2014/07/20

日記「三度目のカヤック」

「コリア洗濯機レビュー」「ヒートウェイブ」「さよならワールドカップ」「買ってもらうということ」

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■14/07/11(金) □ コリア洗濯機レビュー
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先週末に届いた新洗濯機、韓国 LG 製新世代省エネ型トップローダーは快調である。洗いとすすぎは想像よりもアクションがジェントルでほぼ無音。めっちゃ静か。脱水スピン時も前のフロント式の故障前より静かだと思う。品質感は去年乗ったヒュンダイ車のように高い。

 洗濯サイクルには予想以上の時間がかかる。57分と表示されるノーマル洗いが実際は65分かかる。洗濯・脱水サイクルの合間合間に洗濯物のバランスが崩れぬようさまざまなシェイク・スピンが入っており、これは見ていておーと思うほどロボット的動作で気持ちいいのだが、この動作と判断が妙にのろい。脱水もこうしたバランス制御を取りながらやるので最高速に達するのに時間がかかる。このへんをキビキビやってくれたらちゃんと57分で終わるんじゃないかと思うのだが。脱水時間も必要以上に長く感じる。その分水の抜け具合は素晴らしいが。

 うちの限られた洗濯スペースには今の標準サイズのフロントローダーは入らないのでトップローダー(上から洗濯物を入れる式)にしたのだが、こうした使用水が少ない「新世代 High Efficiency (高効率) トップローダー」のユーザー評価は真っ二つに分かれている。最も多い不満は「洗濯物のバランスが悪いとガタガタと揺れ出しエラーコードを出して止まってしまう」というもの。それが発生したらたしかにヒドイと思うが、うちのはまったく問題ない。前述のバランス取りがよく効いてるようで、偏りが発生しやすいという生地が厚いものや巨大な毛布もまったく問題なく洗えている。

 次に多い不満が「使用する水が少なすぎるのできれいにならない」というもので、見ていると水はたしかにえらい少ない。最初に1分ほどかけて洗濯物のバランスを均等にすると同時に重さを計量し、それに合わせて水を注いでるのだが、水没していない箇所があるのでこれでいいのかと心配になる。が、観察すると頻繁に切り替わる多種多様な回転制御でさまざまな方向に洗濯物を撹拌しており、水没していなかった箇所もやがては下に送られ見えなくなる。結果として全体がちゃんと洗えているのがわかる。

 この撹拌制御は実際見事なもので、昔ながらの順回りに数分、逆回りに数分というトップロード式とは隔世の感がある。あの単純回転式よりは間違いなくよく洗えている。これを目で見て楽しめるのがトップローダー式の利点といえる。フロントローダー式はただ回ってるのが見えるだけで何も面白くない。エンターテイメント性がない。

 しかし現在ベストな方式とされるフロントローダー式は重力を使いドラム内で上から下に「落とす」ことでまんべんなく洗濯物に圧力をかけ汚れを落としているので、それに比べると「撹拌」はもみ洗い効果にムラが生じやすいと思われる。最初は靴下などの汚れ物の汚れがあまり落ちていないと感じることがあった。そうしたものは洗いサイクルの一番最初に強い撹拌を受けるよう、洗濯物の一番下に入れるときれいになる。

 また重量バランス上ジーンズ等重いものは下に入れろと指示書にあるので、つまり

ライト(Tシャツ等)
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ヘビー
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汚れ物

 こういう仕分けがベストだろう。あと「洗濯物のカサが多く水量を増やしたいときは、『汚れ多め』ボタンを押すと水が増える(洗濯時間も15分伸びるが)」とM母が発見した。他のユーザーは濡れタオルなどを加えると重量が増し水が増えるといっている。なるほど。俺もいつか試してみよう。ああ何度でも納得行くまで洗濯したい。週に2回くらいじゃ満足できないぜ。

 というわけで完璧なわけではないが、工夫して洗濯機をコントロールし結果を良化するということが楽しい。そういうスマート洗濯機である :-)。


 【1週間使った満足度】★★★★
(-0.5 は時間の長さ、-0.5 は水が少なすぎるように感じられること脱水時にポンプ・ドラムの音がややうるさいときがあること)

【追記】ドラム一杯の洗濯物を入れると、ちゃんと 2/3 まで水を入れ全水没させてくれるとわかった。しかも最後の方はすでに洗剤が混じったドラム内の水をチャッチャッと飛ばし、まだ水没していないところにふりかけていた。ほんとやることが細かい。この制御の細やかさ、水の撹拌における流体力学的見事さは日本製かと思ってしまう。日本メーカーから引き抜かれたという日本人技術者が多く携わってるんではないかと考えたくなってしまう(笑)。


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■14/07/12(土) □ ヒートウェイブ
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 【ブラジル-オランダ】この試合も負けたらエライことになるという呪い付きブラジル vs 練習のようにリラックスした対戦国になってしまっていた。とりあえず攻撃勢くらいはその呪いから自由になってほしいものだけど、このブラジルは前方のクオリティがもともと足りないのかもしれない。

 結局足りなかった。1点も取れず。枠に行くシュートすらほとんど打てず。欧州に行けないフレッジとジョーがセンター FW だったのだから、やはりネイマールとオスカル頼みのチームだったのだ。今日出たチェルシーの2人はカウンター以外の場面では無力だった。

 気の毒ではあるが、「王者ブラジル」というイメージが消えた大会だった。ブラジルはうまい選手と強い選手を豊富に輩出する南米を代表する強豪であり、それ以上ではないと今は感じる。普通にやっていては勝てないので強い方向に寄せてチームを組んだが、プレッシャーは予想以上だったのだろう。

 オランダはいいチームだったな。後方の1人1人に至るまでがブラジルのプレスの逆を取り前に進んでいた。これはアルジェリアもそうだった。すごい選手がそんなにいなくても、全体が冷静に正しいプレイをするチームを見ることは快い。日本もそうありたかったが、そうしているよう見えたのは内田だけだった。

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 BCにヒートウェイブが来ており、今日がピークで34度となる。暑い日が続き台所になにか臭いがこもってきたので、今日は水回りやゴミ箱を徹底的に掃除した。30度を超える気候だとやっぱり積極的に清潔を保たないといかんと感じる。

 カナダの家屋は断熱がそこそこいいので、外が暑くても屋内ベースメント(半地下)の温度は上がりにくい。そこで扇風機で階段下から2階に冷気を送り毎日をしのいでいる。今日は屋外34度だったが2階で29度に抑えられた。しかしヒートウェイブが続くと階下の冷気もいずれ枯渇するのだが。

 明け方は屋外20度くらいに下がるので、夜から朝の間になるべく窓から冷気を取り込んで貯金をしておく。俺は暑い日本で生まれ育ったのに、夏が快適なカナダ暮らしで暑さにえらい弱くなってしまった。

 しかしこんな真夏の移動中でも、車が動き風が入っている限り耐えられないほど暑くはない。そして木陰を通ると、どこからか一瞬エアコンの風が入ったのかと思うほどの涼風を感じる。やっぱりカナダは湿気がなくて高原気候だとほんと思う。紫外線はイタイけど。

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■14/07/13(日) □ さよならワールドカップ
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 萌が退屈してるのでちょっとイベント感を出そうと連れ出し、サンドイッチとポップを買ってモールのフードコートで【W杯決勝】を見た。俺と同じ狙いの中華家族観戦組多し。単独で見ている中国人おじいさんもいる。中華人民はサッカー好きなんだなあ。アルゼンチンが意外にもよくて楽しかった。準決勝を見た感じじゃ、こんなにいい試合になるとは思わなかった。

 中華観戦者は判官びいきなのか、アルゼンチンのチャンスに大歓声が上がっていた。スクリーンを見ていない普通のランチ中お客さんがたは「おおお!」と大声が上がるたびにびっくりされていた。知らないおばさんが「今のがオフサイドで取り消しってどういうことなの?」と聞いてきたので、図を書いてオフサイドルールを教えてあげた。

