物)
4) 港一番乗り出荷男 (インディゴしか売れるものがなくジリ貧)

そうか。俺は単に金づくりが下手で、あるいは港出荷を止めようと力を傾注しすぎて、10 点建物を複数作れないから COM (強) 港出荷型に負けてるのだ。そうだったのか。まだあきらめてはいけないプエルトリコ。

この1位の手を参考に、タバコ農園から商館を作りこつこつお金を貯め、出荷は敵の出荷量を少しだけ削れるようにする程度でまったく力を入れず、無駄な出費を抑えて市役所→小倉庫→税関とこつこつ作っていったらロースコアながら1位! か、勝った。敵全員 COM (強) で初の建築勝ち。やっ・た\(^-^)/。自分が初期の金策をうまく進めれば、港出荷野郎にも勝てるのだ。サイコー。さすがボードゲーム史上世界2位の名に恥じず、見事にバランスは取れていたのである。このバランスを学ぶのに2週間もかかった俺がバカであった。

こうして《コーンは出荷型に渡さぬようできるだけ拾う、コーヒー工場は高価なので稼働開始が早いタバコ工場で資金稼ぎ》というベーシックな勝ち方が掴めると、勝てるならば必死こいて一本道で勝とうとせず、いろんな打ち手を楽しもうという気にもなれる。これからはさまざまな戦術バリエーションを楽しんでいこう。

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■11/02/21(月) □ ドミニオンの学習
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ドミニオン・クローン for Windows
絵柄はオリジナルにしてあるし
強いし、見事なデキです
プエルトリコは一段落した感があるので、家事と萌の相手の合間に大ヒットカードゲーム「ドミニオン」のルールを習おうとしたが、からきしわからない。取ったはずのカードが取れていない。何か根本的に普通のカードゲームと違うルールなんだと思う。

ネットをあちこち読んでPC相手に試し、やっと「取ったカードは手札に来ず、自分の捨て札に入り、後から使えるようになる」という変わったルールなのだと分かり、ゲームを進めることができるようになった。しかしそのカードの効能が超面倒である。
【泥棒】他のプレイヤーは全員、自分の山札の上から2枚のカードを公開する。財宝カードを公開した場合、その中の1枚をあなたが選んで廃棄する。あなたはここで廃棄したカードのうち好きな枚数を獲得できる。他の公開したカードはすべて捨て札にする。
【密偵】各プレイヤー(あなたも含む)は、自分の山札の一番上のカードを公開し、そのカードを捨て札にするかそのまま戻すかをあなたが選ぶ。

この調子で長文の効果を読まねばならない。しかも意味が分からない(笑)。ネットで検索し熟練者が意味を解読したものを読んでやっと効果が分かるのである。カードが持つ効果が非直感的すぎ文章が下手すぎるのだ(これは訳は直訳で、原文が下手)。プエルトリコの「市場=売却価格が1増える」はなるほど市場だもんなと一発で了承できるが、「【泥棒】他のプレイヤーは全員自分の山札の上から2枚のカードを公開...」などという言葉と効果に何のつながりもない人工的なルールは覚える手がかりがなく、理不尽さを感じる。

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ともあれルール解説を読みながらの5回目のトライで、山札と手札というややこしいシステムの仕組みがやっとわかった。つまり

◆山札、手札、捨て札は全部自分の持ち札で、それがサイクルする
◆その全部の持ち札の中から手札5枚だけを1ターンで使うことができる

これがこのゲームシステムの全貌なのである。説明書(原文)の一番最初にこの2行の説明を図入りで書いておけば一発でゲームの仕組みが分かるのに、8ページ目までテキストを読まないと捨て札がサイクルするということがわからない。英語圏の製品は電気製品でもなんでもこの体たらくで、説明書が滅茶分かりにくいのである。他人に何が分からないかが分からない人種なのだ。説明書を書かせて世界一は日本人だろう。

で、その5枚の手札内に+3カードなどのアクションがあればさらに3枚を山札から足してそのターンで使うことができる (アクションは+アクションカードがあればどんどん連鎖する)。使ったカードと手番で獲得したカードは捨て札に入り、あとで山札が尽きた時点でシャッフルされ山札となる。つまり買い物に支払った金さえも捨て札経由で戻ってくるのでケチる必要はない。持ち札はどんどん増えていくのだ。なるほど。やっとわかった。俺はなんて説明がうまいんだ。日本人説明バンザイ。

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あとはカードの効果を覚えれば徐々に戦術も立つのだろうが、現時点でそこまでやる気はしないので適当に。とりあえず中盤からサンクトペテルブルクと同じ要領で徐々にお金を勝ち点にしていく。勝ち点が増えるほど手札内のお金がなくなり買い物はしづらくなるが、手札の+金カードで足すことができるのでさほど不自由にはならない。1戦目は 75-59-[27]-25 で3位。初ものゲームにしては普通に戦えたほうだろう。やはりサンクト、サンファン、プエルトリコと学んできたボードゲーム学習効果は大きい。

アクション効果を継ぎ足していく感じはなかなか楽しい。連鎖だ。TVゲームみたいだ。しかし大ヒット作というほどの面白さは感じないので、あちこちのゲームサイト記事を読みながら寝よう。

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■11/02/22(火) □ ドミニオンを8戦連続
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【ドミニオン】初期カードセット以外で数戦やってみて、「堀」というカードが気に入った。これを買っておくと敵の攻撃を防御できる可能性が高まる。この《攻防がある》ところと、可能性が《高まる》というところで初めて、ドミニオンを面白いと思った。つまり手札は自分で選択できないので毎回「堀」を出し防御線を張っておけるわけではないが、2枚ほどデッキに入れておけば高い確率で攻撃を防いでくれる。それがデッキを強くするというこのゲームのテーマなんだ。なるほど。堀は敵の攻撃をことごとく遮り、しかも手番になったら手札を増やしてくれる。このカードのマメな働きには愛情を感じる(笑)。

そして「村の広場」セットで初勝利。カード連鎖で手札に金と銀を複数枚入れることができ、高い勝ち点カードをバンバン買えた。これでドミニオンはわかりました。面白いが、現時点では同じく金銭→得点のサンクトペテルブルクと同等という感じ。プレイしているうちに「堀」の他にも好きなカードやカードコンボが見つかり、柔軟性の高さでサンクトペテルブルクを超えるだろうが、そこまでやり込むかはまだ分からない。

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とか否定的な感情で始めておきながら、気がついたら夜中まで8戦もやりまくっていた。やっぱ面白いんである (^-^;。プレイが非常に軽いのがいい。デッキ全体としてこういう方向で点を取りたいというおおまかなグランドデザインだけを持ち、後はその場その場の自分の手札を見た最善手判断だけで進められる。このごく手軽でありながらちゃんと考えどころもある愉しさはカルカソンヌと共通している。

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■11/02/25(金) □ ニッポン売れてる音楽問題
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【NHK B'z の番組】サザンオールスターズより B'z のほうが売り上げ総計が大きいというのにはぶったまげた。俺は1曲も彼らの曲を知らないのである。海外暮らしとはいえ俺だって NHK や TV Japan でやってるタモリの歌番組で彼らを何度も見てると思うが、ほんとに1曲も記憶に残っていない。それが日本一のバンドなのだみたいに言われると、ちょっとちょっとと言いたくなる。

