2013/01/02

日記「ハチエンダの園」

「今年のプレゼントは大満足」「エルグランデはアグリコラと似てる」「ストーンエイジの個人ボード」

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■12/12/20(木) □ ハチエンダの園
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 Spiel By Web というところにごまんと「ハチエンダ」があると判明し、新マップをトライ中。ここにはユーザーが作った数百ものカスタムマップが集積されている。Yucata に比べると UI がしょぼいが(自分でページをリロードしないとならない)、Yucata であまり相手の見つからない人気薄のこのゲームはこっちでも相手を探していこう。


「信長の野望」風味を楽しめる日本マップ
何度目かにやったこのジャパンマップ(MapID 145)なんかデザインも素晴らしいよな。英国人の上級者と「俺は日本人だから悪いが勝たせてもらう」と歓談しながらプレイし、我が軍(緑)は九州3都市をクリーンに制圧したが、近畿・東海・東北を抑えられ負けた。グレイトゲームであった。

 このゲームは相手がうまいと最高に面白い。狙いを読み合い先回りする感覚がスリリングこの上ない。6角のヘックスによる特性なのか、もし1手番に4手を打てたら確実にどんな狙いでも決まるのだが、実際には3手しか許されないので1手番では何ごともできないようになっている。そこで関係のない位置に力を傾注するフリをして問題の位置になにげにそっと布石を1つ打ち、相手がもし気づかなかったら次の番で王手をかけるといったプレイになる。ここでドキドキするのだが、今日のように相手がうまいと布石なんかガンガン読まれてぶち破られるわけですわ。ここが実によくできている。

 戦術的な幅も広い。別のゲームで《得点となる3枚以上の領地は作らず全市場の至近距離に1枚ずつ土地タイルを張っていき、市場だけを最短時間で接続する》という戦法(つまり「領地なし戦術」)の人と当たったときは前半だけで 64-46 と大差がついてしまい、この手があったかと思い戦慄した。最強戦術というのはゲームブレイカーで、どんなに楽しいゲームでもそれ以外では勝てない駄作となってしまうのである。

 しかし俺が通常の領地・動物・市場のバランス作戦で点を重ねつつ相手をブロックしていくとやがて点差はなくなり、イーブンな勝負となってゲームが終わり、最後はわずか7点差だった。つまりこういう極端な戦術でも戦え、かつそれが最強のゲームブレイカー戦術ではないのである。実に見事にバランスが取れたメカニクスである。



 【ハチエンダの欠点】弱い人はどうも動物だけをどんどん取って行く傾向があり(つまり「動物戦術」)、こういう人と当たるとあまり面白くないという欠点がこのゲームにはある。相手が動物ばかり取り土地を取ってくれんので土地デッキが動かず、こっちも必要な土地カードが手に入らなくなり領地づくりが停滞する。仕方なくこちらも動物を取ると、動物カードデッキが尽きると前半後半が終わるというルールゆえ、双方とも全然領地=点が増えないままロースコアで短時間にゲームが終わってしまうのだ。そういう相手に負けることはまあないが、面白くないのである。

 この動物タイルの多寡による面白さのゆらぎと見た目の地味さ以外は、本当に素晴らしいゲームだと思う。「ストーンエイジ」に続き、「ハチエンダ」も大傑作だなー。

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■12/12/26(水) □ 今年のプレゼントは大満足
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 BR のところで VHS デッキが使われず死蔵されてるのを発見し、クリスマス掃除の褒美にもらってきた。これがさすがはシャープで予想以上によく、絵がめちゃ綺麗で音も素晴らしい。絵の綺麗な VCR ってこんなに気持ちいいのか、今まで5年くらい何を見てたんだというくらいの違い。新品を買ったのと同等に非常に満足している。


日本からは手作りのリースと
精巧なラピュタロボット兵が
Mが俺に内緒で買ってしまったコーヒーメーカーも懸案だったメリタフィルターが使え(Mはコーヒーを飲まないのでフィルター形状の違いを知らない)、これがお湯の温度と淹れ具合がベストになっているらしく、これまで家で淹れたコーヒーで明らかに一番うまい。薄く淹れてもしっかりと味が出る。しかも淹れた後はスイッチが切れてあとはサーモで保温する仕組みになっており、時間が経ってもコーヒーが煮詰まらない。普通のコーヒーメーカーは朝2杯入れてだいたい2杯めを飲む頃には煮詰まって味が落ちるのだが、それがないわけである。素晴らしい。

