2014/07/01

日記「ザックの旅の終わり(コロンビア戦)」

「攻められない日本(ギリシャ戦)」「損なわれていた自信」「進撃の巨人!」「大久保卓球インタビュー」

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■14/06/19(木) □ 攻められない日本(ギリシャ戦)
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       大迫
岡崎   本田  大久保
  長谷部  山口
長友 今野    吉田  内田
      川島

 【ギリシャ戦】香川を下げ大久保が先発。しかし岡崎が左なのか。やったことあるのだろうか(クラブではしばらくやってたとのこと)。

大久保最初のプレイでいきなり2人突破し山口のミドルへつなぐ。うまい! いきなり最高! リプレイを見ても敵 SB の足の間をボールが通ったのかどうか見えないくらい速い。すごいよほんとこの男は。スペインに行く前の若い頃から変わらぬこのキレよ。4年前と違いこの才能をちゃんと攻撃に使えることのうれしさよ。

 今日は日本が前で多人数プレスし普通にプレイできている。コートジボワール戦はやはり相手の勢いに圧倒されたメンタル的なものだったのかな。パスワークも後方では遅いのでブーイングされがちだが中盤に入るとポンポンとつながる。しかし本田が今日もトラップが足につかず、ボールを落ち着かせパスを出す頃には速攻のチャンスが消えている。ここが直れば点は問題なく取れそう。

 ギリシャの中盤ドリブルによるカウンターは日本よりはるかに速く、象牙に比べると止められないような重さはないがそれでもシュートまで持っていかれる。コネという選手が素晴らしい。内田がいい読みで何度もインターセプトを決める。大久保が長身サマラスとガチガチやり合っている。

 左にボールがあるときは大久保がトップ下に来る。素晴らしいタッチと反転力でギリシャ DF の目の前でさらし、交わして攻撃につなぐ。大久保で攻撃のスピードを上げるのは最高だ。あとはフィニッシュに持っていくだけ。本田が浮かせて大迫が打つ、オフサイド。今の本田がやれる攻撃参加は、ミランでも代表でもこの DF 頭越しのロブしかない。

 18分、攻撃を開始した内田に山口がきれいなサイドチェンジを通し、内田のくさびを大久保が大迫に打たせる。左足でやや弱い。しかしこれはいい攻撃だった。いい感じになってまいりました。

 大迫がループを打つ。惜しい。狙いはよかった。ギリシャ左からきれいなカウンター、シュートまではいかず。しかし日本の守備網は欧州レベルのドリブラーには一発で破られてしまい弱いなあと思う。山口と長谷部でもさほどのフィルターとなっていない。山口はボックス際でも一発で抜かれてシュートを打たれた。うーん。日本選手はアジリティがあるはずなのに、ドリブルで逆を取られるとなぜこう無力なのか。長い距離を運べる外国人ドリブラーがJリーグに少ないからだろうか。ならばギリシャの中盤くらいの選手を取れば、Jリーグではガンガンに活躍する+日本選手が中盤守備を覚えていいんじゃないだろうか。

 29分、相手ボックス前で大久保が引き出し回し、最後交わしてファウルで止められる。本田 FK を GK が弾く。ギリシャ怪我人で中断。



 大久保最高だな。ボールを引き出しファウルを取り、これぞアタッカーという仕事をしまくってくれる。この日本最高の攻撃選手をあそこで最大限に活かすことが過去4年2大会、いやジーコの頃にはすでに呼ばれてたのだから8年前ドイツから3大会、日本のやるべきことだったんだよ。大迫もいい。あとは本田か岡崎の爆発があれば試合は決まる。



 山口からボックス内大迫にスルーパス、完璧なポストから本田がフリーでもらうがシュートに持って行けず! マークがついてる大久保に渡し弾かれた。がー! 英アナが「グレイトボール!」と叫んだあの落としを生かせんとは……。あれを打てんならあの位置にいる意味がないだろう。後方でつないでいるときは本田の遅さも気にならんが、トップ下に入って来られるとイライラする。ミランサポが持つイラツキである。