記憶にないのは音にも言葉にも興味を感じないからで、この番組を見てますます興味がなくなった....という言い方もヘンだが、興味を感じない理由がよくわかった。「(こんな僕に?)よくぞつきあってくれたね~」なんていう歌詞とメロディを発するセンスにはついていけないのである。

ギターの人がスタジオに篭りギターソロを何度も録り直し、ボーカルが節制し毎月医者に喉をチェックしてもらっているというこのドキュメンタリーが示すように、彼らの音楽は努力と鍛錬から生み出されている。努力と鍛錬はもちろん尊いが、それは音楽や表現のよさとは別系統の尊さであり、直接結びつくものではない。全くこの番組は音楽というよりも工業製品の苦闘する生産現場ドキュメンタリーのようであった。―――あ、あれだ、これは「プロフェッショナル 仕事の流儀」だ。俺はあの番組が苦手なのである。

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B'z とは関係ないが NHK の歌番組で毎週大騒ぎされている AKB48 とかの売れっぷりも馬鹿馬鹿しい。萌はこういうガールズグループを見ると「これって日本ぽいよね」と失笑するが、グーフィ(クールの反対)な格好をした女の子たちがえらい大勢でスキップして歌ってるだけなんだから、カナダの10歳から見たら児戯と見えて当然である。俺の希望に反し萌ががっぷりハマっているケイティ・ペリーなどの US ポップも全部くだらないけれど(マイケルジャクソンやマドンナやプリンスが一度は開拓したポップ音楽の土壌から出てきておいてその前時代的凡庸さはなんだ、と)、AKB48 とはさすがに比較されたら恥ずかしいくらいなもんである。

なんで日本ではこう幼稚性がもてはやされるのだ。こんなものは中学生の学芸会ではないか。学校でガールズがこれをやって同級生がやんやの喝采というなら話はわかるが、商業として大成功し、大人がすごいですねえとお追従を言うというのはどう考えてもおかしいだろう。

子供も大人も聴く音楽を間違っている。子供はシャキーンを、大人は「等身大の歌詞にすごく共感する」とかそういう努力と鍛錬レベルのことばかり言ってないで、思いもよらぬほど美しい言葉とメロディを届けてくれる本当に才能あるミュージシャンの音楽を聴いてください。

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■11/02/25(金) □ ドミニオンの結論
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【ドミニオン】はなんか俺はうまくならないなこのゲーム、と早くも盛り上がりが醒めてきた。《ゲーム中対戦相手が何をやってるのかよく分からない》のがどうも馴染めない。デッキを自他ともに見ることができないというシステムがドミニオンのゲーム性を生んでおり(※)、それは間違いなく素晴らしいのだが、それゆえに各プレイヤーの状況が分からないことにフラストレーションを感じるのである。

(※)デッキを見れるなら常時最強の5枚を手札に使う
別種のゲームになってしまう。

自分のデッキは無論「金が2枚と改築があり、庭園が2枚入っている」と見れなくても概要を把握しているが、敵全員のプレイ札と取り札を見て「誰がどんな戦略でスコアはどの程度」なんて推測し記憶しているなんて無理である。せめてスコアだけでも分かれば (得点カードと庭園だけは表を向けて横に置くとすればよい) 自分の戦術が他と比べうまく行ってるのか遅れてるのか分かるし、リードしてる人の打ち手に着目し思索も進められるのだが、このシステムではあーなんか俺はたぶん負けてるなーくらいしか分からない。

スコアが分からないのだからぎりぎりの勝負感など当然生まれてくるわけもなく、「この1枚をどう打つかで勝負が決まる」みたいなエキサイトする状況にはなりようがない。よってゲーム終了時にも「やっぱ負けた/あ、勝った」くらいの気持ちしか湧いてこない。ドミニオンについて皆が言う「ソロプレイ感」というのはこの「対人勝負感覚の薄さ」のことなのだと思うが、それはこのゲーム構造による戦況判断の困難さゆえだろう。

加えて、「このままじゃ負けるから大得点狙いのギャンブルに出よう」みたいな戦略が取れないのがやや物足りない。ゲームの終盤に「あれとこれをコンボにすれば大量に属州が買える」みたいな手が突如浮上したりはしないのである。そういう手があるなら序盤から終盤まで変わりなく存在している。それに絶妙なコンボを思いついて買った良手カードも間違って買った悪手カードもデッキの何十枚中の1枚なので、それらは後からじわりとしか効いてこない。無論そのじわり感がこのゲームの妙味なのだが、なにか戦略を変えての急追はできないメカニズムなのだ。

カルカソンヌやプエルトリコでは戦況はすべて見えているし、可能性は低くても逆転を狙う手があり、良手悪手は直ちに戦況に反映され明瞭である。その3点が、ドミニオンとは大きく異なっている。俺はすべて見えていないとダメなんである。ゲーム中スコアが分からないゲームはたぶん全部ダメだろう。

勝つときは「全体としていい感じにデッキが育った」というじわじわな喜びがあり、負けるときは「全体としてなんかダメだったナリ」という感じになる。美味なのだが、薄味。いいゲームだが、俺にとって勝ってガッツポーズというほど燃えるゲームではない。3~4日しかやっていないが、それが現時点でのこのゲームに対する感想となる。サンクトペテルブルクより上、サンファンと同等、カルカソンヌ・プエルトリコよりは下という感じかな。

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ドミニオン(評価8点7点)
《長所》
◆アクション連鎖さくさくは楽しい。3段4段と連鎖するとまるで TV ゲームのような華やかさ
◆生産をするゲームではないが、デッキがうまく作れた後半は拡大再生産ゲーム同様の得点加速感がある
◆カードセットから多様なカードのコンボを考え出すこと自体が楽しい
◆攻撃とその防御法があるのは素晴らしい。「堀」サイコー
《短所》
◆はじめはカードの効果説明を読むことが実にめんどくさくやる気を削ぐ
◆誰でも同じアクションカードが買えるので、苦労してほしい物を手に入れた的な喜びはない
◆システム上戦況がよくわからず、それゆえ人と競っている楽しさを感じにくい
◆ゲーム途中で戦略を変更しても効果が薄い
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というわけで、ドミニオンはひと段落。プエルトリコをやりつつ、また他のゲームを習ってみよう。

2011/02/20

日記「スクールミュージカル/ホートン」

「(プエルトリコオンライン)港大量出荷作戦にゲンナリ」「PCボードゲームの限界か」ほか。

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■11/02/11(金) □ 港大量出荷作戦にゲンナリ
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Java 版プエルトリコ、Tropic Euro
「強」はめっちゃ強い
PC相手のプエルトリコ Tropic Euro は COM プレイヤーの強さをハードにして以降どうにも戦術がマンネリ化しつつある。COM がノーマルの時はいろいろな建物を買い効果を楽しみつつ勝てたのだが、「コーン→港→大量出荷」という一本道で突き進む COM (強) には、同じ出荷作戦でしか対抗できないのだ。なにか建物を買いたくて生産物を金策に回すとその分出荷が滞り、あっという間に出荷点で引き離され挽回不能となる。

人とやれば毎回個々の選択にゆらぎがありもっと面白いだろうと思うが、COM 敵だと毎度同じ展開の繰り返し、しかも俺が望んではいない出荷競争ばかりなのでゲンナリしてくる。少しは異なる戦術で遊びたいのだが、いつもと違うことをしてもこれといったメリットがなく、そしてこれはメリットがないことをするとその分苦しくなるシビアなゲームなのだ。