 しかしメッシの動かなさはいくらなんでもと思ったな。準決勝もそうだったし、コンディションが下降気味だったんだろう。彼が守ることは誰も望んでないが、攻めに動くことすらまれだった。審判かと思うくらい止まっていた。彼が数m位置を変えれば味方からのパスコースができるという場面でも止まって待っているのだから、どうしたって彼を経由せずボールは通り過ぎていく。今日だってボールを持てば強力だったが、これじゃプレイ機会が少なすぎて話にならない。何も知らぬ萌を楽しませようとメッシがボールを持つたびに「あれがメッシだ! メッシ!」と解説してやったのだが(モール TV は無音なので盛り上がらない)、それは前半の数回だけであった。ラベッシらが仕掛け崩して「ここぞ!」というところにメッシが駆けつけていないというシーンを見るたびに、これでは勝てぬと思った。

メッシがデコイとして敵を惹きつけていたわけでもない。ドイツは特別に警戒していなかった。そもそもネイマールやロドリゲスに比べたらどの試合でもたいしてマークされてなかったので、どこの敵チームも今大会のメッシなら怖くないと見切っていたのかもしれない。メッシの大会全体でのパス数は、GK のノイヤーより少なかったそうである。この決勝はそういう試合であった。最初はアルゼンチンの意外な健闘に盛り上がっていたけれど、延長からはこれはドイツが勝つべき試合だなと思っていた。

 試合後モールのこの「ワールドカップスクエア」に掲げられた日の丸を見て、日本が大会にいたのははるか昔のことだったとつくづく思った。さよならワールドカップ。

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■14/07/14(月) □ 買ってもらうということ
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夏の朝、Mが育てている庭のジャガイモの花。こいつにたっぷり水をやれと言われめんどくさいので超安いスプリンクラーを買ってきたのだが、なかなか思い通りに水をまくのは難しい。設置場所と首振りストッパー位置と水量を毎朝ちまちま変えている。

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 萌がBLのところにゴミ袋3つもの「いらない服」を持っていくというので、なんだそれは久々に腹を立ててしまった。「いらないんだし全部あげるのではない、ここからBLが欲しいものだけ抜き出すのだからいいではないか、私もこないだBLからもらったし」と言うが、子供がこんなに大量の服を持ち、それをいらないと勝手に決め人にやるということの全体がオカシイ。BLから萌が服をもらったのだって、彼女は親の許可を得ているのかと俺は咎めていた。特にもらってはいないらしい。

 「――全部買ってもらったものではないか。それらの服にいくらかかったんだ。半年かそこらで着れなくなるサイズや着たくなくなる服を買うなよ。バカバカしい――」。そう説教しながら車を走らせる。萌の服の半分ほどは古着だが、それにしても物を大切にしなすぎる。

 「買ってもらう」という言葉自体がないんだよな。それが英語圏の金銭感覚を表している。My parents (KINDLY) bought it FOR ME としか言いようがなく、そんな周りくどい考え方をする子供はいない。誰が買っても自分のものは自分のものという感覚だから子供が勝手に交換できるんだろう。Mもそれをとがめていないし。

 「買ってもらったものなのに」と感じる俺の気持ちは日本人としての感情であって理屈ではない。だからやめろとは言わないがしかし、カナダの子供はなんでこれほど恵まれなんでも勝手にやれるのだという思いは拭えない。それははっきりと言っておいた。物とお金をもっと大切にしてほしい。自分たちがむちゃくちゃ恵まれていることを知ってもらいたい。

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■14/07/15(火) □ 三度目のカヤック
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夕方ポートムーディで三度目のシーカヤックをやってきた。強烈に暑い日だったのだが夕暮れの海上は快適そのもので、8時半でもまだこうして陽が残っているんだからバンクーバーの夏はいいよね。仕事帰りの人々が思い思いに夏の夕べを楽しんでいる。

 前はとにかくカヤックがまっすぐ進まないことに苦しんだのだが、今日はラダーを降ろし、ちょっと漕いではラダーの向きを調整しているうちに方向が安定した。こうなると漕げば漕いだだけちゃんと進むので気持ちいい。前2回とは段違いにコントロールすることができた。インストラクターがはじめからラダーの使い方込みで教えてくれればよかったわけだが、まあそうしないことにはなにかカヤック教習理論上の理由があるんだろうな。

 30分くらいかけて湾左手の材木場を回遊し、そこに住むアザラシたちを眺めて、波を立てるモーターボートがいないタイミングで湾を横切って右手の旧材木出荷場方面へ行く。出荷場跡の城壁っぽいところで泳いでるご夫婦がおられた。はは、ハロー。カナダの海なので泳いだら水は冷たそう。

 写真もいいのがたくさん撮れた。コンデジでもデイライトならいい写真が撮れる。それにやはりどう気をつけても水しぶきをかぶりまくるので、防水 TG は最高だなと思った。こんなところに PEN は持ってこれない。

 自由に動き回れるので楽しいが、やがて腕が疲れ手の皮がむけてきて、持ち時間2時間で十分にバテた。腕の疲れはまだ我慢できるが、手の皮がこれ以上は無理なり。手袋していてもマメができるので、パドルの持ち方がおかしいんだろうなあ。次にやるときはそこに気をつけていこう。いいパドリングでした、お疲れ様。

2014/07/19

日記「家族で進撃の巨人」

「真夏日32度」「Football Manager の思い出」「ガチすぎるブラジル」「レリゴーと翻訳」「ブラジル崩壊」

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■14/07/01(火) □ 真夏日32度
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 建国記念日の今日は今年はじめての真夏日32度となり、カナダは夏の紫外線が半端なく強いので(日本の6倍という話)、畑に行ったMがひどいサンバーンで真っ赤になって帰ってきた。うわ、焼けた背中が腫れてるよ。これは痛い。

 公園のフェスに行った MK 家もみんな真っ赤になってほうほうの体で帰ってきた。カナダは紫外線が強すぎるのに人々が無頓着すぎる。うちの家族はそんなにアウトドアジーじゃないから大丈夫だが、夏はいつも海山で日光浴という感じの白人のおじさんおばさんは、年をとると肌がカサカサだからな。

 萌は BL たちとフェスに行く手はずだったのだが、結局行かずに川遊びしてたとのこと。そっちのほうが夏らしくていいよ。夜の花火だけ行き SH 家の庭のキャンピングカーで寝てるらしい。夏休みはいいわねえ :-)

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■14/07/03(木) □ Football Manager の思い出
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 柏の田中順也が欧州名門スポルティング・リスボンに入ったのだが、移籍金がわずか5千万という話。英国製サッカーマネージメントゲーム Football Manager を 10 年やり込んだ感覚でいうと、田中順也は能力値 125、移籍金 2 億くらいのイメージなのだが。日本代表クラスはだいたい 120-145、移籍金2~4億くらい。過去一番高かったのが絶頂期中田の 170 だったかな。

Football Manager のことを思い出して自分のブログの FM 関連を検索してみたら、「アジリティが落ちたのでボールを持つとすぐに相手に詰められ、横パスを出してプレイが終わってしまう(「ナカタについて考えてしまう」)」と、中田英寿の使い方に悩んでいた。「いまの日本代表における本田の使い方の難しさ」そのものである(笑)。

 Football Manager はそれほど見事に能力通りのサッカーが発生する素晴らしいシミュレーションゲームだった。半日くらいかけて移籍をしシミュレーションしていかないとシーズンを始めることすらできないという超めんどうさがあるのでもうやる気はしないが。

 いまオンラインにあるサッカーチーム運営ゲームならもっとお手軽だろうからやってみたい気もするが、試合画面に関してはああしたお手軽ブラウザゲームが FM に遜色ない試合シミュレーターエンジンを持っているわけがないので、やっても満足できそうにない。Football Manager 2006 の中田がウィングに出すスルーパスは美しかった。