 ややゲームが停滞してきた。―――と思ったらギリシャ主将がイエロー2枚目で退場。よしよししっかり攻めて勝とう。ギリシャ、カウンターからいいシュート、川島好守。山口から大迫にまたいいくさび、折り返しがつながらず。山口の長いパス力は実は素晴らしいな。実際本田が万全ならば、このチームの攻撃力は歴代最強なのは間違いない。しかし長友に流すパスをためすぎてクロスのタイミングが遅れたり、トラップを1mも浮かしてしまったり、味方の逆に出してタッチを割ったりと、本田の判断と技術ミスによって日本の好機は静かに消えていく。

 【前半終了】。うーむ。日本は支配はできてもシュート数が大差ない。シュートを打たれると危ない度は実は日本のほうが高いので、日本は相手の倍は打ちたいのだが打てない。やはりシステム的にここぞといういい位置でボールをもらえる本田が遅くタッチが多く、攻撃を遅らせているのが明らかなブレーキである。相手は1人少ないのだから守備力を下げてもいい。本田に代え香川か清武を投入してほしい。

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 【後半】長谷部→遠藤……またプレイが遅くなる。ギリシャが引いていて攻めあぐねる日本。ギリシャのでかい SB に岡崎がぶっ飛ばされる。レフは相手に退場を出したのでファウルを取ってくれなくなってきた。しかし平気な顔をして立ち上がるところが香川と違う(笑)。

 大久保が FK を取る。遠藤 FK は壁。本田が右サイドで持ちオーバーラップした内田に送るが、ヒールでポーンと流せそうなのに渾身の反転でやっとボールを出す。あんなに渾身の力を込め体をひねらないと逆方向5m にボールを出せないとは……なんだかもうひどい筋肉痛か腰痛を抱えてるんじゃないだろうかと思う本田の動きである。本田が守備力のあるボランチならばまだわかる。しかし攻撃の中心が身体的な問題でブレーキになるというのは、チームとして無理がありすぎるだろう。ザックは本田に何を期待してるんだろう。



 10分、大迫に代わり香川。岡崎がトップ。香川はこの相手を振り回せなかったら、今後もう出番を考えられないよ。ギリシャの CK を何本か防ぐ。川島好セーブ。ヘッドを合わせられたのは1本だけで、日本の守備陣はセットプレーをよく守っている。

 大久保がサマラスを後ろから引っ掛ける。大久保は攻守でこの大男と戦い続けていて本当に気と体が強いと思うが、カードをもらわないでもらいたい。お前が攻撃の軸なのだ。

 20分カウンターから香川が華麗に相手を交わし(「ラブリィターン!」)長駆ドリブル。長友に渡しクロス、本田に合わず。惜しかった。FK。ここでMが帰宅し、「この日本サポーターのおおおおって手はなに?」と笑う。気だよ、キ。本田 FK は壁。長友はクロスを飛ばさず香川と地上で絡んでほしい。

 24分奥へ侵入した内田に香川が浮き球を通し、折り返しを大久保! 外した! ああ! この試合最大のチャンスであった。あれを外すか大久保…。香川と大久保が絡めばチャンスはできる。しかし完全に崩しただけにこれは痛い。

 遠藤のコントロールミスでボールを失いかけるが香川すぐさまドリブルでカバーしファウルを取る。「それらしくなってきたぞ」と褒める英アナ。本田遠藤は遅いが香川はキレている。

 25分、遠藤のスローなパスから大久保がぴゅっと加速しアウトサイドで本田へ、本田初のシュートも壁。しかし前半からつくづく思うが、このチームは本田の位置にいる者がリズムを作りシュートを打つようになっているんだな。その本田に敵を交わす敏捷性も、敵を崩す意外性もないのが今大会日本の足かせなのである。

 攻撃陣が全員前に上がり遠藤がペースを握ってるので、スロー極まりない攻撃となる。それをMが罵倒する。「なんで止まるのよ、日本はボールを持ってるのになんで勝負しないのよ!」。それなんだ日本の問題は。日本代表の問題はいつの時代も勝負できるドリブラーがいないことで……あ、いるではないか。出せザック、出してくれハマのメッシ斎藤を!