サンファンはランダムな引き札によって戦術は毎度必然的に変わるので、気楽だし戦術バラエティもそれなりに楽しめる。プエルトリコもノーマル相手ならばいろんな戦術で勝てるのだが、COM (強) がやる最適化された港作戦に勝つ方法は港作戦しかないんじゃないかコレと思うのである。

―――あ! 今のゲームで勝った COM (強)2が初手で宿屋を取っている。しかも大学も取っている! それで砕石所を4個も取り、出荷なしの建物ポイントだけで勝ったんだ。そうか、こういう面白い勝ち方も可能なのか。港作戦に勝てないのは単に俺が下手だったのだ。この宿屋作戦を含め、もっといろんな戦術を研究してみよう。

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■11/02/15(火) □ PCボードゲームの限界か
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【プエルトリコ】ここ数日最強港作戦対策と宿屋作戦の研究をし、おかげで少し戦術開眼した感がある。初手宿屋作戦で何度か COM (強) に勝つこともできた。いろんな戦術で勝てるなら、やはり素晴らしく面白いゲームである。これだけの研究を実際のゲームでやっていたら何週間もかかることだろうから、強いPC練習相手がいてくれてほんとありがたい。

しかし人間プレイヤー1名では出荷型を止めきれないとはっきりしてきた。ほんとのボードなら複数プレイヤーが協力して生産物をぶつけ船をコーヒー等で埋めて港プレイヤーの独走を止められるわけだが、Tropic Euro の COM はおのおの自分の得点追加作戦を遂行する(COM (強) の思考ルーチンは素晴らしい)だけなので、出荷型を妨害するのは俺しかいない。出荷を妨害すれば金を稼ぐ機会が減り建築が苦しくなるし、建築に力を注げば出荷をどんどんされるという、建築型に勝ち目なしのゲームになってしまうのだ。出荷型は必ず複数いるのでお互いに補完しあって点が伸びる一方だし。

試しに2P戦をやってみると、やはり相手の港作戦を妨害しつつ俺の建築を進められ、COM (強) にも建築できっちり勝てる。つまり必ずしも俺がヘボだから COM (強) に勝てないのではなく、COM による妨害がない Tropic Euro のプエルトリコでは港出荷でとめどもなく点が入ってしまうということなのである。

2P戦なら戦術バランスはイーブンになるが、しかしサンファンと同じで2P戦だと簡単に手が作れすぎて味気ないんだよなあ。3P戦にしたり、出荷型になるコーン持ちプレイヤーの上家に俺が座ってコーン持ちを妨害したりと、いろいろ実験をやってみてもこれといった港有利解決策は見つからない。港をなしにするというオプションがあればおそらく Tropic Euro では一番バランスがいいのだけれど。ノーマルでは弱すぎて、ハードではこれ以上戦術的バリエーションが楽しめない(というか楽しむと勝てない)。これがPC相手のボードゲームの限界かもしれない。

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Tropic Euro (プエルトリコ)(評価9点8点)
《長所》
・拡大再生産フィーリングはこれが最強だろう
・効果が違う建物類が楽しく、さまざまな勝利への道筋が考えられる
・全員が同じ作業を行うルールは秀逸
《短所》
・他のプレイヤーとの兼ね合い部分は、頭が疲れているとしんどい
港逃げ切りが強すぎ、勝ち筋は案外狭い(人間プレイヤー同士ならば問題ないのかも)港出荷逃げ切りは強いけれど、そういうプレイにもさまざまな戦術でちゃんと勝てると後から学習、失礼しました。
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■11/02/17(木) □ スクールミュージカル/ホートン
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ついに萌のミュージカル本番、朝から萌はガンガンに飛ばし歌いまくってるので、これからリハーサルと本番があるんだから少し声をセーブしてくれと頼む。まあ無理だろうなあ。主役なんだから。


このミュージカルは「ホートン/
ふしぎな世界のダレダーレ」という
映画になっているらしい。
【スクールミュージカル「Horton Hears a Who」】早目に来ていい席を確保。萌はマスクをすると聞いて顔が見えないのかなと残念に思っていたが、子供芝居らしくおでこに象のホートンがついた帽子だった。

最初のソロ曲は声に緊張が出ていたが、震えや音のはずれはなく出だしほぼ万全の出来。しかしサビで最高音に行くところでオクターブ下で行ってしまった。キーが男声用に書かれているので子どもが歌うと半端に高く、つい下に行きがちなのでそうならないよう何度も練習したのだが。しかし無理もないかもしれない。緊張で喉が詰まって高音が出ないような気がして、一瞬のためらいがあったのだろう。こんな満場の人前で歌うことは初めてだもんな。2番のサビはきちっと上のオクターブで歌えた。よしよし。


人前でソロを取るなんて
もちろん初めてです
2つ目のソロ「サラサルゥ」は高いところも声の転換部も練習通りにきれいに出る。素晴らしい。声が普段より小さいが、あれはマイクで歌うことも初めてなので加減がわからないのだろう。

というわけで、練習での力が9分通り出た見事な萌の初のミュージカル体験だった。日本の小学校でこれをやったら、「ウーだってよ!」と悪ガキや意地悪ガールズにからかわれまくると思うが、カナダはそういうノリがまったくないのが国全体としてえらい。

◆  ◆  ◆  ◆

歌い終えて帰宅した萌に、あとでみんなに絶賛されたかと聞くと「誰もなんとも言ってなかったよ」と笑う。そんなはずはないだろうと思ったら、やはりクラスでさかんに褒められたらしく、照れて俺にはそう言わなかったのだった。

「あんなみんなの前で歌ったなんて、今でも信じられない。夢みたい」と萌はいう。夢みたいというよりも、夢がほんとになったんだろう。《夢が夢でなくなる東京、おいしそうな花の蜜》だよ。若いって素晴らしい。

2011/02/18

日記「ついにプエルトリコに挑戦す」

「プエルトリコのインケツ性」「商館港2トップ戦法の確立」「スクールミュージカルの主役決定」ほか

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■11/02/06(日) □ ついにプエルトリコに挑戦す
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イスファハンはいいゲームだけれど、サンファンで建築がうまく行き後半ポイントが加速していくあの気持よさ、つまり拡大再生産フィーリングは味わえない。拡大再生産マインドを最高に満たすものを探していくとやはり、サンファンの上級機種「プエルトリコ」となる。


Java 版プエルトリコ、Tropic Euro
プエルトリコのフリーPC版はいくつかあるのだが、スタンドアロン版は俺のPCでは動かず、快適に動くのはこの Java 版「Tropic Euro」となる。作物や建物名がオリジナルとは変えてあり俺のような学習者には非常にややこしいのだが(※)、すでにルールを知ってる人にはまったく問題ないと思われる。ユーザーインターフェイス自体は素晴らしいデキ。BrettspielWelt のプエルトリコよりも分かりやすい。
(※)元のプエルトリコはやや人種差別的だという理由で作者がテーマを変えたらしい。コーン→バナナ、インディゴ→ココア、タバコ→ゴムとそれぞれ変わっている。名称が違うだけでルールは完全にオリジナル通り。拡張建物も選択可能。
ボードゲームのルールブックはどれもこれも分かりにくく、プエルトリコなどルールが複雑なので極めつけと言えるのだが、やはりサンファンをマスターしたあとなので前には皆目わからなかった各職の役割が分かり、最初からゲームを進めることができる。あとはより複雑になっている売買の仕組みと輸出のルールがわかれば、遊びながら建物効果を学ぶだけでプレイできそうだ。ちなみに公式ルールブックよりも、英語版だがユーザーが作った pdf のチュートリアルが1つ1つの手順を図解していて圧倒的にわかり易い。

