2013/08/20

日記「二度目のカヤック」

「ホワッツロングに答えなし」「『おおかみこどもの雨と雪』感想」「ピットリバーで自転車」「コリア寿司事件」「俺は留守番に恋してる」「失望のウルグアイ戦」

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■13/07/29(月) □ ホワッツロングに答えなし
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 萌は友達のところでスリープオーバー。萌が長期休みで家にこもっていると俺となにかと衝突しがちなので、友達と出かけてくれるとほっとする。

 自我を確立=むすっとした反抗期の中学生と暮らしていると、ダメと禁じてなぜかと尋ねられ答えられないということが頻発する。たとえばもう萌は朝昼と間食はなんでも勝手に食ってるのだが、冷凍庫のブルーベリーなんぞをボウルに盛って朝食にしている。「それはデザートだろう、ちゃんとしたものを食いなさいよ」と小言を言うと、「フルーツなのにホワッツロング(なにが悪いのか)?」と聞かれる。果物は主食じゃないし、朝から凍ったものはよくないだろくらいの因習めいたことしか答えられない。TVの前に座り膝の上に皿を置いて晩飯を食うのを「テーブルで食べろ」というとなぜかと尋ねられ、「こぼすから」というと「こぼさないよ、ホワッツロング?」と議論になってしまう。

 こうした「What's wrong? 何が悪いのか」という問いに合理的な答えはなく、従わせるには「ツベコベ言うな」と命じる頑固親父スタイルしかない。理性的に対応したい親はジレンマに陥るわけである。しかし合理的にストップをかける合理的理由がなければなんでも勝手にやっていいのかよ、少しは我慢しろよと俺は言いたいわけである。朝めしがトーストで退屈でも我慢しろよ。カウチでラクな姿勢で飯を食えなくても我慢しろよ、それくらいなんなんだよ。―――しかし我慢に特段の価値があると見なされないカナダ文化の中では、「ホワイ・ガマ~ン?」と質問が返ってきて空回る。

 米加で日系の親が子供とうまく行かず苦労するという話は昔からよく聞くのだが、要はこういう反抗期北米キッズの勝手行動様式が、日本人親のカンに触るという家庭内文化ギャップなんだろう。Mは萌のこういう勝手行動を気にしてないもんな。日本人(もしかするとアジア人も)親は誰も子供に日本人らしくあれなどとは思ってないが、子供は親の世話になってるんだから分をわきまえろと本能的に感じている。子供のときはそうしていたではないかと。だから自分は自立しており勝手にしたいと思ってる北米ユースの行動のあれやこれやがカンに障るのだ。

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■13/08/03(土) □ 「おおかみこどもの雨と雪」感想
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 (ネタバレは特になし)日本語 TV で【おおかみこどもの雨と雪】。ファンタジーとかお伽話的というよりも非現実的で見てるほうが納得しにくい流れの上に、とんでもなく美しい雨のしずくのような絵や物語が散りばめられているという映画だった。美しいところだけすくい取るんならすばらしいんだけれども、生活描写部分が「いやいやいやそれは違う」という常識ノイズを盛大に送ってくるので、すんなり感動できないのである。恋と出産と家族と育児と生活のすべての書き込みがいい加減すぎる。そうしたシーンはしばしば音楽と情景だけで表されてるのだが、見たまんまのカラオケビデオみたいなクオリティである。前2作が素晴らしかったことを知らなければ、前半でTVを消してしまったかもしれない。


雪の胸の震えには、誰の心も共振するだろう
この監督は高校大学生くらいの気持ちを描くとすごくいい。この作品も前2作同様子供たちは素晴らしいが、大人がつまらない。つまらんというか薄くアンリアルなのである。主人公は結婚しても出産しても苦労して育てた子供が自立する歳になっても、顔も声も行動も不変の女学生、篤姫宮崎あおいさんそのものだ。俺はこのお母さんの名前も思い出せん。あまりに少女のままなので、篤姫をたまに見るたびに感じていたアンリアルさと同じだなーとずっと思っていた。ちなみに同じ幕末の「八重の桜」の八重には、時代に押し流される少女の泣けてくるリアリティがある。