 「もう完全にオール日本攻撃タイムだが、ダイレクトパスはまったく出ない」と日本の消極性に批判的な英アナ。つまりコントロールできればチャンスになるボールを FW に当てろと言っている。大久保が出せといつも言っているパスである。それが出せず、ふわりとしたクロスばかりの日本。長友のクロス崩れに内田が飛び込み打つも枠外。ぐぐぐ。

 31分、大久保がボックス前でボールを受け、無回転ミドルシュート、弾かれる。いいシュートだった。ショートコーナーからまた長友クロス。長友のクロスは高すぎる。持ち込め。突っ込め。ミドルを打て。しかし長友にもピーク時のキレはないな、この大会。調整失敗なのか怪我か。1人交わして遠くから効果のないクロスを上げるだけ。

 走って裏で受けた内田が1人交わして折り返すも遠藤コントロールできず。あれを打ちに行ったのが香川だったらなあ。

 35分、香川が流して内田が折り返すも中に狙いが合わず。あそこに飛び込めよという表情。「なんなの日本、勝負に行ってるのはあの1人(内田)だけじゃない」とMが怒りまくっている。そう、なぜ仕掛けないんだ。自信がないのか。奪われてカウンターされても相手にロッベンがいるわけじゃなし、なぜ仕掛けられないのか。選手たちもそうだが、ザックは柿谷と斎藤にボールを持たせ突入させることがなぜできないのだろうか。斎藤なんか他の有用な中盤選手を置いてわざわざ連れて行った、個人勝負専用選手ではないか。ここで投入せずどこで使うというのか。

 40分、吉田麻也が上がりパワープレーとなる。しかしクロスやアーリークロスやロブを入れても当然跳ね返される。

 ロスタイム、本田がドリブルで持ち上がるラストパスが外れる。遠藤が延々と回しては放り込みスコアレスドロー。ブーイングが降り注ぐ。



 前半大久保がトップ下に入ってきていた時間は可能性を感じられた。大久保のドリブルはキレがあり相手はファウルでしか止められない。あれがザックにとっての不調本田ケアだったのだろうか。

 しかし後半ギリシャがこもると MF が後方にいる意味がないので本田が上がってこざるを得ず、本田と遠藤が遅いパス回しの停車駅になってしまっていた。本田は今ボールを敵のマークを交わしてシュートを打つとか決定的なパスを送るという仕事ができない。ボールを止め出すだけでも他の選手より時間がかかる。キープレイヤーとしてマークされてるので選択肢(プレイ方向)を限定され、その予測を外すキレがない。テストマッチからこの方、相手が予測できなかった本田のプレイは象牙戦のあのシュート1本だけだろう。

 バイタルでボールに触る司令塔のプレイスピードがこれでは、パス回しでキープはできても崩せるはずがない。本田の位置に香川を入れサイドに斎藤を入れたら、より多くのチャンスを作れただろう。

 本田をけなしているわけではない。もともとアイデアが豊富だったりプレイ選択眼が高いわけではない本田が、さらに不調であそこにいることにより失われる決定機の数よりも、本田のキープ力と決定力のゲインが上回ると最後まで信じた監督の責任であり、そのザックを信任したのが日本なのだから仕方がないなと思う気持ちもある。本田が2試合でシュート2本しか打てないなんて、誰かが予言できたわけではないしね。

 しかしザックは本田を下げるオプションを複数用意しておくべきだった。そこは悔しい。3戦目は本田を使わないでほしい。ベンチに残ったMFたちの攻撃力が今の本田よりも低いとは考えられない。そんな選手が代表に呼ばれているはずがないのである。

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■14/06/20(金) □ 損なわれていた自信
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 ギリシャ戦の戦評を読む。FIFA が選んだ MOM が最後にあれほど気を吐いた内田ではなく決定機を1回も作れなかった本田だったというのが、いかに日本のポテンシャルを信じていないかを示している。悔しい。

 本田のプレイスピードの遅さをはっきり指摘したのは前ミラン監督のセードルフだけだった。さすがというか、そうと思っていても本田を半レギュラーとしてしっかり使ってくれていたことをありがたく思う。いい人だったんだな。セードルフがそれだけ温情を持って半年待ってくれても本田のボールタッチは戻らなかったのだ。代表の残り1戦で戻るはずもない。ザックがそれでもなお本田を外さないのは、象牙戦のような一発の可能性、FK が枠に行く可能性、プレス守備の圧力の高さ、コーナーキック守備時の高さあたりだろうか。組織攻撃の脚を引っ張る本田を使うのに値するほどのこととは、どうしても思えないのだが。