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とりあえず数回やってみて、おおまかな進行はわかった。というか要素が増えただけでサンファンと同じだ。高価なコーヒーを売って最高額 $10 の建物を建てられたときは嬉しかった。コーヒー工場を作ったところから資金が潤沢になり、大学、宿屋など人員を自動配置できる建物を入手して着々と町を拡大する。ううやはりこれは楽しい :-)。拡大再生産テイストはやはり完璧だな。頑張って細かいところまで覚えよう。

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■11/02/08(火) □ プエルトリコのインケツ性
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晩飯後プエルトリコ(Tropic Euro)。造船所(4隻目の船を自分専用に持てる)で勝負をかけてガンガンと輸出を続け輸出量でトップに立ったのだが、建物ポイントで負けた。惜しい。まだ一度も COM に勝てていないが、なんで勝てないのかは分かってきた。俺はとにかく金回りが悪いのである。サンファンは産出した品目をほぼ自由に売り利益を建築に使えたのだが、こちらは売れるのは1品だけ、しかもまだ商店が買っていない品のみ、さらに4品目が売られたら店じまいという三重の制限がかかっている。

さらにさらに産出品を売って金を作りたい時に、敵によって出荷されてしまうことがありまくる。これはイスファハンの出荷と違って防ぐ方法がなく腹が立つ。売れば$5の貴重な希少なコーヒーを、最安雑魚商品と同等のポイントにしかならない出荷に送られてしまうのは実に手痛い妨害だ。この2つの障壁/駆け引き要素によりプエルトリコは、金を作ることが非常に難しいフラストレーティングなゲームなのだとわかってきた。生産売買施設拡充の楽しい拡大再生産ゲーム! なんて単純ハッピーなものではないのである。

出荷も1船に1種類しかできないという制限があって、このせいでとにかく品物がはけない。COM 敵が賢いのか俺のタイミングが拙いのか船の品目は常に COM 敵が選択しており、船が空になるまで俺は売れない上に輸出すらできないという状態が延々と続くのである。せっかくの商品を売ることも出荷することもできないときのインケツ性は、カタンのサイコロ不運に匹敵する (^-^;。

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8戦目、勝った。やっと勝った。またも船荷を抑えられ苦戦するが、大倉庫で無駄を最小限に抑え造船で単独出荷に持ち込み、最後に建てた公邸(入植者数÷3)でぎりぎりしのぎ3点差勝ち。ドキドキした。出荷金策下手な俺が勝つにはこれらの建築カードが命綱だな。

噂に違わず面白いが、サンファンよりも考えねばならないことが多岐に渡り、それをまだ全然言語化できないので COM 敵相手でもえらい疲れる。サンファンで負けるというのは、つまり「こういうプランで勝とう」という得点計画が引きと読みの悪さでうまく行かなかった時であり、ギャンブルに敗れたというさっぱり感がある。プエルトリコにはランダム性がないので、負けはすべて自分の行為の結果であり、生産・出荷・販売・建築のすべてがうまくいかなかったというぐったり感がある。まあ勝てば気持ちいいわけだが。

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■11/02/09(水) □ 商館港2トップ戦法の確立
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プエルトリコ、COM の戦法を見ていると結局コーン大量生産→そのまま出荷が最強だろうと、大コーン(Tropic Euro ではバナナ)農園主となり自分専用船も買って大量出荷しまくると、やはり勝てる。

しかしこうして直球の必勝法を見つけて勝ってもうれしくはない。いろんな建物を建て、その効果を楽しみながら勝ちたいではないか。そのためには金策だ。どうにか生産物をうまく売り建築に進む方法はないのかなと―――悩む状態が続いている。ネットでは建築有利と言われているが、Tropic Euro ではコンピュータ AI が出荷を得意としており、俺が金を作り建築をやってると点がまったく届かないのである。

ネット上でプエルトリコ各種定石論を読み研究してみる。そして試行錯誤の末、強力だと推奨されている工場で生産ごとに2~3G手に入れ、作物を売りやすくなる商館をゲットして生産物を毎ラウンド売って堅実に金を作り、コーンが手に入れば輸出に回して、造船所、公邸、税関と高額建物を入手....とすべてがプラン通りに進み、48:45:44 で快勝。やっ・た\(^-^)/。初めて自分のやりたいようにやって気持ちよく勝てた。商館と造船所をゲットしておけば、思うときに売れない・輸出できないという俺のフラストレーションはなくなり、長時間たっぷり楽しめるサンファンというプレイ感になる。面白い。

その後数戦して、造船所よりも出荷ごとにポイントが入る港の方がさらに強力なのを発見、この港と商館の小粒2トップが当面俺の得意作戦となるだろう。

最終戦:だんだん勝ち筋が見えてきたので初の4P戦。ところが収穫をするたびに商店を4個先に埋められ、商品売りを完璧にブロックされ建物わずか6個の惨敗。やはり人数が増えれば増えるほどガバナーが回ってこないので難しいゲームとなる。ふいー。しかしこうして戦術研究がいくらでもできるのが COM 相手のゲームのありがたさだ。

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■11/02/10(木) □ スクールミュージカルの主役決定
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Dr ズースという
英語圏の定番絵本シリーズを
元にしたミュージカル
スクールミュージカルは、意外にも萌が主役のホートンに決まった。まあ立候補が実質萌とCHの2人しかいなかったらしいが、演技がうまく派手で舞台映えするCHにおそらく決まり萌はがっかりするだろうと俺は心配していたのである。

決まったからには頑張ってもらいたいので、萌の部屋で通し練習をやらせてみると、萌は案外演技がうまくなっている。周りに冷やかされてがっくりと肩を落とすといったあたりは見事なものだ。

しかしもともと曲は大人の男用に書かれたもので、子供にはキーが全然合わない。ゆえに萌は伴奏に釣られて1オクターブ下で歌い出し、低いところが歌えなくなってしまうことが多々ある。そこで自分の声が伴奏の音で聞こえないときのキーの取り方を、バンド時代の経験から萌に教授する。要はマイクに拾われない程度の音量でイントロ中に「んー」と歌い始めればいいのだよ。声を出せばオクターブが低いとわかるから、1オクターブ上げればいい。

子供を指導しているディレクターはミュージカルの専門家らしいが、この辺とか目線のやり場などは指導してないらしく、萌は演技や歌をやりながら俺の顔ばかり見ている。自分の演技がいいのか評価が気になるのだ。学校ではきっとディレクターの顔を見てるのだろう。それじゃ全然ダメなわけで、気持ちが役と歌に入っていれば大人の顔なんか気にならんのだよ、役者が客席を見てなければお客にはつまらんのだと言い聞かせる。俺の顔を見るたびに駄目出しをして何度も歌わせ、最後にはキッと目線も声もよくなった。よしよし。一世一代の舞台だ、頑張りなされ。