 大人が描けないなら無理して大人をメインに据えずうまく省いてくれればいいのだが、しかし親をちゃんと描かないと後半は描けなかったのか。ならば前半東京部分をまるまる省略し、どこからか母子3人が流れてきて村に住むという話にしておけばよかったかもしれない。お父さんもその名前があったかどうかも思い出せないくらいの希薄な描き方だったしな。ポルコがなぜか豚だったりミニトトロがもう家に住んでいたようにファンタジーだったら、現実というノイズが入ってこずもっと楽しめただろうと思う。

 しかしすべての絵と子供らの心の描写は本当に素晴らしい。雪の胸の震えには、誰の心もつよく共振することだろう。雨の怖いほどに澄んでいく胸の内も、なるほどそうかわかったよと受け取ることができたのだった。

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■13/08/05(月) □ ピットリバーで自転車
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(白波を切る見知らぬ勇猛なカヤッカー)

萌を今日はピットリバー自転車ツーリングに連れ出す。前々からハイウェイから見下ろす川景色が美しくて行きたかったのだが、期待通りの眺めだった。ピットリバーとフレイジャーリバーの合流点なので、川が2色に分かれている。

 そこをソロカヤックで降りていく人がいて、勇気があるなあと思う。昔千曲川でゴムボートに乗った時には、犀川の合流点が高く波立っていて怖かったことを思い出す。俺たちがトライした入江のシーカヤックは波が穏やかで怖くないが、漕いでもあまり進まなくてしんどかった。こうしたリバーカヤックはぐんぐん進んですごい爽快感だろうが、しかしこんな強い流れだとどわーっと流されそうで怖いな。

 川沿いのサイクリングコースは狭山湖周遊コースのように気持ちいい場所だったが往復わずか2キロほどだったのでまったく走り足りず、こないだのマンディパークほどは盛り上がらず帰宅。帰ってみると腕が日焼けでひりひりする。

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 帰ると萌は今日も iPod で SNS にかじりつく。iPod は何度言っても長時間使用をやめないので、最終的に時間限定で wifi を止めた。これしか対処法はないな。

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■13/08/09(金) □ コリア寿司事件
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 Mは論文が進まないストレスやらなんやらが重なり、キレそうになっている。で落ち込んだ時には寿司を食いたいというので近所にできた新しいところを試す。

 店は白人客でえらい繁盛しており、メニューを見ると手巻きなどがあってよさそうなので注文したのだが、カウンターで耳を澄ませているとウェイトレスも板前も韓国人。う。韓国寿司は過去ハズレ率 100%なのだが、注文してしまったものはどうしようもない。

 で帰って食ってみると安いグズグズな米にまずい酢を適正量の倍は使っており、しかも米の冷ましが悪く生暖かい。これはひどい。2~3個食べたらもううんざりし、シャリをはずしてネタだけ食べることにした。そのネタも適正な厚みより倍は厚く、一口で食い切れずくちゃくちゃといつまでも噛むことになってしまい、口中生ぐさ状態となる。このネタの無用な厚みが典型的コリア寿司で、つまり韓国人というのは寿司の何がうまいかがおよそ一つもわかってないのだろう。なのになんで寿司屋をやるんだい。かんべんしてくれよ。カナダ中どこの寿司屋も韓国人がやっている。

 「なんで日本人がやってるいつもの店にしなかったんだ」とMは泣くほど激怒する。すいません、あそこは高いんで腹いっぱい注文できないので…。しかし韓国寿司はほんとひどい目に遭うが、しかし店頭で「板前は日本人ですか」と聞くわけにもいかない。食ってみるまでわからないというジレンマなのである。

 店頭でコリアンかジャパニーズかを一発で見分ける方法がないかいつも考えているのだが、看板にハングルがあるとか間違った日本語が出てるとかのあからさまなもの以外は、どうにも判別つかない。むかし木曽屋という店名で「ギソヤ」とふりがなをつけてた店があったが、こんなわかりやすい偽装はさすがにいまどきない。メニューにもまったくキムチ寿司とかそういうフラッグキャリヤー的なものなど載ってないしなあ。