 後半のチーム全体の仕掛けの弱さは、やはりカウンターを恐れてのことだったと選手たちは言っている。大会が終わるまで口には出さないだろうが、コスタリカ、ザンビア戦で『強いところがインテンスに来たら俺たちはボコボコ点を取られる』と身にしみたのだろう。フレンドリーだとそれでも攻められるから前線のタレントがなんとかできるが、本番だと1対1の失敗の恐怖に打ち克てず攻められない。それも攻撃不調の要因の1つなのだと思う。

 つまり人数をかけて攻め、失敗すると1対1で危機に陥るというチームの設計がアンバランスだったということだろう。それがこのチームの現状だったのだと2試合を終えて思う。だけどもう1試合ある。チャレンジをやりきってほしい。バランスは悪いが、まだ戦える。ザックが決断してさえくれればね。

 本田の位置にファーストタッチで止めてつなげられ守備も頑張れる選手がいれば、前半ギリシャがどんなに堅守だろうとパスのスピードと種類と角度を変えながらつなぎシュートを何本も打てたと思う。

 さらに相手が強く日本のコンディションがいまいちだとプレスがハマらないというのもコスタリカ、ザンビア、象牙戦で思い知らされ、その場合の対処法は本田のデキと関係なく見つかってないのかもしれない。だとしたら少し下がって、調子のいい大久保ら前方にカウンターを託すしかないのかもしれない。

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■14/06/22(日) □ 進撃の巨人!
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 バンクーバーに住む ESL 女子に言われて Netflix に「進撃の巨人」があると気がついた。で萌と見たのだが、ち血が! というか巨神兵みたいなヤツに人が! ひょええと俺は超ショックを受ける。しかし萌14歳は「面白いじゃない次見ようよ次」と笑っている。どうなってんだ現代日本と今どきのティーン!

 俺はもう肩が凝っちゃってお腹痛いのだが、気に入った萌がすぐに②へ。ひょえええとうとう壁が! なんで巨人はみんな笑ったオッサンなんだ! と俺がおののくと、その方がクリーピー(気持ち悪い)だからいいのだと萌が喜ぶ。クリーピーすぎるだろ! それにあのデカイのはなんなんだあれ! 謎が謎を呼ぶ。

 初回に続き戦慄シーンばかりだが、キャラ設定はやっぱり昔ながらの熱血マンガ/ジャパニーズ RPG だな。主人公がバカ熱血すぎて思い入れしにくく、それを補佐するサイドキャラのほうが魅力的なところが FF7 っぽくて懐かしい。ミカサ素敵と親子してうっとりしております。

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■14/06/23(月) □ 大久保卓球インタビュー
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 明日コロンビア戦。練習では山口蛍、青山、大久保、本田、香川、柿谷が主力組だった模様。清武が守備力ないらしいので、本田以外トップ下は実際人材がいないのかもしれない。うーん。

大久保「とにかく、(ボールを)まずは中に入れること。そうやって中を締めさせてからサイド(に展開する)。一度中に入れることによって必ずサイドが空きますから。リスクを負わなければチャンスも何も生まれないから。それが今までやれなかったからうまくいかなかった。みんな、やるべきことはわかってると思いますよ。みんな、ここ(日本代表)まで来てる選手だから。あとは試合でどう出すか、どう実行に移すかだけです」

「(「香川選手は?」と聞かれて)真司はもう大丈夫! 昨日も卓球でちゃんと勝たせてやったから(笑)。アイツ、負けず嫌いだから、卓球で負けてもすぐ落ち込むんですよ。だから、勝たせて、「ヨッシャ―!」って気持ちよくさせて、気持ちを上げときました(笑)。そこらへんは、おれは空気読みますよ。明日は大事な試合だからね。アイツは乗ったらすごいですから。一点取ったら、すぐ乗るから。明日はやりますよ、アイツは」
大久保嘉人「絶対に覆してやるって気持ちが強い」サッカーキング