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■14/07/04(金) □ ガチすぎるブラジル
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 夏休みでヒマをしている萌と毎日見ている【進撃の巨人】。⑦⑧(小ネタバレ)初めて人類に希望の火が灯る。俺と萌があまりひゃーひゃー言って見てるのでMも一緒に⑧を見たのだが、「この巨人たちは、元は人類に敵対する勢力が作った武器ね…」とつぶやく。―――な、なんだって!?(ドドーン)。

 なんで一話見ただけでそんなに的確っぽくて説得力あるっぽい推論が出てくるんだ! とおののくと、「私はとんでもない量の SF を読み、毎日 SF ドラマを見てるのよ。そういう話を見たか読んだかしたわ!」(ドドーン)…しかしそうなんだろうか。うーむ。

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 【ブラジル-コロンビア】いやーガチすぎるなーブラジル。ロドリゲスにちょっとでもプレイさせたら負けるという恐怖に駆り立てられてるのかと思わせる勢いでゲームを壊している。レフが異様にカードを出さない人でファウルを取らないことすらあるのでコロンビアは攻撃しようがなく、気の毒としか感じられない。当然ブラジルだって報復されるので華麗に攻撃などできるわけがない潰し合いになる。こんな試合を見たくはなかったのだが。ネイマールとロドリゲスの美技対決を見たかったのだが。

 最後にネイマールが怪我をさせられたが、それは相手を削る今大会ブラジルのプレイスタイルが招いたものである。強いというよりえげつない。こんな肉弾戦でブラジルに勝てるところがあるとは思えないので、勝負になるとしたら決勝でのオランダ@中盤省略裏狙いかなー。

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■14/07/06(日) □ レリゴーと翻訳
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【アナと雪の女王】をついに見た。「ありのままのー」という日本語詞を先に聞いてたのでそういう明るい自己解放の歌として最後にくるのだろうと思ってたら、全然違ってて胸を衝かれた。英語版は「もういい! 氷出すし! もともと寒さなんかヘーキだし!」というシャウトではないか。ポエムじゃなくロックだ泣ける。To Be a Rock, and Not to Roll である。そこから後はまあ普通のディズニー映画という感じだったが、あの歌には感動したな。

 しかし歌詞の訳というのは難しいことだよ。「レリゴーレリゴー」と「ありのままの」はかなり違うとは思うが、3音節+3音節でこれほど歌に乗り人の気持ちを掴め、なおかつ「もういい!」という気持ちを正確に表す日本語があるだろうか。思いつかない。

 翻訳の問題は【進撃の巨人】にもある。エレンに対し上官がやたらと「甘えるなよ! お前のために多くの兵士が死ぬんだ。それぞれ愛する家族を持つ人間がなァ!」的な少年マンガ型ゼリフを吐くのだが、英語字幕を見た家族は「甘える (spoiled) って、どーゆーこと?」という。

 「別にエレンが何かしてもらってるわけでもないのに、なんでスポイルなの?」と違和感を感じるのだそうだ。日本語の「甘えるな」は「気合入れろ」と同義だが、英語の spoiled は文字通りの「子供のように甘やかされた者」となってしまうからか。しかしまあ全体にこのアニメの字幕はよくできてると思うけど。

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■14/07/08(火) □ ブラジル崩壊
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 【ブラジル-ドイツ】意外や落ち着いた序盤で、ブラジルはコロンビア戦ほど必死に潰してこないようだな――と思っていたらドタバタズタギタボタとなってしまった。いやはや。このブラジルには明らかに呪いがかけられていた。負けたらエライことになるという重いやつが。コロンビア戦もドイツ戦もそれが試合を壊してしまった。

 ブラジルが勝手に壊れてしまったので、ドイツは無理のない難度のコンビネーションを正確に、練習でのドリルのようにクールに淡々とこなし点を決めていけばよかったのである。その冷静さが恐ろしい。一体どこの誰がどうしたらこのドイツを混乱に陥れることができるだろう。予測外の攻撃ができるオランダに決勝に来てほしい。

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■14/07/09(水) □ 家族で進撃の巨人
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 カナダ朝のラジオはずっとブラジル惨敗の話題。「ドイツはひどい。何もそこまでブラジルを侮辱することはないではないか」と奥様が言う。いやドイツは別に必死に点を取ったわけではないんだ。整備されたドイツがオートで精巧に動き、ブラジルが高校生のように振り回され自滅したとしか言いようがない。

 【オランダーアルゼンチン】後方の美しいパス軌道とカイト(英アナはケアルトみたいな発音?)のボディバランスを見ているだけでオランダ方面は楽しめたが、アルゼンチナ方面には守りのソリッドさしか見せてもらえなかった。メッシはボールに触れなすぎだろう。それでも昨日の崩壊試合に比べたらずっといい試合だったが、どっちが勝っても決勝は厳しそうだがどちらかといえばオランダのほうが可能性がありそう……と思うも、PK でアルゼンチンが決勝へ。うーん。

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【進撃の巨人】話の展開が遅いとか理屈がおかしいとか文句が多い視聴者はもう切り捨てよう、全員を救うことはできないのだと萌と話し合いMの留守中に続きを見たのだが、帰ってきたMがさあ続きを見ようという。そんなにハマってたのか(笑)。

 仕方がないのであらすじを話し、その次のエピソードをまた一緒に見た。日本アニメは走りながら15分にも渡り説教するなど描写がくどいので全部見てるとイラつくようだが、Mも話には惹きこまれているらしい。SF 好きだしストーリーのあるアニメ自体彼女には珍しいだろうしな。

 このストーリーは意外性に満ちてはいるものの、感動だとかキャラクターへの強いシンパシーを感じさせるものではない。むしろMがうるさく指摘するように不合理さや苛立たしさのほうが強い。しかし絵はこんなもの他で見たことがないというインパクトに満ちている。最初はナウシカの巨神兵からイメージが来たのかと思ったが、それ以後登場するさまざまなバリエーションの1つ1つにいちいち怖気が走る。これだけでスゴイとしか言いようがない。俺たちはとにかくビジュアルの衝撃に引きずり倒れされのめり込んでいるのである。



 新たな展開で物語は第二部に入ったらしく、テーマソングが変わりツヴァイ兵長という人物が。この人がちょっとお茶目なこともするのがアニメっぽい。このユーモアが実はほしかった。いい感じです。

 「リーヴァイ兵長は怖いキャラでありながらさりげなく部下に優しかったりするのが人気で、こういうハーシュ&メローなのを日本語でツンデレというのだ」と萌に教える。すると視聴中「あ、今のがハーシュ&メローでしょ!」と指摘したりする。ツンデレくらい一発で覚えれ。

 しかし物語はすでに終盤に差し掛かっており、なのに「ちょ、ちょっとこれはどういうことなんだ!」という怒涛の派生展開は止まらない。何一つ答えや解明がないまま次の意外な展開に行くのである。「これは何も解決せずシーズン2に引っ張るパターンね」と SF 通奥様の不吉な予言。そ、そんなー。

 「これが終わったら次は何を見るの」とMが聞く。へ? 日本アニメをもっと見たいの? そうか。じゃあうちの Net 映画サービスに入ってる「キルラキル」か「東のエデン」かな。どっちも最近の評判作らしいしね。

2014/07/05

日記「本田を使い続けた理由」

「洗濯機問題」「どの試合を見ても」

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■14/06/25(水) □ 本田を使い続けた理由
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 掃除をしながらコロンビア戦観戦ツイートを読む。面白いのだが一昼夜経ってもまだ追いついけない。俺のフォローする人たちの意見はやはり俺とそんなに違わない。最後はよくやったが、もっとできたはずであるという思いがおよその基調。

 ザックの采配に不甲斐ない思いをしたが、彼がこうした短期決戦の采配がヘロヘロなことはコンフェデですでにわかっていたので、幻滅というわけではなかった。本田だけで行くとザックが決めた時点で、チームのピークパフォーマンスが出たとしてもコンフェデ程度なことは想像できた。本田日本が強いとは思っていなかったが、2nd には行けるだろうと思っていた。その実力が象牙戦で出なかったことだけが予想外だった。

