2014/08/23

ソルトスプリング再再訪②観光農場巡り

「雨本降り停滞日」「アービュータスの島」「バスカーたち」

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■14/08/13(水) □ 雨本降り停滞日
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奥さまは「建築士」がお気に入り
今日は雨。寒い。静かにボードゲーム「中世の建築士たち」「グレンモア」などを楽しむ。グレンモアは久々にやったが、牛羊を集めることが好きな俺はどうしても序盤に木と石を他に奪われ、これらがないとその先の買い物ができないので村が発展せず負ける。家畜農家必敗の法則である。

 3人戦だと牛羊に固執していなくても木と石が手に入らないことは往々にしてあり、そこを金で補うと非常な不利となる。そこでその場合の家畜農家/石木のない不運プレイヤー救済策をハウスルールでずっと考えている。思いついたのは

①資材2個で必要資材1を取れるというカタン風ルール
②小さな市場や家畜市場で得られるのを4点の代わりに3金とする

 という2案。今度やるときに試してみたい。




ソルトスプリングに1週間も行ってやることがあるのかなと計画時から思っていたが、雨となるとやはりやることがないな。各種工芸家のスタジオへ行きお金を払いワークショップに参加するくらいしかやることはない。これはかなり高額なものなので、ちょいと気軽にというわけにはいかない。この島の工芸家たちは作品収入と夏の体験ワークショップ収入の両輪で暮らしてるんだろう。

 萌たちは雨の中散歩に出て写真を撮ってきた。



 普段は階下に住むM母と同フロアで毎日過ごしていると、いろいろと驚きの発見がある。夜8時に就寝時間を知らせる超大音量アラームが彼女の寝室で鳴るのだが、そんなアラームがなぜ必要なのか不明なのはともかく、耳の遠い彼女にはこれがなんと聞こえない(笑)。毎夜萌が止めに行っている。

 また冷たい食べ物が苦手なのだそうで、ポテトサラダ等を電子レンジで温めて食べておられる。一番驚いたのは毎夜寝る前に翌朝飯のシリアルにミルクを注ぎキッチンテーブルに出したまま寝ることで、夏なのにまる一晩常温じゃアカンだろうと思うのだが、何十年もこうしていて悪くなったことはないんだそうだ。ホント? ミルクってそんなに大丈夫なものなの?

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■14/08/14(木) □ 観光農場巡り
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 雨はやんで薄曇り。本日は農場訪問をメインに島をぐるりと廻る本格的な観光ドライブとなった。まず南岸の海へ行ってカヤックやボートを眺めながらサンドイッチをいただき、島中の観光農場やベーカリーを巡る。Mがマップをきっちりリサーチしていたのですべてが予定通りにうまく行った。


観光農場はどこも無人の売店に生産物が置かれ、客が金を置いて釣り銭を取り品物を持っていく日本の田舎みたいなシステムになっている。これで金を持って行かれないのだから、カナダ善男善女の善性は日本と変わりないのだ。

 しかしまあ農場訪問は楽しいが、市価の2倍もする生産物をわざわざ買いに行くのはそのクオリティに加え巡り歩きが楽しいからであって、それぞれの農場はその目的地アイコンとして存在している。M母とMが盛り上がる試食や購入行為自体には俺と萌は乗れずにいた。

 日本のセンスだと田舎の直売所は新鮮割安なのだが、カナダでは「ローカルの生産物=高くても高価値」となる。だから漁師船の魚直売も高い。高くてうまいなら別に特別ではないではないかと思う。この丘の上のベーカリーは駐車場が満杯だったが、うまいパンがほしいというよりも丘の上に薪でパンを焼くベーカリーが建っているというのが素敵だから千客は万来しているのだろう。



 要はアートの島ソルトスプリングの森の店・工房というプレミアム感に人々は高揚するわけだが、俺にとってこの島で大切なのはそこではない。道だ。やわらかな景色を眺めつつ、アップダウンとツイストに満ちた島の道をゆるゆると中速で車を流しカーブをきれいに曲がっていくことが、この島で最も気持ちのいいことだ。

 それはバイクで日本の山をツーリングしていた時の幸せに、カナダにおいて最も近い。小さな島に合うのか日本の軽トラがたくさん輸入されトコトコ走っている。めっちゃ古いBMWバイクでバタバタ走ってるライダーとも話したよ。自転車ならもっと気持ちいいだろうからたくさん走っている自転車野郎&ガールズがうらやましくて仕方がないが、島なのでアップダウンが超きついのが明らかゆえ、俺は車でよし。

 Mはここに住んで農場をやれたら素晴らしいと思わないかと力説する。うーんどうかなあと俺と萌は答える。ソルトスプリングは俺が行ったことのあるBC観光地で最もナイスだが、実際この島のナイスネスのほとんどは観光地らしいゆるい雰囲気と道にある。住んだらどうかはなんとも言えない。






 古いBMWバイクを見つけたフェリー港フルフォードは、5軒ほどの店が並ぶかわいい町だった。アンティークの錠前やらインド綿のスカーフやら、アジア圏に傾倒するヒッピー系の人々が好みそうな品物が狭い店内に何万点も詰め込まれた素晴らしい雑貨店があった。もう博物館と呼んでも過言ではないレベル。見ても楽しいし手軽な値段で買えるんだから素晴らしい。数年前に行った京都国立博物館の百倍楽しい。小1時間も店内をめぐり写真を撮りまくり、拝観料としてあれこれとかわいいものを購入した。