 萌は朝から晩まで iPod をやってるし、Mも俺が買ったブラウン歯ブラシに満足げ。今年のプレゼントは皆珍しく大満足だな。クリスマス準備と当日の家族親戚行事はまったく苦手だが、それさえ終わればこうしてプレゼントの楽しみがやってくる。

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■12/12/27(木) □ エルグランデはアグリコラと似てる
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美麗なスペイン地図上での戦い
掃除をしつつ昨日 Yucata に入った大名作「エルグランデ」の勉強。カードを取って、そのカードの効果を使い自分のコマを各地域に配していき、数の優劣を地域ごとに競うという陣取りゲーム。1人2役で試すと手番ごとに激しく有利不利は移動し、複雑なルールに従いおはじきをやり取りするという感じ。まあ1人2役だとストーンエイジでもあまり面白くないと思ったわけで、対戦してみないとわからん。行ってみましょう。



 【対戦】相手もビギナーのトレーニングゲーム。毎回アクションカード(4x8種もある)を読み盤面と見合わせ行動を決めなければならないので、お互いにテンポは悪い。それでもやはり対戦だと「相手がこれを取らなければこういこう」みたいなところは出てきて、面白くはなる。最初のスコア時は3箇所を取り2箇所を捨てた。相手がどうくるか。初回得点――あ、狙った土地が取れていない。しかも相手は 14 点も俺より取っている。うわー(笑)。

 しかし土地に大兵力を送り点を取れてもそれはごく暫定的優位で確定はしないので、ターンごとになにかが手に入る達成感はない。意外や陣取りやウォーゲームっぽい豪快さはないというか、これは戦闘で領土を手に入れる陣取りゲームではなく、いかに多くの土地で過半を占めたタイミングで得点ラウンドを迎えるかという、マネージメントゲームだな。陣取りや拡大ゲームとしては、領地を考えて切り取り自分の土地と家畜を増やす同作者の後年の作「ハチエンダ」のほうが面白い。

「任意の領土の騎士を5個まで移動させる」
「他のすべてのプレイヤーは、領土内にある騎士を3個ストックに移動させる」
「その領土内にいる他のすべてのプレイヤーの駒を、全て他の領土に移動させる」

 といったカード効果の取捨選択がこのゲームのコアなわけだが、これはあれだな、「アグリコラ」と同じだ。基本メカニクスはシンプルだが、何十種類もあるカードの微妙な効果でどんどん複雑化していく。その複雑化要素のほぼすべてが数の増減、算術なのだ。どのタイミングでどの係数をどこにかけるかを判断していくかというゲーム性が、アグリコラに酷似している。

 たとえば

「このターンに2のカードでバスクから2兵を手元に戻し、次のターンに5のカードで王をセビージャに移動してグラナダに全兵力5を送れば....、相手が動かせる兵力は最大でも xx だからどうやっても取り返すことはできず......敵はあきらめてバレンシアを取るはずで........俺はそのまた次のターンでバレンシアで敵が取れる点を4のカードで下げ.......よしこれでいこう」

 という係数に係数を重ねた計算を突き詰めていくわけである。アグリコラではないか。



 ゲーム終了、60-40 くらいで負け。相手が最後のターンでなにかのカード効果で俺の駒を5個も動かし俺の優位を2箇所で崩していたが、終盤は全カードのテキストを読む気力がなかったのでどれだったのかはわからない。まあそういう効果のカードがあったことは間違いないが、俺がそれを使ってなにか有効なことをできたかどうかまでは考えが回らない。

 とにかくわかったのは、こういう数値増減のレイヤーを重ねて動かし、どこまで先を考え通せるかでどれだけ楽しめるかが決まるアグリコラみたいなゲームは、俺には合わないということである。そして同時にアグリコラに限らず、そういうゲームはコアなゲーマーには人気が高いのだということもわかった。

 俺はテキストがなく、視覚的な地勢判断と「あそこの領地を4にして収穫しできる 12 金で池を買いあそこにはめれば6点取れる」くらいの小学生暗算でクリーンに進んでいくハチエンダのほうが、ずっと気持ちいいな。俺は他のゲームは弱いがハチエンダとカルカソンヌは強い。ハチエンダが最高の陣取りとまでは言えないしビジュアルはしょぼいが、エルグランデよりはるかに少ない疲れでよりダイナミックな陣取りを繰り広げることができるのである。