 パサーとドリブラーがおらず、縦へのチャレンジと FW が勝負する機会が皆無のザック・ジャパンの試合はつまらなかった。夜中にネットで代表戦を見るチャンスがあっても、スタメンをチェックし定食スタメンと知ると寝直していた。本田遠藤香川がやっていたのは攻撃的パスサッカーではなくボールキープサッカーである。条件が悪くなるとキープできず粉砕されてしまうし、強い相手が守ると崩せない。清武を中心とした速く縦にチャレンジするロンドン五輪男子のサッカーから新たな日本のオプションを加えてほしかったが、日本の持つオプションは大久保以外何一つ融合されることはなかった。

 大久保が加わり強く要求したことによる縦へのチャレンジが出たコロンビア戦は素晴らしかった。しかしそれで勝つには個の力とチームの熟成が不足していた。4年間同一の監督だったのに最後は熟成不足というのもなんなのかと思うが、そのザック監督のマネージ力も含めての日本の力だったのだから致し方ない。実のところ俺にとってワールドカップ一次敗退の悲しみは、憲剛が選ばれなかったときの悲しみと同じくらいかもしれない。



 大会敗退後ザックは「最後まで調子が上がらなかった本田(圭佑)を使い続けた理由は?」と聞かれ、

『その点については同意しない。本田は非常に良くプレーした。チームの中で最もフィジカル勝負ができており、ボールをキープできていた。常に2、3人の相手がいたので、ほかの選手にスペースを与えることもできた。チームに貢献できたと思う。私は各選手が個人でどれぐらいできたかというより、チームにどう貢献したかを見ている』


 と答えていた。攻撃力がなくなった本田がなんでトップ下なのかとずっと謎に感じていたが、これでようやくわかった。ザックは攻撃力よりも中盤のフィジカルな攻防におけるウェイトとして本田を頼りにしていたのか。守備で頑張り、攻撃で潰されず橋頭堡となることが今の本田の役割で、そこを拠点に他の選手が攻撃するというのがザックの考えか。

結局のところ本田はボールロストから失点を招いていたし、ボール回しのボトルネックとなって橋頭堡としても不足していたのだが、あの位置に大久保や清武ら、橋頭堡としては本田に劣るがスピードやパスの鋭さが高まることが期待できる選手が入っていたらどうだったのかという仮定には、答えがないまま終わってしまった。終わりはいつもさびしい。

 俺はこれまで本田の言葉を「ポエム」と感じ共感はできなかったんだけど(ごめん)、このエルゴラ新聞の本田の姿には詩がある。胸を打たれた。お疲れ様でした、ザック監督と日本代表選手たち。

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■14/06/27(金) □ 洗濯機問題
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 うちの米国製フロントロード式洗濯機がわずか6~7年でベアリング油切れというしょーもない理由で壊れ、修理費が600ドル以上と判明して呆れ、緊急に次機を買わねばならなくなり洗濯機についてリサーチする。こんなでかい買い物をするのにタイムリミットがあるというのが実にキツイ。うちのブレンダは着道楽で、家から出ないのに毎日服を着替え全部選択するので洗濯量がすごいのだ。

 カナダの洗濯機といえばあのアメリカ式センターポール強引かきまぜ型だが、あれは服が傷むからさすがにすたれて、トップロード式も日本の洗濯機のような中がらんどう式&節水省エネになっている。ならばこっちのほうがフロント式よりも構造が単純でよいのだが、フロント式と同等の節水省エネ型なのでえらい高い。はあ。たかが洗濯機に。バカバカしい。

 しかもこの新世代トップロード式は、米韓どのモデルにも「全然きれいにならない」「服がすり切れた」「すすぎ後も洗剤が残る」てな酷評が見つかるので困ってしまう。洗濯機なんてものにそんな当たりハズレがあるのかよ。「実用上はどれを買っても問題ないが、細部の便利機能で差がつく」あたりが日本の家電なのだが……困った。

 あとで複数の店員に新世代トップロード式の意見や評判を尋ねたが、不満のあるユーザーも何回か使い自分のセッティングを掴めばハッピーになるという意見。なるほど。しかし「まあ全員をハッピーにすることはできないよね」なんて言う店員もいた。ということはハッピーではないユーザーもやはりいるのか(笑)。すごいなカナダの家電レベル。



 電気屋で韓国人らしい店員に洗濯機の説明を受けていると、突然「サッカー見てますか? 私たちは共に負けましたね」と言われて膝が崩折れた(笑)。なんで俺が日本人とわかったんだ。

「本田はゴールしましたね」
「まあねえ、しかしどうもチーム全体に駄目でした」
「私たちもです」
「ホンミョンボの選手選考が批判されてるんでしょ?」
「そうなんです!」

 てな具合にひとしきり話し、別れ際に「4年後を目指しましょう!」と言われましたよ。だから「いやその前に! アジアカップで会おうではないか!」と言ったのである。嗚呼われらの~アジア~サッカー(♪よわいー)。

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■14/06/30(月) □ どの試合を見ても
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 洗濯機購入問題は週末片付かず、ついに夢を見た。トップローダー式を購入し、洗濯物に水が注ぎ込まれる豊穣なる大地的な光景を上から眺め「やっぱりこれでよかったのだ」と幸福感を覚えていると、排水パイプがつないでなくて床一面浸水というプチ悪夢。こんなくだらん悩みから早く逃れたい。

 設置スペース、価格、信頼性を考えあわせ機種は韓国製トップロード式と決まったのだが、どこから買うかが決まらずにいる。

 【フランスーナイジェリア】中盤で交錯時にフランスが荒いなーと思ったのだが、ナイジェリア攻撃選手がバイタルでゆったりと持つと、飛び込んでも取れないのでまったくアタックしてこなかった。この脚の長さ太さがない日本選手があの位置でキープするには、一体どうしたらいいんだろうと思った。

 【ドイツ-アルジェリア】は素晴らしい試合となった。アルジェリアにすごい選手は見当たらないが、ピッチ上のどの選手もクールにドイツのプレスを交わしすっと逆を取りつなぐことができる。この内田のような冷静さがチームの強さなんだろう。日本も内田が中盤と前線にもう1人ずついてくれたら、キープとボール運びが楽になってただろうなあ。―――とまあ、どの試合を見ても日本がこうだったらとあれこれ考えてしまうね。

2014/07/01

日記「ザックの旅の終わり(コロンビア戦)」

「攻められない日本(ギリシャ戦)」「損なわれていた自信」「進撃の巨人!」「大久保卓球インタビュー」

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■14/06/19(木) □ 攻められない日本(ギリシャ戦)
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       大迫
岡崎   本田  大久保
  長谷部  山口
長友 今野    吉田  内田
      川島

 【ギリシャ戦】香川を下げ大久保が先発。しかし岡崎が左なのか。やったことあるのだろうか(クラブではしばらくやってたとのこと)。

大久保最初のプレイでいきなり2人突破し山口のミドルへつなぐ。うまい! いきなり最高! リプレイを見ても敵 SB の足の間をボールが通ったのかどうか見えないくらい速い。すごいよほんとこの男は。スペインに行く前の若い頃から変わらぬこのキレよ。4年前と違いこの才能をちゃんと攻撃に使えることのうれしさよ。

 今日は日本が前で多人数プレスし普通にプレイできている。コートジボワール戦はやはり相手の勢いに圧倒されたメンタル的なものだったのかな。パスワークも後方では遅いのでブーイングされがちだが中盤に入るとポンポンとつながる。しかし本田が今日もトラップが足につかず、ボールを落ち着かせパスを出す頃には速攻のチャンスが消えている。ここが直れば点は問題なく取れそう。

 ギリシャの中盤ドリブルによるカウンターは日本よりはるかに速く、象牙に比べると止められないような重さはないがそれでもシュートまで持っていかれる。コネという選手が素晴らしい。内田がいい読みで何度もインターセプトを決める。大久保が長身サマラスとガチガチやり合っている。

