2012/06/24

日記『「お邪魔者」は完璧チョイス』

『日本へ持っていくゲーム探し』『「秘密」ゲームが見つかった』『アンク・モルポーク』

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■12/06/15(金) □ 日本へ持っていくゲーム探し
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今日は快晴20度で水に入るにはちょっと涼しいくらいだったのだが、萌は学校の年度末ウォーターパーク大会でえらい盛り上がったとのこと。しかしサンスクリーンの塗りが甘かったらしく、顔から背中まで真っ赤に日焼けしてしまった。これは明日あたり痛くなるだろう。気温20度でこれなんだから、カナダのUVはアホらしいくらいの量である。こんなに寒い雨の日々が続きつつ、雲が切れるとたちまち肌がこんなに痛むんだから、ふざけた季節だ。毎年そう思う。

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日本行きの宿予約等が済み一段落したので、持っていくボード/カードゲームを探している。昔から欲しかった「ボードが美しい農場ゲーム」と、ディクシットで目覚めた「秘密を持つゲーム」の2つがほしい。農場ゲームとしては「オレゴン」が浮上してきた。


西部開拓ゲーム「オレゴン」
「オレゴン」は地味に安定して面白い開拓ゲームとのことだが、ルールを読んでみるとほしかった農園ゲームとはちょっと違うか。開墾、収穫、拡大再生産というゲームではないな。

オンラインで試せるサイトが見つかりルールを読みながら1人2役でやってみたのだが、これはグレンモアと同系統だな。ミープルに隣接したマスに建物を置くとアクティベートされポイントが得られる。建物の横にミープルを配置しても同じく、アクティベート&ポイント。その置ける場所が持ちリソースや金ではなく、座標を示すカードで決まるというのがグレンモアとの違い。わかってみると「あそこに置きたいがカードが出ないー」というジレンマはカルカソンヌみたいでなかなか面白いけれど、グレンモアのほうが当然新しい分よくできていて、より多様な村が作れる。こっちのほうが簡単なのでおそらく奥様にはプレイしやすいと思うが、生産ゲームでも農業ゲームでもないので今回はパスだな。ま、試せてよかった。

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■12/06/16(土) □ 「秘密」ゲームが見つかった
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お手軽な「秘密を持つゲーム」としてぴったりなのが見つかった。善良なるドワーフが穴掘りトンネルカードをつないで金鉱を目指し、正体を隠した邪悪なドワーフ「お邪魔者」が密かにトンネル破壊行為を行うというゲーム、『お邪魔者』。多人数推奨だが3人からできる。地元で手に入る。


トンネル掘りゲーム「お邪魔者」
正体隠匿ゲームの大御所である「レジスタンス」や「人狼」は面白いだろうが多人数専用だし、カードは役割が書かれたものだけらしい。つまりすべては概念で出来上がっているゲームのようで、抽象的な心もとなさがある。

「お邪魔者」はその点トンネル連結とその妨害というわかりやすい行動の中で、正体隠匿と秘密のスリルが楽しめそうなのだ。レジスタンスなんかいくつ記事を読んでもルールがわからないが、これは写真1枚で「あ、穴掘りね」とわかる。どう考えてもこっちのほうが万人にウケるよな。これだ。父の日に買ってもらえるようお願いしました。

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■12/06/17(日) □ アンク・モルポーク
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Discworld: Ankh-Morpork
「お邪魔者」を買いに行ったMが、フェイバリット作家テリー・プラチェットの企画ものである「ディスクワールド:アンク・モルポーク」というゲームを見つけ衝動買いしてしまった。おま、そんな企画ものが面白いわけないだろう。なんで私に相談せぬのだと怒りつつ調べると、デザイナーは有名なワレスさんとある。でもってボードは美しい。ふむ。

では一応やってみるかと2人でテストプレイしてみると、何百枚もあるカードにびっしりと書かれたテキストに従い処理をするタイプ。ゲームは単純そうなのにテキスト読みがめんどくさいという難儀なタイプである。手番ごとに5枚ほどのカードテキストを読むのだから、非常にテンポが悪い。