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サンファンのブログ記事を書きながら久しぶりに1戦、初めて凱旋門フルスコア8点で勝った。やっぱサンファンはシンプルかつ毎度展開が違って面白いわ。これが安かったら本物を買ってもいいくらいなのだが、カードゲームなのにカルカソンヌと同等の値段なんだよなー。

プエルトリコは4P戦でも勝てるようになってきた。インディゴ、小市場、商館、コーヒーと建て、このコーヒーを勝手に出荷されないよう生産時期を慎重に待ち販売に成功して波を掴み、あとは港、砦と大物を順調に建て 57 点の大勝利、気持ちいー。

しかしここで COM の強さをハードにして愕然とする。COM(強) はコーンと港であっという間に出荷独走態勢に入り、俺も港を取り追いかけたが出荷 pt で 30 点も差がついては勝てない。あれは場にコーンが出たら自分のプランを変更してもコーンを拾う(出荷型に拾わせない)という戦略が必要なのかな。うーん、いろいろと勉強したくなるゲームである。いろいろと勉強せざるを得ない、厳しいゲームである。

2011/02/14

日記「イスファハン for Windows」

「豆まきゲーム」「面白いのに物足りない」ほか。

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■11/02/03(木) □ 豆まきゲーム
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弱い鬼

ダウナーな鬼
 日本語学校で節分について習ってきた萌が主導し、初めてうちで豆まきをやった。子供の頃なんとなく家の中の暗闇に向かって投げていたような気がするので、たぶんそういうところに鬼がいるのだよ、投げろと家族に指示。それでよかったのかな。


鬼の豆盛りゲーム
 萌は、「豆まきというのは自分の心の悪いところやダークなところをふるい払うためにやるのだ」と学校で聞いてきて、だからそれを各自絵に書いて、そこに豆をまこうとゲーム化する。なるほど。萌は「心の弱さ」、Mは「怠惰」、義母BRは「自己中心性」と絵を描いた。俺は、うーん、最近のこのダウナー(欝)さだよなと、「ダウナーな鬼」を描いた。

 そこに豆を投げてみるとみな盛り上がる。豆まきというか、よこしまな鬼たちの絵の上に大量の豆がズザザと山盛られていったという感じ。はは。この豆まきで俺は確かに少し気持ちが上向きました。

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■11/02/04(金) □ イスファハン for Windows
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美しい砂漠の町イスファハン
 イスファハンというフランス製の美麗なボードゲームの PC 版が見つかった。これはすごい。遊星からのフリーキック氏が「すばらしいといっていいのじゃないか」とメカニズムを称賛し、ジョーコデルモンド氏が「ボードデザインがよければドイツゲーム大賞に輝いてもおかしくなかった」とまで言う傑作が、PC 相手にできるとは。ありがたやありがたや。興奮ものである。

 ルールを確認しつつ最初のゲームを終了。上記の解説通り確かに1ゲームが早い。サイコロを振って商店に品物を送り、時折ラクダに送って出荷ポイントも取りと手順を確認していたら初級で簡単に勝ってしまった。ありゃこれだけかという肩すかし感。2戦目はやることがわかったのでさらに早くプレイし2位。ふむ。ほんとめっちゃ短くて楽しいが―――サンファンより早く 10 分かからない―――、さほど高いゲーム性があるとは見えてこない。

 しかし特殊効果がある建物カードを取り始めたらゲームがばーっと広がってきた。つまり商店コマ置きを我慢して金・ラクダ・カードに投資し建物を作れば、自分の能力を大幅に上げられるのである(コマ置き+1とか得点+1など)。そこにゲーム的決断と結果の明暗があり楽しい。

 この大量9個ダイスシステムは素晴らしいな。高得点エリアに自分のコマを送る「いい目」はあり(当然確率的に出にくい)、ダイスを振った手番の人がそれを取るわけだけど、あと番の人が取る残り目にも何もできない「ハズレ」は1つもないのである。残り目で得点は低いが完成は容易なエリアにコマを送ることもできるし、コマは使わず金かラクダかカードを取ることもできる。キャラバン(後述)にも荷を送れる。チャンスが実に広く民に分配されており、そこが同じくダイスを使うカタンとはぜんぜん違う。選択肢のどれもがプラスになるチャンスなので、悩ましさが前向きで全然苦しくないのだ。

 最後は相手の強さをミディアムにして接戦を楽しむ。うん、面白い。同じサイトで配布されているサンクトペテルブルクをもっとビジュアルに楽しく、悩みにくくしたという感じのゲームだ。さまざまな手段でポイントを最大化しようというサンクトと同じ系統のゲームで、残念ながら俺が望む生産開発ゲームではないけれど。

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■11/02/05(土) □ 面白いのに物足りない
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 【イスファハン】ノーマルだと常に接戦になるので CPU を最強にしてみたら、驚いたことにダブルスコアで負けた。こんなに大量点が取れるゲームなのか。勝った CPU はキャラバン(画面右にあるラクダの隊商)にガンガン商品を送り込んでいた。あれがけっこう大事なのかもしれない。

 このキャラバンのスコアルールは非常に分かりにくく公式ルールブックを読んでも計算法がまったくわからないのだが、日英ルールを相互参照し(※)、BoardGameGeek のフォーラム記事でのルール議論まで読みつつ得点を細かく計算しながらプレイし、やっとキャラバンルールが全部わかった。
(※)いろんなボードゲームの日英ルールブックを読むと、どれも翻訳も悪いが原文も同じだけ分かりにくい場合がほとんどで、翻訳者は苦労してるんだろうなと思う。

1) キャラバンに荷を送るごとにラクダに書かれた点(2/1/0)が入る。早めに送ったほうが点が高い。
2) 週末にキャラバン得点が入り(各自のコマの最高到達点x総個数、つまり x3 部分に置けば高得点)、しかもキャラバンはリセットされない
3) ラクダの荷がフルになるとさらに 2 と同じ得点が入り、ようやくリセット

 どのルール記述を読んでも2と3がわからなかった。つまりキャラバンはフルになりリセットされない限り繰り返して点が入るわけで、変なルールである。週末の得点はなしで、荷物が満載になったら得点しリセットでいいではないか。この妙なリピート制のせいで、週末の精算前には荷物を送って便乗するか満杯にしリセットしておかないと、荷物が多い人と少ない人とでやがてえらい差がついてしまう。これだけは納得しがたい。

 たとえばキャラバン隊列を半分コマで埋めたら18点入るが、週末前にリセットしなければこれが何の努力も要さず2回リピートされるわけだ。これをうまくやればキャラバンだけで勝ちが決まってしまう。ゲームのメインはどう見ても派手なサイコロによる見目鮮やかな町の商店占有なのだから、キャラバンは《ダイス運が悪い人がキャラバン戦略で点を補う》という程度のサブ得点源としておくべきだろう。リピートはいかんよ。

 ともあれ、余ったお金を使うと黄色ダイスをさらに最大3個足して振ることができるのだが、このメリットもやっと分かった。メカニズム的に非常に出にくい壷エリアの目を出す確率を上げられるのだ。1つでも出ればおいしいのである。よくできている。建築物はどれも強力だが、完成商店+2点のバザールがもしかすると最強か。バザールがあれば1週間に6~8点くらい余分に稼げるのだ。