この旅はほぼ全部の写真を標準レンズ MZ14-42mm で撮ってるのだが、やっぱり使いやすくてえらいレンズだなと思う。全部の描写がグレイトではないが、ヒットを連発している。単焦点 SIGMA 19mm なら近~中景のヒット率も長打率も上がるが、遠景は撮れなくなってしまう。遠景を見たままの迫力で捉えられる 42mm の気持ちよさはやはり捨てがたい。

 クラシックBMW発進のこの写真も、ハンドルとステップの高さが絶妙で低速でくるっと曲がることが気持ちよさそうなこのバイクの美点を、離れた位置(33mm)からうまく捉えてくれたと思う。RZ250 を思い出させるポジションだ。あれは最高の街乗りバイクだった。

 この旅で初めて使っている i-Finish もいい。同じものを撮って比較すると Vivid のほうが色がこってりし好ましく感じられるのでこれまでは Vivid を使っていたのだが、iF はオリンパスが言うように見た時のおおという気持ちを PC 画面上に蘇らせてくれることが多い。Vivid は色を濃く出すが、i-Finish は光を強調し絵がバリっとしていて立体感が出るからだろう。Vivid よりシャープネスが低く、柔らかく仕上がるのもいい感じだな。


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■14/08/15(金) □ アービュータスの島
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 島の最終日、最後だからハイクでもしようと出かける。地図上では楽勝なルートに見えたのだが登ってみたら死ぬほど急峻で、途中で追い抜かれたローカルの人に聞けば頂上まで1時間だというので無理だと断念し、下界の海が見えるところまで登り写真を撮りヨシとした。

 この島にはアービュータスという、真っ赤な樹皮が紙のように薄くきれいにピロ~とむけて美しい地肌を見せる不思議な木がたくさん生えている。BCメインランドでは見かけない木で、潮風を好む樹木なのかもしれない。



 そして本日の満潮夜8時を待って、宿の前の浅い入江で初めての2人乗りカヤックに挑戦。1人乗りは何度も乗り「面白いが前に進まない」という感想だったのだが、コイツは進むわ進むわ、まるで別の乗り物だった。最高。

 考えてみれば2人乗り自転車と同じで走行抵抗は1人乗りと大差ないのにエンジン2倍なんだから、そりゃ進むよね。これだ。俺はもうこのスピードでしかカヤックには乗りたくない。それも漕ぐのが上手な萌と常にペアを組みたい。真っ暗で桟橋が見えなくなるまで交代でシュパーと滑走を楽しんだのです。

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■14/08/16(土) □ バスカーたち
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車に荷物を積み込んで1週間の宿を出る。さよならコテージ、さよならチキンたち。土曜のマーケットをまた見て歩き、ランチ。観光地価格のカレーはまあ予想通り、タイ/インド/日本のカレーを食べたことのない外国人が作ったカレーという味であった。マーケットは盛況だが、まあ買うようなものはないよなあ。たしかに初日に野菜をここで買えたらよかっただろうな程度で。

 カヤックを取り込むショップの兄さん、カナダじゃ珍しいうずらの卵、美しい古本屋等の写真を撮って旅は終わり。マーケット(朝市)ではきれいな女の子がバンドネオンを弾いてたのだが、写真を撮るとギャラを払わねばならないので撮れなかった(笑)。

 カナダのマーケットに行くとギターを弾き歌う人や、今日の美しいバンドネオン奏者のように楽器を弾き小銭をもらうバスカーと呼ばれる芸人が必ずいるのだが、客の財布が緩いこういう観光地ではけっこうな勢いでお金をもらっている。

 しかしこの人たちは別に人に自分の音を聞かせたくてやってるわけじゃないので、俺はその音を聴く気も起こらない。今日は「7歳の天才」と書かれた少年がちゃんとコードを弾いて「サージェントペパーズ」を歌いごっそり稼いでいたが、少しも楽しそうではなかった。楽しくないなら猿まわしじゃん。

 日がな一日不機嫌そうな顔で屋台に座り自分の CD を売ってるセミプロらしいフォークシンガーもいるのだが、こういう人も理解に苦しむ。声を出して人を集め自分の歌を聞かせたくはないのかね。ああいう人にとっての音楽ってなんなんだろう。ソルトスプリングは音楽家の島だから引っ越したらトモも地元ミュージシャンとジャムセッションをやれるとMがいうが、BC の田舎系音楽家ってどうもああいうノリの悪いイメージがあるな。



 こういう稼ぎのいいマーケット等でバスカーをやるには、しかるべきところに届け出て技量を示しお金を払いライセンスを取る必要があるらしい。萌とその友達も一時バスカーをやって稼ぎたいといい、友達のお母さんがライセンス料は払ってあげるわとか言って盛り立てていたのだが、よしとけばいいのにと俺は思っていた。

 人前でやるほど練習してないじゃん。若い女の子が2人で歌えばそりゃそこそこ稼げるだろうけど、そんなの本当の労働や本当のバンド活動に比べたら負うものが少なすぎてフェアではないと思う。そんなやっつけのカジュアル金儲けシンガーズじゃなくて、ちゃんとバンドをやってくれたまえよ。それならサポートするよムスメたちよ。

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