それに英語(ワレスは英国人)というのは説明においてバカな言語で、

「他のプレイヤーを1人選び、その人が5ドル払えなかった場合はこのカードをその人の前に置く。するとこのカードは手札の補充時に5枚制限の1つとして数えられる。彼はこれを取り除くことはできない(Dr Whiteface)」

なんてカードがある。うちのM大先生が読んでも意味がわからない。これは読解するとつまり

「他のプレイヤーに押し付ける。その人が5ドル払えなかった場合は手札の1枚となり、捨てられない」

というババ・カードなわけで、いったん読解すると原文も辻褄が合うのだが、そういう『論理整合性は合ってますが。それがナニカ?』という高飛車文章が英文世界には多すぎる。どんなゲームでも日本語説明書のほうがわかりやすいのは、輸入元や訳者がこうしたバカ難解独語英語を読解し、誰でもわかる普通語にしてくれているからである。日本語翻訳者というのはそういうサービス残業をいつも強いられるのだ。

ともあれ、このカードに代表されるように効果は「暗殺」「地震で建物が霧散」「敵の手札を全部見て1枚捨てる」など、無茶苦茶強烈なものばかりで、攻撃だけではなく引いた自分に災難が降りかかることもある。建物をいくつか持つと金は使い切れないくらい入ってくるし、すべてがダイナミックかつ雑で、だんだん笑えてきた。これは意外やバカゲーなんだな。評を読むと「ワレスがアワードを取った大作の片手間に作ったお遊びゲーム」だって。なるほどね。

ゲーム内容は美麗な街区地図上の陣取りゲームなのだが、こないだやった「D&D:Lords of Waterdeep」もそうだったように、地形には特に意味がない。「○○という建物にコマを置くと毎ターン3ドルもらえる」といった建物効果は根拠薄弱であり、そういう効果しかないボードはいくら美麗でも面白みがないのである。ボードはゲーム世界の地図なわけで、地形には意味があってほしい。山は越えられないとか、湖があって自然の障壁になっているとか、そういう地形効果がある方が楽しいに決まってるではないか。チケライ Euro の地図は美しい上に地形にゲーム上の意味があるから素晴らしいのである。

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やがて気がつけばゲームは終盤ぽく、お、俺は勝てるぞこれはとちょっと身を乗り出す。勝つためにはあそこをこうしてこうして、あれだな。よし。―――というところで、Mが「トラブルマーカー8個で私の勝ち!」と宣言。俺は陣地数が勝利条件だったのでえーっと驚いたが、各人勝利条件が全然違うのだった。秘められた勝利条件でもって各自努力するというゲームなのね。それはなかなか小味が効いてるな。

というわけで全般的にバカゲーだと思うけど、笑って終わりプレイ後感は最初に思ったよりずっとよかった。雑な上にテキストが大量にあるという俺の好みの正反対のゲームなのだが、タワけた流れの中で「あれとあれをやれば勝てる」という陣取りのわかりやすさがあり、時間も短いのがよかったのだと思う。何度もやり込むようなゲームでもないが、うちには他に陣取りゲームがないことだし、ときおり取り出してやる価値はあるなという感じ。

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■12/06/20(水) □「お邪魔者」は完璧チョイス
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ゴール直前に行き止まりカード。
放課後萌と共にMKのところを訪ね、ついに「お邪魔者」3人戦をやってみた。【緒戦】はMKがお邪魔者と信じ、萌とタッグを組んでひたすら彼を攻撃していたのだが、最後に萌が行き止まりカードをペタと置く。―――「お、お前だったのか!」「だから僕じゃないってさっきから言ってただろう!」―――。楽しー :-)。しかし邪魔のタイミングが遅すぎて簡単に行き止まりカードは除去され、善良ドワーフ側の勝ち。