 とにかくカナダの寿司屋の9割は韓国人がやっており、彼らも客の白人も寿司の何がうまいかがわかってないので全部がまずい。結局日系住民の口コミしかないんだろうな、ネット時代においても。

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■13/08/10(土) □ 俺は留守番に恋してる
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 今日は久々に家に一人で留守番となったので、一日中ダレダレで飯も作らず、ずっと死蔵してたゼルダを久々に長時間進めたり録画テープを消化しまくったりアンドロイドで本(赤毛のアン・ファンによる日本語訳)を読んだりで、充実の夏休みであった。

 そして夜ひょんなことから Youtube でチャップリンの「独裁者」を見つけ、一気に見る。猛烈に感動。「支配も征服もしたくない。できることなら助け合いたい。人間とはそういうものだ」。こんなすごい言葉が、1940 年に発せられていたんですなあ。ため息。

 皿も洗わず寝てしまう俺なのさ。ああ、留守番って素晴らしい。俺は留守番に恋してる。

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■13/08/13(火) □ 二度目のカヤック
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圧倒的に速い萌サカータ
二度目のカヤック。今回は講師もいないので(前回の初回講習を受ければ、あとは2時間のレンタル代だけで自由に乗れる。さすがはカナダのイージーさ)、水に入るやさっそく各自漕ぎ方を工夫する。しかしどうやっても俺もMもLDもカヤックの首振りを止められない。ひと漕ぎごとに挺が左右に向きを変え、大きく推進力をロスするのである。萌だけは前回同様快調に進んで行く。前回は萌だけ直進性能のいいカヤックだったのではないかと俺は疑っていたのだが、それは負け惜しみなのであった。

 前回の経験と観察から「強く漕ぐと左右に首を振るので、水面を切るように軽く漕ぎ、推進力が減る分回数を多く漕ぐ」というセオリーを導きトライしたのだが、これだととにかく全然進まないのである。これも駄目だ。途中からラダーを降ろしてみたが、これでも挙動に変わりはなかった。あーシンド。

この材木置場に無数のアザラシが住む
1時間も漕ぐともうやることはない感じだったのだが、それでもまあ時間は残ってるのだからという感じで材木置場に向かう。すると周りじゅうアザラシだらけとなって楽しかった。

アザラシは非常に好奇心が強く、わずか数mのところにぽこっと顔を出しこちらを見ている。カメラは防水バッグに入っているので、とっさには取り出せずアザラシ写真は撮れなかったが、かわいい奴らを堪能する。こういうところをゆっくり漕いでいると気分がいい。これで日差しがなければなー。今日は晴れているので気温は高くないが日差しがきつく、腕がジリジリと焼けていく。これは森の中を走る自転車に比べての大きなディスアドバンテージである。水上には日陰は皆無なのだ。

そこから帰り方向に漕いでいき、まだ残り時間があったので15分ほど桟橋近辺で練習し、ここらあたりでうまい萌の漕ぎ方を見ていて要はスピードかなと考え直す。講師は浅く漕げとさかんに行っていたが、萌は深く漕いで一気にスピードに乗っている。試しに俺もパドルを深く水面に差し込みグイグイ漕いでスピードに乗せると、これで挺首がピタリと安定し、首を振らなくなった。なるほど、やっぱりスピードに乗った状態で安定するんだ。速い。気持ちいい。

 しかし問題はそんなグイグイをいつまでもやってられないことで、1分もしないうちに漕ぐ力が落ちる。すると前と同じになってしまう。速度に乗ったところで講師が言ってた「浅く軽く漕ぐ」に切り替え速度を維持できれば完璧なのだと思うが、まだ下手なために浅く軽くすると速度ががたっと落ち首振りに戻ってしまうのであった。しかしまあ速度に乗せればなんとかなるんだなというヒントは掴めた2回めであった。