 Mがテーマ買いしてしまい一度プレイしたきり死蔵されているワレスの「ディスクワールド」は、これを下敷きにしてコミカルに仕上げたものなのかもしれない。あれも山盛りのテキストにより趨勢が増減し、地形的な陣取りにイントレスティングなところはほとんどないのである。

【追記】◇大人気作「エルグランデ」が意外や自分に合わなかったので、他にそういう評ってあるのかなと探してみると、マクベスさん@「アナログゲーム語り」というページを発見。「シンプルなゲームが美しいと考える筆者にとっては醜いポイントばかりが目立ってしまいます。いわゆるプレイアビリティ(遊びやすさ)の点で大きな問題を抱えているといえるでしょう 4/10」という評。同感。
◇またこのマクベスさんは「アグリコラ」も2/10とごく低評価なのを見て驚いた。自分以外でアグリコラを好まない人の日本語記事は初めて見た。「正直、正しいルール・手続きで遊ぶためにプレイヤー側に求めるものが多すぎて、ゲームとして壊れていると判断する人がいても不思議ではないと思います」。同感、

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■12/12/28(金) □ ストーンエイジの個人ボード
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 【本物ストーンエイジ】初の家族3人戦。ボードゲームはなんでもルールを説明していると皆が意味不明どよーん目となり汗をかくが、ストーンエイジはメカニズムが明解なのでいったん動き始め2周もすると皆やることがわかり、萌はさっそく金掘り&建物点を着々と積み上げ、Mは食料と道具作成に励むという具合にいい感じで各自の村が発展していく。俺は各カードの価値を説明し、自分はなるべく一番いいカードを取らないようにプレイ。

 個人ボードは購入前に思った通りたいした意味がなくて、この上に資源が溜まっていくのだけは豪勢でいいが、もうちょっとなんとかならんかなコレと思う。ここが「建物が密集した村」「畑の多い村」といった感じにビジュアル的に特徴を見せ発展してくれたらほんとに素晴らしいんだが。グレンモアは地形的にも産業的にも特色を持った村が作れるところがえらいんだよな。

 この個人ボードで、唯一道具タイルだけはその村の道具発達の充実ぶりがビジュアルに増えていき、国力を表し意味を持っている。このようにボーナスの全種類:文明、畑、斧、小屋、シャーマンがタイルになってボード上にきれいに置けたらカラフルになるし、誰がどんな感じに進んでいるかもわかりいいと思う。


◆まだテストできていないのだが、得点を隠す必要を感じない家庭ゲームでは↑このように文明ボーナスカードを個人ボードに並べ、カードを取るごとに「道具3×2で6点」「文明3種9点」と各自計算し「暫定得点チップ(食料チップを流用)」を置いていくのが戦術思考も助けいいんじゃないかと思う。初心者には最初からこうやってビジュアルに見せれば、文明ルールの理解も早いだろう。
◆ついでに食料が数値チップなのも「Money」と呼ばれ不評だったので、「グレンモア」で余った動物コマを使おう。牛豚羊がどれも5食分、キューブが1食分と。これは間違いなくウケる。


 5周ほど回り油が乗ってきたところで、萌が「これいつ終わるの?」と聞き、そこでああやっぱり気もそぞろなティーンにフルゲームは長いかなと思い、今回は建物の山を1個削りショートゲームにしてみた。萌が建物点で快調にトップを走るが、文明カードを取ってないので後で抜かれるのは必定。萌が取れるおいしい文明カードが出るたびに取ったほうがいいと説明するのだが、やはり子供は金を取ってそれで高価な建物を建てるほうが気持ちがいいのでそっちに行ってしまう。

 結果として最初のトライアルは皆がメカニクスと得点の仕組みをなるほどと理解しながらゆるく楽しみ、俺が抑えてはいてもやはりボーナス点で最後に追い抜いてしまい1位、萌が2位、Mが際どく3位となった。

 萌は完全に自分が勝ったと思ったと言っていた。これはエンドゲームボーナスがわかりにくいストーンエイジでは避けて通れないトラップで、こういう感想が出てくるというのは熱中していたことを示しポジティブなことである。まあこれで一番説明しにくい文明カードの仕組みがわかったと思うので、次のゲームはもっと楽しんでもらえるだろう。ヨシ。

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