 大久保卓球インタビューが出た。大久保最高だな。大久保と香川たちがアイデアと技術を尽くしてコロンビアを苦しめてくれたら、それでいいのだという明るい気持ちになってきた。夏休みの空みたいな気持ちになってきた。

 去年代表が不調になった頃に大久保と憲剛を呼んで、こういう体育会ノリと非ポエムな戦術論を取り入れてくれていたらなあと思う。代表はもっと対応できることの幅が増していただろうと。

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■14/06/24(火) □ ザックの旅の終わり
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      大久保
 香川   本田  岡崎
   長谷部  青山
長友 今野 吉田 内田
      川島
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 【コロンビア戦】序盤は青山のパスミスが目立つ。パス能力を買われているはずなのにええっというミスを連発してくれる。これがW杯の重圧なのか。初の国際公式戦がこんな究極の試合なんだもんな。3発目でやっと狙った FW の胸に飛び、このポストから日本の FK につながる。頑張ってくれ。本田 FK は壁。

 9 分長谷部の完璧な縦パスを大久保が止めてきれいにターンし打つもクリア。惜しい! 後方から受けた本田が今大会初めてマーカーを振り払い前を向くことに成功し大久保へ、大久保が1人交わしてミドルも枠外。悪くない悪くない。大久保は本当にうまい。英アナも大久保がタッチするたびにラブリィを連発している。相手の逆を取り脚を出せない間合いでターンできてしまう。代表でこれができる日本選手は中田以降彼しか知らない。香川も柿谷も技術的にはできそうなのだが、強い相手にはできないでいるのは一生懸命すぎるからだろうか。

 青山またパスミス、うーん…。攻撃を加速させるために速くつなごうとしては失敗している。落ち着いてほしい。しかし青山だけでなく長谷部今野らチーム全体が縦に速く打ち込んでおり、それが効いて日本のペースになってきた。縦ポンじゃなく狙いのある低いボールなら大久保岡崎がちゃんとポストできるし、たとえ相手がカットしてもコントロールはできないので、前に行けている日本がまたこぼれ玉を拾い波状攻撃できるわけである。なるほど、これが大久保の言っていた前に当てろ状態か。もちろん相手ラインも下げられる。いいぞ。

 15 分:香川、本田、大久保が短くつないで内田のミドルまでつなげる。長谷部もミドル。相手の薄いカウンター攻撃は効率よく断ち切り、香川青山の1-2で香川がボックスに持ち込む。縦に速くと元からのショートパスがミックスされこれは本格的に良くなってきた。―――と思ったら敵カウンターを今野が引っ掛け PK。 タイミング的にはボールに行ってるので誤審かと思ったら、なんと今野がボールに触れていなかった。あんな完璧なタイミングで飛び込んで目測を誤るところが、自他共認める今野の不調ということなんだろうか。だいたい今のは滑らなくても相手はシュートを打てなかったではないか。ダブルのミスである。うーん。

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 仕方ない、まず追いつこう。今野はドリブルで高く上がり、攻撃でいいところを見せている。岡崎倒され本田 FK。これは枠に行かないと笑われる完璧な位置。また壁。コロンビアのカウンターにまた今野が飛び込む。今度はボールに行っていた。ふー。しかしナーバスになって飛び込めないという最悪の事態ではない模様。

 26 分:大久保がヘッドでうまく落としたボールを香川切り込み1人交わしてシュート、弱い。ショートコーナーから長谷部がヒールでつないだボールを香川が打つもミートせず。しかし悪くない悪くない。本田香川が1-2をやってた頃よりはるかにスピードがある。どれか一つでも入れば日本絶賛といういい流れである。日本に押し込まれながら PK でぽこっと点を取ったことで「コロンビアの快進撃は続く!」とか言われてるんだからね。やはりゴールが全ての印象を変えてしまう魔法なんだよ。

 本田が右に流れ香川がセンターで攻撃を指揮する時間が続く。このコロンビア2軍はプレイがゆるく、負けなければいいくらいに思ってるのだろう。その間に追いつかねばならない。30 分、かなり鋭いカウンターを食らうも相手のダイブで事なきを得る。本田の右ウィングはミラン同様役に立たない DF 頭越しロブで終始する。

 コーナーからボックス左前で FK。これは角度も悪いので本田もう蹴るのやめてくれもったいないと思うが、ついに壁を越え枠の近く1m に行った。惜しい。次は枠に行きそうである(笑)。コロンビアはほんとにゆるい。追いつきたい!