このゲームはカード構成が絶妙で、善良ドワーフがゴールまでつなぐのは思ったより難しい。連結には役に立たないカードが手札にガンガン入ってきて、そのマネージメントがなかなか難し面白いのだ。無用なカードを捨てて場札を引くことで、善良ドワーフは手札を浄化し、お邪魔者は穴掘りに協力しているフリをしつつ破壊ツールと(自分用の)修理ツールを集める。面白い。


見るからに邪悪なお邪魔者。ウシシ。
【2戦目】は俺がお邪魔者。序盤からあからさまに邪魔をすると身分がバレて総攻撃を受けるし、遅すぎると緒戦のごとく破壊が間に合わない。いつサボタージュをするかが鍵となるわけである。

俺は疑われ攻撃もされていたが、ゴール直前でトンネルをブロックして正体を表し、総攻撃を受けながらも同時に別部分のトンネルを崩落させ、このコンボが見事に決まった。正体がバレ攻撃され行き止まりカードを置けなくなっても、崩落や道具破壊カードは使えるのである。なのでブロック&崩落をタイミングよく行えれば、穴掘り側は同時に2ヶ所を直さねばならず、お邪魔者への報復攻撃もその分弱まり、大きくバランスが傾ぐのだ。面白い :-)。MKと萌はうあーと怒声を浴びせながら(赤ちゃんを寝かせているMK奥さんに怒られました・汗)修復を試みるが間に合わず、カードが尽きて俺の勝利。やっ・た\(^-^)/。

【3戦目】はMKがお邪魔者なのはわかるが、いつ攻撃がくるかわからないままハラハラとゲームが進む。このゲームはお邪魔者不利という評が多いが、単純な横トンネルカードが希少なカード構成ゆえ善良ドワーフが延々とそのカードを引けず詰まることが多く、そこにお邪魔者が活躍する余地がけっこうあったりする。そして最後の7列目まできたところでついにMKが「ウハア!」と攻撃し、「やっぱりお前かー」とこれまた盛り上がった。萌と2人でMKを袋叩きにし、無事ゴール。

これは完璧に期待通りだな。誰もが悩むことなく構築ができる。それでいて考えどころはある。演技ができ難詰ができ攻撃ができる。コロレットの問題である「テーマ性の欠如によるとっつきにくさ」もこのゲームは当然回避しており、ゲーム嫌いな人でも喜んで参加してくれるだろう。なんでこれがあることにこれまで気づかなかったのだろうと思うくらい俺の希望にぴったりだ。素晴らしい。ドイツゲームは無限だな。

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そしてこれまでどうもタイミングが合わずMKとやれなかったグレンモアを導入。初の真性ゲーマー相手のグレンモアである。初回なので面倒な「土地税ルール」はなしでいこうと思ったのだが、「コストがかからないなら取らない理由がない」といって彼は最後尾で他のプレイヤーが無視した全タイルを拾っていく牛歩作戦に入る。これは家族ゲームでは誰もやらなかった戦法で、土地税なしならこれで無尽蔵にリソースが取れゲームバランスが崩れてしまう。「いや実は最後に土地税がかかるので、タイル数を無闇に増やすのはクレバーではないのだゴメン」といって牛歩をやめさせねばならなかった。ほんとゲーマーはスキがない。こういうゲーム上級者のために、あらゆるルールは明記が必要なのだとよくわかる。


この牛・羊・麦・木コマがほしい!
セットで買えるのかな。
そこからあとは手順は説明不要で、各タイルの効能を説明するだけですいすいとプレイしてくれた。後半はさすがは筋金入りのゲーマーで、俺のタイル説明を聞いて「こっちのほうが同じリソースで出るポイントが大きいな」と建物を選び進めていき、酒工場作戦でガンガンと大量点を上げ、自分がほしい酒場が萌に取られるんじゃないかと手番を待つジリジリ感が顔と指先に現れるほど熱中してくれた。

説明入りで50分ほどでゲーム終了、説明で身が入っていなかった俺を抜きMKが2位。このゲームが大得意な萌が歳の市と肉屋作戦でいつの間にか点を稼いでおり及ばなかったが、MKは俺が所有するゲームでこれを一番楽しんでくれたんじゃないかな。やっぱゲーマーにはこのゲームのクオリティが一発でわかってもらえるのである。ヨシ :-)。