 ルール=やるべきこと=戦術が全部分かると、このゲームのメカニズムの素晴らしさが身にしみてくる。大得点の町に置いていたコマをキャラバンに強制送付され得点が減り、それを防ぐために防御用ラクダを常に1つ手元に置いておくプランニングが必要なんだと知ったり(これで逆に敵の町を攻撃することもできる)。そういった駆け引きがどんどんわかり、俄然面白くなってきた。

 面白い。これはいいゲームである。開発生産の楽しみはカタン・サンファンに及ばないが、その他全ての面で完勝だろう。

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イスファハン(評価8)
《長所》
・ダイス運を絶妙な塩梅でゲームに込めたダイスシステムは革命的
・どれほどダイス運が悪くてもカードは取れるのでハズレのターンがない
・メインの商店街占有はやることが一目瞭然できれい
・効果カードが強力かつサイクルするので皆に引くチャンスがある
・得点方法がかなり多彩でありながら選択肢がわかりやすく迷うことがない
《短所》
・キャラバンのスコア法がとにかくわかりにくい上に二重得点はバカげている
・ゲームがえらい短い。ひと要素加えてもう10分遊ばせてほしくなる
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 というわけで、ボードを買ってやるならキャラバンのスコア法をハウスルールで改め、さらにコマを足してなにか拡大再生産要素を加え、もっと長いゲームにして遊びたいな。ここに何をどう加えたら面白いのかまでは思いつけないけれど、楽しいからこそ物足りなくなるゲームなのだ。こんなに面白いのにもう終わりかよと、もったいなさを強く感じてしまうのです。

2011/02/10

日記「PCサンファンを発見」

「サンファン改造」「バスケットコーチ」「コーヒーカップのサムデイ(佐野元春)」ほか。

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■11/01/30(日) □ PCサンファンを発見
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 生産開発をするPC(コンピュータ相手の)ボードゲームがやりたくて探しに探し、ついにサンファンが見つかった。上級版プエルトリコはルールを読んでも全然理解できないのだが、これは分かりやすそうなので習ってみたい。

次に何をするのかを教えてくれる、
UI が非常に優れた
ユーザー製作のサンファン
 親切なサイト(操られ人形館)で解説を読みながら2回やってみて、ルールが分かった。カード自体が通貨だという面白いシステムになっている。通貨=カードを増やすには2つ方法があって、畑を買い作物を作り売るか、山からカードを引くかとなる。

 しかし建物にいろいろな効果があるのが楽しいわけだが、その効果が絵を見ても全然わからない。産物を1つ多く売れるのがたとえば船の絵ならわかるが、「交易所」という単なる建物なので他の建物と区別がつかない。この点はアイコンで効果がわかるサンクトペテルブルクのほうが優れている。まあ本当のカードを持っていればそのカードを読めばいいのだろうが、ゲーム画面上では小さすぎて読めないのだ。

 その建物効果の分かりにくさに苦労しつつ戦い、生産が波に乗ってコスト5の建物が作れるくらいになると、相手がもう 12 個建物を建てておりゲームが終わってしまう。うわせっかく資金のめぐりがよくなり面白くなってきたんだからもっとやらせてくれーというのはサンクトペテルブルクと同じだ。現時点で面白さもサンクトペテルブルクと同等である。生産して売るのが面白いのだと思うが、そこが思ったほどうまく楽しめない。まあもっと上達しなきゃ駄目か。

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■11/01/31(月) □ サンファン改造
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 サンファンのカード効果がわからずどうにもゲーム性が上がらんので、手作業で分かりにくい10枚ほどにテキストを入れてしまう(bmp ファイルを開いて文字入力)。これで1ゲーム。これは見た目は悪いが効果ばっちりで、一目で効能がわかるので手札を見て即座に作戦が立つ。そこで生産+1、販売+1の畑システムを構築し、できたお金で畑x2pのギルドホールを作って、1ポイント差でついに初勝利。相手が先に物件を12作ったのだが、ポイントでは俺が上回ったのである。やっ・たとガッツポーズが出る。これは面白い\(^-^)/。

 カタンがつまらんのは、先に10点に達したら早いもの勝ちでゲームが終わるところで、制作物の「デキ」で勝負がつくほうがやはりどう考えてもクリエイティブで楽しいのだ。ゲームとしてはサンクト同様10分以内で終わるのだが、もうちょっとやりたいなーと強く思う。そう思うならより重量級のプエルトリコ等に行けということなのかな。

 というわけで、生産の楽しさでやはりサンファンの方がサンクトペテルブルクよりも面白い。PCに勝つのはサンクトよりもはるかに難しく、ゲーム自体が難しいということだろう。気がつけばこの新ゲームたちのおかげで、昨日初めて BrettspielWelt に丸一日ログインしなかった。俺は BSW でカルカソンヌ拡張をやり過ぎて、2ヶ月連続銀メダルという気恥ずかしいものをもらってしまったので―――プレイ回数×勝率みたいなもの、つまり皆勤賞 (^-^;―――、これで BSW 頻度が下がるのはありがたいことである。

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■11/01/31(月) □ バスケットコーチ
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 萌が Wii バスケットの影響か最近バスケットに凝りだし、クリスマスお年玉で自分でボールを買い、晴れた日は俺と一緒にうちの前のカルデサック(ロータリー)でやっている。彼女は運動神経が鈍くボールキャッチなどで体がどうしても逃げてしまうのだが、俺が「こうしてキャッチすればとりあえず怖くないんじゃないの」とか、シュートでは「胸の前から打つとストロークが長くなってコントロールが難しいから、おでこの前あたりから短いストロークでスナップと膝の力で打ってみな」と教えていくと、鈍いなりにどんどんうまくなっていく。

 俺は無駄な努力をするのが自分はもちろん人がやるのも嫌なので、常に最もイージーで合理的な方法を考える。スポーツでも同じことで、萌ができないことの1つ前のステップを作ってやって、そこから最短最小努力で克服させていく。それが子供の上達には向いているのだろう。

 俺がバスケ部にいた中学の時には、顧問の先生がこんなことは1つも教えてくれなかったよなと今にして思う。高校に入り、俺の中学より強かった別の中学のバスケ部出身の奴にちょっと教えてもらったら目からウロコで俺は飛躍的にうまくなったのだ。つまり子供のスポーツは、周りにいる大人のスポーツインテリジェンスがめっちゃ影響あるのですね。

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■11/02/01(火) □ サンファン最高
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 PCサンファンは短時間にちゃっちゃとやりたくてずっと2プレイヤー戦にしていたのだが、これだとギルドホール作戦という確実な勝ち手があって意外と底が浅いかなと感じ始めた。俺は拡大再生産がしたいのだが、ギルドホールを取ったら生産せず小さな(安い)畑をたくさん作るのが最強なのである。カルカソンヌのリップ都市&草原作戦とまったく同じ、アグリイで簡単で強いのだ。

 で今日初めて4P戦をしてみると、生産と収穫が2ずつできるガバナーフェイズが4ターンに1回しか回ってこないので資金の流通量がおよそ半分になり、ほしいカードも分散して集まりにくくなる。したがって全員苦労しゲーム時間が伸び、より戦略工夫が必要になって非常に面白かった。これなら誰かがギルドホール作戦をしてもそうそう点は伸びない。「ギルドホールを引いた人が勝つ」というゲームではない。