 36 分:岡崎が落としたヘッドを内田が上げて大久保オーバーヘッド、外れる。かなり無謀だったがこの英アナは大久保のアグレッシブさを好ましく思ってるようで、「そんなに外れたわけではないよね!」とポジティブ

 40 分: 青山がようやくいい個人技で持ち上がり大久保に通し、2人交わした大久保が香川に渡しシュート、ブロックされコーナー。これでいい。あの2人の技術に賭けるしかない。

 その次のプレイで大久保がパスミスでカットされると英アナは、「これがこの試合で初めての彼のミスだ」と指摘し、「彼はこのチームにはサプライズ招集だったようだけど、いい働きをしているね」と、サプライズなこと自体が意外だというコメント。そうなんだ、大久保は日本の宝なんだが、あとちょっとで日本は積み残して船を出すところだったんだ。

 42 分:コロンビアに崩されラテラルなボールを左で打たれるも枠から外れる。これは助かった。大久保から岡崎へのフィード、岡崎がつぶされる。長友突破もクロスはカット、大久保が俺の前にグラウンダーで流せと怒る。

 45 分、青山がフリーになり打てと思うも打つ決断が遅くブロック。また右に流れていた本田が左足でボックスに低いクロスを送ると、岡崎がどうやったのかわからないヘッドでゴール! なにがどうなったんだ! スローで見てようやく、低いクロスに DF の陰から岡崎が頭を突き出し、GK に見えないところから叩き込んだのだとわかる。すごすぎるぞ岡崎と大拍手!

 日本はいい攻撃をしている。しかも岡崎の神業で追いつけた。ギリシャはリードしているらしい。あとは勝てばいいのである。勝てる。この相手に勝てないわけがない。

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 【後半】ロドリゲス IN。うあー来た。「視聴者で初めてロドリゲスを見るという方は、お楽しみいただけるだろう」と英アナ。

 5 分、ロドリゲスがドリブルで中に持ち込み、横移動しながらシュート、ブロック。ああいう森島っぽいカニ走りシュートを香川も身につけてほしい。コロンビアが人数をかけて攻めてきた。もう2点取って試合を決めてこいと送り出されてるのだろう。

 FK からロドリゲスが素晴らしいボールを送るもコロンビア選手に合わず、助かった。ロドリゲスはボールタッチと身のこなしが優雅で、静止からしゅっとフルスピードになる移行が滑らか極まりない。香川もボールタッチはいいはずだがスピードアップする瞬間がわかってしまうから DF を抜けないのかもしれない。

 後方からのパスを本田がコントロールし、右へ行くと見せかけて左にボールを出し1人抜いた。そのコントロールが大きくて奪われたが、今年俺が見た初めての本田の意表を突くプレイであった。ようやく反転力が戻ってきてるらしい。

 10 分、ゴール前でもらったロドリゲスが3人を引きつけフリーの FW に流し、打たせてゴール。2-1。うちのエースたちにもあれをやってほしいのだが。まあ仕方がない、追いつこう。

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 後半 13 分、大久保がまた「ラブリィ」と言われるタッチで敵 DF を右サイドに引きつけキープする。味方まで大久保が何をするかを見ているという感じ。絡んでくればいいのだが。このボールを長谷部がボックスに流し込み香川がうまく止めて打つも枠外。香川は最後の一振りだけが合わない。目の前のチャンスのゲートが閉まる前に打ち抜かねばという焦りが技術をブラしているのかもしれない。

 日本のチャンスはこのように、全速で飛び込み完璧にトラップし DF にブロックされる前に完璧にミートし強く振り抜いてようやくゴールという、難易度の高いピンポイントなものにどうしてもなってしまう。ロドリゲスが3人を引きつけ味方をフリーにしたように、あそこで余裕で打てる間を作れるかどうかがワールドクラスと日本の違いなのだろう。選手としても、チームとしても。

