2014/08/03

日記「考え込むことの面白さ-中世の建築士たち」

「弦買い」「建築士の計算量」「アニメグッズ探し」「進撃のアニメストア」ほか。

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■14/07/16(水) □ 「中世の建築士たち」ゲット
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「ボーナンザ」に次ぐ久々の家ゲームとして『中世の建築士たち』を購入した。地元店に出てるのを見つけ、各所紹介ページでルールを読み、これは面白いと直感した。ワーカーを雇い建物を建て、その報酬金で回転するというシンプルな拡大再生産ゲームである。

 プレイ前の想像は、「あやつり人形」の対人駆け引き部分をなくし、お金やりくり部分の楽しさを強化した感じ。あやつりは名作だが考え抜いて敵の裏をかくことが好きな陰謀ゲーマー同士じゃないと刺し合いが機能しない。そのためうちでは普及しなかったのだが、これはそこがバサッとカットされてるので向いていると思う。



 実際家族でやってみると、意外にも頭を使う。建築資源を持つワーカーたちに給金を払って建築現場に送り必要資源を満たすという、写真を見れば一目瞭然のシンプルゲームなのだが、ワーカーたちの持つ資源が建物の必要資源と絶妙にマッチしないのだ。したがって帯に短し襷に長しなワーカーたちをうーむと苦労してやりくりしなければならない。難しい。

 当初3アクションポイント制(1ターンに3つのことができる)というユーロっぽいルールをMが把握してくれずつまづいた。萌はルールを即理解し、小物建物を次々に建てる小排気量得点エンジンを構築し飛ばす。短いゲームの中盤でMも AP の仕組みを理解し、中型から大型建物に移行しお金とポイントを稼ぐ。このあたりで「グレンモアみたいね」という好意的な感想が2人から出た。メカニクス的に共通点はないが、手持ちのリソースを組み合わせ得点エンジンを組み点を絞り出すというゲーム性が似ているよね。

 小さく短いゲームなのに腕組みするほどに頭を使う。少ない手番で利益が大きく出るよう建てたいのだがなかなかうまくいかない。しかしそれが面白い。これはやはり当たりであった。

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■14/07/18(金) □ 弦買い
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 【花子とアン】駆け落ちした蓮子が離縁状を送る。「その顔と身分以外…どこを愛せちゅうとか!」――それ以外を愛す方法を俺は知らんのだ、習ってこなかったのだと叫び続け、ティアラの失敗を経て「花ちゃん」を介しようやくきんつばにまで辿りつけたのに。好きでたまらんのに。その伝助に、読めない離縁状はあまりに酷である。慟哭。

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 萌が初めてギター弦を切った。自分でチューニングしようとして正しい音を通り過ぎても気づかず弦が切れるまでペグを巻いたらしい。スマホでチューニングできる現代キッズは調音修行が足りないのでこういう切り方をするのだろう。

で弦を買いに楽器屋に連れて行ったのだが、美しい高級ギターを見てわーわー言い写真を撮りまくる。前はここに来ても俺が盛り上がるだけで、萌は早く帰ろうと言っていたのになんでだと聞くと、「自分も今はギタリストだから」という。そうか。で「あーあのギターを弾いてみたい」とか言って2千ドル級の銘器を指差したりするので、ああいうギターは指紋をつけただけで大変なことになる、指さすだけでも危ないと言い聞かせる。

 しかしカナダの楽器屋は日本よりイージーで、試奏はすべて自由。店員が立ち会わない。客がベルトのバックルで塗装に傷をつけたりするのを恐れないんだろうか。買うほうがそもそもそういう微細な傷を日本人ほど気にしないという文化があるのかな。一応マーティンやギブソンは別ブースに置かれているが、そこに人が常駐しているわけでもないから、本当に買いたい人は勝手にブースに入り試奏できるのだろう。俺はそのブースに入るのすら怖い(笑)。

 萌が12弦ギターを初めて弾いてそのオクターブ音の美しさに音にワオと大声を上げたり、ドラムエリアでシンドラを叩いたりして楽しんで帰宅。ギタリストを自称できるほど練習してるわけじゃないのだが、楽器に興味を持ちだしたのはいいことである。