 2P戦だと自分のフェイズで大量に作物を販売し、1回待って第3フェイズで建築を選び大量の作物=通貨をどーんと使えるのだが、3人以上だとルール上もう一度自分にフェイズは回ってこないので、誰かが建築を選んでくれないと売れ残って腐ってしまう(※)わけだ。当然ここでは誰も俺のために建築など選んでくれないわけで、生産するタイミングを考える必要がある。うーん、なるほど。面白い。これがこのプエルトリコ式ルールデザインの面白さなのね。ガバナーが次にいつ来るかを考えながらプレイする必要があるのだ。
(※)8以上はバーストしターンの終わりに捨てなければならない。が、カタンのバーストは手持ちが半分の4枚になるので壊滅的だが、サンファンは7枚残るので痛さはほどほどで、ちょうどいい独走制限になっている。

 畑方面で攻めたり建物安建築を目指したりで、俺は勝てないが戦術バラエティは楽しんでいる。引きが悪く畑も建造物もまるで作れないときに、礼拝堂だけで 10 点取りギリギリ2位になったゲームなど味わい深かった。面白いときもそうでないときもあるが、これは運に左右されるカードゲームの宿命だろう。

 これは面白い。勝つとガッツポーズが出るし、負けるとあー惜しいあと数ターンあればと思う。カルカソンヌ以降に出会ったゲームで、これがやはり最高だな。 

サンファン(評価9点) 
  • 《長所》
  • いらない手札がすべて通貨となる無駄なきシステムは秀逸 
  • 全員が同じ作業を行うプエルトリコ式も秀逸 
  • 効果が違う建物類が楽しい 
  • うまくなると生産と販売が思い切り楽しめる 
  • 手札7枚バースト制はゲーム性を上げている(12 枚持てるタワーもある)
  • 《短所》
  • 建物類の絵と効果が一致せず覚えられん(カードに細工で対処) 
  • 明らかに強すぎる勝ち筋(コンボ)がいくつかある 
  • もっと生産を続けたい! 20 件くらい建てたい


サンクトペテルブルク(評価7点) 
  • 《長所》
  • 後半お金ザクザクのウハウハ感
  • 序盤の建物投資も毎ターン少しずつ積まれていく構築感 
  • 手札一時預かりシステムは秀逸 
  • 効果カードが単純ですぐ覚えられる 
  • 貴族で逆転があり得る

  • 《短所》
  • 生産物を売る楽しみはない(アップグレードが少しカバー) 
  • カードはほとんどポイントが違うだけ、効果カードは少ないのでサンファンを知ってしまうと戦術がやや単調に感じる


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■11/02/02(水) □ コーヒーカップのサムデイ
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 夜、NHK「Songs」に佐野元春が出る。昔の曲をがらっとアレンジを変えてやっている。ボサノバになった「ヤングブラッズ」はどうかと思うが、フィル・スペクター風エコーなしの非常に抑えた音で「サムデイ」のあのイントロが聞こえてくると、お、これはいいなと思う。佐野元春は 40 代後半にシンガーとしてこれはヤバいというほどに声がやせ細っていたのだが、一時的なものだったらしく今はちゃんと声が出ている。

 ちらっと流れた若い頃の同曲のライブ映像よりも今の「サムデイ」のほうがいいではないか。天才佐野元春といえども若い頃はステージでアドレナリンが溢れトゥーマッチになって、この歌の滋味が少しこぼれ落ちていたのだろう。これはコーヒーカップからゆっくりと、こぼさずすする「サムデイ」だ。

 そして曲がセカンドバースに入り、俺はだんだん涙がこぼれそうになる。なんていい歌なんだ。いやいい歌だなんてわかっていたし昔から好きだけど、それにしたってなんていい歌なんだ。
「手おくれ」と言われても
口笛で答えていた あの頃
誰にも従わず
傷の手当もせず ただ
時の流れに身をゆだねて
いつかは誰でも
愛の謎が解けて
ひとりきりじゃいられなくなる
オー・ダーリン こんな気持ちに揺れてしまうのは
君のせいかもしれないんだぜ

 当時若者だった俺たちの心のバックグラウンドにはこの歌が、それこそクラシック音楽として流れていたのだろう。

2011/02/04

日記「カルカソンヌ・ロボットを発見」

「サンクトペテルブルク」「クニッツィアのサムライ」「アジア王座奪還」ほか。

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■11/01/27(木) □ サンクトペテルブルク
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 デモ版カタンが期待はずれだったので何かPC相手にできるボードゲームがないかと探してみると、「サンクトペテルブルク」というカードゲームのフリーPC版があった。いろんなサイトの感想を読んでみると、あこがれの生産開発ゲーム「プエルトリコ」のカード版「サンファン」にプレイ感が近いとある。完璧ではないか。

 これは覚えるしかないとルールを見ながらやってみると、ゲームは割合簡単である。安い職人や農民を買って働かせ、稼いだお金で高価な貴族や建物を買いポイントにするというゲーム。同じカードを取ると1ルーブル安くなるとか、お金がないときは後払いのツケでキープできるとか、アップグレードカードは差額だけ払えば手に入る(売買感覚が楽しめる)とかのルールは軽くて楽しい。

 だが役を揃えるゲームじゃないのでカードを取ること自体が今ひとつ盛り上がらない。町を作るゲームなのかと期待したのだが、これはつまり序盤は農民で金を作り、後半タイミングと配牌を見てそれを建物でポイント化するというリソース配分ゲームだな、大筋で。その部分はしっかりと面白いが得点を最大化すること以外にゲーム性はなく、なにかを作るという面白さは希薄だ。いろんなカードがあるが要はどれも数値なので、やってるうちにだんだんカードの数字にだけ注意を払うようになってくる。最高価格の宮殿を買っても女帝をゲットしても、大きなポイントが入ってくるだけで安いカードとの違いはないのである。

 中期以降に職人や貴族でお金がザクザク入るようになるのはうれしい。しかしそれで建物を買うのは単なるポイント還元作業で、初期の資金稼ぎに比べたらさほど楽しくないという結論になる。町を作りその町で何か別の愉しみが得られたら、もっと面白かっただろうなあと思う。まあルールはよくできているし、何度もやって勝てるようになるとだんだん滋味も感じるようになってきた。このPC版はフリーなのに十分楽しめてまったく文句ないです。やり続けます。

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■11/01/28(金) □ クニッツィアのサムライ
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 PC版ボードゲーム探しは続くが、見つかるのはチェスとポーカーと麻雀ばっかりだ。ああいうクラシックゲームはコンピュータ化しやすいらしく、フリーウェアがゴマンとある。この手は研究の歴史もあり AI を作りやすいんだろう。ボードゲームは思考がより人間的でコンピュータ AI を作りにくいのかな。カタンの AI 作成はコンピュータサイエンス学生の研究主題になってるのだそうだ。


実に信長の野望的な盤面
 おお、「クニッツィアのサムライ」デモ版を発見。陣取りゲームらしい。面白そうだが、今俺がやりたい生産とはぜんぜん違うか。

 やってみると陣取り的な楽しみはない宝取り競争で、限られたタイルで効率よく宝を取るにはいろいろ考えどころもあるのだろうが、全然考えなくても侍タイルがあれば宝は取れるぬるいルールなので、イージーで全勝、ノーマルでも2回目に勝ってしまった。んー。