 直後香川が長友にややタイミング悪く出し、それでも敵を抜いた長友のクロスに大久保のヘッド、ミートせず! ああ! しかしこのチームは本田も香川も左を上がる長友に出すのが遅く、長友がスピードを落とすのでクロスのタイミングが遅く相手がブロックが待ち構えてしまう。ああいう技術や判断の狂いが、上げるのも合わせるのも難しくしている。

 17 分:岡崎が肘打ちで倒される。あああれは痛い。いかに頑丈な岡崎でも鼻は鍛えられん。「腕を当てているだろう、フェアに言って痛かったに違いない」

 青山→山口。青山はやはり交代。仕方がない。いいプレイも最後にいくつかは見せられたが、J リーグだけでもいい選手は育つのだという説得力を持つレベルには達していなかった。大久保もそうだが、このチームに呼ばれるのが遅すぎた巡りの悪さもある。ザンビア戦で遠藤の代わりに青山が出ていたら、もっと強敵にフィットしていたかもしれない。

 この岡崎の痛みで得たマイボールを、日本はなんとしても生かさなければならない。香川が倒され相手にイエロー、このイエローは岡崎の分も入ってるんだからな。叩き込め本田。枠に行ったがコースが甘く GK 止める。うーん。

 20 分:内田が岡崎との1-2で抜け低いクロスを大久保に合わせるが枠の上! 大久保おおお! 内田のアイデアと岡崎の献身が作ったこれは、日本の最大のチャンスだった。「入っていたらなんというゴールだったことだろう!」………大久保は駄目なのかもしれん。もう柿谷に賭けるべきかもしれん。

 岡崎→柿谷。シュートが決まらぬ大久保が外れるかと思ったが、肘打ちを食らった岡崎だった。頼む。香川のミドルは弱く弾かれる。本田が初めてドリブルで突破にかかるもスピードもコースも悪くカット。今日はここ5戦で本田のベスト、実力の半分くらいは出ており1・2戦のように脚を引っ張っているとまでは感じないが、なんせ世界8位をW杯で相手にしてるわけなので本田 1/2 じゃ蚊帳の外という状況。好機を作るような仕事は香川がやっている。山口も1-2でボックスに駆け込むなど攻撃に参加する。今野まで攻撃に上がっている。カウンターも喰らいはじめる。

 30 分、ハーフでボールを奪った香川がドリブルでカウンターに走る。しかし柿谷の裏にボールを送れず目の前の本田に渡し潰される。この「香川と本田のホットライン」が判断を狂わせるから柿谷はこのチームで一向に点を取れないんだなと思うシーンであった。香川がドリブルで勝負、シュート打てず。

 固めたコロンビア守備陣を内からも外からも破れず、カウンターを食らってはやり直す。香川がこれまでに見たことないほど果敢にドリブル勝負を仕掛けるが、止まった状態で勝負をかけても相手も南米一流で抜くのは難しい。あと日本にできることはドリブラー斎藤を投入することだけだ。俺は斎藤よりも長い距離を運べるカウンター要員としてのドリブラー原口を高く買っているのだが、連れてきたんだから斎藤を使ってほしい。石にかじりついても点を取ってほしい。

 本田がトラップの悪さを見事に狙われ悪い場所で奪われ、一気のカウンターからマルティネス切り返し一発で内田を無力化し、ゴール。3-1。別にコロンビアが手がつけられないほど強いわけではない。日本が浮足立っており、カウンターで攻撃側有利な態勢で1対1を作られてしまうことが問題なのだ。大久保や香川のボールコントロール能力をああいうシーンで使えれば、日本も点を取れるだろう。しかし日本の攻撃は常に後手に回っているので、相手守備陣が落ち着いて待ち構え遅く意外性のないパス回しに無理なく対応しており、結局 FW が個人で超難しいコンボを決めないと点が取れないチームになってしまっている。チーム全体の攻撃が遅く力がないのだ。

 長谷部のスルーから香川がシュート、ミートせず。駄目か。香川は星を持っていないようだ。香川が敵を抜けずシュートがミートしないのは、初動から最後まで敵の注意を100%そらさず、一瞬の間もなく筋肉が張り詰めたプレイの生真面目さゆえかな。  同じことはシュートの瞬間の大久保にも言える。ロドリゲスの優雅さを見ているとそう思う。力が抜けている。中田の若い頃があんなだった。緩急で敵の裏を取れたのだ。