2012/06/16

日記「ダンンジョンズ&ドラゴンズ体験」

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■12/06/04(月) □ ポピュラーガールズ問題
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最近萌の中学生活の話を聞いていると、意地悪なグループにからかわれたり、くだらないことで大声を上げられたりすることがあるらしい。このグループを萌は「ポピュラー(人気がある)ガールズ」と呼ぶ。華やかでプリティで人気があるけど、裏では主人公に意地悪をするガールズというのは、まさにアメリカ映画や少女マンガの悪役。そういうのが本当にいるのね。

4~5年生の頃からその傾向はあったが、気が強くおしゃれな女の子たちがトップに君臨するという状況にいよいよなってきているらしい。しばらく前に萌が妙にブーツにこだわっていたのは明らかに彼女らへの意識からだったのだが、最近は運動靴も履いていき、それなりに自栄心とリアリティの折り合いがついてきてるかと思ってたのだが。難しいよなあ。

萌の言葉遣いや態度がどんどんとラフできつくなり、年齢不相応に声が低くなっていくことを俺は不愉快に感じている。たとえば何かを尋ねたときに、昔は

I-don't-know (中中中)=知らない。わかんない。

というフラットなトーンで答えていたのが、いまは

I↑don't-know↑(中上中上)=知らね。わかんね。なんで聞くの。

という反抗的なイントネーションで答える。そのトーンだけで俺はイラっとさせられるのだが、しかし実際のところそういうアティチュードを身につけないと、カナダのティーンはやってけないんだろうなとわかってきた。誰もが年齢的に自然とぶっきらぼうでトガってくるわけだが、学校ではそれが共鳴し合って攻撃性が増しているんだろう。そんな嵐の中に、子供のままのイノセントな心でぽつんと立ってなんかいられないのである。

萌はボーイズとは小学校時と変わらぬノリでギャハハと楽しくやっているらしい。ガールズは難しいのだ。俺の中学時の女の子たちは全然そんな険悪な感じはなかったが、日本の田舎の中学とカナダの中学ではまったく違うんだろうな。

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「萌が運動部で友達をつくるか、文化系のナード(おたく)ガールズと付き合ってくれたらいいんだけど」とMはいう。ポピュラーガールズとなんか付き合わなきゃいいのよ。その通りなんだが、運動部も文化部もないんだよこの学校は。1ヶ月限定のバドミントン等のスポーツイベントがちょこちょこ入るだけ。ほんと部活がないというのは痛いよな、カナダ中学。

まあイジメというほどの事態ではないのだが、とにかくめんどくさくて難しい。こうした子供たちの変化に教師がどこまで目を配っているのか、あまり期待はできない。親が子供に常に話を聞いて、細かく対応していくしかないと思う。

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■12/06/10(日) □ ダンンジョンズ&ドラゴンズ体験
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MK家で【初めてのD&D】。メンバーはSF、KV、LS、そして俺と萌とゲームマスターのMK。MKは俺がカナダに来た94年にすでに今の萌と同じくらいの年でこれをやっていたから、20年近いキャリアである。俺と萌以外はみな経験アリらしく、最初に以前の版と最新版のルールの違いなどが語られる。

ゲームが始まり小1時間は各自シートを読み込みキャラを構築していく感じ。自分は釣りが好きだの金にうるさいだの、自らのディテイルをてんでに盛り込みキャラと世界観を作っていく。萌の書くストーリーと同じでディテイル描写ばかりがどっさり積み上げられ、なかなか話が進まない。

キャラ作りとオープニングの町の酒場での相談が済み、準備が整いようやく冒険の旅に出る仕儀となり各自のコマをテーブルに置いたときにはもう2時間近くが経っており、ランチブレイクとなった。まだ町から出てもいない。こりゃ想像以上に気長な遊びだな(※)。
(※)あとでMKが言っていたが、SFが予想外に凝り性でどんどん細部を積み上げていくので、奴が企図したよりもいちいち余分に時間がかかっていたのだそうだ。なるほどね。