 左にボールがあるときは大久保がトップ下に来る。素晴らしいタッチと反転力でギリシャ DF の目の前でさらし、交わして攻撃につなぐ。大久保で攻撃のスピードを上げるのは最高だ。あとはフィニッシュに持っていくだけ。本田が浮かせて大迫が打つ、オフサイド。今の本田がやれる攻撃参加は、ミランでも代表でもこの DF 頭越しのロブしかない。

 18分、攻撃を開始した内田に山口がきれいなサイドチェンジを通し、内田のくさびを大久保が大迫に打たせる。左足でやや弱い。しかしこれはいい攻撃だった。いい感じになってまいりました。

 大迫がループを打つ。惜しい。狙いはよかった。ギリシャ左からきれいなカウンター、シュートまではいかず。しかし日本の守備網は欧州レベルのドリブラーには一発で破られてしまい弱いなあと思う。山口と長谷部でもさほどのフィルターとなっていない。山口はボックス際でも一発で抜かれてシュートを打たれた。うーん。日本選手はアジリティがあるはずなのに、ドリブルで逆を取られるとなぜこう無力なのか。長い距離を運べる外国人ドリブラーがJリーグに少ないからだろうか。ならばギリシャの中盤くらいの選手を取れば、Jリーグではガンガンに活躍する+日本選手が中盤守備を覚えていいんじゃないだろうか。

 29分、相手ボックス前で大久保が引き出し回し、最後交わしてファウルで止められる。本田 FK を GK が弾く。ギリシャ怪我人で中断。



 大久保最高だな。ボールを引き出しファウルを取り、これぞアタッカーという仕事をしまくってくれる。この日本最高の攻撃選手をあそこで最大限に活かすことが過去4年2大会、いやジーコの頃にはすでに呼ばれてたのだから8年前ドイツから3大会、日本のやるべきことだったんだよ。大迫もいい。あとは本田か岡崎の爆発があれば試合は決まる。



 山口からボックス内大迫にスルーパス、完璧なポストから本田がフリーでもらうがシュートに持って行けず! マークがついてる大久保に渡し弾かれた。がー! 英アナが「グレイトボール!」と叫んだあの落としを生かせんとは……。あれを打てんならあの位置にいる意味がないだろう。後方でつないでいるときは本田の遅さも気にならんが、トップ下に入って来られるとイライラする。ミランサポが持つイラツキである。

 ややゲームが停滞してきた。―――と思ったらギリシャ主将がイエロー2枚目で退場。よしよししっかり攻めて勝とう。ギリシャ、カウンターからいいシュート、川島好守。山口から大迫にまたいいくさび、折り返しがつながらず。山口の長いパス力は実は素晴らしいな。実際本田が万全ならば、このチームの攻撃力は歴代最強なのは間違いない。しかし長友に流すパスをためすぎてクロスのタイミングが遅れたり、トラップを1mも浮かしてしまったり、味方の逆に出してタッチを割ったりと、本田の判断と技術ミスによって日本の好機は静かに消えていく。

 【前半終了】。うーむ。日本は支配はできてもシュート数が大差ない。シュートを打たれると危ない度は実は日本のほうが高いので、日本は相手の倍は打ちたいのだが打てない。やはりシステム的にここぞといういい位置でボールをもらえる本田が遅くタッチが多く、攻撃を遅らせているのが明らかなブレーキである。相手は1人少ないのだから守備力を下げてもいい。本田に代え香川か清武を投入してほしい。

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 【後半】長谷部→遠藤……またプレイが遅くなる。ギリシャが引いていて攻めあぐねる日本。ギリシャのでかい SB に岡崎がぶっ飛ばされる。レフは相手に退場を出したのでファウルを取ってくれなくなってきた。しかし平気な顔をして立ち上がるところが香川と違う(笑)。

 大久保が FK を取る。遠藤 FK は壁。本田が右サイドで持ちオーバーラップした内田に送るが、ヒールでポーンと流せそうなのに渾身の反転でやっとボールを出す。あんなに渾身の力を込め体をひねらないと逆方向5m にボールを出せないとは……なんだかもうひどい筋肉痛か腰痛を抱えてるんじゃないだろうかと思う本田の動きである。本田が守備力のあるボランチならばまだわかる。しかし攻撃の中心が身体的な問題でブレーキになるというのは、チームとして無理がありすぎるだろう。ザックは本田に何を期待してるんだろう。



 10分、大迫に代わり香川。岡崎がトップ。香川はこの相手を振り回せなかったら、今後もう出番を考えられないよ。ギリシャの CK を何本か防ぐ。川島好セーブ。ヘッドを合わせられたのは1本だけで、日本の守備陣はセットプレーをよく守っている。

 大久保がサマラスを後ろから引っ掛ける。大久保は攻守でこの大男と戦い続けていて本当に気と体が強いと思うが、カードをもらわないでもらいたい。お前が攻撃の軸なのだ。

 20分カウンターから香川が華麗に相手を交わし(「ラブリィターン!」)長駆ドリブル。長友に渡しクロス、本田に合わず。惜しかった。FK。ここでMが帰宅し、「この日本サポーターのおおおおって手はなに?」と笑う。気だよ、キ。本田 FK は壁。長友はクロスを飛ばさず香川と地上で絡んでほしい。

 24分奥へ侵入した内田に香川が浮き球を通し、折り返しを大久保! 外した! ああ! この試合最大のチャンスであった。あれを外すか大久保…。香川と大久保が絡めばチャンスはできる。しかし完全に崩しただけにこれは痛い。

 遠藤のコントロールミスでボールを失いかけるが香川すぐさまドリブルでカバーしファウルを取る。「それらしくなってきたぞ」と褒める英アナ。本田遠藤は遅いが香川はキレている。

 25分、遠藤のスローなパスから大久保がぴゅっと加速しアウトサイドで本田へ、本田初のシュートも壁。しかし前半からつくづく思うが、このチームは本田の位置にいる者がリズムを作りシュートを打つようになっているんだな。その本田に敵を交わす敏捷性も、敵を崩す意外性もないのが今大会日本の足かせなのである。

 攻撃陣が全員前に上がり遠藤がペースを握ってるので、スロー極まりない攻撃となる。それをMが罵倒する。「なんで止まるのよ、日本はボールを持ってるのになんで勝負しないのよ!」。それなんだ日本の問題は。日本代表の問題はいつの時代も勝負できるドリブラーがいないことで……あ、いるではないか。出せザック、出してくれハマのメッシ斎藤を!



 「もう完全にオール日本攻撃タイムだが、ダイレクトパスはまったく出ない」と日本の消極性に批判的な英アナ。つまりコントロールできればチャンスになるボールを FW に当てろと言っている。大久保が出せといつも言っているパスである。それが出せず、ふわりとしたクロスばかりの日本。長友のクロス崩れに内田が飛び込み打つも枠外。ぐぐぐ。

 31分、大久保がボックス前でボールを受け、無回転ミドルシュート、弾かれる。いいシュートだった。ショートコーナーからまた長友クロス。長友のクロスは高すぎる。持ち込め。突っ込め。ミドルを打て。しかし長友にもピーク時のキレはないな、この大会。調整失敗なのか怪我か。1人交わして遠くから効果のないクロスを上げるだけ。

 走って裏で受けた内田が1人交わして折り返すも遠藤コントロールできず。あれを打ちに行ったのが香川だったらなあ。

 35分、香川が流して内田が折り返すも中に狙いが合わず。あそこに飛び込めよという表情。「なんなの日本、勝負に行ってるのはあの1人(内田)だけじゃない」とMが怒りまくっている。そう、なぜ仕掛けないんだ。自信がないのか。奪われてカウンターされても相手にロッベンがいるわけじゃなし、なぜ仕掛けられないのか。選手たちもそうだが、ザックは柿谷と斎藤にボールを持たせ突入させることがなぜできないのだろうか。斎藤なんか他の有用な中盤選手を置いてわざわざ連れて行った、個人勝負専用選手ではないか。ここで投入せずどこで使うというのか。