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■14/07/19(土) □ 建築士のスタイル
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 【中世の建築士たち】かき集めた1ダースもの過剰なワーカーから常にベストな数名を派遣し一気に中型建物を建てる萌、複数建物を無駄なくバランスよく建てるM、ツールを集めコスト削減に喜びを見出す俺と、第2戦にしてすでに個々のプレイスタイルができ、競ったいいゲームになった。

 競るといっても各自自分の作戦計画に頭がフル回転しており、他の人がやってることには実際目を向けられない。完成したらおおナイスとコメントし、点数的に置いて行かれる(誰かが17点取ったらそのターンで終了)と焦る程度。俺は建物を適当に選んでいったらたまたま豚、牛、馬小屋が揃った見事なファームになったのだが、花札みたいな役があるわけじゃないのでそう自慢しても無反応であった(笑)。そんな感じなので順番にソロでパズルゲームをやってるようなところが強いのだが、面白い。点を絞り出すためにめっちゃ考え、「これだ!」という道筋を見つけ出すのが気持ちいい大型建物の建造に成功して豊富な資金をゲットし、高額ワーカーを雇い AP を購入して加速していくのが超気持ちいい。

 こうして建てる建物が機能を持ち、たとえば豚、牛、馬小屋が生産をしてくれたら胸ワクで素晴らしいのだが、それはまたグレンモアの後継として別のゲームを探さねばならない。アグリコラは苦役感が強すぎてやる気がしない。「建築士」は考え込むことの面白さと加速感の鋭さにおいて、それら中重量級ゲームなみの満足感を備えている。

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 Mステに Perfume が出てきたので萌と見る。「クリンクリン」という歌で相変わらずすさまじくカッコいいが、昔ながらの曲傾向に戻ってしまった感じ。生声が聞こえるようになっていくんじゃないかなあ、そうであってほしいなあという俺たちの願いは叶えられそうにない。声が揺れても荒い息が入ってもいいから生声を拾ってほしい。

 今のままでも偉大なのはわかるけれど、声が聞こえたらもっといいのにと思う。踊りが揺らいだらそれは劣化だが、声のゆらぎはライブ音楽としてカッコいいのだ。

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■14/07/20(日) □ 建築士の計算量
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 今日も「建築士」3人戦。萌を3回誘って全部乗ってくるのはほんと2年前のグレンモア以来じゃないかな。しかし萌はどうも先まで考える意志力がなく、めんどくさくなるとワーカーやコインを取るので点が伸び悩む。グレンモアは萌が適当にほしいタイルだけ集めていればけっこう勝てたのだが(あのゲームは考え抜いた手を打った人よりも運のよい人が勝つことがままあるのは欠点)、このゲームはそうも行かない。考え抜く意志力が必要なゲームなのだ。

 このゲームの面白さ/難しさは、点と資金を得られる中型以上の建物を1ターンで完成させられる完璧な組み合わせのワーカーたちはなかなか存在しないというところにある。どう組み合わせても3人以上使わねばならず、となると2ターン以上に分けなければならない。「――このワーカーで土と木を満たし……残る技術とタイルは次のターンにこいつで足りる。でこのターンはあと2AP あるから新建物をゲットして着手しよう」と将来への計画を2系統ほどパラレルに考えなければならない。そこに難しさとゲームとしての深みがある。

 しかしその計算量は算数苦手な俺が気持ちいいと感じる程度で、秘匿情報もないゲームなので実際にカードとコインを仮置きして考えればいいのだから苦にはならない。ボードゲーム上で俺の苦手な系統はこうした長期計画を脳内でいくつも保持し計算を重ねていかねばならないタイプで、アグリコラがまさにこれに当たる(※)。

(※)(過去記事「幻惑のワーカープレイスメント・アグリコラ」
『次の収穫で麦は2取れて牛が1増え、牛はかまどで3食料になるから+5、ワーカーは3人で食料が9必要で...うちは○○がいてキノコが1つ取れるから+1、もしオーブンを買えばパンは+2で....残り2ラウンドだから収穫前にオーブンを建てるためには石を取って.....次のターンで土を取らないと間に合わないが........もう1ターン待てば○○が1個増え食料を3増やす○○が買えるので......あーガガープシュー......』