 COM を強く設定すればこんな漫然打ちでは勝てなくなるだろうが、面白ければそうするがそうでないゲームをハードにしたいとは思わないのである。ちなみに英語圏最大のゲームサイト BoardGameGeek じゃこんなゲームがカルカソンヌ (76th) やチケットトゥライド (64th) より上の 62 位にランクされている。世界のボードゲーマーの価値基準がわからん。ちなみにカタン 58 位、サンクト 102 位。「サムライ」よりはサンクトペテルブルクのほうが構築の面白さはあるよな。

 これは没だがともあれ、日本地図での陣取り(風)というこのゲームを見ると、「信長の野望」ってすごいよなと思う。生産の面白さと陣取りが完全に一体化してるのだ。武将コレクションという「デッキ構築」も、歴史背景を知る日本人にはこれ以上はあり得ないだろうという形で完成している。ひょっとすると俺が望むボードゲームは、「信長の野望」のような総合的な面白さを対人かつ短時間で味わえるように出来上がったゲームなのかもしれない。そんなのってあるのかな。実は「信長の野望」がPCでできれば、俺はそれで満足するのかもしれない(昔やった Playstation 版はさすがにもうやる気はしない)。

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 「How To Train Your Dragon(ヒックとドラゴン)」は「アバター」に続きまたもや宮崎映画焼き直しモチーフ満載で、飛行シーンや、主人公だけがドラゴンは邪悪ではないとわかりそれを隠し父親に (以下略)...というあたり全部ナウシカだなあと思った。そのドラゴンが猫と犬とツンデレの女の子とポケモンという子供が好きなかわいいものセットから合成されてるのがなんとも安易である。まあかわいいけどね。

 ハリウッドのアニメクリエイターは志が低い。動物が喋る話かこういう焼き直しばかりだ。人物も「アバター」的怒れるマッチョアメリカンと、こういう《うろたえ臆病で弱いが本当は勇気があるいい人》の2種類しかないではないか。Mも主人公の声が嫌だと言っていたが、そのあまりの個性と魅力のなさに苛立っていたのだろう。

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■11/01/29(土) □ アジア王座奪還
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 【アジアカップ決勝】普通にやれば負けるはずがないのだが、日本の守備陣の足並みが揃う前に2発シュートを打たれる。パスもつながらない。フィジカルの劣勢で中盤でボールが保持できない展開が続く。日本は疲れがあるのだろうか。豪はキューウェルとケーヒルにボールを飛ばし、シンプルにガツんと攻めてくる。イングリッシュな感じの豪の崩しに次々に好機を作られ、よくない流れが延々と続く。

 35 分、ようやく日本がパスをつないで崩そうかと試みるが、引かれると自分のほうがミスをしてボールを失ってしまう。好機はまったく作れず前半終了。これはどうも、予想外な展開だ。これまで試合に出てなかったのでこの苦しい展開に対応できず攻撃にも守備にも効いてない藤本を替えるのは当然だが、劣勢は彼のせいではなくとにかく日本のパスと動きのスピードが上がらないのだ。香川がここにいても同じことである。

 日本のデキが非常に悪いのもあるが、豪が WC 予選時より強くなってるのも事実である。あの頃はピッチのどこでも日本のほうがうまく、アクシデントがなければ負ける気がしなかったのだが、このチームはシンプル確実なハードワークが見事に機能しつけ込む隙がない。オジェックは結局いい監督だったのか? 昔彼が監督だった頃のカナダが同じようにシンプル確実なハードワークからアクシデント的得点でゴールドカップに勝ってしまったのだが(当時俺が書いた記事がまだスポナビに残っている)、この豪はそれに加えカナダより人材が揃っている。キューウェルなんか年をとっても本田よりうまい。

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 【後半】藤本に替え誰が入るのかと注目していると、答えは岩政。3バックにして両サイドを上げるのかな。この策は見事に効き攻守とも安定したが、しかし両ウィングバックの攻撃力頼みというのが日本のベンチの苦しさを表している。内田は突破するまでの切れはないし、長友も動きはいいけれど組み立てのアイデアは不足している。クロスを入れても真ん中で勝てないしなー。

 あ、今野が左SBに入っての4バックか。―――あそうか、長友をもうウィンガーとして前に出しているんだ。わかった。なんという大胆な采配。そしてそれは完璧に効いている。さすがは玄人監督。しかし双方決め手なく延長へ。

 延長前半、李が入る。入って早々に落ち着いたいいプレイでボールをキープ。相手の脚が止まったこともあり日本がボールを持つ時間は長くなっているが、双方散発的にチャンスを迎えゴールには至らず前半終了。フォーメーション変更以後は日本が劣勢というゲームではないが、豪のほうが得点機はより近いというバランスは変わっていない。うーん。

 そして長友のあの突破から李のクリーンゴールとなったわけである。結局苦しい試合は個の力で唐突に決まるのだ。しかしなんで李がノーマークだったんだ(笑)。まあよかったよかった。アジア王座奪還だ。

 とにかくよく失点しなかった。これはDFたちと川島の勝利である。みんなえらい。日本は夜中だがめちゃ盛り上がっているらしい。俺も町に出て車のクラクションでも鳴らしたいところだが、ユーロならアリだろうがアジアカップは韓国人街にでも行かないと俺のこのうれしさはわかってもらえないだろう。いつかアジアカップも世界から注目されますように。日韓豪は見るに価するサッカーをやっているぞ。

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■11/01/30(日) □ カルカソンヌ・ロボットを発見
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Java が入っていれば Win でも Mac でも
Linux でも動くカルカソンヌ・ロボット

 英語圏ゲームサイト BoardGameGeek にPC版ボードゲームという長大なスレッドがあり、そこでなんと Java のカルカソンヌ JCloisterZone が見つかった。UI 的に BrettspielWelt オンラインよりかなりしょぼいのであまり期待せずに試してみると、―――うわ強いぞこのカルカソボット、初戦はなんとドロー (^-^;。

 都市乗っ取りの攻防では攻守ともにからきし下手なのだが、草原はちゃんといいところを取ってくるし、なによりブロック&トラップ的な置き方が実にうまく、こっちがリスクを考えずに打ってると簡単にトラップされてしまう。うまい。たぶん敵が』の字、コの字地形にいたらトラップするという基本戦術がプログラムされてるのだろう。そういう危険な地形を作らずにプレイするという練習にちゃんとなるのだ。たいしたものだ。

 相手がPCだと俺も驚くほど豊富に相手をトラップするアイデアが浮かんでくる。それこそどんなタイルでも相手の妨害に使え、自分はしっかりと点を取りつつ相手を毎度数個トラップできる。やっぱ無慈悲になるとこのゲームは強いんだわ。人間相手にもこういう冷酷な打ち方ができるのが、オンライン BrettspielWelt の破壊者たちなわけだ。俺は人に対してはそこまでできんが、PC相手なら嫌なプレイをすることは勉強になるし、けっこう楽しい(笑)。

 いやーこれは素晴らしい、これでいつでも速攻で歯ごたえのあるボットとカルカソンヌがやれます。待ち時間がないので対人の半分の時間、10 分そこそこでできる。拡張タイルも揃っている。ありがたやありがたや。