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■13/08/14(水) □ ウルグアイ戦
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 【ウルグアイ戦】3時に起きて見ようと思って一応目覚ましをかけたのだが、布団の中でスマホでスタメンを見たら柿谷以外は不動のコンフェデスタメンだったので、これは無理して見る価値なしと寝直す。朝起きてダイジェストを見ると想像通り、コンフェデリプレイみたいな動画だった。そこそこ通用する攻撃と、崩壊する守備。

 ザックはなぜ時間を無駄にするのだろう。なんのために東アジア杯をやったのか。たとえ柿谷が活躍しても残り 10 人がコンフェデと同じで同じやり方をして、勝っても負けてもなんになるというのだろう。そう思ったから俺は布団で腹を立て、無言の寝直し抗議をしたのであった。

 不動の守備陣をこうして確認するより、森重が世界レベルでどれだけやれるかを試すほうがずっと有意義ではないか。失点しても得られる情報があるではないか。そして強敵相手には守れないとコンフェデでわかったのだから、3列目にきちっと守れる選手を置いたら守り切れるのか、そうすると日本の攻撃力がどれだけ下がるのか(下がらないのか)を試してこそのフレンドリーマッチだろう。日本のMFで守備力最強なのは今野なんだから、彼をボランチに置きCBには別の選手を置くという布陣だって試すべきだろう。ザックはチームの根本で3年間ほとんど何も試していない。コンディションが上がりコンビネーションが熟成するのを待っているだけならジーコと同じである。



 あとからより長時間のダイジェストを見ると、守備の印象は朝見たショートダイジェストと変わらんが、攻撃はいろいろと興味深かった。柿谷はやはりタダモノではない。本田のスルーが完全に逆に入っても瞬時に背面跳びのような姿勢でコントロールし攻撃につなげてしまうし、ハーフラインで相手を追いかけ奪ったボールをファーストタッチで岡崎に完璧なヒールパスを送ったのにはまったく驚いた。とにかく足のどこに触ってもボールを自在に動かせるというレベル。技術も発想も尋常ではない。日本選手を見てこんなに驚くのは、中田、大久保以来だ。

 そのヒールパスを慌てることなく受けドリブルで持ち上がり敵を交わしてラストパスを出した岡崎も、コンフェデからさらに進化を続けている。あれで柿谷が GK を交わしゴールに流し込んでいたら、ザック3年間でもっとも美しいゴールだっただろう。

 技術に自信を持った岡崎はその他の場面でもゴリゴリと強引さが目立ち、アタッカーとしては頼もしさを感じるが、しかしこうなると香川、本田、岡崎がオレがオレがと PK エリアに入ってくるので、日本は PK エリアに人数多すぎと笑ってしまう。まるで「柿谷に点を取られたら俺の居場所がなくなる」と焦ってるかのような混雑ぶりで、これでは FW が仕事をするスペースはなかったことだろう。その混雑の中例によって岡崎が潰れ香川が点を取ったが、そういう得点はこの時点であまり意味はないなと思った。相手を押し込めるならこのドサクサ方法で何点か取れるのはもうわかっているが、強い相手にこれはそうそう望めんことももうわかったわけである。だからチームが連動して少ない手数でボールを運び、FW に点を取らせることをしてほしかったわけである。ウルグアイのように。柿谷がいればそれができるかもしれないと思って東アジアで希望が湧いたのではないか。

 放っておけば香川、本田、岡崎はこの混雑法を変えないだろう。それに伴いチームはカウンターも喰らい続けるだろう。本番までにより縦に速く、FW に点を取らせる攻撃が見れるようになるだろうか。というかザックはそれにトライするだろうか。頼むよザックさん。

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 中学時の同級生の女の子が私をネットで見つけ、「同級会があるのよ、出れる?」と連絡してきてくれた。出れないです(笑)。しかし見つけてくれるなんてうれしいことである。聞けば当時の担任も健在とのことで驚いた。しかし考えてみればあの頃はおじさんに見えた担任も、今の俺より若造もいいとこで、もしかするとわが母親よりも若いのかもしれない。そんな若造が今のうちの娘くらいの子供らに威張ったり逆にからかわれたりしていたんだなーと思う。ははは。

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