 40分、吉田麻也が上がりパワープレーとなる。しかしクロスやアーリークロスやロブを入れても当然跳ね返される。

 ロスタイム、本田がドリブルで持ち上がるラストパスが外れる。遠藤が延々と回しては放り込みスコアレスドロー。ブーイングが降り注ぐ。



 前半大久保がトップ下に入ってきていた時間は可能性を感じられた。大久保のドリブルはキレがあり相手はファウルでしか止められない。あれがザックにとっての不調本田ケアだったのだろうか。

 しかし後半ギリシャがこもると MF が後方にいる意味がないので本田が上がってこざるを得ず、本田と遠藤が遅いパス回しの停車駅になってしまっていた。本田は今ボールを敵のマークを交わしてシュートを打つとか決定的なパスを送るという仕事ができない。ボールを止め出すだけでも他の選手より時間がかかる。キープレイヤーとしてマークされてるので選択肢(プレイ方向)を限定され、その予測を外すキレがない。テストマッチからこの方、相手が予測できなかった本田のプレイは象牙戦のあのシュート1本だけだろう。

 バイタルでボールに触る司令塔のプレイスピードがこれでは、パス回しでキープはできても崩せるはずがない。本田の位置に香川を入れサイドに斎藤を入れたら、より多くのチャンスを作れただろう。

 本田をけなしているわけではない。もともとアイデアが豊富だったりプレイ選択眼が高いわけではない本田が、さらに不調であそこにいることにより失われる決定機の数よりも、本田のキープ力と決定力のゲインが上回ると最後まで信じた監督の責任であり、そのザックを信任したのが日本なのだから仕方がないなと思う気持ちもある。本田が2試合でシュート2本しか打てないなんて、誰かが予言できたわけではないしね。

 しかしザックは本田を下げるオプションを複数用意しておくべきだった。そこは悔しい。3戦目は本田を使わないでほしい。ベンチに残ったMFたちの攻撃力が今の本田よりも低いとは考えられない。そんな選手が代表に呼ばれているはずがないのである。

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■14/06/20(金) □ 損なわれていた自信
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 ギリシャ戦の戦評を読む。FIFA が選んだ MOM が最後にあれほど気を吐いた内田ではなく決定機を1回も作れなかった本田だったというのが、いかに日本のポテンシャルを信じていないかを示している。悔しい。

 本田のプレイスピードの遅さをはっきり指摘したのは前ミラン監督のセードルフだけだった。さすがというか、そうと思っていても本田を半レギュラーとしてしっかり使ってくれていたことをありがたく思う。いい人だったんだな。セードルフがそれだけ温情を持って半年待ってくれても本田のボールタッチは戻らなかったのだ。代表の残り1戦で戻るはずもない。ザックがそれでもなお本田を外さないのは、象牙戦のような一発の可能性、FK が枠に行く可能性、プレス守備の圧力の高さ、コーナーキック守備時の高さあたりだろうか。組織攻撃の脚を引っ張る本田を使うのに値するほどのこととは、どうしても思えないのだが。



 後半のチーム全体の仕掛けの弱さは、やはりカウンターを恐れてのことだったと選手たちは言っている。大会が終わるまで口には出さないだろうが、コスタリカ、ザンビア戦で『強いところがインテンスに来たら俺たちはボコボコ点を取られる』と身にしみたのだろう。フレンドリーだとそれでも攻められるから前線のタレントがなんとかできるが、本番だと1対1の失敗の恐怖に打ち克てず攻められない。それも攻撃不調の要因の1つなのだと思う。

 つまり人数をかけて攻め、失敗すると1対1で危機に陥るというチームの設計がアンバランスだったということだろう。それがこのチームの現状だったのだと2試合を終えて思う。だけどもう1試合ある。チャレンジをやりきってほしい。バランスは悪いが、まだ戦える。ザックが決断してさえくれればね。

 本田の位置にファーストタッチで止めてつなげられ守備も頑張れる選手がいれば、前半ギリシャがどんなに堅守だろうとパスのスピードと種類と角度を変えながらつなぎシュートを何本も打てたと思う。

 さらに相手が強く日本のコンディションがいまいちだとプレスがハマらないというのもコスタリカ、ザンビア、象牙戦で思い知らされ、その場合の対処法は本田のデキと関係なく見つかってないのかもしれない。だとしたら少し下がって、調子のいい大久保ら前方にカウンターを託すしかないのかもしれない。

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■14/06/22(日) □ 進撃の巨人!
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 バンクーバーに住む ESL 女子に言われて Netflix に「進撃の巨人」があると気がついた。で萌と見たのだが、ち血が! というか巨神兵みたいなヤツに人が! ひょええと俺は超ショックを受ける。しかし萌14歳は「面白いじゃない次見ようよ次」と笑っている。どうなってんだ現代日本と今どきのティーン!

 俺はもう肩が凝っちゃってお腹痛いのだが、気に入った萌がすぐに②へ。ひょえええとうとう壁が! なんで巨人はみんな笑ったオッサンなんだ! と俺がおののくと、その方がクリーピー(気持ち悪い)だからいいのだと萌が喜ぶ。クリーピーすぎるだろ! それにあのデカイのはなんなんだあれ! 謎が謎を呼ぶ。

 初回に続き戦慄シーンばかりだが、キャラ設定はやっぱり昔ながらの熱血マンガ/ジャパニーズ RPG だな。主人公がバカ熱血すぎて思い入れしにくく、それを補佐するサイドキャラのほうが魅力的なところが FF7 っぽくて懐かしい。ミカサ素敵と親子してうっとりしております。

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■14/06/23(月) □ 大久保卓球インタビュー
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 明日コロンビア戦。練習では山口蛍、青山、大久保、本田、香川、柿谷が主力組だった模様。清武が守備力ないらしいので、本田以外トップ下は実際人材がいないのかもしれない。うーん。

大久保「とにかく、(ボールを)まずは中に入れること。そうやって中を締めさせてからサイド(に展開する)。一度中に入れることによって必ずサイドが空きますから。リスクを負わなければチャンスも何も生まれないから。それが今までやれなかったからうまくいかなかった。みんな、やるべきことはわかってると思いますよ。みんな、ここ(日本代表)まで来てる選手だから。あとは試合でどう出すか、どう実行に移すかだけです」

「(「香川選手は?」と聞かれて)真司はもう大丈夫! 昨日も卓球でちゃんと勝たせてやったから(笑)。アイツ、負けず嫌いだから、卓球で負けてもすぐ落ち込むんですよ。だから、勝たせて、「ヨッシャ―!」って気持ちよくさせて、気持ちを上げときました(笑)。そこらへんは、おれは空気読みますよ。明日は大事な試合だからね。アイツは乗ったらすごいですから。一点取ったら、すぐ乗るから。明日はやりますよ、アイツは」
大久保嘉人「絶対に覆してやるって気持ちが強い」サッカーキング


 大久保卓球インタビューが出た。大久保最高だな。大久保と香川たちがアイデアと技術を尽くしてコロンビアを苦しめてくれたら、それでいいのだという明るい気持ちになってきた。夏休みの空みたいな気持ちになってきた。

 去年代表が不調になった頃に大久保と憲剛を呼んで、こういう体育会ノリと非ポエムな戦術論を取り入れてくれていたらなあと思う。代表はもっと対応できることの幅が増していただろうと。

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■14/06/24(火) □ ザックの旅の終わり
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      大久保
 香川   本田  岡崎
   長谷部  青山
長友 今野 吉田 内田
      川島
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 【コロンビア戦】序盤は青山のパスミスが目立つ。パス能力を買われているはずなのにええっというミスを連発してくれる。これがW杯の重圧なのか。初の国際公式戦がこんな究極の試合なんだもんな。3発目でやっと狙った FW の胸に飛び、このポストから日本の FK につながる。頑張ってくれ。本田 FK は壁。