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シートに手描きのこの地図が楽しい。
ランチ後フィールドを表す格子のシートが出てきてやっとゲームらしくなってきた。ビニールの格子シートに、MKがフリーハンドで道や森を描き込んでいく。おー。これはイイ。ゲームボードをデザインしたいという気持ちは誰にでもあると思うが、これはそれができちゃうのである。素晴らしい。萌は当然喜んで、キャンプすると決めた場所に「ここが私の寝る木」などと寝場所を書き込んでいた。

モンスターはゲームマスターがシナリオブックの規定(?)に従った数と強さで、ちょうどいい難度になりそうな位置に配す。サイコロの目でバトル結果が変わる。このへんは想像通りの RPG で、「エディス(萌)は怒りに体を震わせェ、大きく息を吸い込みィ、敵に炎を吹きつけた! ストームブレス! クリティカルヒット!」とマスターMKが大声でナレートしてくれるのでバトルシーンが盛り上がる。盛り上がるけれどしかし、最初の雑魚敵6個のバトルで30分くらいかかった。ここはコンピュータゲームの手早さのほうがいいなあと正直思う。


「心配しないでブリツ、あたしは味方だから」と
ゴブリンに話しかけるエディス。
TRPG で面白いのはやはりトークの部分で、敵を倒したあと『この気を失ってるゴブリンをどうするか』なんて話が出てくる。なにをするのも自由なのだ。萌が「連れていける?」とゲームマスターMKに聞くと OK が出て、こいつが萌キャラのペットになった。するとMKがこのノンプレイヤーキャラクターの役割をやってくれるのである。萌が問いかける。

「お前の名前はなんなの」
「シャーマンはブリツって呼ぶ」
「じゃブリツ、シャーマンって誰?」
「シャーマンはシャーマンだよ、怖いよ」
「怖い? なぜ」
「俺が言うことを聞かないとぶつんだ。あんたもそうだろ?」
「あたしはぶったりしないわよ、ほらこのウサギを食べていいわよ」
「………こんなやさしいシャーマンに初めて会った」
「あたしはシャーマンじゃないわ、エディスっていうの、人間よ」
「人間ってあの弱いやつか? シャーマンに言われてこないだ殺したな」
「なんですって!? それはどこ!?」


―――てな具合に、MKの絶妙な演技とプレイヤーとのインタラクションで話が深化し、チームが依頼を受け探していた「モンスターに襲われた建設現場」特定へのヒントへと絶妙につながっていくのである。これはすごいなと思った。おそらく骨子はすでに決めてあって、その場その場でMKが即興で話を変えていくんだろう。こんなことは他の遊びではやりようがなく、だから何十年も遊ばれているんだな。ただただ会話だけでどんどん世界が広がっていくのがなんとも面白い。「テーブルトーク RPG は日本での造語」と Wiki にあるけれど、これを造語した人はエライと思う。これはゲームというより高度なゴッコ遊びだな。

萌は自分のイマジネーションが全部話に織り込まれていくので大喜びで、ゲーム自体は待ち時間が長く退屈もしていたが、最後までテーブルから離れなかった。ボードゲームだと1時間でも集中持続は難しいのだが。楽しさに輝く萌の顔は久しぶり。

俺は照れ性であまりオラなんとかしただ的演技はできず、ドワーフという無口がデフォルトみたいなキャラだったので話の流れ的な出番も少なかったのだが、他プレイヤーのトークを鑑賞しチャチャを入れるだけでも十分に楽しかった。



俺は、プレイ時間5時間(!)でリタイヤし、ユーロを見たくて先に帰宅。トークの局面局面はまことに面白かったのだが、5時間かけてバトルが1回半とキャンプが1回というゲームの進まなさに疲れた。D&Dにはボードゲーム的な意味でのゲーム性(メカニクス)はまったくない。俺はボードゲームのメカニクスというものに最大の魅力を感じてるので、D&Dはテーブルゲームとしてはボードゲームより相当に冗長と感じる。5時間遊べるなら、俺は5つの別種のボードゲームをやりたいのが正直な思いで、逆に言えば1つのゲームで5時間は俺は持たない。