 40 分:香川→清武。いや斎藤だろう。清武を使うならずっと前に本田に代えてだろう。なんだこの交代は。ザックはとうとう最後まで采配の意味もわからなければ効果も出ない監督だった。はあ。

 43 分:初めて柿谷が走れるグラウンダーが出るも DF に引っかかり、コースが変わって柿谷はシュートまで持って行けず。コロンビアが前に出てくれる時間だったらその能力を見せられただろうけども、裏にスペースがない。

 内田が上がっていてフリーだった裏のロドリゲスにボールが通り、華麗なダンスでループを決められる。4-1。「彼は天才だ!」。たしかにこれまで日本が戦った中で、彼は最もエレガントで美しいプレイヤーだよ。

 なぜサイドなのか不明な清武から本田に出て、また取られるかと思ったら本田は前を向き抜け出し、しかしスルーが柿谷に通らず。このやること半分成功くらいが今日の本田で、それが今大会ベリーベストの彼であった。最後に柿谷がドリブル突破できれいに真ん中を割りシュートを打つも GK に近すぎ止められ試合終了。



 ふう。日本はあれを決めたら神という難しい決定機しか作れず、それを決められたのは岡崎だけだった。あんなところに頭を突き出せる男をワールドカップに連れていけたのは誇らしい。岡崎への肘打ちからの流れで得た好機を、俺たちはなんとしても得点に結びつけたかった。

 大久保は40分くらいのパスミスで「これは彼の初めてのミスだ」と英アナがコメントするほど技量が際立っていた。この男をワールドカップに連れていき、ゴール前で勝負させることができたのは誇らしい。シュート以外は完璧だった。どれか1つだけでも押し込んでほしかった。

 香川は何度弾き返されても泣かずにチャレンジしていた。ロドリゲスみたいにカウンターで単騎相手DFと対峙したら同じように手玉に取るだけの技量は持っていたかもしれないが、この大一番で待ち受ける相手守備陣を突き崩すには星を持っていなかった。どれか1つでも取らせてやりたかった。

 本田も今日は実力の半分くらいまで力が戻っていた。FKの照準が徐々に枠内に合っていくのはスリリングだった。山口先発じゃなかったこと、青山が初の究極レベルの試合に入っていけなかったこと、皆の足が止まったのに斎藤をとうとう使わずじまいだったこと以外は、やれることをやった俺たちだった。




試合終了後、急いで萌の中学卒業式に向かう。みんなプロムっぽく着飾って、最後にダンスもあって盛り上がった。

 いつも話をするコロンビア移民一家がおられたので、「いやーコロンビア強い。ほんと強い。ロドリゲス・グレイトとしか言いようがない」と頭を下げると、イエーイと喜んでおられましたよ。私たちはかなしいが、あなた方が幸せであれて本当によかった :-)。



 俺は群衆から離れ、コロンビア戦のことをぼーっと考えていた。終わってしまった。今回も見たかった日本代表は見られなかった。4年前ベスト16岡田監督バンザイみたいになったときには、もっと前から守備を整備しておけば、大久保らウィングも点を取りに行くチームが作れたんじゃないかと思い岡田監督を褒める気になれなかった。しかし最後は2バックになってカウンターを食らいまくる今回のチームも、イメージとは違ったな。

 コロンビア戦前半は「縦に強く速く行けば FW がなんとかする」という大久保的な具体論と、これまでやってきた香川本田のショートパスの夢が両方生きていて素晴らしかったと思う。内田も攻守バランスに関し持論を持ってるのが言葉から伺えたし、時間をかけ全てをすり合わせができていたらなあと思う。まあ本田遠藤と大久保のサッカー観は真逆ですり合わせられなかったかもしれないが。

 はあ。終わってしまった。中田、俊輔、小野、憲剛ら天才ゲームメーカーのパスが強豪国の隙をクレバーに切り裂き、玉田、大久保、柿谷らスピードと技巧を持ったアタッカーに通すという俺の夢の日本代表は、今回も見ることができず終わってしまった。5回もワールドカップに出たのに一度も夢はかなわない。このチームに憲剛が入るのがおそらく、過去5回で最大のチャンスだったと思う。さよなら、ザックジャパン。

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