 9 分長谷部の完璧な縦パスを大久保が止めてきれいにターンし打つもクリア。惜しい! 後方から受けた本田が今大会初めてマーカーを振り払い前を向くことに成功し大久保へ、大久保が1人交わしてミドルも枠外。悪くない悪くない。大久保は本当にうまい。英アナも大久保がタッチするたびにラブリィを連発している。相手の逆を取り脚を出せない間合いでターンできてしまう。代表でこれができる日本選手は中田以降彼しか知らない。香川も柿谷も技術的にはできそうなのだが、強い相手にはできないでいるのは一生懸命すぎるからだろうか。

 青山またパスミス、うーん…。攻撃を加速させるために速くつなごうとしては失敗している。落ち着いてほしい。しかし青山だけでなく長谷部今野らチーム全体が縦に速く打ち込んでおり、それが効いて日本のペースになってきた。縦ポンじゃなく狙いのある低いボールなら大久保岡崎がちゃんとポストできるし、たとえ相手がカットしてもコントロールはできないので、前に行けている日本がまたこぼれ玉を拾い波状攻撃できるわけである。なるほど、これが大久保の言っていた前に当てろ状態か。もちろん相手ラインも下げられる。いいぞ。

 15 分:香川、本田、大久保が短くつないで内田のミドルまでつなげる。長谷部もミドル。相手の薄いカウンター攻撃は効率よく断ち切り、香川青山の1-2で香川がボックスに持ち込む。縦に速くと元からのショートパスがミックスされこれは本格的に良くなってきた。―――と思ったら敵カウンターを今野が引っ掛け PK。 タイミング的にはボールに行ってるので誤審かと思ったら、なんと今野がボールに触れていなかった。あんな完璧なタイミングで飛び込んで目測を誤るところが、自他共認める今野の不調ということなんだろうか。だいたい今のは滑らなくても相手はシュートを打てなかったではないか。ダブルのミスである。うーん。

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 仕方ない、まず追いつこう。今野はドリブルで高く上がり、攻撃でいいところを見せている。岡崎倒され本田 FK。これは枠に行かないと笑われる完璧な位置。また壁。コロンビアのカウンターにまた今野が飛び込む。今度はボールに行っていた。ふー。しかしナーバスになって飛び込めないという最悪の事態ではない模様。

 26 分:大久保がヘッドでうまく落としたボールを香川切り込み1人交わしてシュート、弱い。ショートコーナーから長谷部がヒールでつないだボールを香川が打つもミートせず。しかし悪くない悪くない。本田香川が1-2をやってた頃よりはるかにスピードがある。どれか一つでも入れば日本絶賛といういい流れである。日本に押し込まれながら PK でぽこっと点を取ったことで「コロンビアの快進撃は続く!」とか言われてるんだからね。やはりゴールが全ての印象を変えてしまう魔法なんだよ。

 本田が右に流れ香川がセンターで攻撃を指揮する時間が続く。このコロンビア2軍はプレイがゆるく、負けなければいいくらいに思ってるのだろう。その間に追いつかねばならない。30 分、かなり鋭いカウンターを食らうも相手のダイブで事なきを得る。本田の右ウィングはミラン同様役に立たない DF 頭越しロブで終始する。

 コーナーからボックス左前で FK。これは角度も悪いので本田もう蹴るのやめてくれもったいないと思うが、ついに壁を越え枠の近く1m に行った。惜しい。次は枠に行きそうである(笑)。コロンビアはほんとにゆるい。追いつきたい!

 36 分:岡崎が落としたヘッドを内田が上げて大久保オーバーヘッド、外れる。かなり無謀だったがこの英アナは大久保のアグレッシブさを好ましく思ってるようで、「そんなに外れたわけではないよね!」とポジティブ

 40 分: 青山がようやくいい個人技で持ち上がり大久保に通し、2人交わした大久保が香川に渡しシュート、ブロックされコーナー。これでいい。あの2人の技術に賭けるしかない。

 その次のプレイで大久保がパスミスでカットされると英アナは、「これがこの試合で初めての彼のミスだ」と指摘し、「彼はこのチームにはサプライズ招集だったようだけど、いい働きをしているね」と、サプライズなこと自体が意外だというコメント。そうなんだ、大久保は日本の宝なんだが、あとちょっとで日本は積み残して船を出すところだったんだ。

 42 分:コロンビアに崩されラテラルなボールを左で打たれるも枠から外れる。これは助かった。大久保から岡崎へのフィード、岡崎がつぶされる。長友突破もクロスはカット、大久保が俺の前にグラウンダーで流せと怒る。

 45 分、青山がフリーになり打てと思うも打つ決断が遅くブロック。また右に流れていた本田が左足でボックスに低いクロスを送ると、岡崎がどうやったのかわからないヘッドでゴール! なにがどうなったんだ! スローで見てようやく、低いクロスに DF の陰から岡崎が頭を突き出し、GK に見えないところから叩き込んだのだとわかる。すごすぎるぞ岡崎と大拍手!

 日本はいい攻撃をしている。しかも岡崎の神業で追いつけた。ギリシャはリードしているらしい。あとは勝てばいいのである。勝てる。この相手に勝てないわけがない。

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 【後半】ロドリゲス IN。うあー来た。「視聴者で初めてロドリゲスを見るという方は、お楽しみいただけるだろう」と英アナ。

 5 分、ロドリゲスがドリブルで中に持ち込み、横移動しながらシュート、ブロック。ああいう森島っぽいカニ走りシュートを香川も身につけてほしい。コロンビアが人数をかけて攻めてきた。もう2点取って試合を決めてこいと送り出されてるのだろう。

 FK からロドリゲスが素晴らしいボールを送るもコロンビア選手に合わず、助かった。ロドリゲスはボールタッチと身のこなしが優雅で、静止からしゅっとフルスピードになる移行が滑らか極まりない。香川もボールタッチはいいはずだがスピードアップする瞬間がわかってしまうから DF を抜けないのかもしれない。

 後方からのパスを本田がコントロールし、右へ行くと見せかけて左にボールを出し1人抜いた。そのコントロールが大きくて奪われたが、今年俺が見た初めての本田の意表を突くプレイであった。ようやく反転力が戻ってきてるらしい。

 10 分、ゴール前でもらったロドリゲスが3人を引きつけフリーの FW に流し、打たせてゴール。2-1。うちのエースたちにもあれをやってほしいのだが。まあ仕方がない、追いつこう。

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 後半 13 分、大久保がまた「ラブリィ」と言われるタッチで敵 DF を右サイドに引きつけキープする。味方まで大久保が何をするかを見ているという感じ。絡んでくればいいのだが。このボールを長谷部がボックスに流し込み香川がうまく止めて打つも枠外。香川は最後の一振りだけが合わない。目の前のチャンスのゲートが閉まる前に打ち抜かねばという焦りが技術をブラしているのかもしれない。

 日本のチャンスはこのように、全速で飛び込み完璧にトラップし DF にブロックされる前に完璧にミートし強く振り抜いてようやくゴールという、難易度の高いピンポイントなものにどうしてもなってしまう。ロドリゲスが3人を引きつけ味方をフリーにしたように、あそこで余裕で打てる間を作れるかどうかがワールドクラスと日本の違いなのだろう。選手としても、チームとしても。

 直後香川が長友にややタイミング悪く出し、それでも敵を抜いた長友のクロスに大久保のヘッド、ミートせず! ああ! しかしこのチームは本田も香川も左を上がる長友に出すのが遅く、長友がスピードを落とすのでクロスのタイミングが遅く相手がブロックが待ち構えてしまう。ああいう技術や判断の狂いが、上げるのも合わせるのも難しくしている。