バトルにも時間がかかるし、それに「タクティクスオウガ」など緻密に戦力と地形バランスが取られたコンピュータゲームに比べると、なにしろ材料は手描きの地形とサイコロなので戦略的な楽しみも薄い。「うーん、まあ手近のこいつを倒します(コロコロ)」という感じ。この部分は練り込まれたバランスをいつでも再生産できるコンピュータ RPG にかなわないなと思った。お金を使い村で買い物しキャラを育てる等のサブ要素がないことも物足りない(無論やればいくらでもサブ要素は加えられるだろうが、それなしで数時間かかるゲームにさらに細部を加えるのは....ということ)。

あとで結末を聞けば、「開拓地を破壊したのはシャーマンに操られたゴブリンたちだ」という調査結果をクエスト依頼者に持って行くと、実はこの依頼者こそが悪役だったというどんでん返しとバトルが最後にあり、盛り上がって終わったらしい。なるほどねえ。しかしそれはやはりコンピュータ RPG の『最初の村の人助けクエスト達成』くらいの話のボリュームで、それに数時間かかるんだから大規模な物語はなかなか描きにくいだろうな。

総論として、D&Dのトーク部分の自由度とインタラクティブ性はどんなゲームをも上回るだろうと思う。しかしコンピュータ RPG の手軽さと緻密さ、ボードゲームのメカニクスと思索の面白さのほうが、俺には向いているなという結論となった。

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「ディクシット」この絵たちの奇天烈なことよ
ユーロを見終え萌を迎えに来るとまだ遅い晩飯を食ってる最中だった。そして最後に「ディクシット」が出てきた。もう9時を過ぎ萌を連れて帰らないといかん時間なのだが、これは数年前のボードゲーム大賞作である。ぜひやりたいので半荘だけお願いしますとやってみる。

全員が奇天烈な絵の描かれたカードセットを持ち、手番が1枚のカードにお題をつけて伏せて出す。残り全員もそのお題に合うカードを選んで伏せて出し、どのカードが手番のものかを皆で当てるというゲーム。それだけなら面白くもないのだが、手番は全員に当てられるか全員が外れるとゼロ点というのがキモになっている。つまり「そこそこわかってもらえる秘密」という微妙さがゲームの核心なのだ。そこに突如としてゲームのスリルが生まれる。

始まると1問目の投票から「えー、どれだよ」と想像通りに盛り上がり面白い。全員がニヤニヤ顔になる。ゲーム形態として誰にも待ち時間がないし、自分が題を出す番も待ち遠しい。自分の手札のどれにも「わかってもらえる秘密」なお題がつけられず苦しむという場合も多々ある。半荘のつもりが結局1ゲームやってしまったくらい面白かった。

萌はディクシットを買ってくれと言うのだが、ゲームの性質上6人くらいいないと面白くないわけで、買ってもちょっと出番がそんなにないな。しかしこういう秘密を持つゲームはほんとうに面白い。人狼とか「レジスタンス」などの、正体隠匿系のゲームがぜひほしいと思う。

『秘密』『計画』『生産』『拡大』―――このへんに俺が面白いと思うボードゲームの鍵があるのは明らかだ。D&Dと「パンデミック」にはそれがないわけである。前からほしい農園ゲームはいまだにこれといったものがないのだが、秘密ゲームも同時に探していこう。

2012/06/05

日記「農園ゲームを探そう」

「グレンモア・ソロプレイ案」「ダンジョンズ&ドラゴンズ大会準備」「雨のキッズキャンプ」

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■12/05/27(日) □ 農園ゲームを探そう
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MKのベイビー、いつもニコヤカ
でカワイス。
甥MKのベイビー生誕百日祝い。YLはいつでもニコニコしていて実にかわいいベイビーである。萌は自分がお姉さんになった感覚があるらしく(実際はイトコの子供なので萌は叔母)、YLと会うといつもこうしてべったりとくっついている。もっと早く、うちに住んでるうちに子供を作ってくれたら萌がもっと遊べてよかったのだがな、MKよ。