みたいな感じになる。


 こういう『メモリー内に前の係数をホールドしつつ別の計算を行う』ことが俺には楽しめない。萌もおそらくそうなのだろうが、「建築士」は手持ちのカードをビジュアルに整理すればいいのだ。がんばれ。

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■14/07/21(月) □ アニメグッズ探し
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ムスメ作巨大エレン
萌が「進撃の巨人」のケープがほしいと騒ぎ出した。調べてみると安いがカナダには売ってない。ebay で発注してひと月待つしかないなとあちこち調べていると、萌が前から行きたがっていたバーナビーのメトロポリタンモールにアニメストアがあると判明。ちょうどいいからここに行ってみよう。この品自体はなくても楽しそうだし。

 日本語勉強を兼ねて見るアニメ第2弾は「キルラキル」にトライしたのだが、ど根性ガエルみたいな絵柄はいいのだが、話が雑然としていて俺はあまり面白さを感じない。鬼龍院と闘いつつ父の仇を探すというのがまああらすじなんだろうが、起きていることは毎回学校へ行きわちゃーと言って服がはちきれてどぴゃーと戦ってるだけなのである。アニメ表現のピーク部分だけをすくい取ったノイジーなオルタナティブ・ロックという感じ。3話見てもういいかと俺はリタイヤ気味。萌は気に入ってるそうで見続けるとのこと。

 「進撃の巨人」も同様に、ストーリーよりも絵がすべてを語る新世代アニメという印象を受けたな。まあ俺の知るアニメは「未来少年コナン」くらい古いんだけど。ストーリーを積み上げて何かを語るのではなく、「絵の動きが伝えるものとスピード」がメッセージなのだという表現分野になってきているような気がする。

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■14/07/22(火) □ 進撃のアニメストア
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バンクーバーエリアで最大(?)の都会モールに萌と遠征。都会はすごいなー、トレインがモールの中を走っているよ。ディズニーランドみたいだ。キョロキョロしてると田舎から来てるのがバレて恥ずかしいと萌に叱られる。

 お目当てはアニメストアである。思ったより品揃えは貧弱だったが、進撃の巨人 T シャツを見て萌が興奮する。しかし彼女の予算内では無理。ポスターも布製で高い。全体になんでも馬鹿げてるほど高い。まあ仕方がないことなんだろうが。予算内で買えるものは見当たらんので、とりあえず「進撃の巨人」特集の雑誌を俺が買って、これを見ながらランチを取ることにする。

 しかし袋入りの雑誌を開けてみたら進撃特集はわずか5ページほどで、あとはほとんどぽよよんアニメだった。進撃の巨人だけじゃないのは覚悟してたが、その他がこういう口半開きで内股のぽよぽよだったのが意外であった。雑誌名からして未来的なアニメが主流なのかと思えば。

 どんな人がこのぽよぽよアニメを見てるのかが想像できない。男子が見てるのか女子が見てるのかさえわからん。少年マンガで育った男子にはこのシャープさのない絵は好まれないだろうし、少女マンガで育った女子が見るにしては線に繊細さがなさすぎる。両者が歩み寄りどちらの良さもなくなったところで落ち着いたみたいな絵柄である。現代のアニメ若者はこういうものを見てるのだろうか。わからん。




とりあえずランチを食べ萌が服などを買いブラブラしていると、別のアニメストアを発見。ここはさっきの店より品揃えが安く、萌はこのポスター2枚をゲットし超歓喜する。うーんカッコよすぎ。俺はなんであそこで我慢せずぽよ雑誌を買ってしまったんだ。新品の日本書籍を買ったのなんて、カナダに来てから初めてかもしれん。高かった。泣ける。



 戦利品を手に入れた萌は帰り道、

「ギークであることはなんて素晴らしいの。アニメグッズを見つけ買うことにまさる喜びがこの世にある? ギークでない連中にはわからないわねハハハ、ハハハ」

ともうなんか、ハンジさんのようになっていた。落ち着け。落ち着いてミカサのような声で話してくれ。

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