 17 分:岡崎が肘打ちで倒される。あああれは痛い。いかに頑丈な岡崎でも鼻は鍛えられん。「腕を当てているだろう、フェアに言って痛かったに違いない」

 青山→山口。青山はやはり交代。仕方がない。いいプレイも最後にいくつかは見せられたが、J リーグだけでもいい選手は育つのだという説得力を持つレベルには達していなかった。大久保もそうだが、このチームに呼ばれるのが遅すぎた巡りの悪さもある。ザンビア戦で遠藤の代わりに青山が出ていたら、もっと強敵にフィットしていたかもしれない。

 この岡崎の痛みで得たマイボールを、日本はなんとしても生かさなければならない。香川が倒され相手にイエロー、このイエローは岡崎の分も入ってるんだからな。叩き込め本田。枠に行ったがコースが甘く GK 止める。うーん。

 20 分:内田が岡崎との1-2で抜け低いクロスを大久保に合わせるが枠の上! 大久保おおお! 内田のアイデアと岡崎の献身が作ったこれは、日本の最大のチャンスだった。「入っていたらなんというゴールだったことだろう!」………大久保は駄目なのかもしれん。もう柿谷に賭けるべきかもしれん。

 岡崎→柿谷。シュートが決まらぬ大久保が外れるかと思ったが、肘打ちを食らった岡崎だった。頼む。香川のミドルは弱く弾かれる。本田が初めてドリブルで突破にかかるもスピードもコースも悪くカット。今日はここ5戦で本田のベスト、実力の半分くらいは出ており1・2戦のように脚を引っ張っているとまでは感じないが、なんせ世界8位をW杯で相手にしてるわけなので本田 1/2 じゃ蚊帳の外という状況。好機を作るような仕事は香川がやっている。山口も1-2でボックスに駆け込むなど攻撃に参加する。今野まで攻撃に上がっている。カウンターも喰らいはじめる。

 30 分、ハーフでボールを奪った香川がドリブルでカウンターに走る。しかし柿谷の裏にボールを送れず目の前の本田に渡し潰される。この「香川と本田のホットライン」が判断を狂わせるから柿谷はこのチームで一向に点を取れないんだなと思うシーンであった。香川がドリブルで勝負、シュート打てず。

 固めたコロンビア守備陣を内からも外からも破れず、カウンターを食らってはやり直す。香川がこれまでに見たことないほど果敢にドリブル勝負を仕掛けるが、止まった状態で勝負をかけても相手も南米一流で抜くのは難しい。あと日本にできることはドリブラー斎藤を投入することだけだ。俺は斎藤よりも長い距離を運べるカウンター要員としてのドリブラー原口を高く買っているのだが、連れてきたんだから斎藤を使ってほしい。石にかじりついても点を取ってほしい。

 本田がトラップの悪さを見事に狙われ悪い場所で奪われ、一気のカウンターからマルティネス切り返し一発で内田を無力化し、ゴール。3-1。別にコロンビアが手がつけられないほど強いわけではない。日本が浮足立っており、カウンターで攻撃側有利な態勢で1対1を作られてしまうことが問題なのだ。大久保や香川のボールコントロール能力をああいうシーンで使えれば、日本も点を取れるだろう。しかし日本の攻撃は常に後手に回っているので、相手守備陣が落ち着いて待ち構え遅く意外性のないパス回しに無理なく対応しており、結局 FW が個人で超難しいコンボを決めないと点が取れないチームになってしまっている。チーム全体の攻撃が遅く力がないのだ。

 長谷部のスルーから香川がシュート、ミートせず。駄目か。香川は星を持っていないようだ。香川が敵を抜けずシュートがミートしないのは、初動から最後まで敵の注意を100%そらさず、一瞬の間もなく筋肉が張り詰めたプレイの生真面目さゆえかな。  同じことはシュートの瞬間の大久保にも言える。ロドリゲスの優雅さを見ているとそう思う。力が抜けている。中田の若い頃があんなだった。緩急で敵の裏を取れたのだ。

 40 分:香川→清武。いや斎藤だろう。清武を使うならずっと前に本田に代えてだろう。なんだこの交代は。ザックはとうとう最後まで采配の意味もわからなければ効果も出ない監督だった。はあ。

 43 分:初めて柿谷が走れるグラウンダーが出るも DF に引っかかり、コースが変わって柿谷はシュートまで持って行けず。コロンビアが前に出てくれる時間だったらその能力を見せられただろうけども、裏にスペースがない。

 内田が上がっていてフリーだった裏のロドリゲスにボールが通り、華麗なダンスでループを決められる。4-1。「彼は天才だ!」。たしかにこれまで日本が戦った中で、彼は最もエレガントで美しいプレイヤーだよ。

 なぜサイドなのか不明な清武から本田に出て、また取られるかと思ったら本田は前を向き抜け出し、しかしスルーが柿谷に通らず。このやること半分成功くらいが今日の本田で、それが今大会ベリーベストの彼であった。最後に柿谷がドリブル突破できれいに真ん中を割りシュートを打つも GK に近すぎ止められ試合終了。



 ふう。日本はあれを決めたら神という難しい決定機しか作れず、それを決められたのは岡崎だけだった。あんなところに頭を突き出せる男をワールドカップに連れていけたのは誇らしい。岡崎への肘打ちからの流れで得た好機を、俺たちはなんとしても得点に結びつけたかった。

 大久保は40分くらいのパスミスで「これは彼の初めてのミスだ」と英アナがコメントするほど技量が際立っていた。この男をワールドカップに連れていき、ゴール前で勝負させることができたのは誇らしい。シュート以外は完璧だった。どれか1つだけでも押し込んでほしかった。

 香川は何度弾き返されても泣かずにチャレンジしていた。ロドリゲスみたいにカウンターで単騎相手DFと対峙したら同じように手玉に取るだけの技量は持っていたかもしれないが、この大一番で待ち受ける相手守備陣を突き崩すには星を持っていなかった。どれか1つでも取らせてやりたかった。

 本田も今日は実力の半分くらいまで力が戻っていた。FKの照準が徐々に枠内に合っていくのはスリリングだった。山口先発じゃなかったこと、青山が初の究極レベルの試合に入っていけなかったこと、皆の足が止まったのに斎藤をとうとう使わずじまいだったこと以外は、やれることをやった俺たちだった。




試合終了後、急いで萌の中学卒業式に向かう。みんなプロムっぽく着飾って、最後にダンスもあって盛り上がった。

 いつも話をするコロンビア移民一家がおられたので、「いやーコロンビア強い。ほんと強い。ロドリゲス・グレイトとしか言いようがない」と頭を下げると、イエーイと喜んでおられましたよ。私たちはかなしいが、あなた方が幸せであれて本当によかった :-)。



 俺は群衆から離れ、コロンビア戦のことをぼーっと考えていた。終わってしまった。今回も見たかった日本代表は見られなかった。4年前ベスト16岡田監督バンザイみたいになったときには、もっと前から守備を整備しておけば、大久保らウィングも点を取りに行くチームが作れたんじゃないかと思い岡田監督を褒める気になれなかった。しかし最後は2バックになってカウンターを食らいまくる今回のチームも、イメージとは違ったな。

 コロンビア戦前半は「縦に強く速く行けば FW がなんとかする」という大久保的な具体論と、これまでやってきた香川本田のショートパスの夢が両方生きていて素晴らしかったと思う。内田も攻守バランスに関し持論を持ってるのが言葉から伺えたし、時間をかけ全てをすり合わせができていたらなあと思う。まあ本田遠藤と大久保のサッカー観は真逆ですり合わせられなかったかもしれないが。

 はあ。終わってしまった。中田、俊輔、小野、憲剛ら天才ゲームメーカーのパスが強豪国の隙をクレバーに切り裂き、玉田、大久保、柿谷らスピードと技巧を持ったアタッカーに通すという俺の夢の日本代表は、今回も見ることができず終わってしまった。5回もワールドカップに出たのに一度も夢はかなわない。このチームに憲剛が入るのがおそらく、過去5回で最大のチャンスだったと思う。さよなら、ザックジャパン。