ボードゲームはやる時間がないだろうなと「コロレット」だけ持ってきたのだが、取り出すチャンスはなかった。コロレットはルールは簡単明解なのだがうおおと盛り上がるゲームではないので、みなの話の腰を折ってまでは出しにくい。

往復2時間の間MとLDはずっと家庭菜園のことをくっちゃべっていた。「キャベツとか葉物の横に●●を植えるとお互いに悪影響を与えるのよ。◇◇と◆◆は一緒に植えられないし。困ったわ」とかいう内容。「―――ふむ。そりゃボードゲームの話みたいだな」とつい口を挟んでしまった。「アグリコラ」ですかね。

――ああそうか、作物を育てるゲームを探してMにやらせればいいんだよ。アグリコラは重量級長時間ゲームらしく無理だと思うが、軽い農業ゲームだって探せばあるだろう。グレンモアも作物は作るけど、種をまいて収穫してというリアル農業フィーリングまでは残念ながら得られない。そこが農業好きなMに訴求しなかったのかもしれない。

見た目かわいくて作物を育てられ、こうしたパーティで説明しながらやっても間が持つくらいの、カルカソンヌやチケライ+@程度のルール量。そんなゲームがあったらどこででも自信を持って取り出せるだろう。

コロレットはテーマがない純ゲームなので「ゲームをやる?」としか言いようがなく、ゲーム好きではない人にはチトお勧めしにくい。人との頭脳戦をストレスに感じゲームをプレイしない人も多く(これがボードゲームが普及しない最大の理由だろう)、そうした人々には対人ジレンマだけを抽出してゲームにしたコロレットみたいな純ゲームはまったく訴求しないだろう。

しかしたとえそういう人でも「農園ゲームをやる?」と聞けば、「どういうゲームなの?」と軽く食いついてくるはずである。実際に農作業をやりたいかどうかは別としてw、アグリカルチャーというのは魅力あるテーマなのだ。そこでメカニズムを説明してやれば今どきの生産ゲームが面白くないわけはないので、きっと引き込める。「作物をうまく作ったほうが勝ち」という内容ならば、ボードゲームは頭脳勝負ではなくレゴのようにクリエイティブな遊びの一つなのだと誰にでもわかってもらえるだろう。探してみよう。

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■12/05/29(火) □ グレンモア・ソロプレイ案
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村をつくるゲーム「グレンモア」
農場もので面白そうな「ウォルナットグローブ」の動画を見てみたら、タイルを配し作物が出るというあたりがうちの「グレンモア」に似ている。グレンモアにより多様な要素を加えた感じのゲームに見える。これを見てやっぱグレンモアはいいゲームなんだよなと熱が再燃して、久しぶりに1人2役でソロゲームをやってみる。

負けてる方を勝たせようと努力するとソロでも面白いのだが、しかし考えること(検討すべきタイル数×配置位置×2)が膨大な量になるので時間がかかるし、疲れる。そこでサイコロを使って思考量を削減する方策をいろいろ試してみた。

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【グレンモア・サイコロソロ】
  1. 1人2色(ここではP1/P2)を担当、ダミーの黒を加え計3ミープルをタイル取りトラックに置く。
  2. 「0タイル」をP1/P2/ダミーに2枚ずつ配布、リソース産出を行ってからゲーム開始(1周目はけっこう単調なのでこの配布でさっくり省略。同じタイル(石・石など)が1人に重複して配布された場合は、山に戻してもう1枚引く)
  3. P1/P2の手番では普通の6目サイコロを振り付属の特殊サイコロを2回振り(普通のサイコロだと1と6が出やすすぎるので)、出た目までのタイル(2~6)から選択して取る(これで手番に検討すべきタイルが1/3くらいに減り、進行が劇的に早くなる。どのタイルもミープル不足で置けない場合、ミープルを1マス1金で移動する。どのタイルも資材不足で取れず金もない場合は移動せず、1回休み)
  4. あとはサイコロの出目に従いつつ、P1/P2の点を最大化するのみ。ラウンド3の最後の手番だけはサイコロを使わず、「橋」や「食料品店」といった大物タイルを狙って取り締めるのが吉。
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これがなかなかいい塩梅で、手番で獲得可能なタイル数が10→平均3.5(最大6) と激減するため、検討がごく短時間で終わり1人2役でもサクっと軽く遊べる。それに《取ったタイルをどこに置けば最も有効か》という、カルカソンヌ的な引き運最大化のゲームへと戦略も少しだけ変化し、それも楽しい。

1周目の0タイルは、誰もが後の建築に備え早い者勝ちで木と石を取るだけで展開に大差はないので、普通の対人ゲームでも自動分配にしちゃってもいいかもしれない。それにグレンモアの欠点として「選択可能タイルが多すぎて思考が麻痺する」という点が挙げられることがあるので、サイコロで獲得可能タイル数を制限するのは対人ゲームでも悪くないヴァリアント(オプションルール)かもしれない。グレンモアはじっくりと我が村を育て強くするゲームではなく、村長がその時々の最適手を探し村を切り回していくゲームなので、テンポが上がれば上がるほどプレイ感がよくなると思うのだ。

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■12/05/30(水) □ ダンジョン&ドラゴン大会準備
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萌の日本語学校前にMK家を訪問すると、MKが今度主催する家族ダンジョンズ&ドラゴンズ大会案を練り盛り上がっていた。このテーブルトークRPG(紙とコマで行うボードゲーム的なRPG)というのはどういうゲームなのか俺には想像もつかない。ボード上のフィギュアでチェスやタクティクスっぽいウォーゲームをやるのかと想像していたら、「フィギュアもボードもなくてもできる」なんていうのである。はぁ(?_?)。

とにかく詳細なキャラクターの肉付けがゲームの骨子となるらしく、種族、性格、髪の色、武器の種類などなど10項目くらいのパラメータを聞かれ、それをMKがシートに記入していき、俺はこんな感じのドワーフとなった。カッコいい。キャラづくりが心から好きな萌は超喜んで、自分のキャラに嬉々として細かな属性を与えていた。

しかしこういう絵やこれに似たフィギュアが具体的に与えられるわけではなく(これは単に Google イメージで出てきたドワーフ)、このキャラ特性が書かれたシートを俺が携え、MKの書いた「シナリオ」上の冒険に臨んでいくのだそうだ。うーむ、やっぱりわからん(笑)。しかしとにかくこれまでに体験したことのないことがやれそうで、面白そうである。決戦は2週後。

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■12/06/3(日) □ 雨のキッズキャンプ
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週末の萌のスクールキャンプは初日降ったりやんだりと天気が悪かったのだが、聞けば初日炊事場で晩飯を食って自分の3人グループのテントに戻ったら、なんとフライが風に飛ばされ中は寝袋も含めズブ濡れになっていたのだそうだ。たとえ借り物のテントの防水性が低くても寝袋が濡れないようにグラウンドシートまで入れといてやったのだが、上からずぶ濡れにされるとは想定外だった。やっぱ大人数のキッズキャンプだから、付き添いの先生も1つ1つのテントの様子まではチェックしてくれなかったのか。

でどうしたかと思えば、でかいテントのグループに3人で合流し、7人で寝たのだとのこと。狭いのは我慢できたが、濡れた寝袋が冷たくてなかなか眠れなかったらしい。俺もまあテントに水が入ってきて寝たまま濡れたことはあるけど、それは日本の夏だったからな。カナダの6月じゃ気温は15度だから、考えただけでも寒い。大変だわそれは。


一時は霧がものすごかったとのこと
しかしそれ以外は文句なく楽しかったとのこと。そりゃそうだよな。キャノンを渡しておいたのだが、楽しげなキャンプの様子が伺えてよかった。俺のキャノンはすでに5年ものだが、いまだに文句なく美しい写真を撮ってくれる。